春香「必ず来て、ね」

春香「もぅ、メールでなんて水臭いなぁ千早ちゃん」

春香「千早ちゃんに呼ばれたら、この天海春香!!」

春香「例え火の中水の中、千早ちゃんのスカートの中ですよっ!」(キャーッ)

春香「えっと、プレゼントの準備も万端」

春香「それでは、いざ!!」


ピンポーン


千早『はい』

春香「あ、千早ちゃん? 私、春香だけど」

千早『空いているわ、入ってきて』

春香「あ、う、うん」


ガチャ


春香「……なんか元気無かったな、千早ちゃん」


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春香「お、お邪魔しま~す……」


千早「いらっしゃい、春香」

千種「いらっしゃい、天海さん」


春香「あ……え、と、あの、お、お久しぶりです!! お母さん」


千早「ごめんなさい、春香、母がどうしてもって言うから」

千種「ごめんなさいね、天海さん、二人だけでは間が持たなくて……」

春香「あ、いえいえいえいえいえ、そんな!! 気にしないで下さい!!」

千早「座って」

千種「どうぞ」

春香「あ、はい、ありがとうございます」


千早「……」

千種「……」

春香「……」

千早「……」

千種「……」

春香「……」

千早「……」

千種「……」

春香「……」

千早「……」

千種「……」


春香(アレ!? え!? 何? 何だ? この地獄は!?)


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春香「あ、あの!! 今日は千早ちゃんのお誕生日会だったんですよね!?」

千早「えぇ」

千種「はい」

春香「えっと、じゃあ、あの、お菓子とか? ジュースとか、出しましょうか?」

千早「春香、それは母が作ってきてくれたの」

千種「何か始まりの儀式みたいのがあると思ったもので……すみません、今出しますね」

春香「あ、て、手伝います」

千早「いいのよ春香」

千種「どうぞ座っていてください、天海さん」

春香「あ、はい……」


千早「……」

春香「……」

千早「……」

春香「……」

千早「……」

春香「……」


千種「まずは、豆腐です」コトッ


春香(ええぇえぇええぇえええええ…………)


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千種「後から、続々と出しますので、まずは、前菜で……」

春香(まさかのコースメニュー形式でしかもオードブルが豆腐て……)

千早「お母さん」

千種「……何かしら?」

千早「醤油、醤油が無いわ」

千種「あら、ごめんなさい、この家のどこに何があるか、私、解らないから」

千早「それは私が用意しなかった落ち度だって言いたいの?」

千種「誰もそんな事言ってないじゃない」

千早「言っているような物じゃない!!」


春香(うわぁぁああ……最悪だぁ……最っっ悪っっの空気だぁぁああ……)


千種「解ったわ……どこにあるの? お母さんに教えて?」

千早「もう良いわ、私が自分で用意するから」

千種「……最初からそうすれば」ボソッ

千早「はい?」


春香「ああぁあああ!!!! もう、ね? あの、私が、私が出しますから、ね?」


千早「……ごめんなさい、春香」

千種「すみません、天海さん……」


春香(うぉぉおおおおおい……すっげぇ空間に招待されちまったぞ、コレェ……)


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春香「は、はい、それじゃあ、これ、調味料一式、ね、はい」コト

千種「お詳しいんですね、天海さん」

春香「あ、たまに泊まったりするんで、その時料理とかやるから」

千種「千早、貴女、友達に料理なんてさせているの?」

春香「ち、違うんですよぉ~、あの、もちろん、千早ちゃんも一緒にやってて……」

千種「ご迷惑をおかけします……」

千早「それ、どう言う意味?」

春香「あ、ほ、ほら!! 始めましょう? ね? た、楽しいパーティーを始めましょうよ?」

千種「……」

千早「……」

春香「あ、飲み物!! そうだ~飲み物だよ千早ちゃん、冷蔵庫失礼するね?」

千早「えぇ……」


ガチャ


春香(えっと、とりあえず乾杯で使えそうな…………)

春香(水とヤクルトしかねぇとか…………)


春香「…………あの、どうぞ、ヤクルトです」コト

千早「……」

千種「……」


春香「あの、それじゃあ……えと……乾杯」

千早「乾杯」

千種「乾杯」


カシュ


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春香「……」モグモグ

千早「……」モグモグ

千種「……」モグモグ

春香「……」モグモグ

千早「……」モグモグ

千種「……」モグモグ


春香(はっきりと解るよね……コレ、誕生日会じゃねぇよ!!)

