【このSSは実体験を基にしたフィクションです。このSSをあの日、共に京都へ突撃した6名の方々に捧げます】



2014年12月29日
東京都大田区
765プロダクション



P「なあ律子、一緒に初詣行かない?」
律子「まあ、良いですけれど。どこ行くんですか?小野照崎神社?」

P「都内?はっ、冗談を」

律子「……まあ、それも良いですけれど」

P「おー、じゃあ話が早い!じゃあ12月31日の11時出発な」

律子「ちょっと待って!」

P「どうした?」

律子「今、暮れの11時から出発って聞きましたけど」

P「そのつもりだ」

律子「どこ行くつもりですか」

P「ふっふっふっ……よくぞ聞いてくれました!今回、我々が初詣の場所として選んだのは……ズバリ!京都!」

律子「……はぁ?!」

P「いやー、いいねぇ、古の都京都での初詣。いろんな神社もあるしご利益も期待できるぞぉ」

律子「ちょっと待って!」

P「どうした?」

律子「どうしたもこうしたもありません!暮れのそんな時間に出るなんて、私達仕事」

P「安心しろ律子。ウチのアイドルは正月特番は全部前撮りだから正月休み。うちの事務所も正月は休みだ」

律子「だからって時間が早すぎるじゃないですか」

P「そりゃあ車で行くんだもの」

律子「はぁ?!ここどこだか分かってるんですか?東京ですよ!日本の首都、東京!」

P「うん、TOKYO。帝都東京」

律子「帝都とか言うな!と・に・か・く!車で何て私嫌ですよ!大体誰が運転するんですか!」

P「大丈夫。参加者は全員免許持ちだ」

律子「参加者って……私とプロデューサー以外に誰かいるんですか?」

小鳥「不肖音無小鳥2(ピヨ)歳と!」

高木「私と」

善澤「私だ」

律子「いい歳した社長と善澤さんに小鳥さんまで、何このアンポンタンの思い付きに付き合ってるんですか!」

小鳥「実家に帰るとやれ『結婚しろ』だとか煩いから、仕事って事にしちゃった、てへっ」

高木「いやぁ、昔を思い出すよねぇ、善澤君」

善澤「そうだなぁ、昔は予算何か出なかったからバンを借りてねぇ」

高木「全国営業に出たものだねぇ。狭い車中で我々すし詰めでねぇ」

善澤「寝るに寝れなかったからねぇ」

高木「あの頃は若かった……」

善澤「うん。だが」

高木「我々も、プロデューサー君の誘いを聞いて、昔を想い出して、血が騒いだというか」

律子「ストーップ!オッサン2人の回想なんてどうでも宜しい!」

P「律子……」

律子「な、なんです」

P「自分の殻に籠るな。こういう無茶が、自分の限界を見極め」

律子「訳の分かんない論理を繰り広げるな!」

P「あー、そうだ。あずささんも行くって行ってたからそのつもりで」

律子「あーーーーーーーーーーー!」






12月31日11時30分
765プロダクション前

律子「結局行く羽目に……」

P「うーん、いいねぇ、良い天気だ。いい感じだぞぉ」

高木「絶好のドライブ日和じゃないか」

小鳥「いいですねえ、いいですよぉこれは」

善澤「天気晴朗なれど風つよし。寒いねぇ」

P「よーし、それじゃあ行きま」

律子「ちょっと待ってください!まだあずささんが来ていないじゃないですか!」

P「あー……話すと長くなるんだけど、聞く?」

律子「……結果は予測できますが聞かせて貰いましょうか」

P「まずな、今日の出発時間が11時30分。もちろんあずささん、自分が道に迷って遅れる事くらい分かってたから、家を朝の7時30分に出たそうだ」

律子「それで」

P「それでな、やっぱり案の定迷ってな、今な、愛知県の伊勢湾岸道の刈谷PAに居るって」

律子「……それで?」

P「いやー、これが運が良くってだなぁ、ちょうど伊勢湾岸道通るルートだったんだ」

律子「……行きましょうか」

P「あれ?驚かない?」

律子「ええ……あずささんなら先に京都に着いててもおかしくないと思ってたので」

P「そうか……」



12月31日13時30分
首都高4号新宿線

小鳥「凄いわねぇ」

律子「……早速渋滞」

P「流石は首都高だなぁ」

高木「混んでるねぇ」

善澤「まあ、年末だからねぇ」

律子「まったく、のっけからこんなんじゃ先が思いやられますよ」

カシュッ

