春香「『MEGARE!』の入りってさ、サビとAメロの間に間奏あるじゃない?」

千早「ええ、そうね」

春香「あの間奏って、そこで司会の人が気の利いたことを言うための間っぽくない?」

千早「……考えたこともなかったわね、そんなこと」

春香「きっとさ、そういう間なんだよ。だから、私『MEGARE!』歌うから、
   千早ちゃんは司会者みたいになにか気の利いたこと言ってよ!」

千早「そんな技術は私……ううん、わかった。春香のためだもの、やってみるわ」

春香「わっほーい!」


…… ※ ……



春香「じゃあ、私が『がんばるよ、いぇい!』まで歌うから」

千早「私が間奏の間に、司会者のような気の利いた一言を言えば良いのね」

春香「じゃあ、みゅーじっくすたーとぅ♪」

  でんでんでんでん ででででん♪

春香「わたしだけがでっきるすまいるっ めちゃめちゃっみりょっくでっしょっ♪」

千早「はるかーーーーー!!」

春香「わたしだけのとっておきポーズ どーっきりーあんせくしー?♪」

千早「はるかーーーーー!!」

春香「わたしだけがもっているボイス とどいてっいっるーのかっなっ♪」

千早「えーる・おー・ぶい・いー!!!」

春香「わたしだけのぱっふぉーおまんす かーんどーさせられるかな♪」

千早「らーぶりーはーるかーーーーーーー!!」

春香「めーざせーあいーいどーるーなーんばーあわーん♪ がんばるよ♪」

はるちは「「いぇい!!」」

春香「待って」

千早「どうしたの?」

春香「昭和の親衛隊じゃないんだから。千早ちゃん司会者だから」

千早「ああ、そうだったわね。ごめんなさい、つい」

春香「つい、にしてはずいぶん堂に入ってた気はするけどね? 頼むよ?
   私が『がんばるよ、いぇい!』まで行ってから、千早ちゃんの仕事だから」

千早「大丈夫、任せて」

春香「頼むよ?」



…… ※ ……



春香「わたしだけのぱっふぉーおまんす かーんどーさせられるかな♪
   めーざせーあいーいどーるーなーんばーあわーん♪ がんばるよ、いぇい!」

千早「いま歌っているのは、天海春香さん17歳です。体長158cm、体重46kgぐらい。
   細かい数字はサバ読んでる天海春香さんで、曲は『MEGARE!』」

春香「うん、待って」

千早「気に入らない?」

春香「気に入らないなぁ。サバ読んでないし」

千早「だって春香、この間体重g

春香「わーーっ! わーーっ! この話しとにかく無し! ダメ! やり直し!」

千早「やはりこういうのは、難しいものね」

春香「千早ちゃんが難しくしてるだけだと思うけどなぁ? 頼むよ?」

千早「任せて」



…… ※ ……



春香「めーざせーあいーいどーるーなーんばーあわーん♪ がんばるよ、いぇい!」

千早「大賞受賞の喜びは、昨年亡くなったお婆ちゃんに報告したいと言う天海さん。
   今頃は天国でこの番組をご覧になっていらっしゃるのでしょうか。
   天国のお婆ちゃんに届け、歌声! 天海春香さんで『MEGARE!』」

春香「待って」

千早「どうしたの?」

春香「なんで勝手に殺してんの?」

千早「そういう一節があると、マスコミ的にも盛り上がるかしら、って思って」

春香「やめて。盛り上がるかもしんないけど、いや、盛り上がるだろうけど、
   勝手に親族を殺すのだけはやめて? お婆ちゃん元気だから」

千早「わかったわ、そういうのやめるわね」

春香「もっとさ、私に身近なことから触れるとかが、ちょうどいいと思うんだよね」

千早「なるほど、身近なことね」

春香「頼むよ?」

千早「任せて」


…… ※ ……



春香「がんばるよ、いぇい!」

千早「天海春香さんの趣味は、お菓子作りだとか。審査員に毎月渡し続けた
   金色のお菓子の甲斐有って手にしたIA大賞、感無量でしょうか。
   歌っていただきましょう、天海春香さんで『MEGARE!』」

春香「おい」

千早「ちがうの?」

春香「なんだよ金色のお菓子って。時代劇か」

千早「ひたむきな努力が認められた感じがして、気の利いたコメントじゃない?」

春香「ゴシップ誌の良いネタにしかならないよ。どう聴いたって賄賂だよこれ」

千早「そう。ごめんなさい」

春香「もっとこう、なんだろう、惜しいの。さっきのお婆ちゃんにしても、今回の
   お菓子作りにしても。入りは悪くないんだけど、出口明らかに間違ってるから」

千早「なるほど、出口を間違わないようにすれば良いのね」

春香「頼むよ?」

千早「任せて」



…… ※ ……



春香「がんばるよ、いぇい!」

千早「この間、母から電話が来ました。母との距離感が掴めない私ですが、
   いつか分かり合える日が来るでしょうか。それはあまり関係ないのですが、
   歌っていただきましょう、天海春香さんで『MEGARE!』」

春香「待てやぁ!」

千早「どうしたの!?」

春香「誰が千早ちゃんの身の上話しろって言った!?」

千早「出口を間違わないように心掛けたらこうなったのよ!」

春香「入り口間違ってんじゃんよ! 入り口の時点で!!」

千早「春香、お国訛りが出てるわよ?」

春香「鈍ってないよ別に! そうじゃないの! 気の利いたコメント!」

千早「気の利いたコメントね、わかったわ」

春香「ほんとにわかってる? 大丈夫?」

千早「ええ、もちろんよ。やれば出来る子だから」

春香「ちゃんとやってよ? 頼むよ?」

千早「任せて」



…… ※ ……



春香「がんばるよ、いぇい!」

千早「受験シーズンですね、受験生の皆さんは頑張ってますか? 天海春香さんの
   ブロマイド、実は学業成就のお守りとして売れているんです。試験に『滑って
   転ばない』願掛けなのだとか。天海春香さんで『MEGARE!』」

春香「腹立つわ!!」

千早「お守りになってるって言われたら、うれしいでしょ!?」

春香「井崎脩五郎のハズレ馬券じゃあるまいし、そんなお守り方やだよ!!」

千早「気の利いたコメントは、当たり障りのないコメントとは違うと思って……」

春香「じゃあもう良いよ、当り障りのないコメントで良いから!」

千早「もう、春香はワガママね」

春香「ワガママにもなるわ、ここまでくれば! ホント、頼むよ?」

千早「任せて」



…… ※ ……



春香「がんばるよ、いぇい!」

千早「いつも明るく元気な天海春香さん、そんな彼女もときどき落ち込んでしまう
   ことがあるそうです。にっくきアイツの名は『体重計』、天海さんのお風呂
   上がりは毎日が戦いです! 天海春香さんで『MEKATA!』」

春香「曲名変わっちゃってんじゃん! もう良いよ!」


はるちは「「ありがとうございました」」



春香「……なんで私たちが」

千早「漫才なんてしなきゃいけないの……」

美希「はーい、先週の『生っすか』のお約束通り、罰ゲームは春香と千早さんによる
   生漫才だったの! みんなどうだった? おもしろかった?」

春香「もうね、客席全体がね、わかる。苦笑いの空気」

千早「居た堪れなかったわね……」





<fin.>