――――八月



月の初めからすでに、終わり頃を気にしてしまうこの月は

毎晩、机に向かって手帳を記す。


一字一字を確かめるように、気持ちを綴る。

だって

この心の動きは多分

私にとって、とても大事な事だから。

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八月 一日 土曜日 天気、晴れ


この日から毎日

手帳に自分の心の変化なんかを書こうと思う。

さっき七月の12時を過ぎた時点で

すでに自分の心が浮ついているのがわかり

少し、笑った。


きっと、当人は気にもかけてないだろうけど

この月の月末は、私にとっても特別だから。


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八月 二日 日曜日 天気、晴れ


野外での仕事があった。

雲一つない快晴でとても暑く

情けない事に仕事に出向く前から

自身の体調を気にしてしまうほどだった。


事務所から出る時に私の忘れた麦わら帽子

急いで私を追いかけて被せてくれた時

凄く、ビックリしちゃったな。

でも、凄く、凄く、嬉しかった。

ありがとう、貴女のおかげで、倒れずにすみました。


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八月 三日 月曜日 天気、晴れ


暴力的な気温と湿度が続き

事務所の中も蒸し風呂のようだった。

こういう時は熱いのを飲んだ方が良いんだよ

そう言って、お茶を頼んでくれた。

嬉しかったな。


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八月 四日 火曜日 天気、晴れ


五日連続の真夏日

皆の話題はどうしても暑さが中心になってるみたい。

でも、そろそろ決めないとと思うのは

私だけが焦っているって事なのかな。

それは、ちょっとだけ、恥ずかしい。


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八月 五日 水曜日 天気、晴れ


あいも変わらずお日様は容赦ない。

今日は春香ちゃんにそれとなく聞いてみた。

まだ全然考えてないって言ってたけど

ううん、やっぱり私が気にし過ぎなのだろうか。


でも、その気にしている時間が私は好きだったりする。


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八月 六日 木曜日 天気、晴れ


一緒のお仕事があった。

話題に出さないように気を付けているけれど

どうしても29日の事が気になって

なんだか上手くおしゃべりが出来なかった。


貴方もなんだか訝し気だったし


うう、私って何でこうなんだろうか。


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八月 七日 金曜日 天気、晴れ


今日は今年一番の暑さだった。

水分はこまめにとるよう、事務所から言われているけど

今日は流石にクラっとしてしまった。

一人、ベンチにぐったりしてた時

貴女がくれた塩飴がポケットから見つかった。

本当に、いつも貴女は私を助けてくれる。


貴女が知らない所でも、私は助けられているんだ。


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八月 八日 土曜日 天気、くもりのち晴れ


久々に暑さが和らいだ。

毎日のように手帳をめくるけど

もう一週間経ったのだなと思う。


そして貴方へのプレゼントがまだ決まってない事に

一人、慌てるのだ。


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八月 九日 日曜日 天気、くもりのち晴れ


久々の一日オフ。

一人で駅ビルまで出かけてみた。

行くお店は普段私が行かないような所ばかり。

貴女に似合うものをと考えると

どうしてもそうなってしまう。


そこで一つ難点が

カッコいい店員さんに声をかけられると