律子「あ!?」

高木「ではでは、今年も一年お疲れさまでしたと言う事で」

小鳥「来年もどうぞよろしくお願いします」

善澤「また来年もよろしく頼むよ高木」

高木「こちらこそだよ善澤くぅん、それに小鳥君も」

「「「かんぱーい!!!」」」

律子「こぉらぁ!3人ともいざって時はドライバーなんですよ!」

高木「え?」

善澤「そうだったのかい?」

小鳥「ぴよっ?」

P「あれ?言ってなかった?基本的に後ろ3人はドライバーとして勘定入れてないって」

律子「……」




12月31日14時00分
東名高速道路横浜町田IC付近

高木「それでその時の高槻君の表情がねぇ、これまた可愛くてねぇ」

善澤「あぁ、あの歌番組に出た時の顔だねぇ、分かるよ分かる」

小鳥「あれは最高でした!BDに録ってありますからね、毎回疲れた時はあれを見てるんですよぉ」

「「「わっはっはっはっはっ!」」」

律子「酔っぱらい共が……」

P「おかしいなぁ。まだ神奈川県だ」

律子「おかしいのはプロデューサーの予定でしょう!年末の!この時間帯!混むに決まってるじゃないですか!」

P「だよなぁ」

律子「あー……そういえば、どこ周るかって決めてあるんですよねぇ。私嫌ですよ、下鴨神社とか伏見稲荷とか有名どころ」

P「案ずるなかれ秋月律子君。我々、そんな一般人の行くところに安易に行く訳が無いじゃぁないですか」

律子「あっ、何か嫌な予感」

P「えーとだなぁ、とりあえず折角なら2か所くらい廻って帰ろうと思ってな。一ヶ所目が京都府京都市右京区愛宕神社。それと京都府京都市上京区の護王神社だ」

律子「へぇ、有名な所なんですか?」

P「あー、愛宕神社は防火、護王神社は足腰に」

律子「……そこは普通、商売繁盛じゃないんですか?」

P「あー、なんだ、ほら、我々プロデューサーたる者足腰大事だし。炎上とか勘弁だし」

律子「そこでそんな生々しい理由出さないでくださいよ。まあ、いいじゃないですか」

高木「いいねぇ、足腰、我々も気を付けないとねぇ」

善澤「そうだねぇ。ギックリ行ったら嫌だからねぇ」

小鳥「そのままポックリ、何て言って」

「「「わっはっはっはっはっ!!」」」

律子「……放り出して良いですか?」

P「楽しそうでいいじゃないですかぁ」

律子「ったくこっちは運転してるって言うのにいいだけ酒飲んで酔ってるんだから世話無いってもんだわまったく」



12月31日15時12分
新東名高速道路御殿場IC付近

律子「あー、富士山見えましたねぇ」

高木「おおおお!どこだいどこだい」

善澤「おおおお!あれだよ高木ぃ!」

高木「おおおお!綺麗だねぇ善澤くぅん!」

小鳥「ぴよぉ、良い景色だわぁ!」

律子「あーそうですねえ綺麗ですねぇ」

P「運転代わろうか?」

律子「……いえ、良いです」

P「おや?」

律子「富士山見ながら運転とか気持ちいいんだろうなぁ、って思ってるでしょう」

P「ちょっとだけ」

律子「じゃあ嫌です」

P「えー」


12月31日17時00分
新東名高速道路藤枝PA付近

律子「あーったくやれ腹が減ったトイレに行きたいと後ろと助手席の4人がぁ口をそろえて言うもんだから途中で時間喰って、もう17時ですよ!」

P「やー、押してるなぁ。もう名古屋に着いてても良かった位なんだけど」

律子「だからぁ、それはぁ、プロデューサーの最初の見積もりが甘いだけでしょう!」

P「いやいや、まあね、この位はね、旅行にはつきもので」

律子「……それにしても新東名って何ですかこれ、ひたすら山とトンネルで」

P「こんなとこに道作ろうなんて良く考えたなぁ」

律子「そりゃあ東名だけじゃ足りないって……後ろがやけに静かですね」

高木「Zzzzz」

善澤「Zzzzz」

小鳥「Zzzzz」

律子「よし、次のPAで降ろす」

P「まあまあ……運転代わろうか?」

律子「良いです、運転してたほうがいくらかマシです」



12月31日17時02分
東名/新東名高速道路三ヶ日JC付近

律子「ねえプロデューサー、今どこです?」

P「あー、三ヶ日JCだな。ここで東名と合流だ」

律子「愛知県ですか?」

P「んにゃ。まだ静岡」

律子「走っても走っても走っても走っても走っても静岡静岡静岡静岡……」

