バレンタインの日には、想い人にチョコをあげるなんて思い付いた奴を咎める気は無いが、
あいつに吹き込んだのは一体どこのどいつだ。

近づいてきたと思えば遠ざかって、
背中に隠したものをチラつかせては躊躇う。

ようやく意を決したのか取り出した高級なチョコレート。
「本当はもっとちゃんとした物をプレゼントしたかった」、中々に男泣かせな台詞だ。

「その気持ちだけで十分だよ」、と。

「ありがとう、千早」、と。

心のなかではどれだけ下手でも手作りが良かった。
なんて言わないでおく。
そんな笑顔を見せられて、文句なんて言える訳が無い。

子どもみたいな、咲いたような笑顔。
年相応の少女に戻ったような、そんな気さえする。

くそ。






カメラの前でもそれくらい笑いやがれ。