春香「はい! 皆さんこんにち‥‥じゃなかった。皆さんこんばんは! 天海春香です!」

千早「如月千早です」

美希「星井美希でーっす」

春香「いやいや、遂にこの日が来ちゃいました! 生っすかが、待ちに待ったゴールデン進出!」

美希「それも、今日はたっぷり、2時間スペシャルなの!」

千早「そこで今日は、いつもと少し趣旨を変え、スペシャルならではの企画を用意しています。もちろん、他のアイドルも、続々登場しますよ」

美希「千早さん。スペシャルな企画って、一体何なの?」

春香「確かに気になるね!」

千早「それじゃあ発表しましょう。企画の内容は‥‥」

春香「ドキドキ」

美希「ワクワク」

千早「続きはCMの後で」

春香・美希「たはー」



『この番組は、世界に羽ばたく水瀬電機、夢を生み出す水瀬出版、佐藤水産、わかさいも本舗、ご覧のスポンサーの提供でお送り致します』

『北海でとれた新鮮プチプチイクラと肉厚なずわい蟹を贅沢に‥‥』


春香「美味しそうだったねえ」

美希「ミキ、お腹すいてきちゃった‥‥」

千早「ちょっと二人とも! カメラ回ってるわよ!」

春香「はっ! ご、ごめんなさい!」

美希「そ、それじゃあ気を取り直して、企画の発表いってみるの!」

千早「私達、アイドルの仕事とは、一体なんでしょうか?」

美希「上手な歌を歌う事? 華麗なダンスを踊る事?」

春香「もちろん、それも重要です! だけど一番大切なのは!」

千早「みんなを笑顔にする事です!」

春香「そこで今日は、テレビの前の皆様に!」

美希「たっぷり笑ってもらっちゃおう!」

千早「題して! 765プロオールスターズ!」

美希「ビックリドッキリ!」

春香「フェスティバルーッ!」

パチパチパチパチ

春香「‥‥と、いうわけで、バラエティの金字塔、ドッキリをお届けしたいと思います!」

美希「実は今日は、いつもロケに行ってるメンバーも、このスタジオに全員集合しているの!」

千早「事前に仕掛けたドッキリのVTRを見ながら、皆でワイワイと楽しもうというわけね」

美希「でも、ドッキリの内容によっては、苦笑いしかできない人もいるかも知れないの」

春香「まあまあ、スタッフさんだって大人なんだから、その辺の加減は‥‥ん? 何? あのカンペ」

美希「「ガチです」‥‥って、書いてあるの‥‥ww」

春香「wwwww」

千早「www‥‥ま、まあ何はともあれ、早速一人目の犠牲者‥‥じゃない。ターゲットに登場してもらいましょう」

美希「犠牲者って‥‥ww」

春香「響チャレンジでお馴染みの、我那覇響ちゃんでーす!」

ヒューヒューッ パチパチパチ メンソーレ

響「はいさーい! テレビの前のみんな! スタジオのみんなも、元気してるかなー! 我那覇響だぞ!」

イヨッ! カワイイ!

響「あと、そこに座ってる司会の三人!」

春香「?」

響「後で殴るから」

三人「wwwwwww」

千早「ア、アイドルが開口一番、殴るって‥‥www」

春香「そんなにひどい目にあったの?ww」

響「ひどいも何も無いさー! 自分、あんな怖い思いしたのは‥‥ま、まあ、その辺はVTRで確認してほしいぞ!」

春香「そうだね! じゃあ早速‥‥」

響「VTR!キューッ!」



『我那覇 響。
 本番組では、響チャレンジのコーナーを受け持ち、様々な無理難題にも果敢に挑戦する、沖縄の生んだスーパーアイドル。
 持ち前の天真爛漫さと、漲る元気に、心を打たれたファンも多いだろう。
 そんな彼女の、動物好きは非常に有名である。
 我々が考えた、彼女に対するドッキリ。それは‥‥』

『アニマルパニック! もしも動物園で、人喰いトラが脱走したら?』

春香「おー」

千早「なるほどね」

『某日、我々はターゲットを偽の企画で呼び出した。ドッキリの舞台となるのはここ、ワクワクフジイ動物ランドである』

響『おはようございまーす! 今日はよろしくお願いします!』

偽D『おはよう響ちゃん。今日も元気だね。台本、確認してくれた?』

響『はい! たくさん動物と遊べるなんて、自分、すっごく楽しみだz‥‥です!』

『我那覇に伝えられている番組内容は、新設する施設の紹介。及び、そこで暮らす動物達との触れ合い。動物好きの彼女は、非常に浮かれているようだ。だがこれは、これから起こる惨劇の幕開けなのであった‥‥』

D『こっちから付ける注文は特に無いから、いつも通り、元気にしてくれればいいよ』

響『はーい!』

偽AD『ディレクター! ちょっと‥‥』

D『おお、どうした?』

AD『実は‥‥ヒソヒソ』

D『何い!? ちゃんと事前に日程決めてあったろうが!』

AD『それが、相手方の都合で、どうしても今日だと‥‥』

D『ううむ‥‥』


千早「何か、緊迫してるわね」


D『響ちゃん。ちょっといいかい?』

響『?』

D『実はね‥‥この動物園に、ある動物が搬入される事になってるんだ』

響『新しい動物!? おおー!』

D『ただ、その動物ってのが‥‥インドで地元住人50人を食い殺し、捕獲のために派遣されたハンターを3人殺害。その後、搬送中に大勢のスタッフにも重傷を負わせた、凶暴な人喰い虎なんだ』

響『え‥‥』

D『だが、有識者の見立てによれば、今までに発見された事の無い、新種じゃないかという話が出ていてね。殺処分も出来ず、それどころか、日本の研究室に移送される事になったんだ。そのために、ここでしばらく預かるらしい』

響『はあ‥‥』

D『もちろん、厳重に管理されてるから問題は無いだろうが、我々としては、アイドルの響ちゃんに万が一の事があったら困るからね。ロケと虎の到着がかち合わないように調整したんだが‥‥』

響『‥‥タイミングがぶつかっちゃった、わけ?』

D『ああ‥‥しかし、さっきも言ったが、虎は厳重に拘束してあるし、見張りもいるからね。大丈夫だとは思うが‥‥』

響『‥‥なんくるないさー! 自分の安全を考えてくれるのは嬉しいけど、そのためにたくさんの人に迷惑なんて、かけられないもんね!』

D『響ちゃん!』


春香「えらいなー、響」

千早「すごいわね」

響「えへへ! 自分、完璧だからな!」


『こうして、自ら罠へと入り込んだ我那覇。当初の予定通り、ロケは開始された‥‥』

響『はいさい! 「我那覇 響のアニマルタイム」だぞ!』

『刻一刻と‥‥』

響『来月からオープンする、レッサーパンダゾーンを、一足早く紹介しちゃうぞ!』

『恐怖の足音は‥‥』

響『わー! これがペンギンの赤ちゃんかー! 可愛いなあ!』

『近付いていた‥‥』

AD『お疲れ様です! 午前の撮影はこれで最後です!』

響『お疲れ様でーす!』

AD『午後からは、サル山の紹介と、爬虫類館の紹介をお願いします!』

響『わかりましたー!』

AD『では、一旦休憩という事で。これ、お弁当です』

響『わーい! ん? わあ! これ、この動物園の限定品なんだ!』

『順調に撮影も進み、上機嫌の我那覇。だが、ここからが本番である‥‥』

響『美味しかったー! あれ? なんだか、周りが騒がしくなってきたぞ‥‥』

ビーーーッ! ビーーーッ! ビーーーッ!

響『な、なんだ!?』

アナウンス『全職員に緊急連絡! 至急、中央スタッフルームまで集合してください! 繰り返します!』

響『え? え? え?』

D『響ちゃん!』

響『ディレクターさん! これって一体‥‥』

D『落ち着いて聞いてくれ‥‥つい今しがた、ここのスタッフ1人とインド人スタッフ3名が‥‥遺体で発見された』

響『』

D『確認のために虎の檻を調べたんだが‥‥既に姿は無かったそうだ』

響『え? ちょ‥‥嘘でしょ?』

D『すぐにでも逃げ出したいところだが、奴の居場所がわからない以上、屋外に出るのは危険だ。わかるね?』

響『は、はい‥‥』

D『俺はスタッフの会議に参加して、今後の対策を考えてくるから、ここから動かないでくれ。いいね? 奴は、どこに潜んでいるかわからないんだ』

響『わ、わかった‥‥』

D『じゃあ、待っててくれ。‥‥畜生、なんでこんな事に‥‥』

『番組スタッフが立ち去り、1人取り残される我那覇』

響『ディ、ディレクター‥‥大丈夫かな‥‥他の皆も‥‥』ソワソワ

響『自分、色んな子達と生活してて、ワニとかいるけど‥‥人を襲う奴だなんて、会った事ないぞ‥‥』ウロウロ


『部屋の中を歩き回り、落ち着かない様子の我那覇』


響『‥‥あっ!』


『何かに気が付いた我那覇。一体、どうしたというのか?』


響『も、猛獣は、食べ物の匂いに寄ってくるんだ! さっきのお弁当‥‥!』ガサガサ

響『し、仕方ない‥‥よね』ガラガラ ポイッ


『見よ! これが現役アイドル、ポイ捨ての瞬間だ!』

ガラガラ ポイッ
ガラガラ ポイッ
ガラガラ ポイッ


春香「wwwww」

響「うぎゃー! ち、違う! あの時は仕方なかったんだってば!」

千早「この編集、悪意あるでしょ‥‥www」

美希「ちなみに、このゴミはちゃんとスタッフさんが回収して、適切な方法で処理しました! 安心してほしいの!」



『意外な知識と冷静さを見せた我那覇。その時‥‥』


アナウンス『飼育係の井川さん、前田さん、矢野さんの行方が分かっていません。彼らの安否に心当たりのある方は、至急連絡してください。繰り返します‥‥』

アナウンス『現在、園内での死者、及び怪我人の数は確認出来ていません。尚、虎も発見されていません。くれぐれも1人で行動せず、警戒を怠らないでください』

響『』ガタガタガタガタ

『園内の惨状を告げるアナウンス。我那覇の恐怖もピークに達していた』


美希「これは怖いの」

千早「映画みたいね」

『と、ここで‥‥』


アナウンス『緊急連絡。ただいま、虎の目撃情報が入りました。中央通路を、西方面に向けて移動していたとの事です。職員は至急‥‥』

響『!? 中央通路を西って‥‥こっちだ‥‥』


『無情にも虎の接近を知らせるアナウンス。ここでドッキリは佳境へ向かい、最後の仕掛けが動き出す‥‥』


ガタン

響『ひっ!』

D『ひ、響ちゃん‥‥』

響『ディレク‥‥!?』

『怯える我那覇の元に現れたのは、なんと、血塗れになった瀕死の番組ディレクター』

美希「怖い怖い怖い!」

千早「ドッキリだって知らなかったら、腰を抜かしそうね」

D『響ちゃん‥‥奴が‥‥奴がここに向かっている‥‥』

響『そんな‥‥ど、どうするんさ!?』

D『君は、そこのロッカーに隠れるんだ‥‥』

響『ディ。ディレクターは!?』

D『俺は奴を食い止める!』

響『そ、そんなの無理だぞ! 死んじゃうってば!』

ガシャーン!

響『!!!』

D『奴が来た! 早く! 時間がない!』

響『うう‥‥』

D『さあ、早く中に!』

響『ディレクター‥‥』

『ロッカーに押し込まれる我那覇。中からは、外の様子を窺い知る事はできない』

ガシャーン ドタンバタン

響『‥‥っ』


『我那覇の恐怖を煽るように、格闘する音が室内に響く。その時、意外な展開が!』


D『響ちゃん! やったぞ! もう大丈夫だ!』

響『え!?』

D『もう、外に出ても平気だぞ!』

『ディレクターの言葉に、恐る恐るロッカーの戸を開ける我那覇。彼女の目に飛び込んだものとは!?』




レフェリー『ギブアップ? ギブアップ!?』

『ノー! ノー!』

響『‥‥は?』


春香・千早・美希「wwwwwwww」


『我那覇の目の前には、謎の覆面レスラーに関節技を仕掛ける、元気なディレクターの姿が。そして‥‥』

タイガー『‥‥!』パンパンパン

アナウンス『4分18秒! 勝者、ディレクター!』

D『うぇーい!』

響『え? ちょ、あの‥‥何?』


『完全に置いてけぼりの我那覇。ここでネタばらし』


響『へ? ドッキr‥‥もー! ちょ‥‥もーーーっ!』

タイガー『ガオーッ!』

響『うっさい! あーもう! 本気で怖かったんだぞ!』グスグス

D『wwwwじゃあ響ちゃん、カメラに向かって‥‥せーの!』

響『ドッキリ、大・成・功!‥‥んもー!』

チャンチャン♪




パチパチパチパチ

春香「いやー‥‥すごいね!」

千早「ちなみに、途中で血塗れの仕掛け人が登場したでしょう?」

春香「うん」

千早「あれ、2時間かけてメイクしたそうよ」

春香・美希「wwwwwww」

千早「我那覇さん、どうだった? 感想は」

響「どうもこうもないさー! ‥‥あのね、こんな事言いたくないんだけどさ」

春香「うん」

響「自分、アイドルなんだけど。お笑い芸人とかじゃないんだけど」

春香「わかってるわかってるwww」

美希「でもほら、今回のドッキリ、すごく豪華だったの」

響「何が?」

美希「最後に登場したプロレスラーさんなんだけど‥‥ええと‥‥新日本プロレス所属、四代目のタイガーマスクさんで、巡業で忙しい中、今回は無理を言って参加してもらったの。ご協力、ありがとうございましたー!」

響「知らんさ! っていうか、無理を言って人気レスラーを呼ぶほど高尚な企画じゃないぞ!」

千早「まあ、たしかに‥‥ww」

春香「それにしても、ちょっと意外だったなあ。響ちゃん、動物好きでしょ?」

響「うん」

春香「ワニとかと一緒に暮らしてるんだし、ここまで怖がるとは思わなかったなあ」

響「ああ、その事? スタッフもそう思ったらしいんだけど‥‥自分と一緒に暮らしてる皆は、ずっと一緒にいるから、人を襲うとか絶対にしないって保証できるし」

春香「うんうん」

響「人間だってそうだけど、初対面じゃやっぱり勝手が違うんさー。ひょっとしたら、打ち解ける前にやられる可能性もあるし」

千早「なるほどね」

響「それに、一回も姿を見なかったっていうのも大きいぞ。もう、自分の中のイメージで考えるしかないから‥‥」

春香「あ、それはわかるかも」

響「もう、段々イメージの中で怖くなっていってさ。最終的には、虎だって言われてるのに、角とか生えてそうなイメージだったぞ」

美希「wwwwwww」

春香「疑問も解消されたところで、そろそろ次のターゲットを呼ぼうか。その前に響ちゃん、カメラに向かって何か一言!」

響「え?‥‥みんな! 楽しんでもらえた?」

春香「お、ずいぶんアイドルっぽく‥‥w」

響「その内、ここにいる3人とスタッフを殴りつけてやるから、楽しみにしててほしいさ!」

3人「wwwww」

春香「いやー、随分と遺恨を残す企画みたいだけど‥‥次はどうする? 誰のを見ようか」

千早「そうね‥‥我那覇さんに決めてもらえば?」

響「お、いいの?」

千早「まあ、いいんじゃないかしら」

響「別に、他の誰かが、自分と同じような目に逢うのが見れれば、誰でもいいんだけど‥‥」

春香「すっかりやさぐれちゃって‥‥w」

響「じゃあ、貴音にしようかな」

春香「了解! じゃあ、四条貴音さんに登場してもらいましょう! どうぞー!」

ワーワーワー パチパチパチパチ

貴音「皆様、こんばんは。四条貴音です」

春香「貴音さんは、普段あんまりこういう企画に参加しないと思うんですけど‥‥」

貴音「そうですね‥‥わたくし、今回の企画を受けて、実感した事があります」

千早「なんですか?」

貴音「今までの人生で、初めて体験したのですが‥‥人間、過度のすとれすを受けると、体調がおかしくなるという‥‥」

貴音以外「wwwwwww」

貴音「撮影後、3日間くらいでしょうか‥‥何やら、耳鳴りが止まりませんでした」

春香「wwwwちょ、ちょっとスタッフさん! 体壊しちゃってるじゃないですか!」

千早「私達の仲間に、なんて事をしているんですかw」

美希「あ、カンペなの‥‥『四条さんのドッキリは、軽かったので反省しています』って‥‥wwwww」

千早「あなた達はもう‥‥本気を出したら、ドッキリで人を殺せるんじゃないですか?」

響「いやー‥‥あれだな。なんか、楽しくなってきたぞ」

春香「自分が終わったからって‥‥w まあいいや。そろそろVTR行きましょうか!」

千早「四条さん、お願いします」

貴音「はい。それでは‥‥ぶいてぃあーる、すたーと!‥‥へーい!」

春香「いや、別に面白く言わなくても‥‥w」



『四条 貴音。
 そのミステリアスな雰囲気と、上品な物腰で、世の男性を魅了する彼女。
 また、ラーメン好きという意外な一面を持ち、当番組でも人気コーナー、四条 貴音のラーメン探訪を担当している。
 今そんな彼女にドッキリの魔の手が忍び寄る!
 今宵、秘密のベールに包まれた、本当の姿が明らかになる!』

『過激なグルメ! もしも、取材先のラーメンが激マズだったら?』


春香「あー、なんか、若手の芸人さんが仕掛けられてるの見た事あるかも」


『某日、我々は、ラーメン探訪の打ち合わせの名目で、ターゲットを呼び出した。無論、コーナーの担当スタッフは、全員が仕掛け人』


貴音『おはようございます。本日もよろしくお願いいたします』

スタッフ達『おはようございまーす!』

D『おはよう四条さん。すみませんね。お忙しい中、時間とらせて』

貴音『いいえ、構いません。ですが、不思議ではありますね。普段ならば、事前の打ち合わせはすたっふの皆様だけで行い、わたくしは撮影当日まで何も知らずにいるというのに』

D『ええ。その方が、素直なリアクションが貰えますからね。けど今回は、ちょっと事情がありましてね‥‥』

貴音『事情‥‥ですか?』

D『次の取材先なんすけど‥‥『武藤』ってラーメン屋、聞いた事ありません?』

貴音『武藤‥‥! 残念ながら実際に味わった事はないのですが、雑誌などではよく! いつかは口にしてみたいと‥‥』


響「貴音、テンション上がってる‥‥w」


D『ええ。テレビや雑誌での人気ラーメン店ランキングでは不動のトップをキープ。平日の朝からでも、数時間待ちの行列は当たり前、ここで一度ラーメンを食ったら、他の店には行けない者までいるという、凄まじい店なんです』

貴音『次回は、その武藤に?』

D『ええ、まあ。でも、問題がありましてね。ここの店主というのが、もの凄く権力を持ってるんですよ。ラーメン業界で』

貴音『権力、ですか?』

D『ええ。何せ、ラーメン界のドン、との異名を持つくらいでして‥‥万が一、武藤の店主の機嫌を損ねてしまった場合ですね‥‥』

貴音『はい』

D『向こう数年‥‥下手をしたら、永久に、この局はラーメンの番組を作れなくなりますね』

貴音『なんと!』

D『現にですね、武藤の店主を怒らせてしまったために、全国のラーメン店に出入り出来なくなって、廃刊に追い込まれた雑誌もあるくらいなんすよ』

貴音『で、ですが‥‥たかだか一軒のらぁめん屋に、そこまでの力があるとは、俄かには信じられません‥‥』


『流石に設定に無理があるのか、疑う四条。このままでは、番組が成立しなくなってしまう。そこで‥‥』


D『お願いします! 知っているかもしれませんけど、テレビにとってラーメンってのは、すごく重要な物なんです! 視聴率の要なんです! もしも何かあったら、俺達全員のクビが飛ぶんです!』ガバッ

貴音『そ、そんな! どうか、顔をお上げください!』

スタッフ達『お願いします! 四条さん!』ガバッ

貴音『!?』


『アイドル達よ、見るがいい! これが、バラエティに命をかける、男達の生き様だ!』
(arcadiaのサビに合わせて、スタッフ1人1人の土下座姿がクローズアップ)