P「律子?」

律子「静岡なんてなかった、良いですね?」

P「いやぁ、良くは無いと思うけd」

律子「良いですね?」

P「……はい」

高木「んー。まだ静岡県かね」

善澤「そうか、いつの間にか静岡県も終わりだな」

小鳥「静岡……浜名湖でうなぎでも食べたいですねぇ」

律子「シャーラーップ!静岡県何て無い!ないんです!走っても走っても静岡県な訳が無いんです!愛知県逃げてんじゃないかしらホントにもう!」

P「だいぶやられてしまっている」

高木「静岡県は怖いねぇ」

善澤「だなぁ」

小鳥「うなぎ……」



12月31日17時02分
伊勢湾岸自動車道刈谷ハイウェイオアシス

律子「や……やっと、ついた」

P「お疲れさん、律子。ほれ、コーヒー」

律子「ありがとうございます……で、あずささんは?」

P「温泉入ってきますーってメールが」

律子「あのあずささんを一人で歩かせたらどうなるか分かってるんでしょうね?!温泉!?下呂なんて言ってたらどうするんですか?!」

P「おー、いいねえ下呂」

律子「今から行くのは京都!」

P「だ、大丈夫だって、ほら見ろ律子。あそこ!」

律子「……天然温泉かきつばた?パーキングエリアに温泉なんてあるんですか?」

P「なー、観覧車とかメリーゴーランドもあるぞ。ちょっとした遊園地だな」

高木「なあ善澤君。このあんまきっていうのは何だろうね」

善澤「どら焼き?いや違うな。この辺りの名物なのかな」

小鳥「天ぷらあんまき……?」

高木「一つずつ買って行こうか。三浦君も食べるだろうし」

P「……あ、あずささんだ!おーいあずささん、こっちこっち!」

あずさ「あら~、プロデューサーさ~ん、律子さ~ん、社長に善澤さんも~」

律子「あずささぁん……温泉入ってたんですか?」

あずさ「はい~、とってもいいお湯でした~岩盤浴も出来たんですよ~」

律子「……大分充実した感じで何よりです」

あずさ「律子さん、大分お疲れの様ですけれど」

律子「……静岡県は無い」

あずさ「はい?」

律子「い、いえ、何でもありません、さ、行きますよ!」



12月31日18時11分
伊勢湾岸道
四日市JCT付近

あずさ「もう少し天気が良ければ、湾岸の風景が楽しめたんですけれど」

高木「残念だったねぇ」

善澤「しかしあれだねぇ、年末年始は荒れ模様とか聞いていたが」

律子「あっ」

P「おっ」

小鳥「へぇ、でもこれで雨なんて降り出したら笑うに笑えないですねぇ」

あずさ「そうですねぇ」

ポツッポツッ

あずさ「あら?」

高木「降って……来た?」

善澤「の、様だね」

高木「いやぁ……京都に着いたら、カッパを買わないとダメかなぁ」

善澤「そうだねぇ」

律子「もう変な事言わないでくださいよ!こういう時のそういう事って、結構現実化するんですから」

P「言霊って奴だな」

あずさ「あらあら……」

高木「おおー、凄いぞ善澤君。何かよくわからんが鳥の群れだ」

善澤「海が近いからねぇ。ウミネコか何かだろう」

高木「怖いなぁ。窓ガラスにぶつかったりしないか?」

善澤「バードストライクか。飛行機じゃあるまいし」

高木「それもそうだなぁ」



12月31日19時00分
名神高速道路大津SA付近

高木「しかしまあ、真っ暗だったねえ新名神」

律子「ひたすら山、山、山、人里かと思ったら畑の照明だったり」

あずさ「律子さん、疲れてませんか?大丈夫ですか?」

小鳥「私代わりますよぉ!」

律子「あずささん、ありがとうございます。大丈夫ですから。あと座ってろ酔いどれピヨ助」

小鳥「ぴよぉ」

高木「流石は律子君。鍛え方が違うねぇ」

律子「それはどうも。あんまり変な事言うと琵琶湖に沈めますよ?」

高木「す、すまん」

P「琵琶湖なぁ。鮒寿司だっけ?美味しいのかね」

高木「私は好きだねぇ」

善澤「君は昔からそう言うのが好きだなぁ」

高木「そう言う善澤君こそ」

「「はっはっはっはっ」」

律子「2人まとめて信楽焼の狸と一緒に焼いて貰えばいいのよ」

P「律子、荒れてるな……」




12月31日20時03分
京都駅

P「ついたぞ京都!」

あずさ「あら~、凄いわねぇ、あのタワー」

