春香「今日の撮影大変だったなぁ……」 

「間もなく1番乗り場に電車が参ります」 

春香「あっ、急がなきゃ」タタッ 




春香「ふぅ、間に合って良かったぁ」 

春香「……」 

春香「ちょっと、疲れたかも……」 

春香「……」 

ガタンゴトン 

春香「……!」バッ 

春香「はわわっ、寝るつもりなんか無かったのに……えーっと、うわっ!こんな時間!」 

春香「これはひじょーにまずい感じ……」 

春香「……遠くまで来ちゃったのかなぁ」 

春香「うぅ、どうしよう」 

春香「とりあえず駅に着いたら降りなきゃ」 

春香「まだ着かないのかなぁ……もう20分ぐらい経ってるような」 

春香「もしかして電車乗り間違えちゃったとか……」 

春香「誰かに聞いて……」チラッ 

春香「……皆寝てる、起こすのはダメ……だよね」 

――15分経過―― 

春香「……流石に変。こんなにずっと駅が無いなんて……」 

春香「車掌さんに聞いてこよう」 

コンコン 

春香「あのー!すみませーん!」コンコン 

春香「ちょっと聞きたい事がー!」コンコン 

春香「気付いてますかー!?」コンコン 

春香「はぁ……運転席がブラインドで見えないし誰も出てきてくれないし」 

春香「困ったなぁ」 

ゴオオオオオオオオ 

春香「ん?トンネルに入ったのかな」 

春香「……戻ろう」 

春香「はぁぁ……なんかすっごく不安」 

春香「プロデューサーさんに……」 

春香「ってこんな事で一々連絡しちゃダメ」 

キィィィイイイイ 

春香「あっ、スピード落ちてきた。もしかしてそろそろ着くのかな」 

春香「帰りの電車まだあれば良いんだけど」 

春香「如月駅……?聞いたこと無い……」 

春香「……無人駅ってことはかなり田舎なのかな」 

春香「時刻表は……」 

春香「あれ?無人でも時刻表ぐらい」キョロキョロ 

春香「次の駅と前の駅も文字が消えてて読めないし……」 

春香「人の気配も全く感じないような」 

春香「……」 

春香「もっとにぎやかな場所で降りた方が良いよね……まだ停車してるから戻って」 

プシュー ガタンゴトン 

春香「……行っちゃった」 

春香「タクシーは……やっぱり無いかぁ」 

春香「アプリで交番でも探して……あれ?エラー?」 

春香「今までこんなこと……」 

春香「……」 

春香「もしかして野宿ですかぁー!?ど、どうにかしなきゃ!」 

おかけになった電話番号は―― 

春香「家にもプロデューサーさんにも繋がらないなんて……」 

春香「如月駅……千早ちゃん」 

プルルル 

千早『もしもし、こんな時間にどうしたの?」 

春香「あっ!千早ちゃん、良かったぁ!」グスッ 

千早『え?」 

春香「こんな遅くにごめんね……実は」 



千早『調べて見たけど如月駅なんか無いわよ』 

春香「えぇぇ!?でも確かにここは如月駅って」 

千早『でもそんな駅どの路線にも……』 

春香「うそ……」 

千早『本当に周りに交番とか家とか無いの?』 

春香「うん、暗くてよく分からないけど山ばっかり」 

千早『……』 

春香「ど、どうしよう!?わ、私どこにいるの!?」 

千早『落ち着いて、線路はもちろんあるわよね』 

春香「う、うん」 

千早『なら線路に沿って歩いていけば少なくとも帰れると思うわ』 

春香「あっ!そっか!千早ちゃん頭良い!」 

千早『でも何十分も電車が停まらなかったなら相当な距離になるわね。駅で明るくなるのを待つ方が良いかも』 

春香「うーん、でもこのまま駅にいても何も変わらないから一度行ってみるね」 

千早『……分かった、気を付けてね。あと方向間違えないように』 

春香「はーい、ありがとう千早ちゃん!」 

春香「電池、あんまり残ってないなぁ」 

春香「うぅ……寒い」 

春香「あーあ、何でこんなことになっちゃったんだろう」 

春香「もう110番しちゃおっかなぁ。千早ちゃんも言ってたし」 

春香「迷子ぐらいで……」 

春香「……」 

春香「やっぱり、助けて……もらおうかな」 



