春香「伊織からメールだ。『クッキーの作り方教えて』?急にどうしたんだろう?」

響 「どうしたんだ春香?」

春香「あ、響ちゃんおはよう。それがねぇ、伊織からメールが…」

がちゃ

伊織「おはよう」

春香「あ」

伊織「……何よ」

春香「いや、メールの…」

伊織「い、いいじゃない、教えなさいよ……」

春香「いいけど、伊織の家ならシェフに聞けばいいんじゃないの?」

伊織「……ダメなのよ」

春香「どうして?」

伊織「お嬢様を厨房に入れるわけには参りません!って、言われちゃね」

春香「大変だね、お嬢様も」

響 「二人共どうしたんだ?」

伊織「あら響いたの?」

響 「うぎゃー!最初からいたぞ!」

春香「伊織がクッキーの作り方教えて欲しいんだって」

響 「そうなのか?伊織の家だったらシェフに…」

伊織「そのくだりはもうやったからいいわ」

響 「うぎゃー!なんなのもー!」

春香「ま、まぁまぁ落ち着いて響ちゃん……」

響 「うー。それで、伊織はどうしてクッキーが作りたいんだ?」

伊織「そ、それは……」

春香「時期的にホワイトデー用かな?」

伊織「んな!そそそそんな訳ないじゃない!ばばばばっかじゃないの!?」

春香「(図星か~)」

響 「(図星だぞ)」

伊織「いいから教えなさいよ!」

春香「ん~いいけど理由をちゃんと教えてくれたらね」

伊織「そ、それは……その…はぁ~。わかったわよ。」

響 「珍しく素直だぞ」

伊織「どういう意味よ!」

春香「ま、まぁまぁおさえて」

伊織「ふんっ。……お察しの通りお返し用、よ……」

響 「やっぱりだぞ」

春香「やっぱりだね」

伊織「んな!?」

春香「じゃあ約束通り教えてあげる…っていうか一緒に作ろうか」

伊織「……いいの?」

春香「だって厨房入れないんでしょ?」

伊織「そ、そうだけど。夜中に忍び込んでやるつもりだったわよ」

響 「それはいいのか?…あ、自分ちだからいいのか」

春香「それじゃあ今度の休みに一緒に作ろっか!」

伊織「…っふん!い、一応、感謝しておくわよ……」

春香「(素直じゃないなぁ)」

響 「(素直じゃないぞ)」



3月13日我那覇家


伊織「で、どうして響の家なの?」

響 「自分もお返しで作りたかったから丁度良かったんだ」

春香「という訳なの」

伊織「まぁいいけど……」

春香「それじゃあ早速作ろうか」

伊織「よろしく頼むわね」

響 「よろしくお願いしま~す!」

春香「うむ、春香先生にお任せあれ!」

伊織「バカなことやってないで早くやりましょう?」

春香「あ、はい……」

響 「まずはバターと砂糖を混ぜたらいいのか?」

春香「あ、うん。先に白っぽくなるまでバターを混ぜてね」

伊織「この、網みたいなので混ぜればいいの?」

春香「泡立て器ね、最初はやりにくいけど段々柔らかくなるから」

しゃかしゃか

伊織「ふぅ…ふぅ…」

春香「大丈夫?」

伊織「い、以外に体力使うのね……」

春香「慣れない内は大変だよ~。その内コツが分かってくるんだけど」

響 「春香、こんなもんでいいか?」

伊織「え!もうできたの!?」

響 「うん、このくらいなんくるないさ~!」

伊織「なんか悔しい…」

春香「あ、あはは…。響ちゃんはサーターアンダギーとか作ってるから慣れてるんだよ」

伊織「ふ~ん、アンタ意外と料理とかするのね」

響 「意外とは余計だぞ!自分完璧なんだからな!」

伊織「にひひっ♪」

春香「ほら伊織、手が止まってるよ」

伊織「う……。わ、わかってるわよ!」

しゃかしゃか