高木「また奇妙な形をしているねぇ」

小鳥「これが噂のゴ○ラが壊した京都タワーですね。あと京都駅と言えばガ○ラ3邪神覚醒の舞台となった」

あずさ「何の話ですか?」

小鳥「いえ、何でも」

高木「しかしあれだねぇ、初詣前に食事位は済ませておきたいねぇ」

律子「それもそうですね。地下街行ってみましょうか」

あずさ「私、この京都料理のお店とかいいんじゃないかなって」

P「お好み焼きとかどうだ。一応仮にも関西に来たんだぞ」

善澤「この京ラーメンというのは何だろうね」

小鳥「串カツ…!」

P「まあ、とりあえず降りてみますか」



12月31日20時09分
京都駅前地下街

P「あー……どこも閉まってら」

あずさ「年末だからでしょうか」

律子「……ねえプロデューサー。そこ」

P「えーと、何々……あー、そういうこと」

高木「……元々営業時間が20時までだったのか」

善澤「成程な」



12月31日20時25分
京都駅付近

高木「どこも早めに店を閉めているねぇ」

善澤「チェーンの居酒屋ならその辺にあった気がするが」

律子「ここまで来てチェーン店何て嫌ですからね。私はお酒呑めないけど、せめて京都らしいもの食べたいです」

P「そうだなぁ」

あずさ「プロデューサーさん、そこのお店とか」

P「あー、ちょっと聞いてみようか」

小鳥「私、行ってきます!」


スイマセーン、イマカラ6……アア、ソウデスカ、ドウモ


小鳥「ダメでした」

P「むむ」

あずさ「……あら?ここのお店、まだやってるんじゃないかしら?」

P「本当だ。じゃあ聞きに行きましょうか」

高木「エレベーター狭いねぇ」

善澤「じゃあ、私達が先に行こう」

律子「じゃあ、私とあずささんと小鳥さんは後で」



あずさ「……エレベータ、降りてきたらプロデューサーさん達が乗ってたら」

小鳥「ダメでしたって?それは面白いですねぇ」

律子「冗談じゃないですよ。大体、私達が上に着いた瞬間『さあ下に戻ろうか』とか言うかもしれませんからね」

あずさ「ありそうで嫌ですねぇ」




12月31日20時40分
京都駅付近居酒屋

P「おー、よかったよかった、案外すいてたな」

小鳥「そういえば『豆腐の湯葉ピザ』なんて頼んでましたけど、どんなんですかね」

あずさ「さあ……普通のピザの上に、湯葉?」

高木「京都らしいじゃないか」

善澤「うんうん。いいねぇ」

オマタセシマシタ、ヤキトリモリアワセトトウフノユバピザ、オサシミモリアワセデス

P「ほー、そーきましたか」

小鳥「湯葉の上にピザソースですかぁ、これは想定外」

あずさ「どんな味がするんでしょうか……」

高木「ふむ……んっ」

善澤「……うまい」

小鳥「これは新たな発見ですよ!」

P「いやぁ、恐れ入ったなぁ」

あずさ「本当、美味しいですねぇ」

小鳥「意外だったわ……京都、侮れないわ」

あずさ「この串焼きも美味しいですよ~」

律子「……そういえば、今から行く愛宕神社ってどのあたりにあるんですか?」

P「え?あー、ちょっと待ってな……京都の右京区だから、右の方?」

律子「……えーと、愛宕神社っと…………ねえ、プロデューサー」

P「はい?」

律子「公式HP見たら、登山道を1時間半とか書いてあるんだけど」

P「え?」

高木「登山道?!」

善澤「ほぅ」

あずさ「あら~」

律子「しかもある程度分かりやすいってこれ、完全に山道じゃないですか!何で言ってくれなかったんです!」

P「いやぁ、てっきり来るまで行けるもんだと」

小鳥「ですよねぇ?」

律子「何で神社の名前まで調べてそこを抜かすかなぁ」

P「予定変更。愛宕神社はまた次回、リベンジしましょう」

律子「決断早いですね」

P「そうですねー、じゃあこの石清水八幡宮とかどうですかね」

小鳥「良いですねぇ、確か石清水八幡宮は扶桑姉様と山、あっ」

律子「扶桑姉様?何の事です」

小鳥「あー、これは、その」

律子「プロデューサー」

P「いや、な、これはな」

律子「良いのか、未成年飲酒して管理不行き届きでしょっ引いて貰うぞ」

高木「り、律子君?!」

P「わ、分かった!分かったからそれだけは!」




律子「艦内神社ぁ?」

