響「この先の横断歩道からスタートな」

貴音「そんなっ!? 急にっ!?」

響「落ちたら死にだからな~気をつけるんだぞ、貴音」

貴音「っっっっ」ゴクリッ

響「お、青になったぞー、行くぞー貴音」

貴音「そんなっ!? まだ、心の準備がっ!!」

響「よっほっとっほ!」

貴音「響!! 白線の傍はマグマなのですよっ!! もっと慎重に!!」

響「よっと、ほい!! はい終わり~~貴音も早くくるさ~~」

貴音「そんなっっ!! いとも、容易くっっっっ」クラッ

響「そんな難しいものでもないでしょ? ほら、早く~」

貴音「わ、解りました……そ、それでは……っっ」ゴクリッ


貴音(白癬の外はマグマ、つまり溶岩……となれば落ちれば足が使えなくなるのは必至……最悪の場合は死っっ!!)

貴音(ともあれ最初の一歩を踏み出さぬ事には……しかしっ!!)

貴音(この一歩、この一歩こそが曲者っ!! 横断歩道前の道から白線までの間は、空いている、溶岩地獄!!)

貴音(目測、半間ほど、普段のわたくしであれば造作もない距離、ですがっ!!)
※1間=1.81m

貴音(もしも踏み切りを謝ったらっ!? 踏み込む際、つま先を溶岩に埋めてしまったらっ!?)

貴音(0では無い可能性、それに付き従うは死の臭い……っ!!)

貴音(飛べません、無策でおいそれと飛べるものでは……決してっっ!!)


響「貴音~~赤になっちゃうぞ~~!?」

貴音「はっ!! ま、待ってください響!! 次の! 次の機会に、必ずや!!」

響「こんなのぱぱーーって渡っちゃえば良いでしょー?」

貴音「死を目の前にしているのですよっ!!??」

響「あ、えっと……ご、ゴメン……」

貴音「それでは、しばし、待ちましょう」


響「…………」

貴音「…………」


響「あ、貴音~青になったぞ~」

貴音「……解りました、いざ!!」


貴音(落ち着きましょう、落ち着いていけば造作も無い距離です)

貴音(何も飛ぶ必要は無いのです、大股で確実に一歩を踏み出せば、しくじる確率はそれこそコンマの世界)

貴音(股座を溶岩の熱気が襲いはするでしょうが、それも刹那の事、身を焼く事は無いでしょう…………んはっ!!)


響「た~か~ね~?」


貴音(な、な、なんと言う事でしょうか!? わたくしとした事が大事な事を失念していましたっっ!!)

貴音(わたくしの本日の服装……長尺の洋袴(ロングスカート)ではありませんかっ!!)

貴音(わたくしの身体は熱気に耐えるでしょう……しかしっ!!)ガバッ!!


響「ちょっ!! スカート捲ってイキナリ何してるさー!! 貴音ぇ!?」


貴音(綿とぽりえすてるの混合……な、なんと言う事でしょうか……この長尺の洋袴……存外に燃えやすいっっ!!)

貴音(裾から燃え広がる火に気を取られたわたくしは、最初の一歩をしくじり……そしてっっ!! 死っ!!!!)


響「貴音ぇ! また赤になっちゃうぞ~!!」


貴音(計算外……計算外でしたっ!! 常に注意を怠る事なかれ、じいやには常々言われていた事でしたがっ)ギリッ

貴音(いえ、こう言う時こそ臨機応変に対応してこそ、真価が問われるという物……)


貴音「響っ!!」

響「え? あ、は、はい」

貴音「次……次こそは、完璧な四条貴音をお見せします、次の機会に必ず渡りきってみせますっ!!」

響「あ、うん」

貴音「それでは、また、しばらく待ちましょう」

響「…………」

貴音「…………ふむ、こんな所でしょうか」シュル


響「青になったぞ……って貴音ぇ!!??」

貴音「コレが、わたくしの答えです!! 響!!!!」

響「ぱ、パンツにスカートを入れて何を考えてるさー!!」

貴音「生き抜く、術……ですかね!」

響「も、もういいから早くコッチくるさー!!」


貴音(解っています響、わたくしも黙って3度にわたる機会を見逃したわけではありません)

貴音(この横断歩道、無事に渡りきるに最適なのは……)


貴音「たぁ!!!!」フワッ!!

貴音「ほっ!!!!」シュタッ!!

貴音「この端に描かれている、縦線です!!」


響「何が?」


貴音「この縦線であれば、横断歩道の8割を踏破できるのです」

貴音「先ほどの響のように横線を何度も跳躍し渡るなど……命知らずのバカのする事、違いますか!?」


響「うん」


貴音「ふふふ……ですが、わたくしはこの縦線に乗ったことで慢心するような事はありません」

貴音「身をかがめ、両手でバランスを取り、ずり足を行う、視線は白線から外すことをありません」ズリズリズリズリ


響「パンツ見せながらヒゲダンスしてるみたいだぞ、貴音」


貴音「たどり着きました……ついにたどり着きましたよ響っ!! 後は最後の跳躍を残すのみですっ!!」

響「うん、赤になっちゃうから早く飛んで」

貴音「心配には及びません、わたくし、その場幅飛びでも2m程度の跳躍は可能、見た所、響の居る陸地からこの白線まで、50cmも無い模様……まさに赤子の手を 響「早く」


貴音「たぁ!!!!」シュバッ!!!!

貴音「ふっ!!!!」シュトッ!!!!

貴音「お待たせしました、響」ニコヤカ


響「うん、じゃあ、パンツからスカート出そうな」

貴音「解りました」グッ

ブワァ!! フワッサァアアァァ!!

貴音「はい」

響「何もかっこよくないぞ?」

貴音「響」

響「うん?」


貴音「コレが、四条貴音、ですよ!!」


響「うん」

貴音「次の横断歩道では前のわたくしを越えて見せます」

響「もういいさーそれに、白線踏み外したらアウトって遊びも考えてみたらちょっと子供っぽいし」

貴音「そうでしょうか?」

響「ついつい懐かしくてやっちゃったけど、小学生の低学年で卒業するべき事だよなー」

貴音「……」

響「貴音にも子供の頃そういう経験無かった?」

貴音「……響、アレは」

響「え? アレって?」


小鳥「ちょ、ちょっと、白線と歩道まで距離があるわね、2mくらいかしら、でもちょい助走つけーので飛べばいけなくない距離ね、よし! 自分を信じるのよピヨ子!! 私は出来る、アイキャンフライ!!」


響「……」

貴音「……」


小鳥「とーう!! ぎゃあ、届かなかった!! うあぁ!! 一機死んだ~~!! でも0機も1機扱いだから、まだ残ってます~~!!」


響「……」

貴音「……」


小鳥「どっかで階段見つけて無限アップごっこしとこうっと……って、あ」


響「……」

貴音「……」


小鳥「…………だ……ダイエットのため、よ?」