まだ見たいのにそそくさと店を出てしまう


こうしている間にも29日が近付いてしまう。

少し、焦る。


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八月 十日 月曜日 天気、くもり


あずささんに相談してみた。

八月は後半になるにつれ、とても涼しくなるから

洋服とかならば気にした方が良い

なるほど、聞いて良かった。


あずささんは既に決まっているとの事だったけども

聞いても教えてくれなかった。

とても気になる。


だって、私のプレゼントがその人より喜ばれなかったらとか

そう言う事を考えてしまうから。


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八月 十一日 火曜日 天気、くもり


事務所で皆が貴女の誕生日の話をしていた。

仕事の出発前なのに凄く聞きたくて

なかなか降りてこない私をプロデューサーが心配して迎えにきた。


夜はその話の事を聞きたくて

春香ちゃんと沢山ラインしてしまった

迷惑に思われただろうか。

でも、皆ちゃんと考えているようで

おかしいとは思うけど、ホッとしてしまった。


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八月 十二日 水曜日 天気、くもりのち晴れ


そういえば今週末、ボクの誕生日なんだよ


突然そう切り出された時には、心臓が飛び出そうになった

ボクも年をとるなあ、なんて少し年寄り臭い事を言う貴女を見ながら

そうか、貴女は私より少しお姉さんなんだな、なんて思った。


そのあと

無意味に握った手を、握り返してくれた。


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八月 十三日 木曜日 天気、雨のちくもり


とても久しぶりに雨が降ったけど

今は月が見える。

事務所に入ったら、寝ている美希ちゃんに

ひざを貸している貴女が居て

いけないとは思っているんだけれども

はっきりと、嫉妬してしまった。


いけないと思っているのに

その後、貴女に対してそっけなくなってしまった。

怒ってはいないだろうか。


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八月 十四日 金曜日 天気、くもり


会いたくないなと思っている日こそ

会ってしまう。


そして私は、こういう感情を

引きずってしまうのだ。


部屋の鏡を見ると

酷い顔の自分がいる。


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八月 十五日 土曜日 天気、くもりのち晴れ


今日はオフ。


夜だと言うのに、お線香の匂いが空気に染みついているように思う。

家は旧盆だから七月には終えてしまっているけども。

何処となく、世の中全体が重く、灰色に感じるのは

私の心情もあっての事なんだと思う。


29日の事も早く決めなくてはいけないのに

下を向いたまま一日が終わろうとしている。

こう言う時、貴女からの連絡を待って

何度も携帯を見てしまう私は

本当に勝手な人間なんだなと思ってしまう。


このままではいけなと解ってはい


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八月 十六日 日曜日 天気、くもり


とても楽しかった。

昨日の夜の記録が途中になっていたので

続きをこっちに書く。


あの後、本当にメールが来た。

良かったら明日遊ばない?

それだけだったけど、メールを見て少し泣いてしまった。


色々ショッピングしたり、楽しい日だった。

最後、ボクが何かしたなら謝るけど、本当に心当たりが無いんだ

と意を決したように話す貴女を見て、とても申し訳ない気持ちになった。

色々取り繕ったけど、嫉妬しちゃったって言えてよかった。

驚いた顔をしていたけど、撫でてくれて、嬉しかったな。

貴女のこう言う所に真剣な所も、、、◆■◆■(塗りつぶし)