春香「繋がらない……」 

春香「疲れた……先が全然見えない……」 

春香「知らない場所で夜中に1人って心細い……」 

春香「やっぱり……駅に戻ろうかな」 

~♪ 

春香「!!」ビクッ 

春香「う、歌声……?」 

春香「こんな時間に、気のせい……」 

ウタッテ ウタッテ 

春香「だ、誰!?」 

~♪   ウタッテ ~♪  
 ~♪ ウタッテ   
    ~♪ 

春香「……」ダッ 

春香「……」ハァハァ 

春香「もう、わけわかんないよ……」 



「どうしたの?」 



春香「ヒッ!?」クルッ 

千早「こんなところで何してるの?」 

春香「ち、千早ちゃん……」 

千早「危ないわよ、1人で」 

春香「……そ、その足……ど、どうして……片足しかないの?」 

千早「……」 

春香「……」 

スゥー 

春香「……消えた?」 

春香「……」 

春香「ぁ、ぅ……ふっ……グスッ……」 

春香「怖い……怖いよぉ……うっ……」 

春香「もう、走れない……」 

ウタッテ  
~♪ ~♪ 
 ~♪ ウタッテ 

春香「歌声……さっきより近いような……」 

千早「そう?」 

春香「……千早ちゃんの顔、血まみれ……だよ?」 

スゥー 

春香「あ、ははっ……また消えちゃった……」 

春香「……」ダダッ 

ガッ ズサー 

春香「っ……痛い」 

春香「私、どうなるのかな……このまま……」 

オトメヨータイシヲイダーケー♪ 

春香「ヒッ!?」 

春香「……千早ちゃんから電話」 

春香「千早ちゃんが……怖い……でも、」 

春香「……も、もしもし」 

千早『春香、大丈夫?帰れそう?』 

春香「……」 

千早『……あの、聞こえてる?』 

春香「ち、ちは、ち゛は゛や゛ち゛ゃぁああああん!!」 

千早『ど、どうしたの?何かあった?』 

春香「ふぇ、わ、わた……グスッ、死んじゃう、ふぁ……」 

千早『ちょっと、しっかりして!』 

千早『分かった、私が警察に連絡する。だから冷静になって』 

春香「うん……」 

千早『春香は悪い夢を見てるだけ、大丈夫。大丈夫だから』 

春香「うん……」 

千早『電池残量は?』 

春香「もうあんまり……」 

千早『そう……じゃあ、切るわね』 

春香「そ、そんな!嫌っ!嫌だよ!」 

千早『電池が尽きたら何も連絡出来ないのよ。いざという時のために残しておきなさい』 

春香「……分かってる、けど」 

千早『春香は助かる、私が保証する。寂しいのを少しだけ我慢して』 

春香「……うん」 



春香「……トンネルだ。名前は……何て書いてあるんだろう。読めない」 

春香「この先……に行けば帰れるかも」 

春香「でも、……」 


~♪ ~♪ 
 ~♪ 


春香「……」 

春香「行こう」 




春香「どれだけ歩いたんだろう。足が痛い」 



春香「ずっと真っ暗、感覚が狂いそう」 



春香「電車来ちゃったりして」 



春香「まだ続くのかなぁ」 



春香「早く帰りたい」 




春香「抜けた……の?」 

春香「誰か……いる」 

「……」 

春香「……あ、あの」 

P「やあ」 

春香「プロデューサーさん!?どうしてこんな所に」 

P「大変そうだな。車で駅まで送ろうか?」 

春香「ほ、本当ですか?ありがとうございます!」 

春香「あの、ここはどこか分かりますか?」 

P「……さあ」 

春香「え……?」 

P「多分事務所の近くだ」 

春香「あ、そうですか……」 

P「そうだよ」 

春香(事務所の近くなんてありえない……何で場所も分からないような所に) 

P「……」 

春香(それに様子が……) 

春香「……あの、さっきから山に向かっているように見えるんですけど」 

P「……」 

春香「駅ってどこに……」 

P「……」 

春香「プロデューサーさん……?」 

P「やった、やった」ブツブツ 

春香「ど、どうしたんですか?」 

P「さか、ら、ぎに、かえ」ブツブツ 

春香「……」 

春香(……千早ちゃん) 