春香「wwwwwwwww」

美希「くだらないの!www くだらなさすぎるの!wwwwww」

千早「こんなところで私の曲使わないでwwww」

美希「ミキもう、ここのスタッフの人たち大好きwwww」

響「お、お腹痛いぞ!wwwww」

貴音「」イラッ



貴音『‥‥本当に、もう顔をお上げくださいませ。皆様のお気持ち、しかと受け止めました』

D『じゃあ!』

貴音『はい。私に出来る事ならば、協力は惜しみません』

D『四条さん‥‥じゃあ、ひとつ約束して欲しいんです。今回、四条さんには、武藤の新作ラーメンをいくつか食べてもらう予定になってます』

貴音『はい』

D『それでですね、杞憂だとは思うんですが、万が一口に合わない物が出てきた場合にもですね、それを顔に表さないでもらいたいんです!』

貴音『‥‥それだけでいいのですか?』

D『はい! 名店ですんで、心配はいらないと思うんですが、念のためにお願いしたいんです!』

貴音『承知いたしました。四条 貴音、皆様の熱意を決して無には帰しません』

D『よろしくお願いします!』

スタッフ達『よろしくお願いしまーっす!』

貴音『ふふ‥‥なんと気持ちのいい方達なのでしょう。これは、期待を裏切れませんね』


『自分が裏切られているとは、夢にも思っていない四条』


響「wwwww」


『そんな彼女が地獄を味わう、撮影当日がやってきた』


貴音『らぁめん。それは最早ただの(ry』

貴音『馬をさえ ながむる雪の あしたかな‥‥雪も降り積もり、寒さが身に凍みる今日この頃。皆さん、如何お過ごしですか? 四条 貴音です』

貴音『本日はここ、誰もが知る名店、武藤へとお邪魔させて頂いています』

店主『しゃーぉらあ! よく来たな!』

貴音『よろしくお願いいたします』

店主『今日はよ! うちで新しく出すラーメンをいくつか食わせてやるからな! 楽しみにしててくれよ!』

貴音『はい。私、今から食欲を抑えるのに大変です』

店主『はっはっは! じゃあよ! 早速食ってもらうとするか!』


【ドッキリラーメン一品目、単純に不味いラーメン】

『当番組のADが、説明書きも読まず、目分量と勘を頼りに作った市販の生ラーメン。麺はふやけ、スープは薄い』


店主『でぃーや! お待ち!』

貴音『では、いただきます。まずはスープから‥‥』ズズッ

貴音『‥‥次に、麺も頂いてみましょう』ズルルル

貴音『‥‥大変あっさりとしていて、えー‥‥』


美希「いきなりコメントに困ってるのwwww」


貴音『万人に‥‥そう! 小さな子供から、お年を召した方にまで愛される味ではないでしょうか』


『上手くコメントをまとめた四条。だが、こんな物を愛する人間はいない』


貴音『‥‥‥‥』ズルルル ズズッ モグモグ

貴音『ふう‥‥ご馳走様でした。私、武藤のらぁめんは初めて食しましたが、らんきんぐを上り詰めた理由がわかりますね』


『四条、最初の関門をクリア。だが、こんな物はまだまだジャブに過ぎない。本番はこれからである』


店主『いい食いっぷりだな! じゃあよ! 次のラーメンいってみるか!』


【ドッキリラーメン二品目、酢ラーメン】

『スープの代わりに、酢を使用したラーメン。酸味と臭いが容赦なく襲い掛かる』


店主『これはよ! 疲れた時に元気を出せるように開発したラーメンなんだ!』

貴音『客に対するその心遣い‥‥素晴らしいですね。では、今度もスープから‥‥』ズズッ

貴音『けほっ! けほっ! こ、これは‥‥!』

貴音『た、確かに、えほっ! 確かに、疲れている時にはうってつけの味ではないでしょうか。夏場にもちょうどいいかも知れませ、けほっけほっ!』

貴音『で、では次に、麺を‥‥』ズルル

貴音『ばぶっ!』


春香「wwwwwwwww」

響「吹いたwwww口に入ったの全部出てきたぞwwwww」

千早「く、苦し‥‥お腹いたいwwwww」



貴音『し、失礼いたしました。気を取り直して‥‥』ズルル

貴音『んぶふっ!』


美希「wwwwwも、もうやめ‥‥wwww息できな‥‥wwwww」

千早「wwwwwwwww」


店主『おう! 何してんださっきからよ!』

貴音『も、申し訳ありません! 実はその‥‥先日から風邪気味で、喉が少し‥‥あー、あー』


響「wwwwww」

春香「た、貴音さん、面白すぎ‥‥wwwwww」

美希「今まで、そんな素振り全然なかったのwwwww」


店主『それでもお前、これくらいなんともないだろうが! ええ! 貸してみろ!』


『四条の器を奪い取る店主。予定では、ここで平然と食べ、四条の自信を無くさせる筈なのだが‥‥』


店主『ぐぶふっ!』


春香「wwwwwwww」

美希「何してるの!wwww 何してるの!wwwwww」


『仕掛け人が、まさかの自爆』


店主『こ、これはちょっと、失敗だったかも知れないな! 次で口直ししてくれ!』


【ドッキリラーメン三品目、苦いラーメン】

『苦瓜のペーストをベースに、苦味の強い食材を配合したラーメン。体にはいいが、味は最悪』


貴音『何やら‥‥全体的に、トロトロとしていますね。麺によく絡みそうです』ズズッ

貴音『んんぅん!』


春香「こ、声がwww初めて聞くような声がwwwww」

響「た、貴音、どっからそんな声出してるんさwwwwww」


貴音『こ、これは‥‥医食同源という言葉がありますが、このらぁめんは、まさにその王道ですね。食べるだけで、体が中からきれいになるようです‥‥』ズルル


『素晴らしいコメントをしているようだが、その表情は暗い。更に‥‥』


店主『次はこいつを食ってくれよ! 世にも珍しい、デザート感覚のラーメンだ!』

貴音『』


【ドッキリラーメン四品目、甘いラーメン】

『一品目のまずいラーメンに、プリンと生クリーム、サクランボをトッピング。熱でクリームが溶け出し、その様はまさに地獄絵図』


貴音『これは‥‥』チラッ

D『‥‥‥‥』プルプル

貴音『(あの御姿‥‥小刻みに震えていて、でぃれくたー様の不安が手に取るように感じられますね。私も手助けをせねば!)』

D『‥‥‥‥』←笑いを堪えるのに必死

貴音『‥‥いただきます』


『何かにとりつかれたかのように、一心不乱に激マズラーメンに挑む四条。だが、よく見ると‥‥』


貴音『もぐもぐ‥‥ぐすっ』


響「貴音、涙目になってる‥‥wwww」

春香「なんで‥‥なんでこんな辛い思いしてラーメン食べなきゃいけないのwww」


貴音『ふう‥‥ごちそうさまでした』

店主『いい食いっぷりだな! じゃあ、次はこれだ! こいつで最後だからよ!』


【ドッキリラーメン、五品目‥‥酢ラーメン】

春香「待って待って待ってwwwwwww」

千早「wwwwwwwwwww」

美希「ひどいwwwwひどすぎるのwwww」


貴音『こ、この香りは‥‥うう‥‥』ズルル

貴音『はぷっ!』ブーッ


響「ダメだwwww自分、貴音が酢ラーメン食べてる映像見せられたら、多分、親の通夜でも笑っちゃうぞwwwww」

美希「ひーっ! く、苦しい! 苦しいの!wwww」

響「こ、これ、もうさ‥‥麺が一回貴音を経て器に還ってるだけだぞ‥‥www」

美希「貴音を経て‥‥」

春香「器に‥‥」

千早「還る‥‥w」

4人「あはははは! 貴音を経て器に還る!wwwwwwwwww」

貴音「」


『既に、四条に笑顔は無い。だが、番組のために奮闘するその姿に、我々も罪悪感が芽生えたので、ここでネタばらし』


春香「罪悪感生まれるの遅いよwwww」


店主『おい! さっきからよ! まるで、まずい物食ってるみたいな顔じゃねえか!』

貴音『そ、そんな事は決して‥‥!』

店主『こんな映像流されたらな! うちも商売あがったりだからよ! 責任者は誰だよ!』

D『す、すみません! 私です!』

店主『今後、あんたの局はうちに出入りして欲しくねえな! ええ!?』

D『そこをなんとか!』

四条『も、申し訳ありません。全て私の責任なのです。何卒お許しを‥‥』

店主『じゃあよ、最後のチャンスだ。このラーメンを美味そうに食ってみろよ! ええ!』

貴音『‥‥はい』


【ドッキリラーメン六品目は‥‥美味しいラーメン】

『普段、この店で提供している、正真正銘の看板商品。秘伝の製法で煮込まれた琥珀色のスープ。上質の小麦粉を使用した中華麺。チャーシューは噛み応えのあるしっかりとした嬉しい厚さ』


貴音『いただきます‥‥まずは‥‥』ズズッ

貴音『!?』

貴音『つ、次は、麺をいただいてみます』ズルル

貴音『!!!!!』

店主『おう! どうなんだよ!』

貴音『‥‥しい‥‥』

店主『?』

貴音『おいしい‥‥おいひいれすぅ‥‥!』


響「泣wwwいwwwwたwwww」

千早「四条さんかわいいwwwwww」


貴音『えぅ‥‥濃厚な味でありながら‥‥ぐすっ‥‥上品な後味で、まさしくらぁめん界の王者にふさわし‥‥ひっく‥‥』モグモグ

店主『‥‥‥‥』プルプル

D『‥‥‥‥』プルプル

貴音『ふう‥‥ぐすっ‥‥ご主人、ご馳走様でした。私、これほど美味しいらぁめんは、今まで口にした事がありません』

店主『そうかい。それじゃあ仕上げに、丼の底に書いてる文字を大きな声で読んでみてくれよ!』

貴音『はい? あ、確かに、何か文字が‥‥ど‥‥っき‥‥り?』

貴音『え? どっき‥‥え?』

D『し、四条さん、大きい声で』プルプル

貴音『どっきり大成こ‥‥でぃれくたー様!?』

D『wwwwwwww』

貴音『騙したのですか!? 騙したのですね!?』

D『あ、あんなラーメン作ってwwwwランキングトップになるわけないっしょwwwww』

店主『それにお嬢ちゃん。いくら美味いラーメンだからって‥‥全国のラーメン屋からテレビ締め出せないからなwww』

貴音『』

D『で、でもあの、なんで泣いたんすか? 泣くほど美味しかった的な?w』

貴音『それが‥‥皆様の顔に泥を塗る事が避けられたと安堵した瞬間、何やら抑えが効かなくなりまして‥‥』

D『マジっすか。いやー‥‥四条さんが如何に、我々スタッフの事を考えてくれているかがわかりました! 今後も四条さんのために、美味しい店を探す熱意が沸きましたよ! な!』

スタッフ『うぇーい!』

貴音『な、何やら、きれいに誤魔化されている気もしますが‥‥ここまで騙されては、怒る気にもなりませんね』

D『それじゃあ四条さん! カメラに向かって、改めて!』

貴音『はあ‥‥どっきり、大・成・功!』

チャンチャン♪



春香「はい! というわけで、貴音さんのVTRでした!」

千早「はあ‥‥面白かったわね」

響「もう、後の放送時間は、貴音が麺を吹き出す部分ばっかり流してればいいんじゃない? 自分ならそれで2時間笑ってられるぞ」

美希「ばぶっ!」

春香「wwwwwww」

千早「美希wwwwやめてwwwww」

響「苦しーっ! お腹いたーい!wwwww」

貴音「」イララッ

春香「はーっ‥‥それで貴音さん。スタッフさん達とは、その後どうなんです?」

貴音「どう‥‥とは?」

響「ああ。自分の場合、仕掛け人は知らない役者さんだったけど、貴音は知り合いに直接騙されたわけだしね」

千早「何かこう‥‥遺恨のようなものは」

貴音「ああ、そういう事ですか。それならば、問題ありませんよ。彼らが番組作りに捧げる熱意は本物だと理解しておりますので」

美希「貴音、大人なの」

貴音「それに‥‥すたっふの皆様も、私以上に苦い思いをされたようですので」

春香「どういう意味です?」

貴音「わたしのどっきりを行う前に、すたっふ総出で試食をしたらしいのです」

春香「ええwwww」

貴音「あいどるに食べさせられる、ぎりぎりの線を見極めるためだそうです。それに、その段階では、ひどく辛いらぁめんも出される予定だったらしいのですが‥‥」

美希「そういえば、激辛はお約束なの。今回は無かったよね」

貴音「私の喉を気にかけて下さったようです」

春香「ああ、なるほど。スタッフさん達の優しさですね」

貴音「まあ、優しさというならば、こんな事をそもそもしないで欲しいものですが」

春香「wwwww」

貴音「とにかく、私だけでなく、自らをも犠牲にするその精神を知って、怒るわけにもいかなくなりました。こういう言い方はどうかと思うのですが‥‥」

春香「はい」

貴音「所謂、いい意味で頭の悪い方というのは、実在するのですね」

春香「wwwwwww」

美希「あそこにいるの。あそこに立ってる人達が、いい意味で頭の悪い大人達なの」

千早「ちなみに、色々とラーメンが出てきていましたけど、どれが一番辛かったですか?」

貴音「そうですね‥‥映像では酢らぁめんの印象が強いですが、甘いらぁめんが‥‥」

響「あー‥‥www」

貴音「味を思い出そうとすると、頭が痛くなります」

春香「脳が記憶を封印する味ですかwwww」

美希「ミキ的に面白かったのは、どうでもいいシーンで千早さんの歌が‥‥wwww」

春香「ああwwwあれ、ひどいねwwww」

美希「いい大人が、一所懸命あんな映像考えたと思うと、もうダメなのwww」

春香「千早ちゃんとしては? あんなくだらない場面で、自分の歌流されちゃって‥‥w」

千早「そうね‥‥以前の私なら、気分を悪くしていたかもしれないわ」

春香「今は?」

千早「大好きです」

春香「wwwwww」

響「千早、すっかりバラエティに毒されちゃって‥‥w」

春香「とと、そろそろ次にいかないと!」

貴音「私が決めるのでしたね?」

千早「はい、お願いします」

貴音「では‥‥そうですね。響、私と、強烈なものが続いたので‥‥真美か亜美のどちらかにしてみましょうか」

春香「あ! 言い忘れてましたけど、その2人はセットみたいです」

千早「と、言うより、残った人たちは全員セットになってるみたいね」

美希「えーと、亜美と真美でしょ。それから、真君と雪歩が一緒だね。やよいとデコちゃん、あずさは3人セットみたいなの」

貴音「そうでしたか。では、双海姉妹をお願いしましょう」

春香「わかりました! では、登場してもらいましょーう!」

ワーワーワー パチパチパチ

亜美「やっほー! みんなこんちわー!」

真美「主役の登場だよ! おっ待たせー!」

パチパチパチパチ

春香「2人は、普段みんなにイタズラする事はあっても、自分達がされるのは珍しいんじゃない?」

亜美「そうなんだよー! もう、すっかり油断しちゃってたよー!」

真美「あ! それからお姫ちん! 1つ言いたいんだけどね!」

貴音「なんでしょうか?」

真美「今まで強烈なのが続いたから、真美達を選んだって言ったっしょー?」

亜美「それ、間違ってるから」

春香「wwwwww」

真美「いや、確かにさ、普通はちょっと手加減とかしてくれるじゃん! こっちは子供でスタッフの兄ちゃん達は大人なんだから!」

亜美「そういうの、全っ然なかったから!」

真美「多分なんだけどね、むしろ逆に『子供だからやりやすい』くらいに思ってたよ!」

千早「そんなまさか‥‥いくらなんでも」チラッ

春香「今、思いっきり目そらしたよ!あの人wwww」

亜美「ちょっとー! どういう事なのさー!」

スタッフ「いやまあ‥‥V行きましょうよ」

美希「あ、これ絶対に手加減とかしてないの」

春香「ひどい‥‥www では、気を取り直して」

亜美「VTアーール!」

真美「スタート!‥‥」

亜美真美「‥‥ごめん、面白いV振り、何も思いつかない」

春香「いや、だから別に‥‥www」



『双海真美、双海亜美。
 今や、日本一有名な双子と言っても過言ではないであろう、双海姉妹。
最近ではそれぞれ単独での人気も高く、テレビを付ければ毎日どちらかの顔を見られるとも言われている。
 姉妹間での仲の良さは業界でも有名であり、とある著名人は『亜美と真美は、1+1=2じゃねえ、1+1=200だ! 10倍だぞ! 10倍!』とのコメントを寄せている。
 そんな双海姉妹に仕掛けるドッキリとは‥‥』

『なかよしこよし! もしも、お互いに自分が仕掛け人だと思っていたら?』


春香「おー。なんか、珍しいタイプかも」


『某日、人気お笑い芸人が多数出演する、バラエティ番組の撮影前。我々は双海姉妹をそれぞれ別の場所へと呼び出していた』

スタッフ『実は、亜美(真美)ちゃんにちょっと頼みたい事があって‥‥』

亜美(真美)『んー? なになに?』

スタッフ『今回の撮影さ、本当は、オンエアされないんだ』

亜美(真美)『え!? 何それ、どういう意味?』

スタッフ『ドッキリって知ってるよね? そのターゲットに、真美(亜美)ちゃんが選ばれてね‥‥それで、その仕掛け人として亜美(真美)ちゃんにも参加して欲しいんだけど』

亜美(真美)『え? 番組で真美(亜美)を引っ掛けるの?』

亜美『んっふっふ~、それって‥‥』

真美『超超超面白そうっしょ~!』


『こうして、我々も驚くくらい、全く同じリアクションで了承を得る事が出来た。いよいよこれからが本番である』


亜美『たっだいm‥‥あれ?』

真美『たっだいま~。ん? 亜美もどっか呼ばれてたの?』

亜美『う、うん。亜美はその‥‥トイレ行ってた! 真美は?』

真美『ま、真美もトイレ行ってたんだ~! すっごい偶然だね!』

『この近くに、トイレは1つしかない。この2人、どこまで用を足しに行ったと言うのか』


春香「wwwww」


スタッフ『すみませーん! お茶お持ちしましたー!』

亜美『はいはーい!』

真美『ありがとー!』


【第一ドッキリ、お茶が苦い】

『スタッフにより運ばれてきたお茶。実は、これが物凄く苦いセンブリ茶‥‥という設定の、至って普通の市販のお茶。だが2人は、相手には苦いお茶が運ばれて来たと思っている。果たして2人はどんな演技を見せるのか?』

亜美真美『いただきまーす』クピッ

亜美『んんんんんん!?』

真美『にゃあああ! 何これ! 何これえ!』

亜美『ちょっと兄ちゃん! なんなのこれ!?』

スタッフ『す、すみません! 間違えて罰ゲーム用のお茶運んできたかもしれません!』

真美『ちょっとー! やめてよー!』

亜美『あー‥‥口直しに、おまんじゅ食べよ』

真美『あ! ずるい! 真美にも! 真美にも早く!』

『繰り返すが、飲んだのは2人とも市販の麦茶。苦い物など、一滴も口にしてはいない』


春香「wwwwww」

千早「そ、そういう事なのね‥‥趣旨がわかったわ‥‥wwww」

亜美「あー! やめてー! もう映像止めてーっ!」

真美「恥ずかしいよーう!」


亜美『うー‥‥まだ舌が苦いよー』

真美『だよねー。もー、テンションダウンダウンだよー』

亜美『‥‥‥‥』プルプル

真美『‥‥‥‥』ピクピク

亜美真美『‥‥‥‥w』←相手だけがひどい目にあったと思っている


美希「テロップに悪意を感じるの‥‥www」



スタッフ『双海真美さん、双海亜美さん。スタジオ入りお願いしまーす!』

亜美真美『はーい!』

亜美『よーし! 今日も頑張ろうか!』←相棒を騙せて嬉しい

真美『うんうん! パワー全開で行こー!』←相棒を騙せて嬉しい

亜美真美『おー!』←2人とも騙されてる


千早「wwwwwww」

響「自分と貴音の時は、こんなテロップの演出無かったぞwww」

貴音「す、すたっふの皆様も、撮影を重ねている間に成長したという事でしょうか‥‥ww」プルプル



亜美真美『こんにちわー! よろしくお願いしまーす!』

司会芸人『おう、久しぶり。元気だった?』

亜美『久しぶりじゃないよー! 先週も一緒に撮影したっしょー!?』

真美『ひどいじゃーん! 竹ボンは覚えてるよね?』

司会2『ん? お、おおう』

司会1『覚えてねえだろお前も! おおおう、じゃねえよ!』

亜美真美『wwwwww』

司会1『で、変な小芝居はいいとしてさ、2人とも大丈夫なの?』

真美『何が?』

司会1『ほら、今日の番組ってさ、出演者が芸人メインだし。こういう時って、お笑いの人間じゃなくても、結構無茶させられる空気になったりすんのよ』

司会2『撃たれたりね』

司会1『撃たれはしねえよ。で、2人ともアイドルだし、言ってもまだ子供じゃん。大丈夫なのかなーって』

亜美『だいじょぶだいじょぶ!』

真美『真美たち、そういうのでも大活躍できるアイドルを目指してるんだもんね!』

亜美『そうそう! ステージに立つのも大好きだけど、もっと色んな事やるのも、楽しそうじゃん!』

司会2『ああ~‥‥撃たれたりね』

司会1『うっせえよお前は! 撃たれるアイドルなんていねえよ! じゃあまあ、頑張ってね』

亜美『うん! 心配してくれてありがとね!』

真美『頑張って上手く撃たれるかんね!』

司会1『だから撃たれねえよ! 持ってねえだろ! あの‥‥ピストルを!』

司会2『はっはっは』

司会1『何笑ってんだよ! バーン!』

司会2『‥‥‥‥』

亜美真美『‥‥‥‥』

司会1『なんでひいてんだよ!』

亜美真美『wwwwwww』

スタッフ『そろそろカメラ回しまーす。スタンバイお願いしまーす!』


『現場の空気も和み、撮影は順調に進む。その最中、2つ目のドッキリが牙を剥く!』


司会1『そういうわけで‥‥えー、この辺で、みんなも腹減ってきたんじゃないかって事でね』

司会2『急だな』

司会1『えー、番組の方から、寿司の差し入れがあるんですよ』

若手達『うぉー!』

亜美真美『やったー!』

司会1『ただし、まあ芸人なら、番組で寿司が出てくるって事はどういう事かわかってると思うんだけど‥‥この中の2つは、大量のワサビが入ってます』

若手『ちょっとー!』

亜美『亜美達は芸人じゃないよー!』


【第二ドッキリ、ワサビ寿司】

『今度も先ほどと同じく、お互いに相手だけがワサビ入りを食べると思っているが‥‥もちろん、ワサビが入った寿司は存在しない』


司会1『みんな選んだ? じゃあ、せーので‥‥』

司会2『ちょ、ちょっ待って。俺らも食うの?』

若手『当たり前じゃないすかー! 何逃れようとしてんすか!』

亜美真美『そうだそうだー!』

司会2『えー、マジかよー。俺こういうのヤなんだよー』

司会1『じゃ、せーのでね。はい、せーの!』パクッ

司会1『‥‥食えよ! なんでみんなまだ持ってんだよ!』

司会2『はっはっは』

司会1『何笑ってんだよ!』

亜美真美『‥‥‥‥』

司会1『だから何ひいてんだよ! いいから食えって!』

司会2『えー? ‥‥』パクッ

亜美真美『こわいなー』パクッ

司会2『うん、うまい』

若手達『あ、うまいうまい』

司会1『マジで!? 芸人全員セーフかよ! じゃあ‥‥』

亜美『え? こっちもおいし‥‥んぎっ!?』

真美『ぐうゅ!?』

司会1『はははは! えー!? マジで!?』

司会2『双子で!? そんな事ってあんの?』

若手『すげーっ。自分ら、めっちゃおいしいやん』

亜美『お、おいひくないよ!』

真美『み、水! 水ちょうだい!』


『サビ抜きの寿司で悶絶する2人。これは確かにおいしい!』


春香「wwwww」

亜美「や、やあめえてええ!」

真美「殴りたい! あの時の真美を殴りたいいい!」



司会1『さて、腹ごしらえも済んだし、次のコーナーに‥‥』

亜美『ちょっと! いい加減にしてよ!』

真美『真美、お笑い芸人じゃなくてアイドルなんだよ!?』


【第三ドッキリ、怒り出す相棒】

『相方が怒り出し、現場の空気を悪くするという、定番のドッキリ。だが‥‥今回は、2人とも怒る』


司会1『亜美ちゃん? 真美ちゃん?』

亜美『え、えーと‥‥』←真美も怒っているので混乱している

真美『その‥‥』←亜美も怒っているので困っている


響「アドリブ弱っ!www」


真美『と、とにかく! こんな仕事だと思わなかった! 真美、もう帰る!』

亜美『え、えと、その‥‥帰る!』←用意してた台詞を全部言われた

司会1『ちょ、ちょっと待ってって! おいスタッフ!』




スタッフ『いやー、真美ちゃん。よかったよー』

真美『そうかな? 亜美、驚いてた?』

スタッフ『そりゃもちろん!』



亜美『後はネタばらしだけだね!』

スタッフ『ええ。このプラカードを持って、スタジオで発表すれば仕上げです』

亜美『真美の顔が目に浮かびますな~』


亜美真美『んっふっふ~』




司会1『あ、2人とも戻ってきてくれたんだ』

亜美『うん。ごめんね? 真美もごめん』

真美『ううん。真美こそ、カッとなっちゃって‥‥』

司会1『お互いにスッキリしたとこでさ、何かあるんじゃないの?』

亜美『うん!』

真美『じ・つ・は~』

亜美真美『はい! ドッキリ大成こ‥‥』

亜美『あれ?』

真美『何? これ何?』

司会1『wwwwwwwww』

真美『ちょ‥‥どうなってんの?』

司会2『はい、ドッキリ大成功~』

司会1『よっ! ナイスドッキリ!』

亜美真美『』

亜美『え、な‥‥え?』

真美『なんで2人がプラカード‥‥え?』

司会1『だから、ドッキリ。あれ? 聞いてなかった?』

真美『いや、聞いてたけど‥‥亜美がターゲットで、仕掛け人手伝うって‥‥あれ?』

亜美『ええ!? 亜美が仕掛け人で、真美はターゲットだよ!』

司会1『あ、なんかね。途中で変更があって‥‥2人ともターゲットですw』

亜美真美『‥‥ええええええええ!?』

司会1『ほら、楽屋でさ、飲み物渡されたでしょ?』

亜美『うん!』

真美『亜美の方には激苦のお茶渡すから、自分も同じの飲んだふりしろって‥‥』

司会1『あれ、両方ただの麦茶です』

亜美真美『』

司会2『寿司も、全部ただのうめえ寿司だからね』

亜美真美『』

司会1『いやー、すごかったね。名演技wwww』

司会2『こっちの子なんて、鼻水出てたからねw』

亜美真美『い‥‥』

司会1『ん?』

亜美真美『いやあああああああああ!』

司会1・2『wwwwwwwww』

司会1『ちなみにこれ、君らの出てる‥‥生っすか? だっけ? あれで使われるみたいよ』

亜美『ええ!? ちょ‥‥』

真美『アイドルファンに‥‥全国のファンに真美の醜態が‥‥』

司会1『すげえ落ち込んでんじゃんw まあほら、まだ余ってる寿司あっから、機嫌直してw』

亜美真美『‥‥‥‥』パクッ

亜美『‥‥普通のじゃん! おいしいやつじゃん!』

真美『ここはワサビ入りの食べて、ウワーッってなって締める流れっしょー!?』

亜美『またすべったみたいになっちゃってるじゃん!』

司会1『なんでそんな怒るんだよwwww』

司会2『考えが芸人じゃねえかw』

司会1『いやあ、この子ら面白いわww じゃあまあ、カメラに向かってお約束の』

亜美『うー‥‥』

真美『せーの‥‥』

亜美真美『ドッキリ! 大成功~!』

真美『‥‥もっかいワサビ寿司やる?』

司会1『やんねえよ! 何で挽回しようとしてんだよw』

ちゃんちゃん♪



パチパチパチパチ

春香「はい、亜美と真美のVTRでしたー!」

千早「これ、ある意味では今までので一番えげつないわねw」

亜美「でしょー!?」

真美「他のみんなはさ、素の自分を曝け出してるけど‥‥」

亜美「亜美たち、最大限に自分を繕った姿が曝されるっていう‥‥」

響「ねーねー。この普通の水飲んで、苦いリアクションしてほしいぞ」

亜美真美「やらねえよ!」

響「wwwwwww」

美希「苦いよー! 苦いよー!」ジタバタ

響「美希wwwww」

春香「やめてwwww 美希、やめてwwwww」

響「ぶばっ!」

千早「そ、それは四条さんでしょう?wwwww」

亜美真美「」イラッ

貴音「」イラッ

美希「ごほん‥‥ミキ的には、最後のあれが一番面白かったの。もっかいお寿司食べて‥‥ww」

春香「あー、あれねw 流石はプロの芸人さん! って感じだよね!」

響「亜美と真美も騙されてたけど、自分も本物のワサビ寿司食べて締めると思ってたぞ」

貴音「私は、その少し前‥‥自分だけが怒ると思っていたのに、相手も怒り出した時の2人の戸惑った顔が‥‥」

千早「私もそこが‥‥w 最終的に2人ともいなくなってしまうんですものwww」

春香「あれ、実際にやっちゃったら、765プロに二度と仕事こなくなるよねw」

千早「あと、なんだかんだで映像的には今までで一番豪華だったんじゃないかしら。他のタレントまで呼ぶなんて」

春香「だよね! あんな人達と競演できたなんて、ちょっと羨ましいなー」

真美「あ、うん。それにVの中でも言ったけど、実は今回が初めてじゃないんだよねー」

亜美「そうそう。あのニセ撮影の一週間くらい前に、一緒にお仕事したんだよー。特番の」

春香「そんな2人に、ここでお知らせです!」

亜美真美「!?」ビクッ

響「怯えてる‥‥w」

美希「トラウマを抱えてしまったの‥‥ww」

春香「なんと! その特番が、レギュラー放送になるそうです!」

亜美「えええええ!?」

真美「本当に‥‥はっ! 騙されない! 騙されないよ!」

春香「wwwwwww」

千早「すっかり疑心暗鬼になっちゃって‥‥www でも、これは本当よ。それに、なんでも、司会の2人があなた達を気に入ってくれて、アシスタントに推薦してくれたそうよ」