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八月 十七日 月曜日 天気、雨


仕事帰りに春香ちゃんに付き合ってもらってデパートへ

何にしようか、と二人で決めかねてると

「傘はどう?」なんて二人そろって言ってしまった。


そうか、同じ物をあげちゃう事だってあるんだ。

また頭を悩ます種が増えてしまった。


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八月 十八日 火曜日 天気、くもり


決まっている人
あずささん、千早ちゃん、四条さん、亜美ちゃん、真美ちゃん

決まってない人
春香ちゃん、美希ちゃん、やよいちゃん、響ちゃん

聞けてない人
伊織ちゃん、律子さん、社長、小鳥さん


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八月 十九日 水曜日 天気、くもり


どんよりとした天気が続くけど

事務所の皆は二十九日に向け着々と準備を進めている。

あと十日後と考えると

ウキウキとハラハラが入り混じって

変な表情になってしまう。


こんな事では当日が心配だ。


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八月 二十日 木曜日 天気、雨のちくもり


いつもそうなのだけれども

事務所では誰かの誕生日を祝う時

サプライズパーティーにする事が多い。

今回も例外では無いんだけれども、正直な所

バレていると思う。


貴女の少し浮ついた表情でそれが解ってしまう。


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八月 二十一日 金曜日 天気、くもり


最近とても涼しくなってきた。

暑かったり涼しかったり

生まれた月は生まれた人に似るのだろうか。

なんて、思う。


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八月 二十二日 土曜日 天気、くもりのち晴れ


今日は美希ちゃんと春香ちゃんと一緒にプレゼントの買い物

先日、三人でその会話をしていた時に貴方が

ボクも行く、なんて言い出した時にはどうしようかと思った。

そう言う時、美希ちゃんって本当に上手にかわす。


いよいよプレゼントも決まった。

貴女らしい物を、選べた気がする。

喜んで、くれるかな。


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八月 二十三日 日曜日 天気、くもりのち晴れ


机の隅に置いたプレゼントを見るたびに

にやついてしまう。

いよいよ、今週末だ。



緊張して眠れない。


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八月 二十四日 月曜日 天気、くもり


今までの一年が終わって、これからの一年が始まる日

なんだなぁ。

そんな事を考えている。


皆には少し悪いかもだけど

明日、あのお店に行こう。


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八月 二十五日 火曜日 天気、くもり


仕事帰りにいつものお店に行ってみた。

着た感じが全然想像できないけども

渡せるかどうかも解らないけども


タイミングがあるかどうかも解らないけども


ダメだ、どんどんネガティブに考えてしまう

並んだ二つのプレゼント

どうしよう、ドキドキが止まらない。


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八月 二十六日 水曜日 天気、雨


全員のスケジュールの都合がついたと小鳥さんが言っていた。

良かった、皆で貴女の誕生日を祝う事が出来る。

自分の事のように幸せだ。

でも、そうすると、やっぱりもう一つのプレゼントが

渡すタイミングが


日頃お世話になっているからとか、そういうので後で渡そうか。


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八月 二十七日 木曜日 天気、くもり


二日前に迫った。

皆のソワソワが貴女にまで伝染しているのが面白い。

私はソワソワよりもドキドキが止まらない。


ほほも自然と上がってしまう。


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八月 二十八日 金曜日 天気、くもり


とても涼しい一日だった

夜は少し肌寒い。

さっき貴女から

明日は何も知らないフリで良いんだよね?

何てメールがあった。


何の事?


って返してしまった。

ああ、こんな事では今日も眠れない。

ニコニコが止まらない。


渡せるだろうか、あの、プレゼント。


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八月 二十九日 真ちゃんの誕生日


ここには書ききれない程

楽しい一日だった。

皆の誕生日をもらった時に

これからもこう言う路線なの!!

って大声で言った貴女の顔はとても嬉しそうで

心から貴女を祝えて良かったと思っている。


帰り、多分偶然じゃないんだけれど

二人きりで帰れた。

私の家の前で、渡せないかなって思ってたプレゼント

ちゃんと渡せた。


プレゼントを渡すとかそう言う雰囲気じゃなくて

どことなく、告白のような、そんな雰囲気で

頭はキンキンするし、耳鳴りはするしで

何を言ったかも覚えて無かったけど

落ち着いた声で、ありがとう、って言ってもらえた。

なんだか、今日は凄く良く眠れそうだ。


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八月 三十日 日曜日 天気、くもりのち雨


急に肌寒くなったよねって言って

事務所に入ってきた貴女は

私と貴女だけが知っているもう一つのプレゼントを

着てくれていた。

私のあげたカーディガン。


貴女には少し、可愛い過ぎるとは思ったし

貴女は照れくさそうにしてたけど。


とっても似合ってた。


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八月 三十一日 月曜日


毎日手帳に向き合うのも、今日が最後

この一ヶ月を見直してみると

顔から火が出るほど、恥ずかしい。


でも


この感情は

貴女のためのこの一ヶ月は

私にとってとても幸せな一ヶ月だったから。

私は、これからも、毎年、コレを綴るんだと思う。


真ちゃん。

生まれてきてくれて、本当にありがとう




大好き。