P「実は、ですね、はい、愛宕神社は、昔の巡洋艦愛宕の艦内神社の分祀元で」

律子「それじゃあ」

小鳥「護王神社は高雄の」

律子「……どうりで最近マウスのクリック音が多いと思えばこのダメ事務員!駄目デューサー!」

「「すいませんでしたー!」」

律子「……まあ、勤務態度云々はさておき、石清水八幡宮もそれで、と」

P「は、はい」

律子「……」

小鳥「あ、あの、律子さん、怒ってます?」

律子「……まあ、良いでしょう」

小鳥「律子さん!」

P「律子!」

律子「ただぁし、帰ったらたっぷり仕事してもらいますからね覚悟しておいてくださいよ」

「「は、はひ」」

高木「しかしあれだね、確か高雄と愛宕を選んだんだね?」

P「それは」

小鳥「もちろん」

「「おっぱい大きいからです!」」

あずさ「あら~」




12月31日22時01分
京都府八幡市駅前

律子「あずささん、変装大丈夫ですね。私の手しっかり握っててくださいよ、絶対離しちゃ駄目ですからね」

あずさ「もう、大丈夫ですよぉ律子さん」

高木「結局飲んでしまったからねぇ」

善澤「いやしかし、誰も居ないな」

P「まあ、そりゃあまだ2時間近くありますし……年越したら、露店の営業でも始まるんですかね」

善澤「それなりに人が多いんだろうなぁ」

小鳥「でもこれ、どうやって上に行くんですか?」

P「ケーブルカーがあるらしい。男山ケーブルカー」

小鳥「男山……何だかいやらしく聞こえます」

律子「酔ってますね小鳥さん。あ、いつもか」

小鳥「そんなことないです!」



12月31日22時15分
男山ケーブル八幡市駅

あずさ「私、ケーブルカー何て初めて乗ります~」

律子「私も乗った事ありませんねぇ、あんな急勾配なんですよ、ほら」

高木「懐かしいねぇ。何時だったか、黒部に行ったときに」

善澤「ああ、乗ったねえ、あの時はえらい目にあった」

P「お二人で行ったんですか?」

善澤「いや、後は黒井と、音無君のお母さん、それに今876で社長をしてる石川君か?」

高木「ああ、あの頃は若かった……」

P「へぇ……お、そうこういううちに動き出しましたね」

小鳥「これ、登山ルートもあったみたいですけど」

律子「勘弁してください」




12月31日22時15分
男山ケーブル男山山上駅

高木「流石にケーブルカーだと早いねぇ」

律子「あんなに上ってきたんですね」

小鳥「そういえば、プロデューサーさん。妙高さんの艦内神社ってどこでしたっけ?」

P「新潟の妙高山の辺りの関山神社でしたかねぇ」

律子「いつもいつも正月が暇だと思わないでくださいよ、まったく」

あずさ「わぁ、律子さん、見てください、あれ」

律子「ああ……綺麗ですね、町の明かり。ここ結構高いんだ」

善澤「しかし、ケーブルカーで来てもまた更に歩くんだなぁ」

高木「良い運動じゃないか。お互い運動不足気味だしね」

小鳥「飲んだ分はこれで」

律子「どうせ帰りも飲むくせに」

小鳥「ぴよっ!?」


12月31日22時45分
石清水八幡宮休憩所

あずさ「律子さん、甘酒とか、おまんじゅうとか色々あるみたいですよ~」

律子「厄除けぜんざい、厄除けうどん、そういうのもあるのねぇ」

高木「かと思えばコーンポタージュか」

善澤「すまん高木、少しタバコを吸ってくる」

高木「ああ……律子君、ちょっと私は買い物してくるよ」

律子「え?はい、行ってらっしゃい」



12月31日22時50分
石清水八幡宮休憩所

善澤「ふぅ、山の上で一服とはこれまた格別だね。おや?高木はどこに?」

律子「さっき買い物してくるって」

P「あっ、戻ってきましたね」

あずさ「何か持ってらっしゃるようですよ?」

高木「いやぁ、悪いね」

小鳥「何ですか、それ?」

高木「いやぁ、よもぎ餅極(きわみ)なんてものが売っていてねぇ」

善澤「おい高木まさか」

高木「久々に勝負と行こうじゃないか善澤くぅん」

小鳥「久々に?」

善澤「若いころにねぇ、よくやったんだよ。ご当地名物早食い勝負」

高木「あの頃は若かったからねぇ」

善澤「よくやったよなぁ、鹿児島で白熊とか」

高木「伊勢で赤福もやったな」

P「で、勝敗的には?」

善澤「僕は甘い物が苦手でねぇ」

高木「ふふふ、どうだい善澤くぅん」