春香「じゃあ響ちゃんはそれにお砂糖を入れてまた混ぜてね」

響 「わかったぞ!」

伊織「うぇ~、まだ混ぜるの?」

春香「そうだよ、頑張ろう伊織」

伊織「……アンタいつもこんな大変な事して作ってたのね」

春香「う~ん、最初は確かに大変だったけどもう慣れちゃったから楽しいよ。」

伊織「ふ~ん。ありg」

響 「春香、こんなもんで大丈夫か?」

春香「え?あ、うん。大丈夫。じゃあちょっと待っててね」

響 「わかったぞ」

春香「伊織、今何か言わなかった?」

伊織「べ、別に何も言ってないわよ!////」

春香「あ、そっか……」

伊織「ほら、どう!?白っぽくなった!?」

春香「うん、いい感じ。さすがは伊織だね」

伊織「ふんっ当然じゃない!この私を誰だと思ってるのよ?」

春香「あはは……。それじゃあそこに砂糖を入れて混ぜてね」

伊織「すぐに終わらせてやるわよ!」

しゃかしゃか

響 「なぁ春香。春香は作らないのか?」

春香「うん私はもう作ってあるから」

響 「そうなのか?」

春香「昨日の夜にさくっとね」

響 「さすがは春香だぞ……」

春香「クッキーだけにさくっと、ね?」

響 「……さすがは春香だぞ」

春香「ね、今の笑う所なんだけど…」

伊織「こんなもんでどうかしら?」

春香「あ、はい…。うん、いい感じ。伊織は筋がいいかもね」

伊織「にひひっ♪やっぱり私は何をやらせても上手くできちゃうのかしらね~」

春香「あはは……。そ、それじゃあ次に行こうか」

響 「待ちくたびれたぞ~」

春香「まぁ、また混ぜるんだけどね」

伊織「またぁ~?混ぜてばっかりじゃない」

響 「自分は楽しいからなんくるないぞ!」

伊織「私はなんくるあるのよ!」

春香「ここに卵黄、卵の黄身の部分ね、を入れて混ぜる。そしたら薄力粉を入れて混ぜる」

伊織「ふんっやってやろうじゃない!」

響 「卵黄だけにするの難しいんだよね」

春香「うん、これは完全に慣れだから」

伊織「そうなの?」

春香「でも大丈夫、今は便利な道具があるから」

響 「なんだこれ?真ん中に窪みがあって、脇は穴が空いてるぞ」

春香「この窪みに卵を落として、脇の穴から白身だけ落とすんだよ」

伊織「へぇ~、便利なものね」

春香「牛丼屋さんなんかにも置いてたりするね」

伊織「アンタ牛丼屋なんて行くの?」

春香「プロデューサーさんが教えてくれた」

響 「確かにプロデューサー、良く牛丼食べてるぞ」

春香「安いからね……」

伊織「私は牛丼って食べたことないから分からないけど美味しいの?」

響 「え!?食べたことないのか!?」

春香「お嬢様だなぁ……」

伊織「今度シェフに頼んでみようかしら?」

響 「シェフの作る牛丼……?」

春香「気になる……」

伊織「これに卵を落とせばいいのね?」

春香「あ、うん、そうだよ」

響 「じゃあ自分も、おりゃ!」

ぱきょ、ぱきょ

響 「お~、ホントに白身だけ落ちてくぞ」

伊織「そうね」

春香「じゃあボウルに黄身を入れて混ぜようか」

伊織「は~い」

まぜまぜ

伊織「これも大変な作業ね……」

響 「でも楽しいぞ。伊織は楽しくないのか?」

伊織「キツいけど、まぁ楽しくないわけじゃないわね」

春香「(素直じゃないなぁ)」

響 「(素直じゃないぞ)」

伊織「どう?いい感じ?」

春香「うん、薄力粉を入れたらゴムベラで混ぜてね」

響 「よ~し、頑張るぞ!」

春香「混ぜる時は切る様に混ぜてね」

伊織「切るように…切るように…」

響 「よっ、とっ」

まぜまぜ

伊織「大分混ぜたけど、どうかしら?」

春香「はむっ。うん、粉っぽさがないから大丈夫!」