亜美「‥‥本当?」

真美「信じられないけど‥‥」

貴音「亜美、真美。ここのすたっふの皆様は、人の心は抉り取りますが、傷つけるような事はしませんよ」

響「貴音それ、フォローなのか?www」

千早「と、ところで亜美、真美‥‥」

亜美「んー?」

真美「どったの?」

千早「仮に‥‥そう、万が一だけれど、あの2人にゲストの紹介をするような機会が訪れたら、私の名前を出してくれても‥‥」

春香「ち、千早ちゃん?」

千早「いえ! 決して、個人的な願望ではなく、その‥‥そう! 私も最近は歌だけに拘わらずに、色々な活動にも積極的に取り組みたいと思っているし、バラエティへの露出が増えればそれだけ事務所の活動にも」

亜美「千早お姉ちゃん‥‥ひょっとして、あの2人のファン‥‥」

千早「だ、だから! そういう私情の問題ではなくて、あくまでも方向性を広げる一環として‥‥」

亜美「椅子に座っていいっすか?」

千早「死んだ店長の」

春香「え、何言ってるの?」

真美「イカが怒った」

千早「ギューってやったから」

亜美「ファンじゃん! やっぱ単なるファンだよ!」

千早「くっ‥‥思わず反応を‥‥」

真美「千早お姉ちゃん、案外ミーハーなんだね」

亜美「まあいいよ。もし、そういうチャンスあったら千早お姉ちゃんを推薦しといてあげる!」

千早「本当!? ありがとう‥‥ありがとう! 亜美、真美!」

美希「えーっと‥‥よ、よくわかんないけど、そろそろ次のターゲット呼ばないと、時間無くなっちゃうと思うな」

千早「そ、そうね。ごめんなさい。じゃあ2人は、誰のが見たいかしら」

真美「うーん、どうする?」

響「双子なら、せーので言えば一致したりするんじゃないか?」

美希「あ、それ面白そうなの。やってみて欲しいな」

亜美「えー?」

真美「別にいいけど‥‥じゃあ、せーの! やよいっちの組!」

亜美「まk‥‥いっちの組!」

春香「いやいやいや‥‥www」

響「ひっどいなこれ‥‥w」

亜美「もー! 今日はなんか、こんなんばっかりだよ!」

春香「まあまあまあ、とりあえず、伊織達の方で。登場お願いしまーす!」

ワーワーワー

やよい「うっうー! こんばんわー!」

伊織「まーったく、選ぶのが遅いのよ! 待ちくたびれちゃったじゃない」

美希「‥‥あれ? でこちゃん、あずさは?」

伊織「でこちゃんはやめ‥‥あら?」

やよい「大変です! あずささんが、どこかに行っちゃいました!」

伊織「いやいやいや、え? 今の今までカーテンの裏で一緒に‥‥え?」

春香「ちょちょちょ、ちょっと待って! まさか、たった数歩の距離で‥‥あ」

あずさ「なんちゃって~。伊織ちゃん、やよいちゃん、びっくりした?」ヒョコ

やよい「あ、あずささん! よかったです!」

あずさ「うふふ、今日はドッキリの番組だから、私もみんなを驚かそうと思って‥‥伊織ちゃん?」

伊織「‥‥‥‥」ビスッ

あずさ「いたっ! い、伊織ちゃん、痛いわ」

伊織「‥‥‥‥」ビスッビスッ

春香「ちょ、ちょっと伊織!」

美希「でこちゃんは、本気で腹を立てたら、無言で指先を脇腹にめりこませてくるの」

響「鬼か」

あずさ「い、いた‥‥あの、伊織ちゃん、ごめんなさ‥‥ちょ、本当に痛‥‥許して伊織ちゃ~ん!」

伊織「‥‥ふう。まったく、くだらない事してるんじゃないわよ!」

千早「ようやく怒りが収まったみたいね」

春香「この3人が一緒って事は、体操?」

やよい「はい! 前にみんなでやった回が好評だったんで、もう一回やって欲しいって言われて!」

伊織「まあ、嘘だったんだけどね」

やよい「‥‥ええ!?」

伊織「え? な、何で驚いてるのよ」

やよい「嘘だったんですか!? 春香さん!」

春香「いや、私に聞かれても‥‥でも多分、3人を集めるための嘘だったんじゃ‥‥ないかなあ?」

やよい「うー‥‥そんなあ」

伊織「いや、あんたもネタばらし聞いてたじゃない。なんで今更‥‥」

やよい「だって‥‥この3人で撮影した時、すごく楽しかったから‥‥人気があったっていうのは本当なのかなーって‥‥うー、残念かも‥‥」

スタッフ「」グサッ

伊織「‥‥スタッフ達が罪悪感に押し潰されそうだから、早く進めましょうよ」

千早「そ、そうね。じゃあ3人で振りお願いします」

あずさ「わかったわ~。やよいちゃん、元気出しましょう?」

伊織「そうよ。今日は特番なんだし、これがきっかけで本当に人気が出るかもしれないわよ?」

やよい「‥‥わかりましたー! それじゃあ元気に‥‥」

3人「VTR、スタート!」

やよい「いぇい!」

春香「かわいいなぁ‥‥」


『高槻やよい。
 元気いっぱいの庶民派アイドルとしてブレイク。
 アイドル活動の傍ら、私生活では、留守にしがちな両親に代わり、幼い弟妹の面倒を見る、頼れる長女でもある。

 水瀬伊織。
 かの水瀬グループの令嬢でもある彼女だが、今では父親に負けず劣らずの成功を自らの力で勝ち取った。
 猫かぶりが得意との情報があるが、かぶっていない方が魅力的との声も多い。

 三浦あずさ。
 歌に演技にと大活躍の、癒し系アイドル。
 昨年行われたアンケートでは、お嫁さんにしたい有名人ランキングでベスト10入りを果たしており、運命の人との出会いも近いかもしれない。

 水瀬、三浦の両名は竜宮小町のメンバーとしても知られている。

 そんな彼女達に仕掛けるドッキリとは‥‥』

『一触即発! 撮影中、その筋の人が乱入してきたら?』


春香「あー、これ、絶対やだなあ」

響「下手したら、虎より危険かもしれないぞ」


『某日、とある公園にターゲットの3人が集められた』

D『というわけでですね、今回はここで仕事なわけですが‥‥』

伊織『今日は幼稚園とか保育園じゃないのね』

D『はい。イメージとしては‥‥夏休みに、ラジオ体操ってあるじゃないですか。あんな感じで、近所の子供達が集まってですね』

やよい『わあ! それって楽しそうかも!』

D『それでまあ、終わったら、記念のスタンプと、駄菓子とか文房具を配ってもらおうって流れを予定してるんですが』

あずさ『あら~、本当にラジオ体操みたいですね。懐かしいわ~』

伊織『あずさって、ちゃんと毎朝参加してそうね。イメージ的に』

あずさ『それがねぇ‥‥毎朝ちゃんと起きて、出かけるまではよかったんだけど‥‥なかなか公園まで辿り着けなかったの』

伊織『昔っからそんな感じだったのね‥‥三つ子の魂百までって言うし、私達は一生振り回されるんでしょうね』

あずさ『やよいちゃんは? ちゃんと行ってたの?』

やよい『はい! ラジオ体操に行ったら、お菓子も貰えるし、消しゴムとかも貰えてたから、助かってました!』

伊織『やよい‥‥』

やよい『あ! 今は違うよ? お仕事もいっぱいあるし、弟達にはちゃーんと買ってあげてるから!』

伊織『‥‥考えてみたらそうよね』

やよい『うん! こないだも、みんなで文房具選びに、駅の無印まで行ったんだよ!』

伊織『あらそ‥‥無印?』

あずさ『やよいちゃんの弟達って、まだあまり大きくないわよね? その‥‥なんていうか‥‥渋いわねぇ』

伊織『もうちょっとこう‥‥可愛いキャラクター物とかさ、あるじゃない』

やよい『あうー‥‥うち、ほんの少し前まで貧乏だったから、みんな流行のキャラクターとか知らなくて‥‥』

伊織『それは仕方ないかもしれないけど‥‥やよいの妹くらいの女の子だと少し可哀想な気が‥‥』

やよい『あ! かすみは、ちゃんと可愛いの選んでたよ! ほら、私とお揃いなの!』

伊織『あら、可愛いじゃない』

D『こういうのがお好きなら、余ったの持って帰ってもらってもいいですよ。じゃ、何か変更ありましたら、その都度伝えますんで。最終打ち合わせ終わるまで、しばらく待機でお願いします』

あずさ『わかりました~。よろしくお願いしますね』

伊織『ふう‥‥ねえ、あんた達、ロケの後何か予定あるの?』

やよい『私は今日、家にお母さんいるから買い物もしなくていいし、暇かな』

あずさ『私も、事務所に一旦戻るくらいで、特に用事はないわねえ』

伊織『したら、終わったらお昼行きましょうよ』

あずさ『いいわね。そういえば、最近、事務所の近くにスパゲティ屋さん出来たみたいよ』

やよい『あ、美希さんと雪歩さんが行ったって言ってましたよ! 美味しくて、お値段もお手頃だって!』

伊織『ふーん。じゃ、そこ行ってみ‥‥あら?』

ウーーー ウーーー ウーーー

伊織『パトカー?』

あずさ『この音は、消防車じゃないかしら?』

伊織『ふーん。あ、サイレンと言えば、車の中で律子が何か言ってたわね。この辺りの暴力団本部に大規模な家宅捜索? の予定があるって』

あずさ『怖いわねえ。あら? でも、この近くにヤクザ屋さんなんて、本当にいるのかしら』

伊織『知らないわよ。あー、お昼の話したら、お腹空いてきたわ。寝坊しちゃって、朝抜いたのよ』

やよい『だめだよ伊織ちゃん。朝はちゃんと食べなきゃ』

伊織『そうなんだけどね‥‥あの歌、割と真理なのね』

あずさ『ご飯に納豆、味噌汁冷や奴♪』

伊織『え?』

やよい『あぶらげ煮豆に枝豆きなこ♪』

伊織『なんでおかず豆ばっかなのよ』

あずさやよい『バランスも大切♪』

伊織『んふっ‥‥w バランス最悪じゃないの‥‥』

あずさ『ちょっと面白かったでしょう?』

伊織『‥‥うん、ちょっと気に入った』

やよい『うっうー! あずささんと練習した甲斐がありました! ハイ!』

あずさ『ターッチ』

あずさやよい『いぇい!』

伊織『わざわざ練習してたって事の方が面白いんだけど。あ、これ貰おうっと』モグモグ

あずさ『コーヒーでも淹れる?』

伊織『いいわよ。そこまで時間無いでしょうし。あ、ほら。撮影の準備済んだみたいよ』


春香「今の時間、なんだったのかな‥‥w」

千早「あずささんと高槻さんの替え歌をスタジオ全員で聞くっていう‥‥w」

美希「ゆるーい時間が流れたの」


やよい『みんなー! 今日も寒いけど、元気に体操して体を温めようね!』

あずさ『冬だからって、家に閉じこもっていたらダメよー?』

伊織『運動不足気味のお父さんお母さんも、一緒にいくわよー! ほら、そこのお母さん! サボらないの! 子供が見てるわよ!』

ハハハハハ


『こうして、終始賑やかな雰囲気で、収録は滞りなく進んでいった』


やよい『はい! お疲れ様! これどうぞ!』

あずさ『大事に使ってね?』

伊織『伊織ちゃんからのプレゼント、失くしたりしたら承知しないわよ!‥‥っと、今の子で最後かしら』

あずさ『そうみたいね。後は撤収待ちかしら』

やよい『あれ? まだ誰か来たみたいです!』

伊織『まったく、体操に参加しないで景品だけ貰おうなんて、虫がよすg‥‥』

『遅れてきた訪問者。その正体は‥‥』


ヤクザ『ワレこらあ! 何しとんじゃワレェ! ああん!?』

3人『』


春香「怖っ!」

響「一瞬で3人とも凍りついたぞw」


ヤクザ『何カメラなんて回しておまんねん! しばき倒したろかタコォ!』

あずさ『あ、あのお‥‥これはテレビの撮影で‥‥』

ヤクザ『わかっとるわボケェ! ウチの事務所にサツが来るんがそんなに面白いちゅうんかコラァ!』

伊織『ウ、ウチの事務所? ちょっと、言ってる意味が‥‥』

スタッフ『ちょ、ちょっとちょっとちょっと! なんですかあなたは!』

ヤクザ『なんですかやあらへんがな! さっきからずーっと事務所にカメラ向けおってさかいに!』

スタッフ『あの‥‥失礼ですが、その事務所というのは‥‥』

ヤクザ『とぼけよってからに! あれでんがな!』


【長州組 総本部】


伊織『ちょっ、ちょちょちょ! ド正面じゃないの!』

あずさ『全然気がつかなかったわあ‥‥』

やよい『‥‥あ、あの!』

ヤクザ『ああん!? このジャリ、なんの用やねん!』

やよい『よ、よくわからないんですけど‥‥ひょっとして、一緒に体操したかったですか!?』

ヤクザ『ブッ‥‥』


響「今あの人、吹き出さなかったか?w」

貴音「やよいの発言が、あまりに予想外だったのでしょうか‥‥」


伊織『やよい! あんた何言ってんのよ! こんな時に!』

ヤクザ『そ、そうじゃいボケェ! なんでワシがお遊戯せなあかんねん!』

やよい『ひっ! ご、ごめんなさい!』

ヤクザ『とにかくや! この場で一番偉いのはどいつや!』

D『私ですが』

ヤクザ『お前、事務所で組長に会ってこいや。それで上手いこと話がついたら開放したるがな』

D『わ、わかりました。皆、誤解を解いてくるから、少し待機しててもらえるか?』

スタッフ『は、はい!』

ヤクザ『あのボケが戻ってくるまで、大人しゅうしときや。妙な真似したら、ただじゃおかへんでおま』


『こうして、楽しかった撮影は一転、緊張感溢れるスリリングな状況へと姿を変えた』


ヤクザ『‥‥おうお前ら、なんや見た事あるツラしとるのう』

あずさ『はい、あの‥‥私達、アイドル活動をさせて頂いていますので』

ヤクザ『アイドルやて? そやそや、言われてみればそうやがな。退屈やし、なんか歌ってみいや』

スタッフ『あの! そういうのは‥‥』

ヤクザ『なんやねんワレェ! 逆らおうちゅうわけか!』

スタッフ2『ですが! その子達をあまり巻き込むわけには!』

あずさ『い、いいですよ。わかりました。私たちの歌でよければ‥‥』

スタッフ『あずささん!?』

やよい『大丈夫です! 任せてください!』

伊織『それから、巻き込むだなんて言い方はよしてもらえる? 私達は、事務所のメンバーは勿論、スタッフの皆とも団結して一緒にやっていこうと思ってるんだから』

やよい『そうです! じゃあ早速、聞いてください! 「おはよう!!朝ご飯」!』



伊織『忘れず食べよ今日の朝ご飯♪』

あずさ『和食に洋食何が出るかな♪』

やよい『ご飯に納豆、味噌汁冷や奴♪』

あずさ伊織『!?』

やよい『あぶらげ煮豆に枝豆きなこ♪』

ヤクザ『ちょい! ちょっ、待ちいや!』

やよい『へ?』

ヤクザ『なんかおかしいやろがい! 歌詞が!』

やよい『歌詞‥‥はわっ! 間違っちゃいました!』

スタッフ1,2.ヤクザ『ごほん‥‥ん、っんー‥‥』プルプル

あずさ伊織『‥‥‥‥』プルプル


千早「すごく困ってる‥‥ww」

美希「やよいはあれなの? ドッキリキラーか何かなの?w」

やよい「そ、そんなつもりじゃないんですう! あの時は、本当に怖くて、緊張しちゃって‥‥」

伊織「私とあずさも地獄だったわよ。ヤクザがいる手前、笑うわけにもいかないし‥‥」


ヤクザ『もうええわ。それにしても、自分らの責任者遅いのう。こら、交渉決裂しゅう事かいな?』

ウーーーゥ ウーーーゥ ウーーゥ

ヤクザ『なんや!? なんでサツがまた来るねん! ガサ入れはさっき終わったやろがい!』

ウーーーゥ ウーーーゥ ウーーゥ

ヤクザ『ははぁ、あのガキャ、やってくれたのう!』

3人『?』

ヤクザ『自分らのとこの責任者が、タレこみおったんや! こらなめられたもんやでえ』

スタッフ『ええと‥‥』

ヤクザ『そやったら、ワシもこのままでは帰れんのう』チャキ

スタッフ2『!?』

伊織『ピ、ピストル‥‥!』

ヤクザ『極道なめとったらあかんちゅう事を、教えてやりまんがな!』パンッ

スタッフ『ぎゃあ!』バタッ

3人『』


響「撃たれたwww いきなりwww」

千早「急展開すぎるでしょ‥‥www」


スタッフ2『お、おい! しっかりしろ!』

伊織『ちょっと! 嘘でしょ!? 返事しなさいよ!』

やよい『あ、ああ‥‥あわわわ‥‥』

あずさ『落ち着いて! すぐに救急車を‥‥』


『冷静に状況を見極める三浦。だが‥‥』


スタッフ2『てめえ! よくも!』

ヤクザ『じゃかあしゃあ!』パンッ

スタッフ2『ぐわあ!』ドサッ

あずさ『』

伊織『ちょっとー!?』

スタッフ2『はあ‥‥はあ‥‥』

あずさ『し、しっかりしてください!』

スタッフ2『俺の事はいい‥‥それより、早く逃げるんだ‥‥』

やよい『そんな!』

スタッフ2『早く! あれを見てみろ!』

伊織『あれ‥‥?』

ヤクザ軍団『うおおおおおおおお!』ドドドドドドドド

伊織『ものすごい数の』

あずさ『ヤクザさん達が』

やよい『こっちに向かってきています』

ヤクザ軍団『おおおおおおおおお!』ドドドドドドド

伊織『きゃああああ!』タタタタ

あずさ『や、やよいちゃん! こっちに!』タタタタタ

やよい『なんなんですか!? なんなんですかぁ!?』タタタタタ

ヤクザ団『うおおおおおおおお!』ドドドドドド

伊織『ちょ、足速っ!』

あずさ『追いつかれるわあ!』

やよい『ひいいいいい!』


響「なんだこの画ww」

春香「パッと見、あれ思い出すね。あずささんがウェディングドレス着た時の写真‥‥」

真美「後ろにいるの、全員ヤクザだけどねw」


ヤクザ軍団『うおおおおお!』

伊織『いやああああ!』

ヤクザ軍団『うおおおおお!』

あずさ『きゃああああ!』

ヤクザ軍団『うおおおおおお!』

やよい『も、もうだめですーーー!』

ヤクザ軍団『いおりーん! あずささーん! やよいちゃーん!』

伊織『な、名前呼ばれてるーーー!』

ヤクザ軍団『サインくれーーーー! 握手してくれーーー!』

伊織『サイ‥‥え?』

ヤクザ軍団『うおおおお! いつも見てますううう! 応援してますうう!』ワイワイガヤガヤ

伊織『‥‥何これ』

あずさ『あ、あらぁ?』

やよい『全然状況がわかりません‥‥』

D『どうも! お疲れ様です!』

伊織『ディレクター!? ちょっと! 説明しなさいよ!』

D『説明ですか? いやあ、ちょっと、簡潔にまとめるのは難しいんですけどね‥‥』

伊織『何よ』

D『ドッキリです』

伊織『これ以上無いくらい簡潔にまとまってるわよ!』

D『はははは』

伊織『大体、ドッキリだとしても、趣旨はなんなのよ! 趣旨は! いきなり人が撃たれたと思ったら、すごい勢いで追い回されて!』

D『えー、説明するとちょっと長くなるかも知れないんですが‥‥』

伊織『何よ』

D『売れっ子アイドルが全力疾走してたら結構面白いんじゃねえか? って、会議で決まりまして』

伊織『短い! 短い上に雑すぎるでしょ!』

D『ははは。まあ、なかなかいい画は撮れてると思うんですが‥‥まあそれは当日スタジオでのお楽しみって事で、今はとりあえず、例のアレ、お願いします』

伊織『はあ‥‥言っとくけど、まだまだ文句は言い足りないんだからね』

あずさ『まあまあ伊織ちゃん。今はちゃんとお仕事しましょ』

やよい『本物の怖い人達じゃなくてよかったかなーって!』

伊織『‥‥ま、いいわ。いくわよ。せーの!』

3人『ドッキリ、大成功!』

やよい『いぇい!』


春香「はい、というわけで、3人ともお疲れ様でしたー!」

千早「仕掛け人のディレクターとは、和解できたの?」

伊織「とりあえず、今のところはね」

千早「今のところ?」

伊織「お昼が出る撮影の時の、ロケ弁の内容がしょぼくなった瞬間、遺恨は再燃するわよ」

春香「あ! だから最近、やたら美味しいお弁当出るようになったんだ!」

響「あ、つまりあれかな? 伊織達を番組でひどい目に遭わせれば、自分達が幸せになれるっていうシステム‥‥」

伊織「ばかじゃないの!」

春香「あはははw あ、なんか、まだVTRあるみたい。どうぞ!」


『我々が入手した映像を、お茶の間の皆様にもご紹介しよう。それでは、スーパースローでご覧頂こう。これが、トップアイドル達の全力疾走だ』(BGM:arcadia)