善澤「じゃあせめてハンデを付けてくれ!」

高木「じゃあ、私が2個で」

善澤「俺が1個だな」

小鳥「さあそれでは石清水八幡宮年忘れ甘い物対決、よもぎ餅極!高木順二朗VS善澤さん!レディゴッ!」

P「おーっと善澤さん一気に口に入れた高木社長もそれに続く。2人とも一生懸命噛んでいるが中々減って行かない、おーっと善澤さん既に涙目だ、頑張れ善澤!高木社長も追い上げる追い上げる」

善澤「んーっ!」

高木「ふんっ!」

P「ここで高木社長2つ目に手を付けた!善澤さん口の中がなかなか減らない、未だに口に一杯でもっちゃもちゃしている!さー勝負は分からなくなってきたどちらが先にテレマークか!高木社長追い上げる追い上げる、善澤さん苦しんでいる甘い物が苦手な善澤さんこのよもぎ餅極に苦しめられている!どちらだ、どちらが先に」

善澤「はいっ!」

P「おーここで善澤さん見事テレマーク、勝者善澤さん!」

善澤「はぁっはぁっ……もう二度とやらん」

高木「いやぁ、悔しいなぁ」

小鳥「惜しかったですねぇ」

善澤「……餅が、へらないんだよ。おまけに餅の大きさの殆ど丸ごと餡子で……」

小鳥「良い餅と餡子を使ってたんですかねぇ」

あずさ「そういえば、もう23時を回りましたね」

P「ああ、ホントだ。丁度いいくらいかもしれませんね。温かいコーヒーでも飲んで上に行きますか」


12月31日23時50分
石清水八幡宮本殿前

P「いやぁ、晴れましたね。真上見たら雲一つないです」

あずさ「星がきれいですねぇ。ほら、あれ」

P「ああ、カシオペア座ですか。綺麗ですねぇ」

あずさ「プロデューサーさん、あれってカシオペアじゃなくてオリオンじゃ……」

P「あれ、そうでしたっけ?」

律子「適当ですねぇ。大体あれですよ、プロデューサーってば東寺の前通った時『おっ、あれが有名な西本願寺かぁ』とか言い出すし」

P「はっ、ははは」

小鳥「あっ!今年もあと10分を切りましたよ」

高木「おお、もうそんな時間か。皆、今年も本当に頑張ってくれたね、とても感謝している。来年も皆が活躍できるように、私も頑張るよ」

善澤「良い記事書かせてくれよ、待ってるからね」

律子「来年もビシバシ行きますから、覚悟してくださいよ」

あずさ「今年も色々とご面倒掛けました。来年は、私も一人で現場に行けるように頑張ります~」

小鳥「来年も、皆さんのお仕事を支えていきます。今年も一年ありがとうございました」

P「来年も、より良い1年になりますように。今年も1年ありがとうございました!」



後編へ続く




2015年1月1日
0時29分
石清水八幡宮本殿前

P「いやぁ、気づいたらあんなに人が居たとは」

小鳥「ケーブルカーだからか、まだ少なめみたいですよ」

高木「いやぁ、すまないね。お札買って来たよ」

あずさ「律子さ~ん、このおみくじ引きましょうよ~」

律子「ああ、新年初の運試しですね。どれどれ」

高木「私は中吉」

善澤「私もだ」

P「えーと……未別?まあいいのか?」

小鳥「平……?まあ、安定運って書いてあるから良いのかしら?」

あずさ「私は大吉でした~……律子さん?」

律子「凶」

あずさ「あ、あら……」

律子「こういう時引きが悪いんですよ……結んできます」



1月1日0時41分
石清水八幡宮裏参道

P「まさかケーブルカーまでの道が行きと違うとは」

小鳥「一周廻りましたね」

あずさ「わぁ……こっちからも、下の町の光があんなに」

P「綺麗ですねぇ……」

高木「すっかり酔いも醒めたねぇ」

善澤「高木、転ぶなよ」

高木「馬鹿にするな」

小鳥「で、次は」

P「護王神社ですね」

律子「行くんですね……」

P「そりゃあもう」

小鳥「ここで来たんですからね!」

律子「今度は大丈夫でしょうね。京都市内だって高いところ幾らでもあるんですからね」

P「大丈夫大丈夫。次は京都御所の直ぐお隣だし」



1月1日1時11分
京都府八幡市内
コンビニ駐車場

律子「まあね、確かに私達は年越しそばを食べ損ねましたよ。だからこうしてコンビニの駐車場で店内でカップ蕎麦でも買って食おうなんて魂胆だったわけですよ。とはいえね、何ですかこれ!蕎麦が売り切れって!」