響 「次はどうするんだ?」

春香「一つにまとめてラップに包んだら冷蔵庫で1時間くらい寝かせるよ」

伊織「小休止って所ね……」

春香「あはは、そうだね。それが済んだら休憩しようか」

こねこね

響 「ラップにまとめてっと、できたぞ!」

伊織「こっちもできたわ」

春香「じゃあ冷蔵庫に入れて、休憩しよう。クッキー焼いてきたよ」

響 「え?まさか昨日の夜作ったやつ?」

春香「そうだよ」

伊織「まさかクッキー作る時にクッキー作ってくるとはね」

春香「えへへ」

響 「ん?ハム蔵も食べたいのか?」

ハム蔵「ジュイッ」

春香「大丈夫、ちゃんと用意してあるからね」

ハム蔵「ジュジュイッ」

響 「自分お茶淹れてくるぞ」

~~~~数分後~~~~

春香「さぁ、食べよう」

響 「いっただっきま~す」

伊織「いただきます」

さくさく

響 「ん~、これこれ。さすが春香だぞ」

伊織「ほんと、コレばっかりはアンタに敵わないと思うわ」

春香「そ、そんな褒めすぎだよ……」

伊織「お世辞やおべっかじゃなくて本当よ。これは自信持っていいことだわ」

春香「あ、ありがと……」

伊織「ふんっ。この伊織ちゃんが褒めるなんて滅多にないんだから光栄に思いなさい」

響 「ほ~らハム蔵、春香のクッキーだぞ」

ハム蔵「ジュイッ」サクサクサクサク

響 「うまいか?」

ハム蔵「ジュイッジュジュイッ」

響 「良かったな~ハム蔵」ナデナデ

ハム蔵「ジュイッ」

響 「ハム蔵も大喜びだぞ春香!」

春香「ホントに?良かったぁ~」

伊織「ふぅ、ご馳走様」

響 「ごちそうさま!」

ハム蔵「ジュイッ」

春香「さて、ちょうどいいくらいかな。それじゃあ続きやろうか」

響 「は~い」

伊織「次は何を混ぜるの?」

春香「ふふっ、もう混ぜないよ」

伊織「あらそうなの?それを聞いて安心したわ」

響 「後は焼くだけか?」

春香「うん、伸ばして型抜きしたら焼いて完成だよ」

伊織「長い道のりだったわ……」

春香「麺棒で5mmくらいに伸ばしてね」

のばしのばし

響 「5mmってこのくらいか?」

春香「うん、そのくらいだね」

伊織「どうかしら?」

春香「う~ん、もうちょっとかな?厚みがありすぎると生焼けになっちゃうから」

伊織「へぇ、そういうもんなのね」

のばしのばし

伊織「これでどう?」

春香「うん、ちょうどいい感じ。それじゃあ楽しい型抜きの時間だよ!」

伊織「にひひっ♪実はこれやってみたかったのよね~」

響 「自分も始めてだぞ!」

春香「色んな型に抜くのが楽しいんだよ~」

響 「早速抜いていくぞ!」

かたぬきかたぬき

伊織「あらかた抜き終わったかしらね」

春香「まだだよ」

伊織「え?」

春香「一回抜いただけじゃもったいないでしょ?

   この余った部分を集めて伸ばせばまた型抜きできるよ」

伊織「なるほどね」

響 「早速自分も!」

かたぬきかたぬき

春香「うん、いっぱい取れたね」

伊織「結構な数になったわね~」

響 「全くだぞ」

春香「オーブンを170度に余熱…響ちゃん、お願いしていい?」

響 「まっかせといて!」

ぴっぴっ

響 「天板抜いて、ひゃく、ななじゅうど…っとよし、これで大丈夫なはずだぞ」

春香「ありがとう響ちゃん」

響 「へへっ自分完璧だからな!」

春香「オーブンシートを敷いた天板に並べたら20分焼きます」

ならべならべ

春香「くっつかないように並べたら、オーブンに投入!」

響 「20分…っと」

ぴっぴっ

うぃーん

春香「後は焼き上がりを待つだけだよ」