春香(通夜でももうちょっと盛り上がるわ!! 水道の水が落ちる音すら聞こえるとかどんだけだ)

春香(き、気まずい……何か、何か無いか…………そうだ!!)


春香「あの!! 音楽!! 音楽かけません!?」


千早「良いわね」
千種「食事中に音楽は」


千早「」
千種「」


春香「あ、あの! ね? お母さん、今日は、ぱ、パーティーですから、ね?」


千早「春香の好きにさせてあげて」

千種「そうね、今の人はそう言う感性なんでしょうね」

千早「どうしてそう言う風にしか!!」


春香「あ、あはははは、ほ、ほら、ね? 落ち着いて、ね? じゃあ、この入っている奴で……」


ピッ


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ねぇ


Kiss Kiss Kiss


何十回も


息ができなくていい


死んでもいい


だから


Kiss Kiss Kiss


何百回も


愛しているなら


激しく


Kiss Me Plese


奥まで


Kiss Me Free



Kiss



Kiss



Kiss



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春香「アカン奴やったぁああああああ!!!!!!」


ピッ


千早「……」

千種「……」

春香「……」


千種「普段、こう言うのを聴いているのね」

千早「家の事務所の皆の曲を悪く言わないで」

春香「あ、あの、私も、その、良く確認もせずにね?」

千種「少なくとも、食事中に聴く曲では……」

千早「春香は母の肩を持つって言うの?」


春香(うぉぉおお……厄介だよぉぉおお、この親子厄介だよぉぉおおおおっっ!!)


千種「私としては静かに食べたいのだけれども」

千早「お母さんのための集まりじゃないでしょ?」


春香「あ、あの……静かに、食べます、はい」


千早「……」ムスッ

千種「……」


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千種「鯛をソテーした物にホワイトアスパラガスのソースを和えた物よ」

春香「……」

千早「……」

千種「……」


春香(オードブルは豆腐)


千早「……」モグモグ

千種「……」モグモグ


春香(スープはビシソワーズ)


千早「……」モグモグ

千種「……」モグモグ


春香(そして魚料理がコレ)


千早「……」モグモグ

千種「……」モグモグ


春香「何で全部、真っ白なんだよぉ~~~ぅぃ!!!!」


千早「」ビクッ

千種「」ビクッ


春香「あ」


千早「」

千種「」


春香「えっと……」


千種「天海さんには……お口に合わなかったみたいね……」

千早「え、い、いや、そんな事は無いと思うけど……春香?」


春香「ち、違うんですよ!! あまりにも見事な料理だからついツッコミがでちゃって、そう言う体質で!!」


千種「そ、そうなの……難儀ね」

千早「春香は職業柄仕方ないのよ」


春香(同じアイドルじゃろが~~~~~い!!!!)ガーイガーイガーイガーイ……


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春香(肉料理が白モツだった時には「わざとだろ!!」とツッコんでしまい、この世の終わりみたいな空気になったけど)


千早「ふぅ」フキフキ

千種「」フキフキ


春香(終わった、やっと終わった……体感的には80時間は経ったけどまだ2時間しか経ってない……)


千種「それじゃあ、ケーキを用意しましょうか」

春香「え!? お母さんケーキまで作ったんですか!? うわぁ、凄い!! 私も、実はお菓子作りが好きで、でもケーキって焼き菓子と違って手間がかかるって言うか」

千種「買って来たものよ」

春香「はい、もう、黙ってます、すんません」

千種「冷蔵庫に入れておいたの、持って来るわね」


千早「春香」

春香「え? あ、何? 千早ちゃん」

千早「ごめんね? 春香が居ないと、私どうしたら良いか解らないから……楽しくないでしょ?」

春香「い、いやいやいやいや、そんな事ないよ、とっても、た、のしいぃ、よぉ?」

千早「ふふ、春香は優しいのね」

春香「いや、でも、まさかお母さんが千早ちゃんの誕生日に来るなんて」

千早「……私が、呼んだの」

春香「え?」


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千早「誕生日だし……って言うのはズルイ言い訳だけど……少しずつ変わらなきゃって、思ったの」