亜美「い、いおりんダメだよこれ! アイドルが‥‥ってか、女の子が見せていい顔面じゃないよ!www」

伊織「スローで撮影したら、誰でもこんな風になるわよ!」

美希「な、なんであずさだけ胸のアップなの‥‥www」

あずさ「あ、あらあらあら~?」

貴音「や、やよい。その‥‥くふっ‥‥は、鼻から‥‥www」

やよい「わーーーっ! み、見ないでくださいー!」

春香「いやー、この曲、映像がくだらなければくだらないだけいいよね‥‥ん? カンペが‥‥ぶふっ!?wwww」

千早「なんだったら、次回から映像に合わせて生で歌っても‥‥春香? どうし‥‥んふっwww」

美希「あれ、春香、千早さん。2人とも何して‥‥んん!? あははははは!」

伊織「な、何よ。司会が3人して‥‥しっかりしなさいよ」

美希「ご、ごめ‥‥ww えと、ば、番組終了後から、公式HPで、ただいまの動画を配信するの!」

伊織「はあああああ!?」

あずさ「そんなぁ~」

やよい「動画を配信って事は‥‥はうっ! 私の鼻たれ場面が、ずっと残っちゃいます!」

貴音「よいではありあせんか。これもまた、一つの思い出。皆に笑顔を与えるよい機会に‥‥」

千早「あ、ただいまスタッフから入った情報によると、動画サイト、ヘラヘラ動画にアップした、四条さんがラーメンを吹いてるシーンの公式動画が、5万再生を突破したとの事です」

貴音「」

伊織「‥‥これもまた一つの思い出、よねえ?」ニタァ

あずさ「みんなを笑顔に出来て、よかったわね?」ニコニコ

やよい「一緒に恥ずかしい思いすれば、少しは気が楽かなーって!」ニコニコ

貴音「‥‥面妖な」

春香「番組HPでは他に、普通のお茶を飲んで苦しむ亜美と真美の着ボイスと」

亜美「何い!?」

真美「まさかの飛び火!?」

美希「タイガーマスク選手と響のコラボ待ち受けが‥‥あれ? 響だけまともなの。よかったね」

響「よくない!」

美希「へ?」

響「なんか、逆においしくないぞ! こんな事なら自分も、もっとこう‥‥怪我しない程度に動物に噛まれたり、いっその事タイガーに間接極められたりすればよかったー!」

春香「いやいやいや‥‥www」

千早「我那覇さん、ここ、アイドル事務所だから。お笑い養成所とかじゃないんだから‥‥ww」

春香「ま、まあいいや。そろそろ、最後の2人に入ってもらおうよ。多分、寂しがってるんじゃないかな」

千早「そうね。では、真と萩原さん、お願いします」

ワーワーワー マコマコリーン

真「‥‥どうもー」

雪歩「こんばんは‥‥」

春香「いやいやいや! え、何? どうしたの!?」

千早「エンディング間際のブルース・ウィリスみたいな表情をしているけど‥‥」

美希「千早さん、今はそういうの求められてないと思うな。個人的にはちょっと好きだけど」

真「どうもこうも‥‥今まで別室で、V見てたんだけどさ」

春香「うん」

真「‥‥いや、今言ったら面白くないだろうし、僕らの見て貰えれば、すぐわかると思うよ」

雪歩「ちなみにみんなに聞きたいんだけど‥‥私と真ちゃんは最後まで選ばないように、って指示出てなかった?」

真美「あ、よくわかったね」

雪歩「やっぱり‥‥」

伊織「何? どういう事?」

雪歩「まあ‥‥その辺も、おいおいわかると思うよ」

春香「そう? じゃあ、早速見てみよっか。元気出して、振ってもらえる?」

雪歩「そうだね。よし‥‥ぶ、VTR!」

真「ガツーンといってみましょう!」


『萩原雪歩。
 草食動物のような雰囲気を持ち、世の男性の保護欲を刺激する、清純派アイドル。
 一方、ステージ上での堂々とした立ち振る舞いは、普段のイメージとのギャップも大きく、そこが彼女の魅力だとする声も多い。
 今後どのような飛躍を見せてくれるのか、期待が寄せられている。

 菊地真。
 デビュー当初は王子様のような女性アイドルとして主に女性人気を集めていた彼女。
 現在でも、ボーイッシュな雰囲気を活かし、スポーツ用品ブランドやレジャー施設でのCM等、アクティブな活躍が多く、テレビや映画では男性俳優顔負けのアクションまでこなし大人気。当番組でもおなじみの、男装を披露する機会も。
 その一方、普段はなかなか見られない彼女の女性的な可愛らしい一面を評価するファンも多く、最近では男性ファンの人気も鰻上りである。
 まこまこりんの一言で、ハートに手錠をかけられ、恋の拳銃で打ち抜かれたファンの数は計り知れない事だろう。
 今現在、最も注目されるアイドルである。
 今宵、そんな彼女らに仕掛けるのは‥‥』

【私はやってない! もしも泥棒に間違えられたら?+α】


春香「プラスアルファ? なんだろう」

千早「濡れ衣自体は、割と王道な気がするけれど‥‥」


『菊地と萩原に対するドッキリの舞台は、ここ、人気店舗が高層ビル内にひしめく百貨店、ハイフライフロー。番組の名物企画、菊地真改造計画の撮影と称し、2人は呼ばれていた』

D『じゃあ、今回の撮影の説明をさせてもらいますね』

P『よろしくお願いします』

真『お願いします!』

雪歩『お願いします』


春香「あっ!」

千早「プロデューサーね。あ、視聴者の方々に説明しておきますと、彼は私たちの所属事務所のプロデューサーです」

春香「プロデューサーさんまで出るって事は、本当に765プロオールスターなんだね」

美希「あれ? でも、この2人と一緒にいるって事は‥‥」


『765プロ在籍のアイドル達が信頼を寄せる、若手敏腕プロデューサー。だが‥‥その信頼関係は、今夜ご破算になる』


春香「wwwwww」

千早「やっぱり、プロデューサーも仕掛け人なのね」

美希「そう言われて見てみると、なんかすっごい悪い顔してるように見えるのw」


D『と言っても、基本は普段と同じで結構なんですけど‥‥今回協力してもらう店舗から、いくつか注文を受けてまして』

P『確か、ヨーロッパを代表する、凄く有名なブランドでしたよね。えーと‥‥ソル‥‥』

真『も、もしかして、ソル・ナシエンテですか!?』

雪歩『ええ!? それって、海外のセレブ御用達の‥‥あのですかぁ!?』

D『はい、そうですそうです。撮影に協力する代わりとして、今春発売する予定の目玉商品をいくつかアイドルの皆さんに紹介してほしいそうで‥‥』

真『わわわわ! すごい! あ、でもいいのかな。そういう事なら、美希とかあずささんとか、もっと見栄えのする人の方が‥‥』

D『ははは、大丈夫ですよ。代表の方に、お2人の写真とプロフィールを見せて、OKをもらってありますから』

雪歩『よかったね、真ちゃ‥‥え? あれ? 今、お2人のって‥‥』

D『はい。今回は、毛色の違うイメージの商品をいくつか用意するそうで、それに合わせて、試着する方も変えてほしいと』

雪歩『むむむ、無理ですぅ! 私なんてそんな! 私が着るくらいなら、絶対他の子の方が‥‥!』

P『いや、だから、この2人でOKってお墨付き貰ってるんだって』

D『そういうわけでですね、今日は萩原さんが菊地さんの服を選ぶ、いつものくだりを少し短縮してもらって、そっちの商品紹介に時間を割きたいなと考えているんです』

P『はい。こちらはそれで問題‥‥大丈夫だよな?』

真『はい! すっごく楽しみです!』

雪歩『うう‥‥自信はないですけど、やってみますぅ‥‥』

P『本人達もこう言ってますので、こちらは問題ないです』

D『わかりました。では、その線で。30分後には撮影開始出来ますので、よろしくお願いします』

P『お願いします。‥‥さてと、30分か‥‥』

真『わー! プロデューサー! どこを見ても、知ってるブランドばっかりですよ!』

P『ああ、すごいな。こういう店に入るのは、美希が宣伝する仕事に付き添う時くらいだから、なんだか変に緊張するよ』

真『あ! このブローチ、すっごいかわいい! ねえ雪歩!』

雪歩『真ちゃん、そのまま、ゆ‥‥っくりとブローチを台に戻して』

真『え?』

雪歩『いいから。お願い』

真『わかったよ‥‥これでいい?』

雪歩『置いた? 置いたら‥‥値札見てみて?』

真『へ? いち、じゅう、ひゃく、せん‥‥うわわわわ!』

雪歩『真ちゃん、すごく平然と鷲掴みにするんだもん‥‥心臓止まるかと思ったよぉ‥‥』

真『ごめんごめん。でも、いいよなぁ‥‥将来、好きな人と結婚してさ、10年目の結婚記念日か何かに、ホイッとさりげなくプレゼントされたりしちゃって‥‥くうぅ!』

雪歩『これをさりげなくって‥‥真ちゃんは、あれなの? 物凄い大物と結婚するの?』

真『ええ? それだと少し息が詰まりそうだなあ』

雪歩『こんなのをプレゼントで贈れるなんて、凄いお金持ちとか、海賊くらいだよぉ』


春香「海賊ってw」

美希「雪歩。今の、ミキちょっと好きなのw 今度どっかで使っていい?」

雪歩「いいけど‥‥そんなに変な事言ったかなぁ」


P『お、なんかあそこで、イベント? 展覧会みたいなのやってるみたいだな』

真『展覧会ですか? ええと、なになに‥‥ツキリド共和国の国宝展示中につき、現在警備を強化しています。ご不便をおかけしますが‥‥国宝!?』

雪歩『ツキリド共和国って聞いた事ないけど‥‥でも、国宝なんだから、きっと凄いよね』

P『まだ時間もあるし、少し見て行くか?』

真『いいんですか?』

P『ああ。目の保養にはなるだろう?』

『言葉巧みに2人を誘導する765プロプロデューサー。もちろん国宝は偽者、国も架空の存在である』

真『うわあ、綺麗なティアラ‥‥豪華なのに、凄く気品が漂ってるね』

雪歩『本当‥‥見てるだけで、心が洗われるみたい‥‥』

P『んふっ‥‥ww』

雪歩『プロデューサー? どうしたんですか?』

P『いや、なんでもない。なんでもないぞ』

『近場の店で売っていた2000円のアクセサリーで感動する2人。安いアイドルである』


響「wwwwwww」

真「ちょっと!」

雪歩「ひどいですぅ!」

亜美「安いアイドルって‥‥すっごい言葉だよねwww」


P『あ、そろそろ現場に行って準備しておこう』

真『はい!』

P『邪魔になってもいけないし、荷物は俺が預かっておくよ』

雪歩『お願いしますぅ』

『こうして、プロデューサーにカバンを預ける2人。この判断が、彼女達を地獄に叩き落す! と、その前に』


D『‥‥はいOK! いいですね菊地さん! 今日も決まってましたよ!』

真『ありがとうございます!』

D『萩原さんも、相変わらずいいセンスですね』

雪歩『そんな‥‥えへへ』

D『ではお伝えした通り、ここからは用意してある服の試着という事で。大丈夫ですか?』

真『はい!』

雪歩『頑張りますぅ!』

D『ではまず菊池さんから。服はもう、試着室にありますので』

真『わっかりましたあ!』

『意気揚々と試着に向かう菊地。数分後‥‥』

真『あ、あの‥‥』

D『お、準備できました?』

真『はい。準備はいいんですけど、これって‥‥』

D『よっしゃ! カメラ回して!』

真『‥‥‥‥』

雪歩『』

P『へふっ!www』

D『おおおお! いいですね!』

真『そ、そうですか? あの、でもこれって‥‥』

D『なんでも、コンセプトは「ギンギラギンにさりげなく」って事です。いやー、いいなあ!』ピクピク


春香「ちょwwwちょっと待ってwwwww」

伊織「これ、これって、体中にアルミホイル巻きつけてるだけじゃない!Wwwww」


D『いやー! すごいですよ! すっげえ未来的!』

真『はは、ははは‥‥ありがとうございます! 嬉しいなあ! こんな素敵な服!』

D『では萩原さん、そっちの試着室にお願いします』

雪歩『は、はいぃ』

『菊地の惨状に怖気づく萩原。そして‥‥』

雪歩『い、一応着替えましたけど‥‥』

D『お! じゃあカメラ‥‥スタート!』

雪歩『うぅ‥‥』

P『んんふ‥‥wwww』

真『』

D『うおおお! 萩原さん! いい! すっげえいいです! 萩原さんの新しい一面を垣間見ました!』

雪歩『でもあの‥‥これ、斧ですかぁ?』

D『こっちのコンセプトは「パーティに行きたい」らしいです』


千早「くっふwwwwwww」

貴音「こ、これは‥‥所謂、毛皮というもの、ですね‥‥wwww」

真美「新しい一面過ぎっしょ! 超ワイルド!wwww」


D『いやあ! 予想以上ですよ! ねえ!』

P『は、はい!』

真『プロデューサー、僕達‥‥』

雪歩『本当に似合ってますかぁ‥‥?』

P『ああ。2人とも、すごいよ。見違えたよ!』

『冷静な顔で答えるプロデューサー。だが、カメラは見逃さなかった! 見よ!』

P『流石は有名ブランドだな。革新的なデザインだ』ギリギリ


美希「右手www 全力で脇腹つねってるのwwww」

春香「すごいプルプルしてる‥‥wwww」


P『さて‥‥じゃあ俺は、この店のお偉方に挨拶してくるよ。また後でな』

真『あ、はい』

D『じゃあこっちは、仕上げに宣伝用のVTR撮りますね。これ、短いセリフなんで、言ってもらっていいです?』

雪歩『わかりましたぁ』

D『じゃ、お願いします。4、3、2‥‥』

真『ワレワレハ、シャレオツ星カラ、コノ星ニ、ヤッテキタ。コレガ、ワレワレノ星ノ、ダンスダ』

雪歩『どんどんとっと どんどんとっと どんどんとっと うっ!』

真『‥‥以上ダ』


あずさ「ふ、2人とも、もうやめて‥‥」

やよい「お腹痛いれすぅ!」


D『はいOK! はい最高! いやー、素晴らしいです!』

真『ど、どうも!』

雪歩『ありがとうございますぅ!』

D『では、今回の撮影はここまでとなります。お疲れ様でした!』

真雪歩『お疲れ様でした!』

真『さて‥‥着替えようか』

雪歩『うん。‥‥ねえ、真ちゃん』

真『ん?』

雪歩『この服なんだけどね‥‥お洒落、なのかなあ』

真『実は僕も同じ事思ってたんだ! っていうか‥‥これ、そもそも服なのかなあ』

雪歩『で、でも、有名なデザイナーさんが作ったんだよね?』

真『そうだよね‥‥こういう服のよさがわからないから、モデルの仕事とか来ないのかなあ』

雪歩『美希ちゃんとかなら、喜んで着るのかなぁ‥‥』


美希「やめてwwww」

千早「でも、美希なら案外着こなせる可能性があるかもしれないわよ」

春香「うんうん! いけるいける!」

美希「ちょ、ちょっと! ホントにやめて! 悪ノリで着せられる羽目になったら、ミキ一生2人の事を許さないの!」

春香「wwwwww」

伊織「まあまあ。ちなみに、ファッションリーダー的には、強いて言うならどっちの方がありだと思う?」

美希「うーん‥‥選ばなきゃ死ぬって言われたとしたら、雪歩の方かなあ‥‥」

響「そうなの?」

美希「だって真君の方はもう‥‥これ着るくらいなら、裸で過ごした方が100倍マシだって思うな」

真「」

伊織「まあ、着た上に、全国に放送された奴がいるわけだけど‥‥そうなの。美希は雪歩の着たやつの方がいいのね」

美希「へ? いや、違」

響「なんだ! だったら最初からそう言ってればよかったんさー!」

美希「ちょ」

真美「後は、スタッフの兄ちゃん達次第だねー」

スタッフ「」コクリ

千早「というわけで、次回は星井美希改造計画をお楽しみに」

美希「」

春香「ええと、謎の犠牲者が出たところで、続きをどうぞ!」

美希「‥‥え、何。ホントにやるの? 嘘でしょ?‥‥え?」

春香「本気のトーンで嫌がってる‥‥w」


真『お疲れ様でーす。撮影、終わりました!』

P『はい‥‥はい、そういう事なら‥‥ええ。いえいえ、そんな‥‥はい。では、よろしくお願いします。‥‥っと、お疲れ様』

真『仕事の電話ですか?』

P『ああ、次の営業先からな』

雪歩『どうしたんですか?』

P『なんでも、相手方の時間の都合がどうしても合わなくなったらしい。それで、少し早めに来てくれないかという事なんだ』

雪歩『そうなんですか』

P『ああ。すまないな』

真『予定が変更になったのはいいんですけど、それじゃあ、お昼食べる時間無いですかね。ちょっとお腹空いてきちゃったなあ』

P『いや、それくらいの時間なら‥‥そうだな。どこかに食べに寄るのは流石に厳しいから、弁当でも買って移動中に食べてもらったほうがいいな』

真『あ、それ、いいですね! ここのデパート、食品売り場も人気なんですよ!』

P『らしいな。よし、今日の昼代は事務所で持つから、好きな弁当を買ってきなさい』

真『本当ですか!? へへっ、やーりぃ! ちょっと豪華なの買っちゃおっと!』

P『あ、それから飲み物もな。あまり時間が無いから、2人で分担して買っておいてくれ。俺はまだ、電話しなきゃならないから』

雪歩『わかりましたぁ』

P『頼んだぞ。あ、これ、預かってた荷物な。‥‥あ、音無さんですか? 実は‥‥』

真『じゃ、急いで買いに行こうか! 僕、お弁当見てくるよ。どんなのがいい?』

雪歩『お肉が入ってるのがいいかなぁ。飲み物はお茶でいい?』

真『うん、OK! それじゃ、また後で!』


『こうして、計画通り2人を一度分かれさせる事に成功。いよいよ、ここからが本番である』


真『お待たせしましたー! はい雪歩。白老ステーキ弁当だってさ』

雪歩『わあ、ありがとう。これ、真ちゃんの分のお茶ね』

真『ありがと。えっと、プロデューサーには‥‥はいこれ。ギョウザ弁当とギョウザです。‥‥あれ?』

P『はい。ええ、そうなんで‥‥はい。そういうわけで、今日は恐らく‥‥はい。失礼します』

真『どうしたんですか? そろそろ向かわないと、まずくなるんじゃ‥‥』

P『それなんだが‥‥すまん。次の仕事は、キャンセルだ』

真『ええ!?』

雪歩『な、何かあったんですかぁ?』

P『うん。さっき、撮影前に、国宝の展示を見ただろう? あれがな‥‥盗まれたらしい』

真『ぬす‥‥ええええ!?』

雪歩『た、大変ですぅ!』

P『それで今警察も来ていてな。捜査が終わるまで、店の外に出られそうもないんだ』

真『ですよねぇ。国宝が盗まれただなんて、一大事ですもんね』

P『あ、それで、念のため俺達も検査を受けるらしいんだ。まあ、荷物を調べるくらいだと思うが』

雪歩『ちょっと嫌かもですけど‥‥仕方ないですよね』

P『まあ、女の子がカバンの中を覗かれるのはなあ。せめて、きれいに整理して恥ずかしくないようにしておけよ? 特に真』

真『あはは‥‥』

P『それじゃ、順番が来るまで、場所借りて昼でも食べてようか』

真雪歩『はーい』


『大変な事件に驚きはするが、自分達に直接の関係は無いためか暢気な2人』


真『美味しい! さっすが、有名なお店のお弁当なだけあるなあ』


『だが‥‥』


雪歩『こっちも美味しいよ。少し食べる?』

真『いいの? じゃ、おかずちょっとずつ、ばくりっこしようよ』


『この後‥‥』


P『ギョウザ18個は流石に食べ応えがあるなあ』


『とんでもない事件が彼女らを襲う!』


P『ふう、食った食った。あ、さっきも言ったが、カバンの中整えておけよ? 警察関係者にもファンがいるかも知れないんだ。アイドルのカバンがグチャグチャだと、がっかりされるぞ』