小鳥「不幸だわ……」

律子「あ?」

小鳥「すいません……」

P「姉様!うどんならありました!」

律子「2人もよくわかんない小芝居やってるんじゃなくて!」

高木「まあまあ律子君。最近は年明けうどんなんてものも出ているそうじゃないか。折角ならここで関西風味付けのカップうどんでも食べて行こうじゃないか」

善澤「ほぅ。関西と関東で味が違うのかね?」

高木「ああ。関東風は醤油が強い、関西風は出汁の旨みだな」

あずさ「頂きます~……あら、本当ですねぇ、東京で食べるものと違う気がします~」

高木「そうだろう?物珍しくてねぇ、昔は良く関西の知り合いにケースで送ってもらったものさ」

善澤「ネットショッピング発達以前の話だなぁ」

律子「……ま、こんな新年もたまにはいいかもしれませんね」

P「お、律子も乗ってきたか?」

律子「次同じことやるって言ったら絶対断ります」

P「えー」


1月1日2時00分
京都府京都市上京区
護王神社

律子「へー、狛犬の代わりにイノシシなんですね」

P「何でも和気清麻呂公という人がここには祀られているらしいんだが、その人とイノシシが縁があるらしくてな」

小鳥「足腰のお守りかぁ。私も腰のお守り買っておこうかな」

高木「私は足腰のお守りを」

善澤「しかしまあ、狛イノシシとはねぇ。珍しいもんだ」

律子「それにしても……天気が荒れなくてよかったですね」

P「ホントになぁ。雨でも降るかと思ったけど、ぱらぱら降る程度で済んでるしなぁ」

律子「帰りも無事だと良いんですが」



1月1日2時00分
京都府京都市上京区
護王神社付近駐車場

律子「さて……お参りも済ませた事だし、帰りましょうか」

高木「え?」

善澤「は?」

小鳥「ほ?」

律子「……何ですか、その意外そうな顔は。日帰りでしょ?」

高木「ああ、そうだったね」

善澤「いやぁ、もう完全にホテルで寝る心算だったよ」

小鳥「どこも年越しのカップルでいっぱいですって」

高木「そっちのホテルかね音無君」

「「「わははははははっ!」」」

律子「とっとと車に乗れぇ!今から滋賀、三重、愛知、神奈川と4県ぶち抜いて帰るんですからね覚悟してください!聞いて驚け東京到着予定、朝の8時!交通事情により前後!」