春香「千早……ちゃん……」

千早「母も、来てくれるなんて、思ってなかったし」


春香「……ううん、千早ちゃん、お母さんはずっと待ってたんだと思う」


千早「春香……」


春香「前に言ってたもん、お母さん「今更信頼なんて、もう私達親子は、ずっとそうでしたから」って」


千早「母が?」


春香「お母さんは、歩み寄ろうとしていたんだよ!! 千早ちゃん」


千早「……」


春香「千早ちゃんが、心を開いてくれるのを待ってたんじゃないかな?」


千早「私の心が」


春香「うん、だから、今日のこの日を、お母さんは凄く楽しみにしてたんだと思う、ううん、絶対そうだよ!!」


千早「……」


春香「私なんかじゃ想像も付かないようなお母さんと千早ちゃんの悲しいすれ違いは一杯あったんだと思う、でも、それでも!!」


千早「……」


春香「親子なんだもん、変わってしまった事は変えられるんだよ!!」


千早「……春香……ありがとぅ……」グスッ


春香「ううん、一番勇気を出して、頑張ったのは、千早ちゃんだから」ギュッ


千早「うん……うん……」ポロポロポロポロ



千種(……良い、友達を持ったわね、千早)グスッ



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千種「あの……」


春香「あ!!」

千早「///!!」バッ


千種「皆でケーキ、食べましょう?」


春香「あ、じゃあ、私、電気消しますね?」

千早「は、春香ヤメて、そんな、恥ずかしいわ」

千種「お友達の言う事は聞くものよ? 千早」

千早「お母さん……」

千種「それが、親友なら、なおさら、よ?」

千早「……うん、うんっ」

春香「あ、お母さん」チョイチョイ

千種「???」


春香「……で……なんですけど?」

千種「……えぇ、少し……はい」


千早「???」



春香「ふふ、じゃあ、電気消すよ? 千早ちゃん?」


パチッ


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もうすぐ待ち合わせの時間がやってくる

水玉の空模様 白に変わるかな


最高のシチュエーション作れるこんな季節に

ラストシーン決めている あと必要なのはあなた


12月 街中の色が変わるから

不安と期待さえも溶け込んでゆくよ


今日がchance つかまえて足をとめて待ってるから

そんなdream ずっとずっと思い描いてきたの


二人で祝おう 神さまのBirthday

特別だよ誰だって主役になれるから

耳をすまそう 聞こえるよring a bell

いつもよりも少しだけフザけないでいてよね


雨がやんだら 始まるよsilent night

白い絵の具ぜんぶ使ってぬりかえる明日も

祈ってみよう これからのhistory

叶えられるきっときっと あたたかい冬になれ



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春香「千早ちゃん!!」

千種「千早」


春香・千種「誕生日、おめでとう!!」


千早「……ふふ、クリスマスの歌だし、合わせてないから音程とかメチャクチャだったけど」


春香「あぅ」

千種「……」


千早「ありがとう!! 春香、お母さん!! 最高のバースデイだわ!!」


春香「あ……」

千種「ふふ……さぁ、千早、火を吹き消して」


千早「……ふ~~~~~っ!!!!」


パチッ!!


春香・千種「おめでとう!!千早(ちゃん)!!」


パチパチパチパチパチパチ


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春香「それにしても完璧じゃないですかお母さん!! 急な提案だったのに」

千種「こう見えても、私も歌は好きなの……特に娘が歌っている歌は、全部歌えるわ」


千早「……」


春香「声も綺麗だし、やっぱり千早ちゃんの声はお母さん譲りだったのかぁ」

千種「そんな……煽てないで、天海さん」

春香「やだなぁ、もう、私の事は春香って呼んでくださいよ~~~」

千種「そう? じゃあ……春香、ちゃんで☆」


千早「おう」


春香「あ、そうだ、誕生日プレゼント、プレゼントも渡しましょう!!」

千種「そうね、私、あの子にピッタリの大胸筋矯正サポーターを見つけてね?」


千早「おうよ!?」


春香「あ、はい」

千種「どうしました?」


千早「このケーキの真ん中にデカデカとかかれている【72】これ何だ?」


千種「あぁ、私は良く解らないんだけれども、千早といえばその数字って言うのが世間に浸透してるみたいだからつけてもらったの、嬉しい?」

春香「…………あ、やべぇな、コレ」


千早「嬉しいわけねぇだろうが糞ババア!!!! 殺すぞ!!!!」


千種「あぁ!? 親に向かってなんて口聞いてんだゴラァ!!!! 轢くぞ!!!!」


千早「轢くとか軽々しく言ってんじゃねぇ!!!! 抉ってくんじゃねぇよ!!!! 色々なアレコレをよぉ!!!!」


千種「あぁぁん!!?? やったんぞ!!??」


千早「やったらぁああああボケェゴラァ!!!!!!!!」


春香「……喧嘩するほど、仲が良いってね、うん」


千早・千種「誰が仲が良いじゃゴラァ!!!!!!」



春香「うわぁああああああ!!!! アンタ達やっぱり親子だよぉおぉおおおお!!!!!」


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