真『はーい。って言っても、今日はちゃんと‥‥』ゴソゴソ

雪歩『私も大丈夫だと思うけど‥‥』ゴソゴソ

真『』ビクッ

雪歩『』ピタッ

P『ん? 2人とも、どうした?』

真雪歩『ななななななんでもないです!』

真『‥‥‥‥』チラッ

雪歩『‥‥‥‥』チラッ

真雪歩『!?!?!?!?』


『カバンを覗き込み、目を瞬かせる菊地、萩原。そう! 何を隠そう、2人のカバンには盗まれたはずの国宝が紛れこんでいるのだ!』


刑事『すみません。お時間よろしいですか?』

P『あ、我々の番ですか? じゃ、行くぞ2人とも。ほら、真‥‥』スッ

真『触らないでください!』

P『ええ!? なんだよ、変な奴だなあ。なあ? 雪h‥‥』スッ

雪歩『きゃあああ! 触らないでぇ!』

P『ええ!?』

刑事『あの‥‥何かありましたか?』

真『いいいいいえ! 何にも無いです! 無いです!』

雪歩『そうです! 特に、カバンの中になんて何もないんですぅ!』

刑事『はあ‥‥それじゃあ、まずはお話から。えーと、なんでもお仕事でここにいらしたとか‥‥』

P『はい。私達は、アイドル事務所の者でして。私は付き添い。彼女達は番組の撮影で』

刑事『アイドル‥‥っと。では失礼ですが、午前10時から午後12時30分までの間、何をしていたか、聞かせてもらっても?』

P『はい。10時からですと、丁度撮影が始まった頃ですね。その直前に、私達も展示を見ました。それからはずっと撮影で‥‥終わったのは12時過ぎくらいでしょうか』

刑事『なるほど。では、その間、あなた達はずっと一緒に行動を?』

真『はい!』

雪歩『片時も離れてません!』


春香「必死すぎるよ‥‥www」

美希「嘘ついてるしwww」


P『おいおい、2人ともいきなり‥‥あ、少しの間ですけど、別行動してましたね。いい時間だったんで、弁当を買ったりして。15分くらいだったと思います』

真雪歩『!』ギロッ


響「今、完全に目が「余計な事言ってんじゃねえ!」って語ってたぞwww」


刑事『なるほど‥‥時間的には微妙な線ですかねえ。では一応、荷物の検査をさせていただいても?』

P『はい。どうぞ』

刑事『ええと‥‥うん、特に疑わしき物は無いですな。では次に‥‥』

真『‥‥‥‥』

雪歩『あうう‥‥』

P『どうした? 早く見せてあげなさい』

真『あの‥‥刑事さん』

刑事『うん?』

真『仮に僕が今その‥‥何かの拍子で刑事さんを殴り倒して逃げたりしたら、疑われたりしますか?』


あずさ「んふっ‥‥w」

伊織「バカじゃないの! 疑われるどころか、現行犯じゃない!wwww」


P『お、おい真。何言ってるんだ』

雪歩『真ちゃん! とりあえず試そうよ! やってみようよ! ね!』


千早「萩原さんwwwww」

響「わっるい奴だなー」

雪歩「違うの! 違うの!」


刑事『まあそれはともかく‥‥流石にアイドルが犯人という事もないでしょうけどね。念のために、簡単にチェックを‥‥おい、女性の荷物なんだ。頼んだぞ』

婦人警官『はい』ゴソゴソ

真『あ、あああああ‥‥』

雪歩『うううぅ‥‥』

婦人警官『け、警部! これ!』

刑事『こ、これは! ‥‥いやはや、参りましたね』

P『ま、真‥‥お前‥‥』

真『ち、違う! 僕じゃない! 僕は盗んでなんていないんです!』

雪歩『ん? ん? ん?』

婦人警官『話は後でゆっくり聞かせてもらうわ。あ、そっちのあなた。これは返しておくわn』ポロッ

雪歩『』

真『!?』

婦人警官『け、警部ーっ! 大変です! もう1個出てきましたあ!』

刑事『何い!?』

P『雪歩!? お前まで!』

雪歩『ちちちち、違いますぅ! 誤解なんです!』

刑事『これは困りましたなあ』

P『あ、あの! もしかして、2人とも逮捕なんて事は‥‥』

刑事『いえいえ、最近は、警察の風当たりが強いですからなあ。アイドルを誤認逮捕なんて知れ渡ったら、どうなる事か』

婦人警官『ですが警部。どちらかが犯人である事は、間違いないと思います』

刑事『そうだな‥‥ちなみに聞きますが、自分の罪を認めるつもりは?』

真『僕、絶対やってません!』

雪歩『わ、私だって、こんな恐ろしい事‥‥』

刑事『では‥‥互いに、相手が本当の犯人だと?』

真『え!?』

雪歩『そ、それは‥‥』


『刑事の言葉に、動揺する2人。自分のために仲間を売るような真似はできないのか‥‥と、その時!』


春香「え?」

千早「まさか‥‥」


真『‥‥そ、そういえば雪歩、前にこういうの欲しがってたよね‥‥』

雪歩『えええええ!?』


響「うわーーーーっ!」

春香「やっちゃった! やっちゃったよーぅ!」

美希「最低! 最低なの!」


雪歩『ままままま、真ちゃん! なんて事言うの!?』

真『あ、いや‥‥』

雪歩『そ、そんな事言うなら真ちゃんだって‥‥いつも、お姫様みたいになりたいって言ってるよね‥‥これ、すごくお姫様っぽいよ』

真『ちょっと! やめてよ!』

雪歩『だ、だって真ちゃんが‥‥』

真『なんだよー!』

P『お、落ち着けお前たち! よせって!』


貴音「な、なんという‥‥」

真美「悪人同士で噛み合ってるよ‥‥」

亜美「まるで地獄の犬どもみたいだ‥‥」


『このままでは、色々とまずい事になるので、そろそろ助け舟を出す事に』


警官『警部!』

刑事『どうした?』

警官『防犯カメラを解析したところ、犯人の姿が確認されました!』

刑事『何!? 見せろ!‥‥これは!』

P『け、刑事さん。一体‥‥』

刑事『少し見えにくいが‥‥ここに映っているのは、どう見ても男! それも、複数犯だ!』

P『それじゃあ‥‥』

刑事『ええ。あなたのとこのアイドルさんは、無実です』

P『ありがとうございます! よかったな! 2人とも!』

真『あ‥‥』

雪歩『はい‥‥』

真『えと‥‥ゆ、雪歩‥‥』

雪歩『真ちゃん‥‥その‥‥』


千早「これは気まずいわね」

伊織「遺恨が残るタイプの争いだったわね」

やよい「2人とも、ちょっと可愛そうかなーって」


刑事『真犯人はまだ近くにいるはずだ! すぐに探して‥‥』

???『そこまでバレてちゃしょうがねえ』

刑事『誰だ!』

犯人『我々は、強盗団8492! 動くな大人しくしろ!』

P『銃!?』

雪歩『きゃあああ!』


伊織「あれ?」

あずさ「この人達ってもしかして‥‥」

やよい「ヤクザさんですぅ!」

春香「あ、本当だ。さっきのw」

千早「悪役が似合うわね」

伊織「なんとなく、この後の展開が予想できたわ」


刑事『何を考えている! 逃げ切れると思っているのか!』

犯人『うるせえ!』パン

刑事『ぐわあ!』バタッ

真雪歩『』


春香「あれ? デジャヴ?www」

伊織「ほらやっぱり! ほーらやっぱり! 手抜きしてんじゃないわよ!」


警官『警部! くそーっ、よくも警部を!』

犯人『動くな!』パン

警官『ぎゃあ!』ドサッ

婦人警官『やめなさい!』

犯人『おらあ!』パン

婦人警官『きゃあ!』バタリ


響「すっごい光景だなあ」

美希「地獄絵図なの」


P『‥‥やめろ!』

真『ちょ‥‥!』

雪歩『プロ‥‥』

P『こんな事をして、田舎のご両親が悲しむぞ!』

犯人『うっ‥‥』


春香「え? 効いてるwww」

美希「やっすい説得なのに‥‥w」


P『さあ、思い出すんだ。お母さんの優しい顔を。そして、銃をこっちに‥‥』

犯人『‥‥‥‥』パン


響「ちょwwww」

亜美「全然効いてなかった! 普通に撃たれたよwwww」


真『プロデューサー!』

雪歩『あ、ああああ‥‥』

P『な‥‥』


伊織「ん? これ、まさか‥‥」

真美「お約束の‥‥」


P『なんじゃあ、こりゃあ!』


千早「んふっwww」

春香「やっぱりwww」

響「あ、プロデューサー、フラフラしながら2人に近寄ってったぞ」


P『俺は死にたくないよお! 待ってくれよお!』

真『うわあああああ! ち、血が! 血が顔に! わああああああ!』

P『死にたくないよお‥‥雪歩ぉ‥‥待ってくれよお!』

雪歩『きゃあああああ! いやああああああ!』


春香「こわいこわいこわいこわいwwwww」

美希「もうこんなの、夢に出てくるのwwww」


P『な、なんで死ぬんだよぉ‥‥俺‥‥』ガクッ


響「うわっ! 死んだ! それも、妙に生々しく!」

伊織「無駄に高度な演技ね‥‥www」


犯人『さあて‥‥ここまでやっちまったら、後は何人でも一緒だな‥‥』

真『ひい!?』

雪歩『いやぁ!』

犯人『可哀想だが、消えてもらうぜ』チャキ

真『やだああああ! やめて、やめてえ! 死にたくないよお!』


春香「‥‥あれ?」


真『やだ! やだ! やだよお! 助けてえ!』


亜美「ガチ泣き!?」

あずさ「雪歩ちゃんもだけど‥‥あまりアイドルが見せない方がいい顔してるわね」

千早「でも真‥‥ちょっとかわいい‥‥w」


犯人『‥‥‥‥』パン

真『ひやあ!』パァン!


春香「わっ!? びっくりしたあ」

美希「真君の服が‥‥爆竹?」

千早「多分、着替えてる間に仕掛けられたのね」


雪歩『真ちゃん!?』

真『あ、ああああ‥‥あああああ!』ヨロヨロ

雪歩『真ちゃん! しっかりしてぇ!』

真『雪歩‥‥やだよ! 助けてえ! 父さん、母さん!‥‥やだよお!』←無傷


美希「なんで!? なんで撃たれた感じで進んでるの!?」

やよい「くふっ‥‥だ、だめです笑っちゃ‥‥wwwww」プルプル

貴音「め、面妖な‥‥wwww」ピクピク

真「仕方ないだろ!? あの時は、本当に撃たれたと思ったんだからあ!」


『予想外の反応にスタッフ一同戸惑いながらも、ここでネタばらし。室内に、奇妙な音楽が流れる』

チャーラー

P『』ムクリ

雪歩『ひゃあああ!?』

ズン チャ ズン チャ

刑事達『』ムクリ

真『!?』

犯人『コーディスィズ スリラー!』バッ

P達『スリラー ナァイ!』バッバッ

真雪歩『』


春香「ひっどいwwww」

美希「茶番! 茶番なの!」

千早「無駄に動きが完璧ね‥‥」


犯人『ポゥ!』

P『と、いうわけで‥‥真、雪歩。これ。ドッキリのプラカードな』

真『もおお! プロデューサー!』

雪歩『よかったぁ‥‥よかったよう』ヘナヘナ

P『はっはっは。あー、疲れた。表舞台なんて立つもんじゃないな』

真『あの、僕達‥‥結構な醜態を晒した気がするんですけど‥‥』

雪歩『さっきの言い争いの事とか‥‥編集、入りますよね?』

P『‥‥さあ! それじゃあそろそろ締めて、スタジオに返せるようにしてくれ!』

真『ちょっと!? と、とりあえず‥‥』

真雪歩『ドッキリ、大成功!』

真『‥‥ちょっとプロデューサー! ほんとにお願いしますよ!?』

雪歩『絶対イメージダウンですぅ‥‥』


ちゃんちゃん♪

パチパチパチパチ

春香「はい、というわけでー‥‥丸々使われてしまったわけですけども」

美希「ひどかったの。もう‥‥ねえ?」

千早「2人が登場でひどく落ち込んでいたのは、これのせいだったのね」

真「他のみんなはさ、こう‥‥パニックになった時の可愛さとか、意外な一面があったのに」

雪歩「私達は‥‥」

伊織「何言ってるの? あんた達も、意外な一面が出てたじゃない」

亜美「うんうん。追い込まれたら、仲間を売るっていう‥‥」

真「やめてよお!」

春香「でも、真とか雪歩は、さわやかーとか、清楚ーみたいなイメージばっかりだったし、新しいファンの開拓になるかもよ?」

雪歩「そうかなぁ‥‥」

真美「王子様みたいな女の子から‥‥うーん。ダーティ・プリンスとか、裏切りの貴公子とか‥‥www」

美希「あっはははは!www」

千早「そんな、プロレスラーのニックネームみたいな‥‥www」

真「」

春香「今回、どっちかというと真がメインターゲットだったよね。撃たれてたし」

響「ついさっき、「撃たれるアイドルなんていねえよ!」って言葉出てたよね‥‥www」

雪歩「本当は、私の服にも同じ仕掛けがしてあって、起爆できる状態だったらしいんだけど‥‥」

春香「うん」

雪歩「現場スタッフさん達が、今爆竹が鳴ったら「あの子本気で死ぬんじゃないか?」って‥‥」

春香「あー、有り得るねwww」

千早「そこまではいかなくても、気絶くらいなら考えられるわね」

美希「真君でもあの反応だったもんね」

真「まあ確かに‥‥服が爆発した瞬間、ちょっと出ちゃったかもしれないし」

春香「何が!?」

美希「やめて! そういうのだけはダメだと思うな!」

真「どうせ僕はダーティ・プリンスですよーだ!」

千早「いや、そういう意味のダーティはちょっと‥‥www」

美希「あ、春香春香」

春香「ん?‥‥あっと! もうこんな時間!」

千早「長いようで、短かったわね」

美希「ミキもう、お腹とアゴが痛いの」

春香「うんうん。視聴者の皆さんにも、いーっぱい笑ってもらえたかな」

伊織「おっと! ちょっと待ちなさい!」

響「まとめに入ろうとしてるけど、そうはいかないぞ!」

春香「え?」

千早「な、何?」

伊織「MCだからって逃げられると思ったら、大間違いよ! カモン!」

ウィーン

美希「な、なんなの!?」

あずさ「頑張ってくれた司会の3人に、私達からのプレゼントがあるのよぉ」

響「えー、今から3人には、上にあるボックス‥‥7、6、5のどれかを、それぞれ選んでもらうぞ」

伊織「自分で選んだボックスの下に行って、紐を引っ張りなさい」

春香「うわーん! やっぱりそういうのだー!」

千早「たしかに、私達だけが無傷で終わる訳がないとは思っていたけど‥‥」

美希「ミキ、痛いのは絶対やなの!」

伊織「では、シンキングターイム!」

やよい「伊織ちゃん、楽しそうだね」

春香「どうする?」

千早「私は余ったのでいいけれど‥‥」

美希「じゃあ美希、7がいいな! ラッキーセブンなの!」

春香「じゃあ私は6で‥‥」

千早「私は5‥‥決まったわよ」

伊織「それじゃ、それぞれ位置につきなさい」

響「ふむふむ‥‥なんか、割と面白い位置になったな!」

やよい「じゃあ‥‥千早さんからどうぞ!」

美希「ミキからじゃないの!? ミキ、やっぱり他のが」

あずさ「だめよ~。1回選んだら、もう選びなおせないわよ」

美希「うう‥‥バラエティ的には、最後って嫌な予感がするの」

千早「じゃあまず私から‥‥それっ」

ザバァーッ!

千早「」ポタポタ

伊織「千早は水攻めね。ま、お約束かしら」

貴音「水も滴るいい女‥‥まこと、千早に相応しい言葉ですね」

伊織「んふっ!w‥‥貴音、そういうのやめて」

亜美「次は、はるるんだねぃ」

春香「こわいよー‥‥えいっ!」

ヒュー  ガイーン!     ‥‥ゴスッ!

春香「いったーい! 何これ、タライ!?」

響「!!!?‥‥wwwww」プルプル

伊織「こっちもお約s‥‥響? どうしたのよ」

響「ち、ちは‥‥巻き添え‥‥角が‥‥あっはっはっはっは!wwwww」

千早「いったぁ‥‥!」

伊織「何!? 何があったのよ!?」

真「は、春香の頭でバウンドしたタライが、千早のおでこに‥‥くくっwww」

伊織「うっそ! 千早、あんた美味しすぎるでしょ!w」

千早「角が‥‥痛いところがぁ‥‥!」

春香「ご、ごめんね千早ちゃん! 大丈夫?」

千早「‥‥割と面白くなったと思うから、平気よ」

春香「う、うん‥‥?」

真「じゃ、最後は美希だね。ちなみに、痛いのは今のだけだよ」

美希「ほんと!? じゃあ少し気が楽なの! それっ!」

ボトボトボト ベチャ ボトボト ベチャベチャベチャ

美希「」

伊織「んっふ‥‥!w」

美希「なんか‥‥冷たくて柔らかくて‥‥くさっ! え!? 何なのこれ!?」

やよい「明太子です!」

美希「ばっかじゃないの!?‥‥ばっかじゃなぁーいのー!?」

響「wwwwwwww」

美希「あああああ! 髪に! 髪に明太子が巻き込まれて! やーん!‥‥くっさ!」

千早「み、美希やめて! お腹がもう‥‥wwwww」

伊織「ほら、取ってあげるからジッとしてなさい」

美希「うう‥‥でこちゃん、ありがt」

伊織「生ぐさっ! 思った以上に生臭いわ! 白いご飯欲しくなるわ!」

美希「」

響「えー、というわけで‥‥春香」

春香「うん。最後までご覧いただき、ありがとうございました!」

千早「次回からは、またお昼にお会いする事になります」

美希「史上初、魚卵系アイドルが見れるのは、この番組だけなの!」

千早「んふっ‥‥美希、やめて‥‥www」

春香「それでは皆さん‥‥」

アイドル「またねーっ!」




スタッフ「‥‥あいオッケー!」

アイドル「お疲れ様でーす!」

春香「はあ、終わったぁ‥‥やっぱり、何回やっても生放送って緊張するよね」

千早「そうね。最後にハプニングは起きるし」

美希「うー、気持ち悪いの‥‥早くシャワー行こうよ」

響「お疲れ。春香達は、この後まだ予定あるんだっけ」

春香「うん。明日の撮影のために、前乗りしとくんだよ」

伊織「最近あんた達、セットでの仕事多いわよね。この番組の影響かしら」

春香「あ、でも今回は、雪歩も来るんだよね?」

雪歩「うん。この後別のお仕事あるから、合流は別になるけど‥‥スタッフさんが送ってくれるみたい」

千早「他のみんなは? もう終わり?」

響「自分もこれから明日に備えて移動さー」

真「ふーん、動物もの?」

響「んにゃ、旅ロケだぞ。温泉地行くから、移動が長いんだー」

伊織「春香達は?」

春香「なんていうんだろう‥‥挑戦もの?」

美希「山に行って‥‥なんだっけ。オオクワガタ? を探すんだって」

響「あ! 自分もそっち出たかったなあ」

亜美「まこちんも似合いそうだね」

真「うん。小さい頃、よく連れてかれたなあ」

あずさ「大変ねえ。気をつけるのよ?」

千早「はい。ありがとうございます。‥‥って、いけない。もうこんな時間よ」

春香「あ! ほんとだ! 急ごう美希! シャワー浴びれなくなるよ!」

美希「それだけはごめんなの! じゃあみんな、また今度ね! 雪歩はまた後で!」

バタバタバタバタ

伊織「はいはい」

響「また今度、ねえ?」

伊織「と、いうわけで‥‥」

アイドル「生っすかゴールデン! 第2部でーす!」

響「どういう事かと言うと‥‥伊織」

伊織「私達が大掛かりな仕掛けで騙されたのに、3人だけあんなしょぼいドッキリもどきでお茶を濁すはずがないでしょう?」

真「テレビの前の皆さん、番組表を見てください」

亜美「生っすかの後、放送未定になってるっしょ?」

真美「実はそこの枠も、丸々この番組なのでーす!」

あずさ「春香ちゃん達に、この後あるドッキリが用意してあります」

雪歩「つまり、生ドッキリを皆さんにお届けしますぅ!」

貴音「もうしばらく、私達にお付き合いくださいませ」

やよい「では、今の様子をモニターで見てもらいましょう! 新しい仕掛け人さんです! 律子さーん!」

律子『はいはーい。竜宮小町のプロデューサー、秋月律子です』

伊織「テレビに映るなんて、久しぶりじゃない?」

律子『そうね。本来は裏方が表に出るのは避けたいけど‥‥でも今回は、765プロオールスターって事で、特別にね』

響「春香達の今後の予定どうなってるか、言ってもらっていいか?」

律子『はいはーい。えー、春香達にはこの後、明日のロケのために、山中にあるバンガローに泊まってもらうと説明してあります。その現場で、放送が終わるまで、色々な目に遭ってもらう予定になってまーす』

真「律子はその近くで、リポーターみたいな役割って事でいいんだよね?」

律子『ええ。プロデューサー殿にこの役をやってもらう案もあったけど、テレビに長く映りますからね。一度は表舞台に出てた私に、お鉢が回ってきたってわけ』

伊織「わかったわ。そろそろ春香達が出てくると思うから、しっかりね」

律子『ええ。あ、出てきた出てきた。じゃ、こっちの音声切るからね。何か用があったら電話でよろしく』

響「りょうかーい。‥‥お、来た来た」


春香『律子さん、お待たせしましたー!』

律子『お疲れ様。放送、よかったわよ。美希も頑張ってたわね』

美希『えへんぷいなの』

律子『えらいえら‥‥美希? あんた、なんか、おかずみたいな匂いがするわよ?』

美希『え!? うそ!』

律子『冗談よ。ほら、乗って乗って』


伊織「移動中の隠しカメラは、律子のカバンに1つ、車内に2つ用意してあるわ」

雪歩「モニター足りないんじゃないかなぁ」

伊織「大丈夫よ。カモン!」

ウィーン

真「わあ!」

あずさ「すごいわねぇ。ニュース番組みたい」

伊織「全部で50のモニターで、移動を含むドッキリ中の様子は、全て私達に届けられるわ。流石に、トイレとかお風呂は除外だけど」

真美「あ、車の中の様子が見える!」


春香『千早ちゃん、今日は何聴いてるの?』

千早『新曲のテスト版よ。聴いてみる?』

美希『あふぅ‥‥ミキ、ちょっと寝るね。着いたら起こして』


亜美「移動中はあんまり面白くないかなあ」

伊織「そうね。だから、この時間に‥‥」

響「ん? 何?」

伊織「今回の放送、とにかく多額のお金がかかってるのよ。動物園借り切ったり、百貨店借り切ったり、この設備とかもね」

真「ああ、確かにね」

伊織「それでまあ、スポンサーの出番なわけだけど‥‥水瀬からも結構な援助を受けててね。はいこれ」

響「んあ? 何これ?」

伊織「CMだけじゃあ見返りが足りないって事で、番組内でも宣伝をする契約らしいのよ。これは、水瀬電機で新しく売り出す暖房器具ね」

やよい「私達で、伊織ちゃんのお父さんのお手伝いするの?」

伊織「ま、結果としてはそうなるわね」

真「宣伝かあ‥‥あ、じゃああれは? 夜中にやってる通販みたいなノリで」

響「あ、面白いな。ヘイブラザー! このちっぽけなマシンを見てくれよ!」

真「オウブラザー! なんだいこれは!」

伊織「‥‥ねえ、ちょっといいかしら?」

響「なんだいブラザー!」

伊織「確かに、うちの系列会社がこの番組に出資したのには、私が娘だって理由が含まれているかも知れないわ。もしかしたら、社長の人脈かも知れない。でも、コネや縁故はあくまでも物事をスムーズに開始するだけの力でしかないの。それを継続するには、それなりの成果が大事なの」

真「???」

伊織「私はアイドル活動をする上で、お父様を父親だとは思って接しないし、逆も同じ。あくまでも、ビジネスとしてお互いに助け合うだけの関係よ。つまり、相手が765プロと関わるメリットが無いと判断すれば、私の存在も社長との付き合いも関係なく、縁は途切れるわ」

響「えーと‥‥」

伊織「765プロのアイドルが出演してる番組の7割近くは、水瀬の関係企業がスポンサーについてるわ。仮に今後それらの番組に私達が呼ばれなくなった場合‥‥」

真「‥‥場合?」

伊織「単純に考えるなら、そうね‥‥貰えるギャラが30%になるって言えばわかりやすい?」

真響「」

伊織「それを踏まえた上で、続きをどうぞ? ブラザー」

真「やあ響! どうしたの? 元気がないね!」

響「自分、沖縄出身だからな! こっちの冬は、つらいんだ!」

真「そんな時にはこれ! 水瀬電機の新商品、業火羽輪!」

響「なんだそれは!?」

真「新技術によって開発されたこの商品! なんと、500平米の部屋をたったの2分でポカポカにできる、すごい奴なのさ!」

響「それはすごいな! でもそれだと、電気代がかかってしょうがないじゃないか!」

真「心配ご無用! 仮に君が毎日10時間、暖房を使うとしたら‥‥電気代は、大体このくらい!」

響「ええ!本当か!? あ! じゃあその代わり、値段が物凄く高いんだろ!」

真「確かに、安いとは言えないね。でも、このグラフを見てよ! 年に5ヶ月使うと仮定した場合、3年目に使い出す頃には、もう元が取れている計算なんだ!」

響「なんだって!? じゃあ、それ以降は‥‥」

真「そう! むしろ、お得っていうわけさ!」

響「そんなストーブ、自分も欲しいぞ! どこで買えるんだ!?」

真「全国の電器店で、今月29日から発売! もしくは‥‥」

真響「こちらの電話番号まで! 夜間ですので、間違い電話にはお気をつけください!」

真「‥‥どう?」

伊織「やるじゃない」ニコ!

