真「えっ?」

春香「最近やよいに避けられてる気がするんだよねぇ......」

真「やよいに限ってそれはないと思うけどなにかしたの?」

春香「なにかした覚えはないんだけど」

真「じゃあ気のせいじゃないの?」

春香「でもここ最近やよいに物をよくあげる機会があってね?」

真「物ってクッキーとかケーキとか?」

春香「そういうのじゃなくて」

真「じゃあどういうの?」

春香「ほら最近クリスマスとか年末の特番で景品とかアンケートで答えた欲しいものをもらえたりするじゃない?」

真「これ本当にありがたいよねぇ」

春香「それでこの前50インチのテレビを貰ったんだけどね」

真「凄いじゃないか!」

春香「でもうちのテレビ最近買い換えたばっかりで......」

真「タイミングが悪かったね......」

春香「しかもお父さんが買ってきた40インチよりも一回り大きい50インチ貰ってきたとなると......」

真「お父さんの面子がね......」

春香「自分の部屋に置くのも大きいしならやよいにあげようと思ったの」

真「それはやよい喜んでるんじゃない?」

春香「でももしかしたらこんなことになってるんじゃないかと思ってね?」

真「こんなこと?」



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やよい『長介!! 春香さんからこんなに大きいテレビをもらったよ!!』

長介『やったね姉ちゃん!! これで野球とかアニメ見たら映画みたいだよ!!』

やよい『本当に春香さんには感謝だね!!』

長介『前から好きだったけどより好きになっちゃったよ!!』

やよい『もう長介ったら』

業者『すいませんこのテレビどこに置きましょうか?』

やよい『あっ、すいませんこの上に置いてもらっていいですか?』

業者『えっと......ここですか?』

長介『はい!』

業者『このテレビ台の上はちょっとサイズが......』

やよい『えっ?』

業者『それとここに置いてしまいますと通路を塞いでしまいますが......』

やよい『......』

長介『......』

やよい『......まんまとやられたね』

長介『えっ?』

やよい『これはうちが狭いことへの嫌味だよ』

長介『いやそんなことはないと思うけど......』

やよい『じゃあなんでうちのテレビ台に置けない大きさのテレビなんてくれるの!?』

長介『うちのテレビ台の大きさ知らなかったんじゃないかな......?』

やよい『どうするのこれ!! 畳に直接置くのこれ!? しかも台所から物運ぶとき邪魔になるよこれ!!』

長介『それは置く場所考えれば済むんじゃ......』

やよい『本当に余計なものよこしてくれたよッ!! 天海春香ッ!!!!』



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春香「ね?」

真「ね? じゃないよ」

春香「こうなってるよきっと」

真「なってないよ」

春香「やよいの家の元々あるテレビ台が小さいことくらい簡単に想像できたのにあんなに大きいテレビを送ってしまうなんて......」

真「やよいの家をなんだと思ってるの春香は?」

春香「善意でやったことなのにこんなことになってるんじゃないかと思うと気が気じゃなくて......」

真「ボクの話は無視なの?」

春香「だから今度は電子レンジを貰ったからお詫びにあげたの」

真「無視なんだね」

春香「そうしたらもちろんこうなるよね?」

真「話聞く前だけど多分ならないよ」



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やよい『長介!! 春香さんから新しい電子レンジをもらったよ!!』

長介『やったね姉ちゃん!! これで温める時に電子レンジの中のにおいが食べ物に移ったりしないよ!!』

やよい『テレビの時にはえらい目にあったけどこれは安心だね!!』

長介『えらい目にはあってないよ姉ちゃん!?』

やよい『新しいレンジは大きいからトレーのまま冷凍したお肉とか冷凍ごはんも家族全員分いっぺんに解凍できるよ!!』

長介『最高だよ!! でも姉ちゃん』

やよい『なに長介?』

長介『これ『あたため』と『解凍』以外にもいろいろボタンがあるけど使いこなせるかな......?』

やよい『......』

長介『......』

やよい『......してやられたね』

長介『えっ?』

やよい『お得意のあげて落とすやつだよこれ』

長介『いや落ちてないよ!?』

やよい『このボタン何に使うのねぇこれ!? この簡単調理のらたとー、らったつー......このボタンッ!?』

長介『ラタトゥーユねっ!! それはラタトゥーユ作るときに使うんじゃないかな!?』

やよい『うちにある限り一生使う機会ないよこのボタンッ!』

長介『このボタンを一生使わない家はウチだけじゃないよきっと!?』

やよい『このボタン取り付けた人がうかばれないよッ!!』

長介『それ考える必要ないって......』

やよい『うちは『あたため』と『解凍』さえあればよかったのにッ!! やってくれたな天海春香ッ!!』



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春香「まぁこうなるよね」

真「当然ならないよね」

春香「あたためと解凍さえあれば十分なのに無駄に多機能な電子レンジを上げてしまったばっかりにやよいを困らせることになるなんて......」

真「ちょいちょいやよいのこと馬鹿にしてるけどやよいのこと嫌いなの? 考えすぎたゆえなの?」

春香「もうどうしたらいいのか......」

真「ただの被害妄想だと思うけどなぁ」

春香「次はどんな物を送れば許してもらえると思う?」

真「また勝手に春香が被害妄想になるだけだからやよいに直接聞いたほうがいいんじゃないの?」

やよい「おつかれさまです!!」

真「あっちょうどいいところに! おーい、やよい!!」

やよい「あっ、真さんどうしたんですか?」

春香「ちょっ、ちょっと真!」

真「大丈夫だって! ねぇやよい春香からテレビとか電子レンジとか貰ったんだって?」

やよい「はい! うちのテレビとか電子レンジとか古くなってたんで助かっちゃいました!!」

春香「ほ、本当に?」

やよい「はい!!」

真「はらね春香! 春香は考えすぎなんだって」

春香「よかったぁ......」

やよい「テレビが大きくて邪魔だったり電子レンジが使いにくくてももう慣れました!!」

真「えっ?」

やよい「あっこれからレッスンなのすっかり忘れてました! 真さん天海さん」

春香「あれ? 天海さん?」

やよい「それじゃまたあとで!!」

真「うっ、うんまた後で」

春香「......」

真「......」

春香「......前から天海さんだったっけ?」

真「いや違うと思うけど......」

春香「......」

真「......」

春香「.....なにあげたら許してもらえるかな?」

真「全力で頭下げたほうがいいと思う」



このあと新米10キロ送ったところ無事春香さん呼びに戻りました



終わり