高木「あー」

善澤「いっそ我々、新幹線で帰るかい?」

高木「そうだねぇ」

律子「逃がすか。一緒に車で帰りますよ!」




1月1日2時55分
名神高速道路
草津PA付近

高木「よくよく考えたらとんでもないことをやっていたんだねぇ、我々」

P「出発から既に14時間近いですね」

あずさ「律子さん、本当に大丈夫ですか?」

律子「ええ、大丈夫です。静岡なんてないんですから」

あずさ「律子さん?」

P「あずささん……そう言う事に、しておいてください」

あずさ「……はい」

P「……あっ」

律子「みました?」

善澤「どうかしたのかね?」

P「……新名神、雪とか書いてなかった?」

律子「信楽がどうとか見えましたね。気のせいでしょう」

善澤「この車、チェーンは?」

P「スタッドレス使用者何で、大丈夫と言えば大丈夫ですけど」

律子「降っても鈴鹿の辺りじゃないですか?」

P「トンネルを抜けたら、そこは雪国だったってか」

カシュッ

小鳥「川端康成なりー!」

律子「寝てろピヨ子ぉ」

小鳥「ぴよぉ」


1月1日午前3時32分
新名神高速道路
土山SA付近

P「何だ雪なんか降ってないじゃないか」

律子「振るかもしれないから注意しろって事ですかねぇ」

P「驚かせるなぁ、全く」

律子「それにしても、後席どうなってます?」

あずさ「あの、私以外みんな寝てるみたいで……」

律子「デスヨネー」

P「まあ、この調子なら順調に帰れるかな」



1月1日午前4時31分
伊勢湾岸自動車道
四日市JCT

P「おーおー降ってるじゃねえか雪ぃっ!」

律子「吹雪いてる!吹雪いてるこれ!」

P「いやぁ、油断したなこれ」




1月1日午前4時51分
伊勢湾岸自動車道
湾岸桑名IC付近

P「いやこれダメだってヤバいって、雪が横から来てるものこれはヤバいって投光器が人工降雪機みたいになってんぞ!」

律子「あのですねぇ、さっきからハンドル左に当ててるのに、車が風で流されうおっ!」

P「おおおおおお律子運転代わるか?!代わるか?!」

律子「このまま行きます!」

P「おおおおいどうしちゃったの律子さん」

律子「こうなりゃ自棄ですよぉ!」

小鳥「Zzzzzz」

高木「Zzzzzz」

善澤「Zzzzzz」

あずさ「Zzzzz」

律子「これでも寝てるんだもんなぁっととととと!」




午前7時11分
東名高速道路
浜名湖SA

P「……駄目だ静岡長いぞ」

律子「何か精の付く物を……」

小鳥「うっなぎーうっなぎー」

高木「年明けから豪勢だねぇ」

律子「喰わないとやってらんないですよ。頂きます!」

あずさ「頂きます~」

高木「ううむ。流石は浜名湖のうなぎだ。美味しいねぇ」

善澤「いやぁ、これは中々」


午前8時44分
東名高速道路
吉田IC付近

P「……全員寝てるよ」

律子「そうですか。食べたら眠くなりますからねぇ」

P「……ありがとな、律子」

律子「えっ……?」

P「俺と小鳥さんの、突拍子もない初詣に、付き合ってくれて」

律子「べ、別に私は……あずささんの事も気がかりでしたし?」

P「そうか」

律子「まあ、それに……ちょっと楽しいかな、って思ったり、なんて」

P「……そうか」

律子「ねえ、プロデューサー……今年も、よろしk」

ドンッ!!!!!!!!

P「うおぁあぁぁあああああぁあああああああ?!」

律子「ひぇえええええええええええええええええええええええ?!」

高木「なななななななんんだ何だね!?」

善澤「なんだスクープか!?カメラは!?」

小鳥「おかあさんあと3じかん」

P「りりりりりりりつこ今見たな?!見えたな?!」

律子「は、ははい、とり、とりが、とりがどんって」

P「こえええええええええええ!!!!!ガラス割れなくてよかったぁぁぁぁ!」

律子「ホントですよぉ!」




2015年1月1日午前11時29分
東京都某所
あずさのマンション前

あずさ「それじゃあ皆さん、お疲れ様でした~」

P「ゆっくり休んでくださいねぇ」

律子「体の具合が悪くなったりしたらすぐ知らせてください。すっ飛んで行きますから」

あずさ「はぁ~い、それじゃあおやすみなさ~い」






2015年1月1日午前12時12分
東京都大田区
765プロダクション前

P「それではぁ、皆さん。京都弾丸初詣ツアー改め、京都制覇の旅、お疲れ様でございました。懲りずにまた来年、頑張りましょう」

律子「来年?!」

小鳥「今度は伊勢神宮行きましょう!伊勢ですよ!伊勢!」

高木「ほーう、良いねぇ、良いねぇ」

善澤「楽しみだなぁ」

律子「何言ってんですかもう……それじゃあ、私は事務所に寄ってから帰ります。お茶でも飲んでから」

小鳥「私はこのまま帰りますけど、大丈夫ですか、律子さん」

律子「ええ大丈夫です」

小鳥「そう、それじゃあ律子さん、今年もよろしくねー」

P「じゃあ、俺車の返却時間迫ってるからこれで、仕事始めで元気に会える事を祈ってる」

高木「それじゃあ、私達もこれで」

善澤「今年も期待しているからね」

律子「お疲れ様でした」




2015年1月1日18時12分
東京都大田区
765プロダクション

律子「ん……あれ、私……えっ」



律子「うそ、事務所のソファで、なんで、わたし」



律子「うそ、でしょ……寝てた、しかも無意識に暖房もつけて毛布も被って……」


律子「私の、元旦」



律子「……伊勢なんか」



律子「伊勢なんか、絶対、ぜーーーーーーーーーーーーーったい行きませんからねぇぇぇぇぇぇぇ!」