やよい「キレイなコインだねー」

伊織「何かに困ったら売ってもいいわ」

やよい「売る?どこで?」

伊織「律子か社長にでも聞けばいいわ」

やよい「これ、なんか高いものじゃ…」

伊織「大したものじゃないのよ、今はね」

やよい「うー?」

それから数年後

やよい「うー…長介達も大きくなって、お金かかる…」

やよい「はあ、やっぱり今月もピンチです…」

浩太郎「ねーねー、これなあに?」サッ

やよい「あれ?前に伊織ちゃんに貰ったコイン…」

やよい「困ったら売りなさいって…」

やよい「…律子さんに聞いてみよう…かな」

———

やよい「律子さん、コレって売れますか?」

律子「…ん?コレって鋳造化したビットコインじゃない!どこでコレを?」

やよい「かなり前に伊織ちゃんに貰ったんです」

律子(そうか、現金じゃ受け取らないやよいに支援しようと現物のビットコインを…伊織ったら…)

律子「売れるけどそのままじゃ売れないわ」

やよい「そのままじゃ?」

律子「コレはね、コインのホログラムに…」

やよい「!?何か書いてあります!」

律子「ビットコインは仮想通貨、本来は実態を持たないものなんだけど…」

律子「コイン型で中に秘密鍵が仕込まれているこういうモノもあるのよ」

やよい「よくわかんないです」

律子「今からネットに繋いで、取引所で日本円に換金してあげる」

やよい「やっぱり…高い物だったんじゃ…」

律子「伊織がコレを手に入れた時点では大して高くなかったと思うわ」

やよい「なんかそんな事言ってましたけど、よくわかんないです…」

律子「う〜ん…なんていうか…」

律子「簡単に言うと、昔のおもちゃが貴重になって、今プレミア価格で高くなってるようなもんよ」

やよい「あ!聞いたことあります、鑑定団!」

律子(厳密どころか全く違うんだけど、市場の仕組みの説明から教えるとなると…ね…)

律子「今の相場は…1ビットコイン10万円ね」

やよい「!?」

やよい「え?50枚くらいジャラジャラ貰って…え?」

律子(初期に買ったとして5万円分くらいかしら…)

やよい「かすみがおままごとに使っていて…その後箱に仕舞ってたんです」

律子「ちなみにコレは今の相場、今後どうなるかわからないわ」

やよい「え、私どうすれば…」オロオロ

律子「売れるか聞いてきたって事はお金が必要なのね?」

やよい「うー…そうなんです、学校ってお金がかかって…」

律子「そうね、長介君達が大きくなればなるほどかかるわね」

やよい「そうなんです…」

律子「やよいも、ご両親も頑張っているのは知っているけど、こればかりは仕方ないわ」

律子「やよい、コレ全部売ってお金に替えちゃいなさい」

やよい「えっ?でも、全部って…」

律子「ココにあるのが全部なら…今なら日本円で500万円程になるわね」

やよい「一度にそんな大金…どうすれば…」

律子「やよいなら大丈夫よ、貯金して計画的に使いなさい」

やよい「あれ?今は…ってまたコレから高くなる…?」

律子「よく気づいたわ、そしてコレから安くなるかもしれない」

やよい「そうなんですか?」

律子「仮想通貨の投機的な取引なんて…やよいには似合わないわ、地に足つけて頑張るのが一番!」

やよい「やっぱりよくわからないですけど…」

律子「このお金は、たまたま神様が頑張っているやよいにくれたプレゼントなのよ」

律子「プレゼントは有難く受け取って、大事に使うものよ」

やよい「うー…?でも律子さんがそういうなら間違いないです!」

やよい「全部お任せしてもいいですか?」

律子「もちろんよ!」

律子(ウォレットに入れておけば値動きもあるし、その都度換金や決済に使えるけど…)

律子「クラックされたら終わりなのよね…」

律子(この鍵入りのコインでオフラインで持っていれば、安全でやよいは困らない)

律子(動産でも不動産でもないから、あげた時に譲渡税もかからない…)

律子(…考えたとは思うけど、私ビットコインはきな臭いと思ってるのよね)

律子(実態の無いモノを投機的に取引って、恐怖しかないわ)

律子(決済に使うには便利かもしれないけど…)

律子(破綻する前に現金化して渡すのがやよいのタメになるわ…)

数日後

律子「そういえば伊織、やよいにあげたビットコイン…考えたものね」

伊織「…?ああ!あれね!」

律子「忘れてたの?」

伊織「取引してあげたの?」

律子「ええ、Casasciusが業務停止受ける前にね」

伊織「鋳造化が禁止されただけで、アレがすぐ使えなくなるわけじゃないけど」

律子「まあちょうどいいタイミングだったんじゃないかしら?」

伊織「んー…そうかもね」

律子「忘れてたくせに」

伊織「うっさいわね!」

律子「ふふっ…でも、伊織もそう思うの?」

伊織「そうね…決済に使われて、通貨として流通すればまだしも…」

律子「現状じゃただの投資対象ね」

伊織「ま、アレは鋳造化したら綺麗だったからあげただけよ」

律子「ふーん…」

伊織「…なによ!」


数ヶ月後

TV「ビットコインの取引所のひとつ、マウントゴックスが取引を停止し…」

律子「やっぱりあの時やよいに全部現金化して正解だったわ…」

律子「まあ、システムの即破綻は無いでしょうけど」

律子「あそこにもし預けてたらパーだったわ」

律子「これが終わりの始まりの可能性はあるわね」

律子「所詮虚業…か」

律子「ふふっ、アイドルも虚業だけどね」

律子「ま、周りに被害者もいないようだし…私には関係ないかな」

小鳥「…ヘクチッ!」