響「ふう‥‥」

やよい「お金の力って怖い。わたしは改めてそう思いました」



貴音「どうしましょう‥‥これから友人が訪ねてくるというのに、何の用意もできていません」

雪歩「そんな時にはこれ! この湯沸かし器を使えば、3リットルの水が5秒で熱湯に早変わり! 急なお客様にお茶も出せますぅ」

貴音「一人暮らしの味方、れとると食品やかっぷらぁめんにも便利ですね」



やよい「うち、家族が多いから、お米を炊くのが少し大変かもです!」

あずさ「大変ねぇ。あまり多く炊きすぎても、保存が大変だし‥‥」

伊織「そんな時には、この炊飯器を使いなさい! 最大3升のお米が炊ける優れもの! 遠赤外線効果でツヤツヤご飯! 更になんと、完璧な真空を作り出し、ジャーに入れたまま1ヵ月は保存できるのよ!」


亜美「うあうあ~! お部屋の掃除が終わらない! またママに怒られちゃうよお!」

真美「あれ? 亜美はまだ持ってないの? これを!」

亜美「そ、それは! 今流行の自動掃除機!」

真美「完全自律システム搭載で、隠れたゴミも残さずキャッチ! 更に業界初の2足歩行を備え、どんな段差もスイスイ移動!」


アイドル「今年も1年、水瀬電機で快適な生活!」


伊織「‥‥こんなもんでいいかしら? あ、OKみたいね」

響「春香達も、ちょうど現場に着くみたいだぞ」


律子『はい、お疲れ様。ここが今日みんなに泊まってもらうところよ』

春香『わあ、思ってたより、随分立派ですね』

千早『あら? でも‥‥なんだか、人がいるみたいよ?』

律子『あら本当ね。私達の前にも撮影で使うって言ってたから‥‥長引いてるのかもね』

春香『そうなんですか? じゃあ、挨拶してこないと』

律子『そうね。ほら美希、起きなさい』

美希『んにゃ‥‥ふああ~‥‥』


伊織「ここで、豪華なゲストが出てくるわよ」

真「僕達も知ってる人?」

伊織「多分ね」


律子『失礼します。この後、ここを使う予定になってる、765プロの者ですが‥‥』

???『や、これはどうも! すみませんねぇ。収録がどうにも思うように行かなくて』

美希『あ! 淳ちゃんなの!』

律子『ちょ、ちょっと美希‥‥すみません稲川さん』

稲川『ああ、美希ちゃん。久しぶりだねえ。そちらの2人は初めまして』


やよい「あ! 稲川さんだ!」

伊織「怪談の大御所、稲川淳二さんね。今回の撮影のために、2時間前からスタンバっててくれたのよ」

真「この番組すごいね」


稲川『撮影自体は終わったんでね、後は撤収を待ってる段階なんですよ』

律子『そうなんですか‥‥』

稲川『あ、なんだったら、どうです? 我々の撤収が終わるまで、何かお話でもしましょうか』

美希『いいの!?』

春香『わあ、稲川さんの怪談、1回生で聞いてみたかったんです!』

千早『ええ!? わ、私はその‥‥』

稲川『じゃあ早速‥‥これは私の古くからの友人で、まあ仮に、加奈子さんとしておきましょうか。彼女ね、ある年の4月から、念願の一人暮らしを始めたんだ』


稲川『カッ、コッ、カッ、コッ‥‥誰かが歩く音がする。ただよく聞いてみると、その音がど~うもおかしい。
 思い切ってドアを開けた。その途端、うぅ! 顔の焼けた女が、こっちをじーっと見てたって言うんですよ‥‥』

春香『‥‥‥‥』ゴクリ


稲川『多分ですよ。想像の話ですけど‥‥もう、この時から狙いをつけてたんですよね。
 写真に写った男、笑ってましたよ。嬉しかったんでしょうねえ。自分の死体を見つけさせるために殺す相手が見つかって‥‥こいつにき~めた!ってね』

千早『ひい‥っ!』


稲川『あれ? おい、お前いいなあ。お前のおにぎりだけ、赤飯じゃないか。ずるいよなあ。
 え、赤飯? おかしいんだ。自分は確かに、友人と同じ普通のおにぎりを持ってたはずなんだ。けど、実際に見てみるとたしかに赤飯。あれぇ? 変だなあ。そう思ってると‥‥
 ぽたっ、ぽたっ‥‥上から何かがしたたってる。ん~? 顔を上げた彼、その瞬間、ぎゃあああ!
 ‥‥彼の座ってたその上、その天井でもって、目をカッと見開いた婆さんが首を吊ってる‥‥そこから血がしたたってたって言うんですよね』

美希『』


亜美「こっわ‥‥」

伊織「いけないいけない。うっかり無言で聞き入ってたわ」

響「貴音と雪歩が息してないんだけど」


稲川『次の話なんですけどね、これ、実はちょっといわく付きの話なんです。
 なんでもね、話を最後まで聞かなかったら、変な事が起きるってんですよ。って言うのもね、私にこの話を教えてくれた、ある俳優さんなんですけどね。
 淳ちゃん、俺変な体験しちゃってさぁ、参っちゃったよ。どういう事だと思う? 俺、本当に参っちゃってさあ。って。
 私、こういう仕事させてもらってますからね、当然興味が沸くわけですよ。それで、何? どうしたの? って‥‥そしたら彼、話してくれましたよ』

春香『ち、千早ちゃん、苦しいよ』

稲川『彼ね、実家が結構裕福な家らしくて、いくつか別荘を持ってるってんですよ。ある日ね、俳優仲間何人かでもって、そこを借りて騒ごうやって事になったんですね。周りには家も他の別荘も無くて、気兼ねなく遊べるってんで、各自それぞれ酒や缶詰めなんか持ち寄ってね、結構な時間まで楽しんでたって』

美希『千早さん、それ以上力入れられたら、多分ミキの色んな骨が折れるの』


稲川『ドアを叩く音がする。おい、誰か来たぞ。客じゃないか? バカ言うんじゃないよ。お前‥‥こんな時間に、こんなとこまで来る奴がいるかよ。
 一気に空気が凍りついた。
 おい、もしかしたら、誰か遭難して、そいでもって、ここまで助けを求めに来たんじゃないか? ちょっと、返事くらいしてやった方がいいんじゃないか? その間も、ノックの音は続いてる。
 彼、意を決して返事をした。はーい! どちら様ですか! 何の用ですか!‥‥返事は無い。
 あれえ? 今、確かに誰かがドア叩いたよな? 変だなあ‥‥みんなが不思議に思ってね、顔を見合わせてると』

スタッフ『稲川さん! お待たせしました!』

千早『ひゃっふ!』ビクン

稲川『あ、終わった? じゃ、皆さん、私はこれで』

春香『え?‥‥えええええ!? 続き、続き聞かせてくれないんですか!?』

美希『そんなのってないの!』

律子『こーら、2人とも。無理言わないの。稲川さん、どうもありがとうございました』

稲川『ええ、楽しんでもらえたなら私も嬉しいですよ。では、またどこかで』

律子『さーて‥‥私も行こうかしらね。次の仕事の時間も迫ってるし』

春香『行っちゃうんですか?』

律子『ええ。明日も仕事なんだから、あまり夜更かししない事。戸締りも忘れるんじゃないわよ?』

春香『はい!』

律子『じゃ、また明日ね』


伊織「と、いうわけで、いよいよ本番開始と言ったところなんだけれど‥‥その様子を見始める前に、現場と中継が繋がってるわ。律子ー」

律子『はーい。こちら、あの子達がいる山小屋から少し離れた、特設テントです』

伊織「とりあえず前哨戦が終わったけど、様子はどう?」

律子『そうね。稲川さんのおかげで、各々なんか嫌な雰囲気は感じてるんじゃないかしら』

響「稲川さんはまだいるのかー?」

稲川『はいはい。どうも、稲川ですー』

伊織「あ、稲川さん! はじめまして! 水瀬伊織です! いつもお話、聞かせてもらってます!」

稲川『ありがたいですねえ。今度、一緒にお仕事でも』

伊織「はい! ぜひお願いしますぅ!」

真「‥‥アイドルが稲川さんとお仕事って言ったら、あれだよね?」

亜美「廃墟にしばらく1人で置き去りにされたり‥‥」

真美「いおりん、そういうの好きなのかな」

雪歩「だから怪談も上手なのかも‥‥」

貴音「あの、稲川殿! 私、どうしてもお教え願いたいのですが‥‥」

稲川『はい。なんでしょうかあ?』

貴音「怪談というものは‥‥作り話なのですよね? 実際には起こりえない‥‥そう考えても差し支えはないのですよね?」

伊織「ちょっと! 何失礼な事言ってるのよ!」

稲川『ははは、どうなんでしょうねえ。私も実際に色んな体験をしてますけど、それを霊の仕業だと証明する事は、できませんよねえ』

貴音「ではせめて! 最後に語った怪談、あれだけは作り話だと、そうおっしゃってくださいませ!」

稲川『ああはい。あの話はね、この番組のためにスタッフさん達が、こうこうこういう話をしてくれませんか、って事で、特別に用意した話なんですよ』

貴音雪歩「ほっ‥‥」

稲川『ただね、こういう話があるんですよ。そこに、霊がいるような気がする。見られてる気がする。この話は実際に自分にも起きる気がする‥‥そう考えた時、怪談は、他人事では無くなる‥‥霊的な世界との境界に立っているような、そんな瞬間って、たしかにありますよねえ』

貴音雪歩「」

伊織「私も、怖い話知ってるんです! 今度聞いてください!」

稲川『はい、よろしくお願いしますね』

伊織「では稲川さん! 今日はご協力、ありがとうございましたぁ!」

稲川『はーい、稲川淳二でした』

律子『稲川さんもお帰りになるし、一旦中継切るわね』ピッ

伊織「はあ‥‥私もう、ドッキリとか割とどうでもよくなってきたわ」

響「こら! ここからが本番なんだぞ!」

伊織「冗談よ。そろそろ屋内のモニター見ましょう」


春香『ふう、怖かったねえ』

千早『で、ででででも、霊なんてそんな‥‥』

美希『淳ちゃんの話は、後で思い出した時にジワジワ怖かったりするの』


響「千早が案外ダメージ大きいみたいだな」

真「まあ、スタジオにはもっと致命傷を受けてる2人がいるけど」

亜美「千早お姉ちゃんみたいに、冷静な人が実はお化けに弱かったりするよね」


春香『最後の話、結局どうなるのかな』

美希『最後まで聞けなかったから、何か起こったりして』

千早『やめて!』

美希『はい』


やよい「伊織ちゃん。このお家、何か仕掛けがあるんだよね?」

伊織「あ、そうそう。忘れてたわ。ここに、こういう物が用意してあるわ」

響「なんだそれ。スイッチ?」

あずさ「たくさんあるわねぇ」

雪歩「それぞれのスイッチには、廊下とかキッチンとか壁(西)とか‥‥色々ついてるね」

伊織「そのスイッチを押せば、対応した場所から‥‥まあいいわ。実際にやってみましょう。とりあえず、物置のスイッチを‥‥」ポチッ


ガタン!

春香『わっ!?』

美希『今の音、なんだろう』


伊織「と、こっちから介入する事ができるのよ」

真「へえ。ちょっと楽しいね」

伊織「まあ、あまり使いすぎると疑われるかもしれないし、たまにね」

響「そうだな。不自然にならないように、最初は様子みよっか」

あずさ「あまり怖がらせなくても、隠し撮り自体がドッキリみたいなものだものねえ」


春香『うーん、さっきまで撮影してたし、そのせいで何か物が落ちやすくなってたとか?』

千早『そうね。きっとそうだわ。結構古い建物みたいだし、それで説明が』


響「えい」ポチッ

伊織「あ」


ドン!

千早『つっく!』


響「wwwwwww」

真美「つっく!wwwww」

伊織「こ、こら、よしなさ‥‥ふふふっwwww」

雪歩「可哀想だよぉ」

響「これで説明が」

伊織「つっく!」

雪歩「ちょ、ちょっと、やめ‥‥ww」

響「これで」 伊織「説明が」

響伊織「つっく!」ババ;ッ

雪歩「やめ‥‥ギャグみたいにしないでよぉ!www」


春香『‥‥あ、そ、そうだ。2人とも、たしか、お正月はオフ取れてたよね。何してたの?』

美希『ミ、ミキは元日だけ仕事あったけど、その後は家でダラダラしてる事が多かったかな。学校の友達と出かけたり』

春香『学校は冬休みだもんね。私も仲のいい子と初詣行ったりしたんだ。千早ちゃんは?』

美希『千早さんの事だから、お正月から自主トレとかしてそうなの』

千早『いいえ、今年はゆっくり過ごしたわ。毎日30分ずつ、ボイトレくらいはしてたけど』

春香『へえ、そうなんだ』

千早『ええ。社長や律子、プロデューサーからも、休めるうちに休むように念を押されたしね』

美希『何して過ごしてたの? テレビ見たり?』

千早『そうね。特番を適当に見たり‥‥あ、DVDも見たりしたわ』

春香『おお、珍しいね! 何見たの? 何か面白い映画とかなら、私も今度見てみたいな』

千早『それが、その‥‥笑わない?』

春香『笑わないよ‥‥何で?』

千早『実は‥‥特撮を見てたのよ。昔に放送してた古いやつ』

春香『へえ! 笑わないけど、なんか意外かも』

千早『今度、特撮ものの主題歌を歌う事が決まったのよ。それで、参考にならないかなって‥‥』

美希『なーんだ、やっぱりお仕事の事考えてたの!』

千早『あ、でも、いざ見始めると、素直に楽しんで見られたわ。ストーリーもわかりやすいし、かっこいいし‥‥んふっ!』

春香『え、なんでいきなり笑うの?』

千早『ちょっと、面白い場面を思い出しちゃって‥‥ふふふっ』

美希『えー? 気になるの』

千早『主人公達の偽者が何人も出てくる回なんだけどね、その中の1人の声が‥‥ふふふふふ!』

春香『ええ? 何々? わかんないよー』

美希『千早さんが再現してくれればいいって思うな!』

千早『ええ!? 無理よ! 私、モノマネなんて‥‥』

美希『大丈夫なの! やってくれたら、ミキと春香も何かモノマネするから』

春香『ええ!?』

千早『そこまで言うなら‥‥誰にも言っちゃだめよ?』

美希『わかってるの!』


響「まあ、全部筒抜けなわけだけども」

真美「隠し撮りの本領発揮だねぃ」


千早『じゃあ、その場面の少し前から‥‥ごほん』

千早『ショッカーライダー、ナンバー1!』キリッ

千早『ショッカーライダー、ナンバー2!』キリッ

千早『ショッカーライダー、ナンバー3!』キリッ

千早『しょっかーらいだー、なんばーほー↑!』


春香美希『wwwww』

千早『あと、その少し前の話なんだけど‥‥確実に演技が過剰な場所があるのよ』

春香『どんなどんな?w』

千早『ええと‥‥ごほん』

千早『本郷猛! ハエトリバチと海に落ちた時』

千早『ケガをしているな!?』キリッ ババッ

春香『いやいやいやいやwwww』

美希『どうしてそんなに得意気なの‥‥www』


真美「実際の映像は知らないけど、なんか面白いねwww」

やよい「多分、千早さんがやってるからじゃないかなぁ」

雪歩「スタッフさんの中には、大爆笑してる人もいるね」


千早『とまあ、こんな具合よ』

春香『いやー、それはちょっと見てみたいなあ』

千早『プロデューサーと音無さんに話したら、喜んでくれてたわ。最近は、結構特撮の話題で盛り上がったりするわね』

美希『そういえば、小鳥がこないだ変なポーズとってたの』

千早『まあ、この話はまた後ででも。次はあなた達がモノマネでしょう?』

春香『モノマネかあ‥‥じゃあ、ラーメンを食べる貴音さん』



貴音「はて、これは興味深いですね。特に変わった食し方はしていないと思うのですが‥‥」

響「まさか‥‥www」



春香『ごほん‥‥さて、早速いただきましょう。では‥‥これはなんとも、まことに美味な‥‥ばふっ!』

千早『wwwwwww』

美希『反則www それ反則なのwwwww』



貴音「」

響「やっぱり! あー、また思い出しちゃったぞwwwww」


美希『じゃあ、次はミキだね。えーと、こないだ、事務所でテレビを見てた時なんだけど‥‥小鳥と雪歩も一緒に見てたかな。
 その時、真君が出てたの。芸能人対抗で、バスケしてたんだけど‥‥真君、あまりに強すぎて、真君にパス出せば得点、みたいになってたから、空気を読んだチームメイトが、真君にボール回さなくなったの』

春香『なんとなく想像できるなあ』

美希『その時の真君の真似。えー‥‥』

美希『ヘイ! ヘイヘイ!』バッバッ

春香『んふ‥‥ww』

美希『ヘイ!ヘーイ!ヘイヘイ!ヘイ!』スタタンスタタン

千早『何、その動き‥‥wwww』


真「」

やよい「ぷふっ! ま、真さん、あんな動きしてたんですか‥‥?wwwww」


美希『もう、事務所が割れんばかりに大爆笑だったの。ミキと小鳥と雪歩の間じゃ、しばらく鉄板ネタになってたの』


真「」チラッ

雪歩「」サッ


春香『はあ‥‥お腹いたいよー。じゃあ次、また千早ちゃんだね』

千早『まだやるの!?』

美希『うん! なんか、新しい境地に至れそうなの! 歌の仕事にも繋がると思うな!』

千早『そ、そう? それじゃあ‥‥』


伊織「何言ってんのあの子www」

響「ショッカーライダーがどうやって歌に繋がるんだよwww」


千早『じゃあ‥‥そうね‥‥新日本プロレス、蝶野選手が、STFをかけている時の切なそうな掛け声』

春香『え!?www』

千早『‥‥ぇへへへぁ! ぇへへへぁ!』

美希『ぷぐぅ‥‥!』プルプル

春香『じゃ、じゃあ次私! 全日本プロレス社長、武藤選手が4の字をかけている時の、なぜか自分が苦しそうな掛け声』

美希『ちょ‥‥www』

春香『‥‥んぁふぁははぁ! んぁふぁははぁ!』

千早『ぇへへへぁ! ぇへへへぁ!』

美希『やめてwww やめてwwwwww』


響「なんだこの空間wwww」

亜美「こんなの、お茶の間に流していい映像じゃないよー!www」


美希『はあ、はあ‥‥www』

美希『菊地ステップ』スタタンスタタンスタタン

春香『あははははははは!』

千早『ふ、ふふふ‥‥』


あずさ「わ、私ちょっと‥‥もうだめ‥‥wwwww」

伊織「この子達、普段からこんな事してるのかしら‥‥www」

真「」ポチッ ポチッ

伊織「あ! こら!wwww」


ドン! ガタガタ!

3人『ひゃあ!』


響「鬼かwww」

真美「何これ、制裁に使う機械なの?www」

伊織「ま、まあ、これ以上こんな、謎の映像をお届けするわけにもいかないし‥‥www」


春香『はあ‥‥笑った笑った』

美希『さっきから、なんなのかな。何かいるの?』

千早『まさか‥‥いえ、でも確かに、こんな場所だし、狐の1匹くらい紛れ込んでてもおかしくないかもね』

春香『でも‥‥さっきまで、稲川さんのところの撮影してたんだよね? こんなに音立てられたら、追い出してるんじゃないかなあ』

3人『‥‥‥‥』

美希『‥‥!』ビクッ

千早『美希? どうかしたの?』

美希『あの‥‥や、なんでもないの』

春香『え? 美希、言いたい事があるなら、言ってもいいんだよ? 無理にとは言わないけど‥‥』

美希『うん‥‥どうしても、どうしても我慢できなくなったら、聞いてもらうの』


響「お? なんか、雲行きが怪しい感じ?」

伊織「じゃあそろそろ、ちょっと大きめのネタ行ってみましょうか。雪歩、いい?」

雪歩「うん、大丈夫」

響「えー、視聴者さんに説明しておくと、この山小屋、実は携帯の電波が入らないんだ」

亜美「更に、置いてある固定電話は改造してあって、特定の番号にしかかけられないんだよねー?」

伊織「そうよ。変にパニックになって、110番とかにかけられたら困るしね」

やよい「その電話を、これからちょっとイタズラに使っちゃいます!」

伊織「じゃあ雪歩、お願い」

雪歩「はーい」ポパピプペ


プルルルル プルルルル

春香『あ』

千早『電話ね。萩原さんかしら』

春香『あ、そうかも。出るね』ガチャ

雪歩「あの‥‥もしもし」

春香『あ、やっぱり雪歩だ! もしもーし』

雪歩「あ、春香ちゃん? 今ね、私も近くまで到着して、夜のお散歩がてら、車降ろしてもらったの。そろそろ携帯使えなくなるみたいだから、呼び鈴鳴らしたら、鍵開けてもらえる?」

春香『うん、わかった。暗いから気をつけてね』

雪歩「はーい。‥‥あれ? 今、何か‥‥え?‥‥きゃああああああ!」

春香『もしもし!? 雪歩! 何!? どうしたの!?』

雪歩「いやあああ! た、助け‥‥春香ちゃ」プツッ

春香『雪歩!? 雪歩ぉ!』ツー ツー ツー

千早『春香?』

美希『ど、どうしたの?』


雪歩「ふう‥‥ど、どうかな?」

響「おー、かなりいいんじゃないか?」パチパチパチ

伊織「これは、何かしらの役が来てもおかしくないんじゃないかしら」パチパチパチ

雪歩「えへへ‥‥あ、様子はどう?」


春香『千早ちゃん! 美希! 雪歩が!』ダダッ

千早『春香!?』

春香『雪歩!? 雪歩! どこ!?』ガチャ

美希『落ち着くの! 雪歩がどうかしたの!?』

春香『い、今、車降りたから、もうすぐ着くって‥‥でも途中で、なんか、叫びだして‥‥』

千早『叫んだ?‥‥そんな声、外から聞こえたかしら‥‥』

春香『でも‥‥でも途中で、電話が切れちゃって‥‥雪歩、どうしたのかな‥‥大丈夫かなぁ』ジワッ


真「あっ」

やよい「春香さん、泣いちゃいそうです‥‥」

雪歩「な、なんか罪悪感が‥‥」


千早『‥‥とりあえず、中に入りましょう。もしかしたら、また連絡が入るかもしれないし』

美希『そうだね‥‥それに雪歩の事だから、いきなり男の人を見ちゃっただけかもしれないの!』

春香『男の人‥‥こんなところで?』

ヒューー ザワザワザワ‥‥

美希『‥‥‥‥』ゴクッ

千早『‥‥春香、美希。中に‥‥』

春香『うん‥‥』


伊織「信じられるかしら。この子達、つい数分前まで、レスラーのモノマネとか謎のステップで馬鹿笑いしてたのよ」

真美「俄然緊張感が出て参りましたなあ」


春香『‥‥もう、こんな時間なんだね』

千早『そうね‥‥』

美希『‥‥‥‥』

千早『美希?』

美希『なんでもない‥‥大丈夫なの』

春香『‥‥ご飯、用意しよっか。そろそろお腹減るよね』

美希『う、うん! せっかくだからミキ、やっぱり春香の作ったおにぎりが‥‥あ』

春香『お、おにぎり‥‥』

千早『おにぎり‥‥』

美希『や、やっぱり今のなし! 他のものにするの!』

春香『う、うん! そうだね! 何があるか見てみよっか!』


やよい「美希さん、どうしたんでしょう。あんなに大好きなおにぎりなのに」

貴音「恐らく、先の稲川殿の怪談‥‥赤いおにぎりを想起してしまったのでしょう」

響「あー、なるほど。今になって‥‥ん? ひょっとして、美希がいるからラインナップに、あの話入れたのかな」

伊織「さすがね。尊敬しちゃうわ」

真「伊織が人をべた褒めって珍しいね」

伊織「いつか私が今の家を出て自分で建てる時には、絶対彼にデザインを依頼するわ!」

真「あ、はい」


春香『ここにある食料は好きにしていいって事だから‥‥結構、なんでもできそうだね。傷みやすい物は置いてないみたいだけど』

千早『流石ね。私だけだったら、その辺の缶詰とかで済ませてしまいそう』

美希『ミキ的には、何か暖まる物が食べたいかな。さっき外出たら、すっごい寒かったし』

春香『うーん‥‥シチューでも食べる?』

千早『いいわね』

美希『ミキも賛成なの!』

春香『手伝ってもらっていいかな。野菜の皮剥いてくれる?』

千早『わかったわ』

美希『はーいなの』


響「これ、春香抜きで2人に自炊企画とかやってみてほしいな」

亜美「うわー、それ怖いねー」

真「勝手なイメージだけど、千早って慣れない料理に勝手なアレンジ入れて失敗したりしそう」

あずさ「そうかしらぁ。私は逆に、カッチリとレシピ通りに作りそうな気がするわ」

真美「ミリグラム単位とか秒単位で、少しでも狂うとやり直しみたいな?」

雪歩「美希ちゃんは、まあ‥‥まあ」

やよい「でも、何かの理由で覚えようと思ったら、きっとすっごく早く上手になると思います!」

響「ところで、この時間、何?」

伊織「何って‥‥3人、主に春香が料理を作ってるのを、事務所の仲間がただただ見てるっていう‥‥」

響「なんだそれ‥‥www」

貴音「しかし、刃物を使っている時に驚かせては、危険ですからね」

伊織「暇だし、律子の様子見てみましょうか」カチッ

律子『ふー、ふー‥‥ずずず‥‥モグモグ』

伊織「‥‥‥‥」

響「‥‥‥‥」

律子『はふ‥‥ん? んぇ!? これ、回ってるの!?』

響「元アイドルとはいえ、プロデューサーがカップ麺すするっていう、もっと謎の映像が‥‥www」

伊織「そっちの様子は? さっき聞いた話じゃ、相当寒いらしいけど」

律子『あ、ええ。結構な冷え込みね。予報じゃ、雪も降ってくるみたいよ』

真「カップ麺は何を食べてたの?」

律子『えーと、ウルトラカップのトンコツ味を‥‥って、関係ないじゃない!』

真「あはははは」

律子『で、何の用? 何かあった?』

伊織「特にないんだけどね。あの子達、料理始めちゃって。暇だから、とりあえず、そっちの映像でもと思って」

律子『ああ、そんな事? そういえば、あなた達にも夕飯出るはずよ。スポンサーから差し入れがあったと思うわ』

伊織「そうなの? ちょっと待って。‥‥あ、うん。あるみたい」

律子『しっかり感想とか言うのよ。それじゃ、そろそろ中継切るわね』

響「麺が伸びちゃうから?」

律子『そうそう。私、硬めの方が好きなのよね。スープも冷めちゃうし‥‥って、違うわよ!』

響「んふっ」

伊織「じゃ、またね」プツン

響「‥‥‥‥」ポチッ

伊織「んっふ‥‥ww」

律子『ふー、ふー‥‥ズルル‥‥』

伊織「wwwwwww」

響「wwwwww」

律子『んぐ‥‥はふ‥‥んん!?』

響「あっはっはっはっは!」

伊織「スタッフの食事風景を放送する、アットホームな番組」

律子『あんた達ねえ! 公共の電波を使って遊んでるんじゃ』

響「ばいばーい」プツン

伊織「というわけで、夕飯食べましょうか」

響「多分、今もう1回中継繋げたら、カメラの前で待ってるんだろうなあ。もうやらないけど」

真「スポンサーさんからだっけ? 今日の放送のスポンサーって言ったら‥‥」

AD「こちらでーす」

伊織「佐藤水産さんから、鮭のルイベ漬けと石狩味とロッキーサーモン! わかさいも本舗さんからは、銘菓わかさいもが届いていまーす!」

パチパチパチパチ

亜美「いえーい!」パチパチパチ

真「待ってましたー!」パチパチパチ

響「番組で白いご飯を用意してくれたから、これに乗っけて食べるといいみたいだぞ」

伊織「まあ、この事務所で食べ物と言えばって事で‥‥まず、貴音に食べてもらいましょうか」

貴音「よいのですか? では‥‥はっ!」

伊織「ん?」

貴音「‥‥‥‥」クンクン

響「いやいやいやwwww」

伊織「流石にそんな罠は用意してないわよ‥‥www」

貴音「これは失礼を。では‥‥」パクッ

真美「どうなのどうなの?」

貴音「これは‥‥この、るいべ漬け、でしたか? 初めて食しましたが、これほど美味なる物だとは‥‥」

真「へえ。ルイベってなんだろう。見た目、生の鮭に見えるけど」

響「えーと‥‥ルイベって言うのは、鮭を一旦凍らせた物の事みたいだぞ。何々? なんでも、鮭には寄生虫がついてて、生で食べるのは危険だから、1回凍らせる事で、寄生虫を駆除するんだってさ」