春香「……すみません、少し電話して良いですか?」 

P「……」ブツブツ 

春香「……」 

千早『もしもし、春香!警察に連絡したわ。場所が特定出来たらすぐに行くからもう無理に動かないで』 

春香「それが、今、プロデューサーさんの車に乗ってて……」ボソボソ 

千早『……どういうこと?』 


千早『春香、今すぐ降りて』 

春香「えっ?」 

千早『こんな時間に何で線路にプロデューサーがいるの?』 

春香「……」 

千早『あの多忙なプロデューサーが一体何をしていたの?』 



春香「……」チラッ 

P「……」ニタァ 

春香「っ!!」 

千早『逃げなさい!』 


春香(ギアをパーキングにして……!)グイッ 



春香「ぐっ……」ヨロヨロ 

P「……」ニタニタ 

春香「ヒッ!」 

ガチャッ ダダッ 



春香「追いかけて……こない……?」ハァハァ 

春香「あれは誰だったの……?」 

春香「ここは……?」 

千早「……」 

春香「……千早ちゃん」 

千早「ここは如月」 

スゥー 

春香「……」 


春香「もう、ふふっ、あははははは……あっ、また千早ちゃんから」 

千早『良かった!逃げられたのね』 

春香「聞いて、千早ちゃんがいっぱいなんだよ」 

千早『それは私じゃ無いわ。パニックなって幻覚を見てるだけ、冷静に……』 

春香「みんな変。身体が無くなってたり、首が曲がってたり」 

千早『……』 

春香「もう、ダメかも」 

千早『諦めないで!絶対助かるから!』 

千早「……」 

春香「あっ、こっちも千早ちゃんだ」 

千早『千早は私だけ!落ち着いて……!』 

春香「あなたは誰?」 

千早『――!』 

千早「私は如月」 

春香「ここはどこ?」 

千早『――、――!』 

千早「如月よ」 

春香「お腹に穴が開いてるね」 

千早『――――――』 

千早「ええ」 

春香「何で千早ちゃんなんだろう」 

ツーツー 

千早『!!春香、春香っ!』 

春香「……」ポロポロ 

千早「どうしたの」 

春香「もういいやって思ってたはずなのに」 

千早「うん」 

春香「怖い、嫌……やっぱり帰りたい……」 

千早「そう」ガシッ 

春香「ダメ……?」 



千早(誰か、春香を助けて……誰か……!) 

優「……」 

千早「!」 

スゥー 

春香「あなたは……?」 

優「如月優だよ。あなたはお姉ちゃんのお友達でしょ?」 

春香「うん」 

優「こっちこっち」 

春香「……」フラフラ 




春香「う、ここは……」 

千早「良かった……!安心して、病院よ」 

P「心配したぞ……春香が家に戻らないって連絡来た時はもう、本当に……!」 

春香「千早ちゃん、プロデューサーさん……みんなも……」 

雪歩「春香ちゃん、無理しすぎだよ……」 

春香「……えっと私どうなってたの?」 

真「駅で倒れてたんだよ。疲れが溜まってたんだと思う」 

春香「じゃ、じゃあアレも全部……夢?」 

P「アレ?」 

春香「な、何でも無いです」 

響「まったく、自分の体調管理も出来ないんじゃトップアイドルなんて夢のまた夢だぞ」 

春香「返す言葉もございません……」 

貴音「二十郎のアイスを持ってきました。これで疲れも吹き飛ぶでしょう」 

春香「えと、気持ちだけ受け取っておきますね」 

美希「春香、こう言う時ははっきりいらないって言えば良いって思うな」 

春香「そ、そういうわけじゃないよ!」 

ワイワイガヤガヤ 

春香「……ん?」 


春香「……」 

千早「どうしたの?」 

春香「あ、さっきから気になってたんだけどその人誰かなって思って……」 

千早「誰って……優よ。どうしたの?」 

春香「!?……優君は亡くなったんじゃ……」 

優「え゛ぇ!?ちょっと勝手に殺さないで下さいよ!酷いなぁ」 

春香「え……あれ……?」 



――――――――――――――――――――――――――――――――― 



千早(あの電話を最後に春香は……) 

千早(何故私にだけ連絡が出来たの……?) 

千早(あなたは今も生きてるの?あなたはどんな世界にいるの?) 



終わり