あずさ「哀しかった、出来事も、けしさーるよーおーにー……かぁ」

貴音「どうしたのですか、あずさ」

あずさ「また、クリスマスだなぁ、って」

貴音「そうですね、街中も既にクリスマスムード一色です」

あずさ「何だか寂しいなぁって」

貴音「寂しい、ですか?」

あずさ「ええ……町中皆、みーんなクリスマスだもの……」

貴音「それが何かいけないのですか?」

あずさ「……皆、恋人同士で仲良く歩いてるなか、私だけ、1人で歩いていくの。いつもより風が冷たく感じちゃう」

貴音「寒い、のですね」

あずさ「身も心も、ね」

貴音「ふむ……では、こうしては如何でしょうか」ファサッ

あずさ「あら」

貴音「私が温まっていましたゆえ、温かいでしょう」

あずさ「うふふっ、貴音ちゃんのケープ、温かい……でも、これじゃあ貴音ちゃんが寒いんじゃない?」

貴音「私は平気ですよ」

あずさ「……えいっ!」ガバッ

貴音「なっ、あずさ、何をなさるのですか」

あずさ「よいしょっ……と……こうすれば、貴音ちゃんも温かいでしょう?」

貴音「し、しかしこれではあずさその、近い……」

あずさ「なぁに貴音ちゃん」

貴音「こ、これでは近すぎると言っているのです」

あずさ「何が近いの?」

貴音「あ、あずさと私の距離が、です」

あずさ「近いと、嫌?」

貴音「えっ」

あずさ「貴音ちゃんは私と近いの、嫌?」

貴音「い、嫌な訳がないではないですか。私はあずさの事が」

あずさ「私の事が?」

貴音「っ……あずさ、あなたはいけずです」

あずさ「あら~、貴音ちゃんから言ってくれたんじゃな~い」

貴音「もうっ……戯れが過ぎますよ、あずさ」

あずさ「あら、つれないのねぇ」

貴音「でも……こうして、互いのぬくもりを感じるというのは、まこと、身体だけでなく、心まで温まるようですね」

あずさ「……そうねぇ」

貴音「あずさ、良い匂いがします」

あずさ「あらやだ、貴音ちゃんったら」

貴音「あずさが髪を切る前でしたか……あなたの髪からは、とても良い香りがしていました」

あずさ「今は、しない?」

貴音「いいえ……こうして近くに来ると、とてもきれいな髪をしていますね、緑なす黒髪、とはあずさの髪の事を言うのかもしれませんね」

あずさ「あら……貴音ちゃんの髪は、いつも綺麗ね。まるで初雪が降った後みたい」

貴音「そう、ですか?」

あずさ「ええ……とってもきれいな、銀色のゲレンデみたい。私だけが、今こうして独り占めしている」

貴音「私が、あずさの独り占めにされているのですか……ふふっ、まあそれも、良きことですね」

あずさ「ねえ、貴音ちゃん」

貴音「はい」

あずさ「私の事、好き?」

貴音「そうですね……それは、とっぷしぃくれっと、と言っておきましょう」

あずさ「……貴音ちゃんの、いけず」