やよい「1回凍ってるって事は、お刺身とは違う感じですかぁ?」

貴音「そうですね‥‥ぷりぷりとした歯ごたえが、僅かに増しているように感じられます。風味も、鮭特有の香りが心地よく鼻を通り抜けますね。私にはまだ無縁ですが、お酒を嗜む方にも好まれる味だと思います。‥‥私だけでは情報が不十分かも知れませんね。やよい、口を開けてください」

やよい「いいんですか? あーん‥‥むぐむぐ」

真「どう?」

やよい「わあ! すっごく美味しいです! これなら、弟達もお父さん達も、家族全員が美味しく思えるかなーって!」

響「イクラもたっぷりだなあ。あ、自分、こっちにも興味あるんだけど」

伊織「石狩味ね。じゃあこれは、あずさが最初に」

あずさ「あらあら、いいいのかしら。じゃあ、いただきます。‥‥もぐもぐ」

響「どうなの?」

あずさ「あら。これは‥‥こっちは、糀と一緒に漬け込んであるのかしら。とてもいい香りがするわぁ。貴音ちゃんが食べた方に比べると、少し身が柔らかいみたいね。味も、ちょっぴり大人向けだと思うわ。ご飯もいいけど、やっぱりお酒が欲しくなっちゃうわねえ」

伊織「お酒といえば、こっちは完全におつまみっぽいわね。響、最初にいってみる?」

響「ロッキーサーモンだっけ。いいの? じゃあ遠慮なく」

真美「真美たちも早く食べたいよー!」

伊織「わかったわよ。ほら」

響亜美真美「もぐもぐ」

雪歩「見た目は、鮭とばっぽいね。やっぱり硬いのかなあ」

響「んーん! 全然硬くないぞ! 燻製っていうから、もっと煙臭いのかと思ったけど、そんな事もないし!」

亜美「うんうん! これ、美味しいよ!」

真美「延々食べ続けちゃって、気がついたら無くなってるタイプっぽいよね!」

伊織「じゃあ、私達も頂きましょうか。わかさいもは、デザートね」

アイドル「いただきまーす!」

ワイワイガヤガヤ


雪歩「私、わかさいもって初めてだけど、お茶請けによさそうだね」

真美「知ってる? 雪ぴょん。わかさいもって、お芋使ってないんだぜ!」

雪歩「え!? そうなの?」

真「でも‥‥ほら、割ってみたら、ちゃんとお芋の繊維とかもあるよ?」

亜美「それ、昆布なんだってさ。ほら、袋の材料のところ見てみなよ」

雪歩「えっと‥‥あ、本当だぁ」

真美「技術と努力の結晶ってやつだね!」

亜美「お菓子界のアイドルと言っても過言ではないっしょ!」

ワイワイガヤガヤ


アイドル「ごちそうさまでした!」

伊織「と、いうわけで、本日紹介した商品が欲しい方は、それぞれのホームページまで!」

響「っと、そろそろ春香達も食べ始めてる頃かな」

伊織「そうね。どれどれ‥‥」



春香『はいどうぞ。召し上がれ!』

千早美希『いただきます』

春香『シチューだけじゃ、おかずが無いから、ベーコンと野菜の炒め物も作ってみたんだよ』

千早『美味しいわ。流石ね』

美希『うん! 春香って、いいお嫁さんになりそうだよね。なんならミキが貰っちゃうの!』

春香『えへへ。ありがと』

美希『でもミキ、シチューがおかずにならないっていうのは、ちょっとわかんないの』

春香千早『え?』

美希『え?』

千早『み、美希。それ‥‥何してるの?』

美希『何って?‥‥普通に、ご飯にシチュー乗っけてるだけだけど‥‥』

春香千早『』

美希『え? え? な、何? なんなの?』


亜美「うあうあー! ミキミキ何やってるのー!?」

真美「そんなん、ありえないっしょー!」

響「え? そ、そうか?」

伊織「クリームシチューに白ご飯、美味しいじゃない」

真「伊織! そんなの、お金持ちはやっちゃいけない食べ方じゃないか!」

伊織「ええ? じゃあ‥‥ご飯にシチュー乗せたり、シチューにご飯入れたりする人」

伊織・響・あずさ・やよい・雪歩

真「じゃあ逆に、それはないよーって人」

真・亜美・真美

伊織「ほら御覧なさい!」

真「ちょ、ちょっと待ってちょっと待って!」

亜美「お姫ちんは?」

貴音「私は‥‥びぃふしちゅぅならば、白いご飯にも合うかと‥‥」

真美「今はクリームシチューの話っしょー!」

貴音「それならば、やはり出来れば、ぱんで頂きたいですね」

伊織「案外割れるものねえ」

響「でもさ」

伊織「うん?」

響「自分、伊織にはあんまり、この食べ方してほしくないぞ。イメージ的に」

あずさ「たしかに、あんまりお嬢様って感じはしないかしらねぇ」

伊織「」


春香『それ、美味しいの?』

美希『美味しいよ! だって、ドリアとかと同じようなものなの!』

千早『たしかに、言われてみればそうなのかしら‥‥』


貴音「さて、それでは、そろそろ行ってまいります」

伊織「あ、そうね。そろそろいい頃合いかしら」

やよい「貴音さん、どこか行っちゃうんですか?」

貴音「ふふ‥‥機械だけでなく、人間の手による盛り上げも必要だと、すたっふの皆様に言われまして」

響「じゃあ貴音、現場着いたら連絡頼むぞ」

貴音「承知しています。それでは、また後で」

響「よいしょ」ポチッ



バン!

春香『んぐ‥‥!』

千早『‥‥‥‥』


伊織「その、気軽な作業みたいな感じで雑に押すのやめなさいよwww」

響「ここに座ってると、独裁者か何かになった気分さー」

真「でも、そろそろ反応が薄くなってきたね」

伊織「始めに聞いた怪談も合わせて、地味に効いてはいるんでしょうけどね」

あずさ「美希ちゃんが言いかけてた事の内容が気になるわねぇ」

響「じゃあ‥‥ちょっと、攻め込んでみるか」ポチッ ポチッ


ガン! ドン!

春香『!‥‥今の音、どこから聞こえた?』

千早『‥‥気のせい。気のせいよ』

美希『‥‥‥‥』

春香『‥‥そう、だよね。うん‥‥』


伊織「どこ鳴らしたの?」

響「3人のいるリビング」

伊織「攻めるわねー‥‥w」

響「でもほら、何か動き出そうだぞ」


美希『ねえ‥‥やっぱり、さっきの話‥‥聞いてもらっていいかな?』

春香『うん‥‥』

千早『何か、よくない事なの?』

美希『多分、これを言ったら、2人とももっと怖くなっちゃうと思うから‥‥ミキ、我慢してようって思ってたんだけど‥‥』

春香『あ、やっぱやめて』

美希『え!?』

春香『えへへ、嘘だよ嘘。私はちゃんと聞くよ。ミキだけが怖い思いするの、変だよ』

千早『私も大丈夫。言ってみなさい?』

美希『うん‥‥ねえ、2人は、淳ちゃん、なんでここにいたんだと思う?』

春香『え? それは‥‥撮影でしょ?』

美希『淳ちゃんが関係する撮影ってさ‥‥絶対、ホームコメディとかじゃ、ないよね』

春香『!!』

美希『それに、もしドラマとか映画なら、役者さんがいないと変なの。あの時、淳ちゃん以外はみんなスタッフだった、よね?』

春香『稲川さんが単独で出演する番組‥‥』

千早『‥‥いわく付きスポットの取材‥‥かしらね』

3人『‥‥‥‥』


響「おー、そうきたか」

あずさ「美希ちゃん、賢いわねえ」

伊織「これはなかなか、こっちに都合よく話が転がったわね」

真「あれ? なんか、中継先から用事みたいだよ」

伊織「あら。はいはい、何かしら?」

律子『こちら現場でーす。今、貴音が到着したわ』

貴音『お待たせいたしました』

亜美「随分早くない?」

律子『人里離れてる山を演出するために、あっちこっち走って時間を潰したけど、この現場、そこのスタジオのすぐ裏手なのよ。携帯の電波がちょうど入らない場所で助かったわ』

響「じゃあ貴音、予定通り頼むぞ」

貴音『わかっております』

やよい「貴音さん、何するんですか?」

響「まあまあ、見てればわかるさー」


春香『‥‥まだ、こんな時間だ』

千早『黙ってると、時間が経つのが遅いわね』

美希『2人とも、ごめんね。ミキ‥‥』

春香『いいんだよ! あんな話、1人で抱えてたら、美希がどうにかなっちゃうよ!』

千早『そうよ。話してくれて、嬉しいわ』

美希『うん‥‥』

コン、コン

春香『!!』

美希『今‥‥』

千早『しっ、ちょっと静かに‥‥』

コン、コン

春香『‥‥雪歩、かな』

千早『萩原さんなら、あの後すぐに電話してきてるんじゃないかしら‥‥』

美希『でもこの辺、携帯の電波弱いから‥‥』

コン、コン

春香『ゆ、雪歩? 雪歩なの? 大丈夫だったの?』

コン、コン

千早『‥‥萩原さん? もしそうなら、返事を‥‥』

‥‥るか

春香『え?』

貴音『春香、ここを開けてください』

春香『た、貴音さん‥‥?』

千早『四条さんが‥‥なぜここに?』

貴音『春香、ここを開けてください』コンコン

春香『も、もしかしたら、何か変更があって‥‥』

美希『でも、それなら多分、律子から電話があるはずなの‥‥』

千早『‥‥四条さん。四条さんですか? どうしてここに?』

貴音『ここを開けてください。ここを開けてください』コンコン


亜美「うっわー! 怖いよー!」

真「わかってても少しゾッとするなあ」

響「じゃ、そろそろ‥‥」ポパピプペ


プルルルルル プルルルル

春香『電話‥‥』

美希『きっと律子なの! やっぱり、変更があったんだよ!』

春香『も、もしもし?』

響「あ、春香か? 自分だけど」

春香『ひ、響ちゃん?』

響「うん。今、移動中でさー、退屈だから、ちょっとかけてみたんだ」

春香『響ちゃん! 今、貴音さんが‥‥』

響「貴音? 貴音に用事なのか? だったら、代わろうか?」

春香『‥‥え?』

響「ん? どうしたんだ? あ、言ってなかったっけ。今回の撮影、貴音も一緒なんさー。明日は一緒に温泉入って、美味しいものでも‥‥春香?」

春香『ひ、響ちゃん‥‥そこに‥‥いるの? 貴音さん‥‥』

響「うん。後ろの席に乗って‥‥あ、うん。そう、春香。なんか、貴音に用があるみたいだけど」

春香『』

響「あ! ごめん春香! トンネル入っちゃうから、かけなお」プツッ

ツー ツー ツー

千早『‥‥春香?』

春香『‥‥貴音さん、いるんだって‥‥響ちゃんと、一緒に‥‥』

千早美希『』

貴音『ここを開けてください。ここを開けてください。ここを開けてください』コンコンコンコン


響「結構うまくいったかな」

伊織「上出来じゃない」

やよい「響さんすごいですー!」

響「自分、完璧だからな。まあ、貴音のあれが凄いから、インパクト薄そうだけど」

伊織「そうね‥‥ついでに、音もいっときましょうか。玄関近くの壁でも‥‥」ポチッ


バン!

春香『ひっ!』

千早『っ!』

美希『んん‥‥!』

貴音『!?』ビクンッ


伊織「ちょっと!wwww」

響「貴音wwww」

やよい「貴音さん、ちょっと可愛かったかも!」

響「そろそろ、貴音攻撃は終わりかな」



貴音『ここを開けてください‥‥』コン

春香『ううう‥‥』

貴音『‥‥‥‥』

千早『‥‥?』

貴音『開けろ!』ドンッ

美希『ひ‥‥!』

貴音『開けろ! 開けろ! 開けろ! 中に入れろ!』ドンドンドン

3人『』


響「こわいこわいこわい! こわいよー!www」

雪歩「私がこれ仕掛けられてたら、多分死んでたよ」

伊織「人気アイドル萩原雪歩、ドッキリで死去。プロダクションと所属アイドルは関与を否定」

雪歩「ちょっと‥‥www」

響「ええ、真面目な、いい子でしたよ。近所でも、悪い噂とかは全然聞かなかったし‥‥よく、ここの公園に家族で来てましたよ。私も何度か挨拶して‥‥こんな事になって、驚いてます。‥‥ねえ?」

真「にゃーお‥‥」

あずさ「残念なお知らせでしたね‥‥では次は、お待ちかね! デパ地下グルメのコーナーです!」

雪歩「やーめーてーよぉwwww」

亜美「年上って、1回ふざけだしたら、亜美達よりタチ悪いよね」

真美「ちゃんと見ようよー」



貴音『開けろ‥‥開けろ‥‥』ドンドン

春香『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい‥‥』

美希『パパママお姉ちゃんご先祖様‥‥いい子にするから助けてください‥‥』

千早『帰命無量寿如来 南無不可思議光 法蔵菩薩因位時‥‥』



響「なんか、他の2人が可愛げのある怖がり方してる中、1人だけガチ対処してるんだけど」

やよい「ちょっとシュールです‥‥」


貴音『開けろ‥‥開けろ‥‥』ザッ ザッ

春香『‥‥‥‥』

貴音『開け‥‥開け‥‥ろ‥‥』ザッ ザッ

美希『‥‥‥‥』

千早『善導独明仏正意 矜哀定散与逆悪 光明名号顕因縁‥‥』ブツブツ

春香『‥‥どっか、行った‥‥』

美希『‥‥はっ!』

千早『本師源空明仏教 憐愍善悪凡夫人‥‥』ブツブツブツ

美希『千早さん! 千早さん!』

千早『真宗教証こ‥‥み、美希?』

春香『もう、どこかに行っちゃったみたいだよ』

千早『そう‥‥ふう』

美希『なんか、やり遂げたみたいな顔してるけど‥‥お経関係あるのかな』


響「えーとですね‥‥ないです!」

伊織「wwwww」

真「さっきの怖がってる様子さ、なーんか覚えがあると思ったら‥‥あれじゃない? お腹壊して、トイレに篭ってる時の」

響「あはははは! それだ! ごめんなさいごめんなさい、とか、いい子にしますからぁ! とかwww」

伊織「ちょ、ちょっと待ってwww じゃあ千早はお腹壊した時‥‥」

真美「んふふっ!やめてよいおりん! 想像しちゃうじゃん!www」

響「こ、こう、手を組んでさ、目の前の空間を睨み付けながら‥‥とーけんしょーぶつじょーどーいーん‥‥」

アイドル「wwwwwwwwww」

伊織「やめて! 勘弁して! ひー!wwww」

やよい「息、息れきないれすぅ!wwww」

真「じ、事務所でさ、トイレから念仏聞こえてきたら‥‥」

響「あ、千早今日、お腹の具合悪いんだー‥‥って、みんなちょっと優しくなって」

亜美「あっははははは! けほっけほっ! そ、そんな気の遣われ方、嫌すぎるよ! あはははは!」

伊織「ダ、ダメこれww 中継、中継繋ぐわ!www」カチッ

律子『ちょ、ちょっと! やめなさいよ! アイドルがトイレの話で爆笑するんじゃないわよ! ‥‥くっふ』

貴音『‥‥っwwww』プルプル

響「あ、ダメだこれwww あっちも今の会話聞いてたwww」

伊織「はーっ、はーっ‥‥た、貴音、おちゅ、お疲れ様‥‥」

響「ぜえ、ぜえ‥‥はあ‥‥ナイス演技だったぞ!」

貴音『あ、ありがとうござ‥‥うっく‥‥!wwww』

伊織「ちょーっとぉ!wwwww」

貴音『も、もうしわ‥‥ひふっ! くくっ‥‥www』

響「よーしダメだ! 1回、春香達の様子見よう! その間に落ち着こう!」


春香『‥‥美希、大丈夫?』

美希『うん‥‥ありがと‥‥』

千早『もう一度、戸締りを確認しておきましょうか。こういう時こそ冷静にならないとね』

春香『そうだね。美希、どうする? 一緒に行く?』

美希『‥‥それも怖いけど、1人で待ってるのは、もっと怖いような‥‥』

春香『そうだよね‥‥うん、わかった。千早ちゃん、美希と一緒に、ここで待っててあげて』

美希『春香?』

千早『構わないけど‥‥大丈夫なの?』

春香『少しだけど、美希は年下だもん。あんまりおっかない思い、させたくないよ。そんなに大きい建物じゃないし、平気だから』

美希『春香ぁ‥‥』


響「おーっと、これはすごいなあ」

やよい「春香さん、かっこいいです!」

真「ここに来て、初めての単独行動かな」

伊織「この小屋は、1階に3つ、2階に2つ部屋があるわ。どうしても、2人が視界からいなくなる場所が出てくるわね」


千早『‥‥わかったわ。部屋同士を繋ぐドアは、全部開けたままにしておきなさい。何かあったら、大きな声を出して。すぐに行くから』

春香『うん、わかった。じゃあ、行ってくるね』

美希『春香‥‥ごめんね‥‥』


真「美希って大人びて見えるけど、こういう状況になると、やっぱり本来の年齢差が活きてくるね」

伊織「私なら大丈夫だけどね」

真「あ、はい」


春香『この部屋は‥‥談話室みたいに使う部屋かな。窓は‥‥うん、OK』チラッ

春香『ここならまだ2人が見えるから、大丈夫大丈夫‥‥』

千早『春香、平気?』

春香『うん! ここはちゃんと鍵も閉まってたよ! 次は‥‥』

春香『うっ、ここだと、死角になっちゃうのか‥‥こわいよー』

春香『なんの部屋だろ‥‥管理人さんが使ったりするのかな。窓は‥‥』

美希『春香! 大丈夫!?』

春香『うん、平気だよー! よしっと』


響「1階はクリアだな」

雪歩「2階は怖いよね‥‥私だったら、絶対無理‥‥」


春香『じゃあ、上に行ってくるね。すぐ戻ってくるから』

千早『気をつけて‥‥』

春香『はーい。よし!』

春香『うわー、なんか暗いなあ‥‥電灯、ほこり被ってるのかな』

春香『2階には、部屋2つあるんだ‥‥まずは‥‥』ガチャ

春香『客室、かな‥‥窓は‥‥OK』


伊織「‥‥そろそろ、いってみる?」

響「えー? ちょっと可哀想じゃないか?」

伊織「そうねえ‥‥えい」ポチ

響「えい」ポチ


ドン! バタン!