~~~~~20分後~~~~~

ぴぴぴっぴぴぴっ

響 「お、焼きあがったみたいだぞ」

伊織「上手くできてるかしら……?」

春香「大丈夫だよ、一所懸命作ったんだもん」

響 「開けるぞ~」

がちゃ

伊織「いい匂い…」

響 「美味しそうな匂いだぞ」

伊織「良かった、ちゃんとできてる…」

響 「うんうん、伊織のも自分のも美味しそうにできてるな」

春香「そうだねどっちも美味しそう!」

伊織「初めてにしては、良くできた方…なのかしら?」

春香「うん!すっごく良く出来てるよ、これなら喜んでくれるはずだよ」

響 「そういえば伊織は誰にあげるんだ?やよいか?」

伊織「だ、誰でもいいじゃない!」

春香「ま、まぁまぁせっかく上手に出来たんだから一個食べてみたら?」

伊織「そ、そうね…。どれくらいのものか確かめなくちゃ」

ぱくぱく

伊織「…まぁ、春香のに比べたらアレだけど美味しい、と思うわ」

響 「うん、自分のも良く出来てるぞ。春香には負けるけど」

春香「いや、そんな……」

伊織「この後はどうしたらいいのかしら?」

春香「あ、うん、綺麗にラッピングすれば完成だよ」

響 「自分、少しなら袋とかあるぞ」

春香「私も持ってきてるよ」

伊織「それじゃあ春香の袋を使おうかしら」

響 「そっか……」

伊織「気持ちはありがたく受け取っとくわよ。でもそれはアンタが自分で使いなさい」

   その方が、貰う人も嬉しいんじゃないかしら?」

響 「伊織……」

伊織「にひひっ♪」

春香「はい伊織」

伊織「ありがと」

つめつめ

春香「うん、綺麗に包めたね」

伊織「はぁ~、疲れたわ」

春香「お疲れ様、伊織」

伊織「お菓子作りはもう当分いいわ……」

春香「あはは…。慣れると楽しいんだけどな~」

伊織「楽しくないわけじゃないのよ。でも、頻繁にはできないわね」

響 「自分はすっごく楽しかったぞ!また3人で作ろうよ!」

伊織「そのうちね」

春香「後は渡すだけだね」

伊織「うっ……。そ、そうね」

春香「誰にあげるのか分からないけど、頑張ってね伊織」

伊織「…………ありがと」



3月14日

がちゃ

伊織「おはよう」

小鳥「あらおはよう伊織ちゃん」

伊織「アンタだけ?」

小鳥「そうね、もうちょっとしたら誰か来ると思うけど」

伊織「……そう」

すたすた、ぽすっ

伊織「ふぅ、まぁそんなに朝早くいる訳ない、か。ソファーで時間潰しましょ」

がちゃ

小鳥「おは………きょ…………ってね………ちゃん」

伊織「!…来た。こっちに来るわね」

すたすた

美希「あれ?でこちゃんだ。おはようなの」

伊織「おはよう、美希」

美希「どうしたの?今日は午後からって言ってなかったっけ?」

伊織「えぇ、まぁ…ね」

美希「? 変なでこちゃん」

伊織「ね、ねぇ美希、今日が何の日か、知ってる?」

美希「今日?今日はミキのライブの日だよ?」

伊織「そうね、頑張って…って違うわよ!」

美希「む~、違わないよ?ちゃんとスケジュール確認したもん」

伊織「いやそういうことじゃなくて、3月14日…あぁ~もう!」

美希「わっ」

伊織「はいこれ!」

美希「これ、なぁに?」

伊織「先月の14日が何の日だったか、覚えてるでしょ?」

美希「2月14日?…バレンタインデー…あ、そっかぁ!今日はホワイトデーなの!」

伊織「だ、だからその、あああアンタにチョコ貰ったから、その、お、お礼って言うか…////」カァァ

美希「あは☆でこちゃん顔真っ赤だね」

伊織「う、うるさいわね!!」

美希「これ、もらっていいの?」

伊織「あ、アンタの為に作ったんだからアンタの物よ」

美希「えへへ、嬉しいな」

伊織「当然でしょ!この私の手作りなんだから、嬉しくない訳がないわよ!」

美希「手作りなんだ!何だか勿体無くて食べられないの」

伊織「食べなさいよ、折角作ったんだから」

美希「うん、でこちゃんの事考えながら食べるね」

伊織「別にそこまでしなくても……」

美希「えへへ」

伊織「何よ」

美希「ううん、何でもないよ」

伊織「…………残したら許さないんだからね、にひひっ♪」


おわり






おまけ



がちゃ

春香「おはようございま~す」

響 「お、おはよう春香!」

春香「あ、響ちゃんおはよう。響ちゃんだけ?」

響 「そうみたいだな」

春香「そうだ、響ちゃんはクッキーもう渡したの?」

響 「いや、これからだぞ」

春香「そっかぁ、早く渡さないと渡しそびれちゃうよ?な~んて」

響 「うん、そうだな。それじゃあ、はい」

春香「え?こ、これって……」

響 「うん、昨日のクッキー」

春香「響ちゃんの渡したい人って……私?」

響 「…うん、春香に教わったクッキーを春香に渡すって言うのもおかしな話だけど

   自分、一所懸命作ったから春香に貰って欲しい」

春香「……そっか、えへへ。何か照れるね」

響 「じ、自分だってホントは心臓バクバクなんだぞ……」

春香「あはは」

響 「うぎゃー笑うな~!!」

春香「ありがとう、響ちゃん」

響 「む……。へへっ。なんくるないさ~!なんたって自分完璧だからな!」



おしまい