春香『ひう‥‥!』ペタン


響「視聴者の好感度が下がってくのが、手に取るようにわかるぞ」

伊織「これは仕事だから。仕事だから仕方ないのよ」


春香『あ、あれ‥‥ちょ、あれぇ?』ガクガク


真「ん? あ、腰抜かしちゃったのかな」

亜美「これは、残ってる2人に助けてもらうしかないかなぁ」

やよい「あれ? でも亜美、ちょっと見て」


美希『春香!』バタバタ

春香『み、美希?』

美希『春香! 大丈夫!?』ギュッ

春香『う、うん。大丈夫。ちょっと、驚いちゃっただけ‥‥どうしたの?』

千早『大きい音が鳴った瞬間、いきなり走り出したのよ。お陰で取り残されるところだったわ』

美希『もう遅いかもしれないけど、ここからは一緒に行くの!』

春香『美希‥‥そっか。ありがとう!』ギュッ


伊織「いーはなしですこと」モッシャモッシャ

響「涙がちょちょぎれますなあ」モッシャモッシャ

真「あーあーあー、すっかり自暴自棄に‥‥www」

伊織響「荒んだ心に、ロッキーサーモン! 大人気販売中!」

真「2人は、何? どんな層を開拓しようとしてるの? 何を目指そうとしてるの?」


春香『この部屋の窓も‥‥よし、大丈夫だね!』

千早『戸締りは完璧ね。少しだけど安心できるわ』

美希『うん! 下に戻るの』


伊織「さて、そろそろ貴音に話聞きましょうか。どうだった?」

貴音『そうですね。私、あのような役柄は初めて挑んだのですが‥‥』

真美『うんうん。お姫ちんがあんな言葉遣いしてるの、聞いた事ないもんね』

貴音『やってみると、意外とどうにかなるものですね。楽しんで演じる事もできました』

響「相当怖かったぞ。関係者がこの放送見てたら、仕事の幅も広がるんじゃないか?」

貴音『ふふ、そうですか。もしもそういう話があれば、前向きに取り組みたいですね』

律子『仕事の幅といえば、伊織、響』

伊織「ん、何よ?」

律子『あんたらは今後、歌番組よりバラエティ路線メインが希望って判断でいいのよね。伝えておくわ』

伊織響「」

亜美「こういうの、なんていうんだっけ。自業自得?」

真美「身から出た錆?」

あずさ「両方正解ねぇ。‥‥私と亜美ちゃんは、一緒に巻き込まれる可能性があるのかしらぁ」

亜美「えー! いおりーん!」

伊織「まあまあまあまあまあ。とりあえず、今の仕事を頑張りましょう」


春香『ねえねえ。何か、温かい飲み物でも用意しようか』

千早『そうね。冷え込んできたし。春香は食事を用意してくれたし、私がやるわよ』

美希『じゃあミキ、手伝うの』


響「なんか、大分落ち着いたみたいだな」

伊織「そろそろ、大きな音を立てるくらいじゃ新鮮な反応は得られないでしょうね」

真「どうするの? ネタばらし?」

伊織「なーに言ってるのよ。忘れたの? 今回の企画は、765プロオールスター。まだ出てない関係者がいるじゃない。別の中継先、繋ぐわよ」カチッ

小鳥『あっ‥‥番組をご覧の皆様、初めまして。765プロで事務、その他雑務を担当しております、音無小鳥です』

伊織「765プロを陰で支える、縁の下の力持ち! 音無小鳥でーっす!」

真「あ、小鳥さんも参加するんだ」

響「まあ、プロデューサーも画面に映ったくらいだしな」

伊織「小鳥、そろそろ大詰めが近そうだから、手筈通りに頼むわよ」

小鳥『ええ、わかったわ。それじゃあ‥‥』ポパピプペ


プルルルル プルルルル

千早『電話‥‥はい』

春香美希『‥‥‥‥』ゴクリ

小鳥『夜分遅くに恐れ入ります。私、765プロの音無と申します。本日、こちらに当プロダクションのアイドルが‥‥』

千早『音無さん!』

小鳥『あら、千早ちゃん? お疲れ様。どう? 何か、困った事とか、明日の撮影で必要になった物とかは』

千早『音無さん! お願いします! 助けてください!』

小鳥『ち、千早ちゃん。どうしたの? まずは落ち着いて‥‥ね?』

千早『す、すみません‥‥』

小鳥『事情はわからないけど、安心して。ちゃんと話は聞くから』

千早『ありがとうございます。実は‥‥』

小鳥『あ、ごめんなさい。その前に』

千早『はい?』

小鳥『ちょっと、周りの声が大きくて、よく聞き取れないの。少し小さな声で話すように言ってもらっていいかしら』

千早『‥‥え?』


響「うわあああ! 怖い! これ、自分は今までで一番嫌だぞ!」

真美「ピヨちゃん、演技派だねー!」


千早『あの、音無さん‥‥周りに‥‥喋っている人はいません』

小鳥『え? 千早ちゃん、どういう事?』

千早『今、ここにいるのは‥‥私と春香、美希の3人だけです。春香と美希は、通話が始まってから、一言も口を開いていません』

小鳥『そんな‥‥でも、今だって‥‥ううん、わかった。わかったから、状況を説明してもらえる? ゆっくりでいいから』

千早『はい‥‥』


伊織「これ、すごく頼もしいわよね。急に味方を得た気分になるんじゃない?」

真「実際は小鳥さんも敵だけどねw」

伊織「まあね‥‥www」


千早『それで、今さっき、改めて戸締りを確認したところです』

小鳥『そう‥‥』

千早『あの、こんな事、馬鹿げているように思われるでしょうが、本当の事なんです!』

小鳥『わかってる。大丈夫よ。私は、千早ちゃん達を信じてるから』

千早『ありがとう、ございます‥‥』グスッ

小鳥『とにかく、すぐ社長に連絡をしておくわ。事情を説明すれば、きっと助けに行けると思うの』

千早『わかりました』

小鳥『折り返し電話するから、待っててね。くれぐれも、悲観的になっちゃだめよ。アイドルは、笑顔が命なんだから。ね?』

千早『音無さん‥‥わかりました。2人にも、そう伝えておきます』

小鳥『うん。それじゃ、また後で』ガチャン


伊織「お疲れ、小鳥」

響「ナイスナイス! すっごいよかったぞー」

小鳥『うふふ、ありがとう。それじゃ、そろそろ中継を‥‥』

真「えー? せっかくテレビに映ってるんだから、もう少し何か喋ったらどうです?」

真美「そうだよ! 人気者になれるかも知んないよ!」

小鳥『いいのよ。私より、みんながたくさん映ったり喋ったりして、もっとたくさんの人に見てもらえる方が、私も嬉しいもの』

亜美「おー、なんかいい事言ってる! 事務員の鏡だねー」

小鳥『‥‥でももし、これがきっかけで素敵な男性と巡り合えたりしちゃったりなんかして、それでもって‥‥』

伊織「‥‥ちょっと?」

小鳥『うふ、うふふふ、うふふ‥‥』

伊織「もしもーし。映ってるわよー」

小鳥『‥‥はっ! そ、それじゃあ映像お返しします! みんな、しっかりね!』

伊織「はいはい。それじゃ、ありがとねー」カチッ

響「‥‥‥‥」カチッ

伊織「‥‥‥‥www」

小鳥『あー、緊張したわぁ‥‥やっぱり私は、裏方に専念してる方が落ち着くわね。‥‥さてと、それじゃ自分へのご褒美って事で、さっき買ったシュークリームでも‥‥あら? なんで、テレビ画面に私が‥‥きゃああああ!』

伊織「wwwwww」

響「でっかい口だなー。シュークリーム丸呑みにするの?」

小鳥『い、伊織ちゃん! 響ちゃん! ひどいじゃないの!』

伊織「まあまあまあまあ」

響「まあまあまあ」

小鳥『せっかくのゴールデンに事務員の映像なんか流して、もしファンの皆さんがチャンネ』

響「ばいばーい」カチッ

伊織「律子もだけど、なんで中継終わったら何か食べようとするのかしら」

響「さあ。おっと、3人の様子はっと‥‥」



千早『音無さんがね、社長に連絡して、なんとかしてくれるって』

春香『本当!? 小鳥さん、信じてくれたんだ‥‥』

美希『ミキもう、昼寝する時とか、小鳥に足向けて寝れないの』

千早『それで、悲観的になるなって‥‥アイドルは笑顔が大事だって言われたわ』

春香『そうだね‥‥うん! そうだよね!』

美希『助けが来てくれるまで、もっといーっぱい、みんなで笑うの!』

千早『ふふ、美希ったら‥‥でも、笑うって言っても、そう簡単に‥‥』

春香美希『菊地ステップ』スタタンスタタン

千早『ぶふぉ!』


真「」

伊織「今回の放送で一番ダメージ受けてるのって、実はあんたじゃない?」

響「真! 笑顔笑顔! アイドルがしちゃいけない表情してるぞ! 悪魔か!」

真「そんな事言っても‥‥」

伊織響「菊地ステップ」スタタンスタタン

雪歩「はふっ‥‥wwww」

やよい「くぷっ‥‥wwww」

真「」


千早『はあ‥‥それ、封印しましょうよ。ずるいわよ』

春香『じゃあ今後、765プロでは、真の動きと貴音さんのリバースは反則って事で』

美希『ちょっともー! 思い出させないで欲しいの!』

春香『ごめんごめん』

千早『あ、春香。こないだ、新しい仕事終わったんですってね。どうだったの?』

美希『声優さんだっけ。ミキもやってみたいの』

春香『あ、うん。ゲームの声やってきたんだけど、楽しかったよ』

美希『ちょっとこう‥‥やってみてよ。今』

春香『えー、今? 別にいいけど‥‥美希がやるようなジャンルじゃないと思うよ?』

美希『いいからいいから』

春香『じゃあ‥‥レレレレレイヴンさん! ランカーACを確認しました! ブラッククロスですよ! ブラッククロス!』

美希『うん、ごめんね。全然わかんないの』

春香『やっぱり‥‥』



あずさ「2人なら知ってるかしら?」

亜美「うん」

真美「はるるん、出れるんだ。いいなあ」

伊織「それにしても、平和ね」

響「もう、おっきい音出しても大して面白い反応見れなくなってきたからなぁ。時間も時間だし、そろそろ最終仕上げだと思うんだけど‥‥」

伊織「最後のビッグゲストね。まだかしら」



プルルルルル プルルルルル

春香『あ』

千早『音無さんかしら‥‥』

美希『出るね。もしもし、小鳥?』

社長『美希君かね!? 私だ!』

美希『私って‥‥社長!?』

社長『ああ、そうだよ! 今、音無君と2人で、君達を迎えに行くからね! もう少しの辛抱だ!』

美希『わかったの!』

春香『美希。社長、なんだって?』

美希『今、迎えにきてくれるって!』

千早『そう‥‥よかったわ』

社長『なんでも、四条君の偽者まで出たらしいね』

美希『そうなの! ホントに怖かったの!』

社長『そうだろうとも。ところで‥‥』

美希『ん?』

社長『‥‥いや、なんでもない。気にしないでくれたまえ。それでは、近くまで行ったらまた連絡するよ』プツッ

美希『もしもし? もしもーし!‥‥切れちゃったの』

千早『どうしたの?』

美希『ん、なんかね、変だったの。言いたい事があるみたいなのに、途中でやめちゃって』

千早『‥‥ひょっとして』

春香『あれ? 何か、思い当たるの?』

千早『ええ。でも‥‥きっと、知らない方がいいと思うわ』

美希『そんなのってないの! 千早さん、怖い事を1人で抱え込む気なの!』

春香『そうなの?』

千早『‥‥‥‥』

美希『ミキさっき、自分だけが淳ちゃんの事に気がついた時、すっごい嫌だったの。だからきっと、千早さんも、今、物凄く嫌な気分になってる筈なの』

千早『そうね‥‥正直、ずっと頭にこびりついて離れないわ』

春香『じゃあ‥‥』

美希『うん。ちゃんと聞くの。嫌な事は、みんなで一緒に乗り越えたほうがきっと楽なの』

千早『実はね‥‥さっき音無さんが電話で、不思議な事を言ったのよ』

春香『そういえば、電話してる時、少し変だったね』

美希『なんて言われたの?』

千早『‥‥周りの声がうるさくて、電話の声が聞こえにくいって‥‥』

春香『‥‥周りのって‥‥』

美希『ここ、誰も‥‥ねえ?』

千早『ええ‥‥』

春香『じゃじゃじゃ、じゃあ、社長もひょっとして‥‥』

千早『音無さんと、同じ事を言おうとしたのかも知れない。きっと、私達に気を遣ってくれたのね』

美希『‥‥‥‥』ゾクッ

千早『み、美希。大丈夫? ごめんなさい』

美希『ううん! いいの! 話してくれたのは全然構わないんだけど‥‥』

千早『けど?』

美希『もう少し、後にすればよかったの‥‥おトイレ行きたくて‥‥でも、ちょっとまた怖くなってきたの』

春香『え』

美希『だ、大丈夫! ちょっと、行ってくるね』タタッ

春香『う、うん』

千早『気をつけて‥‥』

春香千早『‥‥‥‥』

美希『‥‥‥‥』トボトボ

春香『‥‥あの、もう終わったの? 随分早かったけど‥‥』

美希『その‥‥無理なの。トイレまでの道のりが、トップアイドルへの道のりくらい遠く感じるの』

春香『え』

美希『だからその‥‥あの、ね?』

春香『まさか』

美希『ちょ、ちょっと、一緒に‥‥ね?』

千早『oh‥‥』



響「トイレはカメラないんだっけ」

伊織「当たり前じゃない」

響「音は?」

伊織「会話は聞こえるわよ。会話だけ」

響「じゃあ、想像でお楽しみくださいって事だな」

伊織「そうね」

真「何言ってんの?」



美希『‥‥ねえ、いる?』

千早『いるわよ』

美希『‥‥まだちゃんといる?』

春香『いるよー』

美希『‥‥ねえ』

千早『ちゃんと待ってるから、早くしちゃいなさい』

美希『そうじゃなくて‥‥ドア、ちょっと開けていい?』

千早『はい!?』

春香『い、いいけど‥‥』

美希『ありがと‥‥』カチャ

千早『‥‥‥‥』

春香『‥‥あの‥‥』

美希『‥‥ん?』

春香『‥‥頑張ってね』

美希『うん‥‥』

千早『‥‥春香、この子ね』

春香『うん?』

千早『いい歌歌うのよ。見た目も完璧なアイドルだし‥‥』

美希『ちょ、やめてよ‥‥』

千早『Mターミナルだって出たのよ‥‥』

春香『ふくっ‥‥ww』

美希『やめ‥‥やめてったら‥‥ww』

春香『頑張れー‥‥』

美希『あのさ、2人とも‥‥ミキ、そこにいてくれって言っただけで、一部始終見守れとは言ってないからね?』

春香『‥‥‥‥w』

美希『んっ‥‥! ‥‥ダメだ、出ない‥‥』

春香『もう、痛々しくて‥‥w』

千早『泣くんじゃないわよ、春香。美希だって頑張ってるじゃないの』

美希『ちょ‥‥w』



伊織「ただいま、殿方の視聴率がうなぎ上りです」

響「番組過去最高記録を更新しております」

真「そうかな‥‥」

やよい「美希さん、可哀想ですー‥‥」



美希『ふう‥‥』

春香『‥‥終わった?』

美希『ちょっと待って、拭くから』

千早『‥‥‥‥w』

美希『よし‥‥』ジャー

春香『‥‥おかえり』

美希『うん』

千早『その‥‥大丈夫よ』

美希『うん。‥‥でも美希、あれだよね』

春香『うん?』

美希『人として最後のプライドは守り通したの。こう、2人の前で、恥ずかしい姿を晒す羽目にはなったけど』

春香『‥‥うん‥‥w』

美希『最悪の事態は避けられたの』

千早『‥‥‥‥www』

美希『‥‥‥‥』ビシッ

千早『ちょ、痛‥‥w』


伊織「この番組は、お年寄りからお子様まで楽しめる、ハートフルな番組です」

響「どうかご家族でお楽しみください」

真「いやいやいや、今更そんなフォローを‥‥www」


プルルルル プルルルルル

美希『あっ! はいもしもし!』

社長『もしもし! 私だ! 今、やっと現場の近くまで辿り着いたよ!』

美希『本当!?』

社長『ああ、本当だとも。音無君と一緒に、これからすぐ助けに行くからね!』

美希『わかったの!』

春香『‥‥ねえ』

千早『何?』

春香『こんな事、さっきも‥‥雪歩が電話で‥‥その後に‥‥』

千早美希『!!!』

春香『社長! 音無さん! 来ないでください!』

千早『そのまま、ここから離れて!』

美希『社長! 小鳥! 来ちゃダメ! ダメなの!』

社長『さ、3人とも、何を言っているのかね? とにかく、すぐに出られるように準備を‥‥むっ?』

春香『社長!?』

社長『な、なんだ!?‥‥う、うあああああ!』キーッ! ガシャン!

千早『どうしたんですか!? 何があったんですか!』

美希『社長! 小鳥! もしもし!?』

受話器『ツー、ツー、ツー‥‥』

3人『』



伊織「はい! と、いうわけで!」

響「中継繋ぐぞー」カチッ

律子『はいはーい。こちら、最後のゲストが到着しました』

社長『はっはっは。あんなものでよかったかね?』

小鳥『お疲れ様でした』

伊織「さっきも登場した、事務員の音無小鳥。それから、私達の所属事務所、765プロの高木社長でーす!」

高木『いやはや、我が事務所のオールスターとは聞いていたが、まさか私にも出番が回ってくるとはねえ』

貴音『高木殿の演技、まこと見事なものでした』

高木『いや、参ったねえ。はっはっは』

小鳥『それにしても、寒いわねぇ。これ、途中で社長と買ってきたの。スタッフの皆さんと一緒にどうぞ』

律子『あら、お汁粉ですか? ありがとうございます。後でいただきますね』

響「社長ー」

社長『む、何かね?』

響「そろそろグランドフィナーレだから、よろしく頼むぞー」

社長『ああ、そうだったね。頑張ってみるよ。では、行くとするか』



春香『社長‥‥小鳥さん‥‥』

千早『浅はかだったわ‥‥まさか、こんな事に‥‥』

美希『2人とも、大丈夫だよね‥‥きっと、車がパンクとかしちゃっただけなの‥‥』

春香『そう、だよね‥‥』

千早『‥‥‥‥』

春香『‥‥私、ちょっとだけ、探してこようかな‥‥』

千早『春香!? 何を言っているの!?』

美希『ダメなの! 絶対行っちゃダメ!』

春香『だって‥‥だって、もし怪我でもしてたら‥‥雪歩だって、寒い中に何時間も、迷子になってるだけだったら‥‥』

千早『気持ちはわかるわ。でもね、春香』

美希『今まで、怖くても頑張って我慢できたのは、3人で一緒にいたからなの! もし春香に何かあったら、全員おかしくなっちゃうの!』

春香『‥‥うん、そっか。そう、だよね‥‥ありがとう』

千早『朝になれば、撮影スタッフがやってくるわ。それからすぐにみんなで‥‥?』

美希『千早さん?』

千早『今、何か‥‥』

ザッ、ザッ、ザッ‥‥

春香『‥‥足音』

美希『‥‥また、さっきの変な貴音?』

ガタン!

3人『!?』

ガタンガタン、ガタガタガタ! ドンドン!

春香『ドアが! ドアが壊れるよ!』

千早『春香! 美希! 手伝って! ソファーをドアの前に!』

美希『わわわわわかったの!』

ザッ、ザッ、ザッ‥‥

千早『‥‥諦めたのかしら‥‥』

ザッ、ザッ‥‥

春香『でもこの音、周りを歩いてるみたいな‥‥』

ザッ、ザッ‥‥

美希『全然、離れていか‥‥ひっ!』

千早『‥‥美希?』

美希『あ、あ、あ‥‥』パクパク

春香『美希! どうしたの!? 美希!』

美希『ま‥‥ど‥‥ま、ど‥‥』ガクガクガク

春香『‥‥窓』チラッ

千早『窓に、何が‥‥』チラッ

化け物『‥‥‥‥』ジーッ

春香千早『』

化け物『‥‥‥‥』ドンドン ガタンガタン

春香『きゃああああああ!』

千早『いやああああああ!』

美希『なんなの! なんなのおおお!』



真「ひい! こっわ! 何あれ!」

伊織「ハリウッドで使っている、特殊マスクよ」

響「雪歩とやよいの顔が、変な色になってるんだけど」

貴音『ふふっ、小心者ですね』

律子『あんたさっき、マスク被った社長見た瞬間に、木登り始めたわよね?』

小鳥『降りてきた後も、しばらくパニックで、可愛かったわね』

貴音『な、何も暴露しなくとも‥‥お2人とも、いけずです‥‥』

伊織「っと、私達も、現場行きましょうか」

響「そうだな。最後は全員集合でエンディングの予定だし」

スタッフ「正面玄関に車用意してありまーす!」

P「よし! 急ぐぞみんな!」




社長「おおおおお‥‥おおおおお‥‥」ドンドン

春香「あわわわわわ‥‥来ないで、来ないでえ‥‥」ガクガク

千早「優、助けて‥‥お姉ちゃん達を助けて‥‥」ガタガタ

美希「ひいぃ‥‥神様ぁ‥‥」ブルブル

社長「あまみ、はるか‥‥」

春香「ひゃあ!」

社長「きさらぎ、ちはや‥‥」

千早「っ!」

社長「ほしい、みき‥‥」

美希「は、ははははいっ!」

社長「お前達は‥‥仲良く、しているのか?」

春香「な、ななな、仲良しです! はい!」

社長「今後も、ずっと仲良くすると、誓えるか?」

千早「はい! 誓います! 誓いますから!」

社長「事務所の、みんなともか?」

美希「はい! 約束するn‥‥約束します! だから助けてください!」

社長「そうか‥‥ん? な、何かね?」ヒソヒソ

律子「ひそひそ‥‥」

社長「‥‥与えられれば、どんな仕事でも嫌がらずに、やり遂げるか?」

春香「はい! 絶対頑張ります!」

貴音「ひそひそ‥‥」

社長「友人の失態を、面白おかしく弄り倒したりしないか?」

千早「わかりました! 善処します!」

伊織「到着! って、なんか、面白そうな事やってるわね。ひそひそ‥‥」

社長「水瀬伊織の事を、でこちゃんと二度と呼ばないか?」

美希「はい! 呼ばないの! 約束するの!」

社長「これからも、事務所に美味しいお菓子を作ってくるか?」

春香「はい! 時間があれば毎回作ります!」

社長「動物達も可愛がるか?」

千早「はい! 我那覇さんのペットも、一所懸命可愛がります!」

社長「‥‥まだ続けるのかね?」ヒソヒソ


社長「‥‥最後に、これだけは聞いておく。これからも、皆で力を合わせ、トップアイドルへの道を仲間と共に進んでいけるかね?」

3人「はい!」

社長「よろしい‥‥では‥‥」ガチャ

春香「ひい!? 窓が!」

千早「そんな‥‥話が違うわ! ちゃんと約束したのに!」

美希「も、もうだめなの‥‥」

社長「今日の仕事は、これで終了だ。ご苦労だったね」サッ

3人「社長!?」

アイドル「せーの‥‥ドッキリ、だいせいこーう!」ワイワイガヤガヤ

春香「え? み、みんな‥‥?」

千早「‥‥どういう‥‥事?」

美希「‥‥‥‥」パクパク

伊織「どうもこうも、番組の総仕上げよ。ほら、モニター」

春香「私達が映って‥‥えええええ!?」

響「そ。最後のターゲットは、春香達だったんだぞ」

千早「はあ‥‥やられたわ」

美希「そんなのってないの‥‥もう! すっごい怖かったの!」

律子「あっと、怒りたいのはわかるけど、もう放送終わるわよ。ちゃんと挨拶しなきゃ」

伊織「あんたもよ。今日は、事務所の全員で最後まで、ね?」

響「ほらほら、ぴよ子もプロデューサーも!」

社長「では‥‥」

765プロ全員「最後までお付き合いいただき、ありがとうございます! これからも、765プロをよろしくお願いします!」

伊織「‥‥って、時間、少し余っちゃったわね」

響「最後の最後でもグダグダかー」

春香「もう! みんなひどいよ!」

千早「そうよ! それに、社長や音無さん、プロデューサーまで一緒になって‥‥」

美希「ミキもう、何も信じられないの!」

社長「ははは、すまないねえ。だがこれも‥‥む?」

律子「どうしたんですか?」

社長「いや‥‥年のせいかな。向こうから走ってくるのが‥‥」

P「おーい! すまん! まさか、エンディングでも出番があるとは思わなくて、車で待機してたんだ!」

春香「もー! やめてくださいよ! もう騙されませんよ!」

千早「そうですよ。プロデューサーなら、ここにいるじゃないですか」

美希「あれは誰なの? そっくりさん? 双子?」

伊織「‥‥そんなの、私も聞いてないけど」

響「自分も」

スタッフ「あれ? おかしいなあ。我々も、そんな演出は知らないですけど‥‥」

P?「ふふっ‥‥」スゥ‥‥

アイドル「」

社長小鳥律子「」

スタッフ「」

P「はあ、はあ‥‥本当にごめん! もう、終わっちゃったか!?」

アイドル「い、い、い‥‥」

P「?」

アイドル「いやああああああああ!」

スタッフ「ほ、放送終わります! 3、2‥‥」


CM『この後は、世界の車中からをお送りいたします。今週の旅人はアイドルグループ、ジュピターの‥‥』






この話ね、生放送だもんだから、見た人、多分いっぱいいるんじゃないかなぁ。

私もね、現場に残ってれば、面白いものが見れたんでしょうかね?

冗談のつもりが、いつの間にか冗談じゃなくなってる。

現実と幻想が、いつの間にか入れ替わっている。

そんな一瞬、日常のちょっとした瞬間が、もしかしたら、怪談って呼ばれるものの、入り口なのかも知れませんね。

不思議な事って、あるんですね。って、水瀬さん、そう言ってましたよねぇ。


JUNJI END