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春香「はいはいはいはいはい」
伊織「はい、どうも、本当、ありがとうございます」

春香「本当ね、皆さん飽きもせずようこそ! ってね」
伊織「失礼よね!? 来て頂いているのよ、私達のために」

春香「ありがたい話ですよ、我々のね、漫才を見に本当に」
伊織「違うのよ、アイドルのライブなのよ? この場は多くの方は漫才を見に来たんじゃないのよ?」

春香「いやーーーーしかしアレだね!」
伊織「何ですか」

春香「絶好のライブ日和だね!!」
伊織「ですよ!! 本当にね、こうしてお客様も沢山集まって頂いて」

春香「こんな日はね、頑張ってやりたいね」
伊織「今日は盛り上げていきますよ!!」

春香「伊織も歌いたくてウズウズしてるんじゃないの~? 全力でしょ~? 例の全力のアレでしょ~?」
伊織「導入下手くそか!! ノリがウザったいのよ!!」

春香「じゃあ早速!! やりましょうか!!」
伊織「聴いて下さい!!」

春香「誘拐犯ネタをね」
伊織「何でだ!!?? 歌を唄え!! その方アイドルだろうて!!」

春香「いや、もう、こんな天気されちゃったらやるしかないって伊織」
伊織「そも誘拐犯ネタやりたい日ってどんな日よ!?」

春香「私がお母さん役やるから」
伊織「しかも私が誘拐犯なの!!??」

春香「お願い!! お願いだって伊織!! 伊織様ぁ!! おねげぇだよぉ!!」
伊織「あーあーあーあー解った解った!! やるやるやる!!」

春香「よっしゃよっしゃ!! じゃあ、電話がかかってきた感じでお願い」
伊織「皆さんすみませんね、ちょっとこの茶番に付き合って下さい」



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伊織「プルルル、プルルル」
春香「今更プルルルルって」

伊織「何!? 携帯なの!?」
春香「今はそうでしょ」

伊織「……タン・タタ・タンタララッタン・タンタンタンタンタン♪」
春香「私iphoneじゃないし」

伊織「伝わるなら良いじゃない!! 伝達手段はなんでもいいのよ!! 早く電話に出なさいよ!!」
春香「もしもし?」

伊織「もしもし?」
春香「はい」

伊織「あーオタクの息子さん? 行方不明になっている」
春香「えっと……何番目の?」
伊織「たくさん行方不明なの!!?? どんな家庭だよ、二番目ので良いよ二番目の!」

春香「二番目のタカシが!?」
伊織「何で複数人タカシが居るんだ!! クローンでも作ってんのか!? いいよ、もう、息子で」

春香「誰との息子ですか!?」
伊織「家庭内複雑だな!? かなり修羅場の家庭から攫っちゃったよ」

春香「まさかタカシとの!?」
伊織「タカシシリーズ作りたいのかよ!! 量産機じゃないんだからさ子供は」

春香「息子は無事なんですか?」
伊織「ふっふっふ、それはこれからの奥さんの行動次第って所かな?」

春香「そんな!? ゴマは擦りますから!!」
伊織「いらないいらない、ちょっといい気分にさせてもらいたいために攫ってるわけじゃ無いのよ」

春香「な、何をすれば良いんですか?」
伊織「そうだな、1億円用意しろ、今すぐにだ」

春香「ええ……そんな大金」
伊織「息子の命を思えば安いもんだろ? あぁ?」

春香「4番目のタカシを売った金で良ければ……」
伊織「業の深い家庭だなオイ!? もうタカシシリーズ禁止だよ!!」


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春香「でも1億円なんてそんな大金……」
伊織「声を聴いてもそんな冷静でいられるかなぁ?」

伊織「助けてお母さん!!」

春香「……あの、どうしたんですか? 誘拐犯さん」
伊織「声色変えたろうが!! 察しろ!! 息子の声だよ!!」

伊織「助けて!! お母さん!!」

春香「ああ、キヨシ……っっ」
伊織「タカシじゃないのかよ!!!! タカシ封印したの私だけども!!!!」

春香「復活していたか……キヨシシリーズ……」
伊織「ああ、老人達の考えそうな事だ、現時点を持ってタカシの封印を解除とする!! じゃないわよ!! 知らないわよキヨシシリーズ!!」

春香「ああ、キヨシ」
伊織「助けて!! お母さん!! 誘拐犯が銃を持っているんだ!!」

春香「キヨシ、それは枯葉が風で揺れているだけだよ」
伊織「マイファーーザーーマイファーザーーーー(低音)じゃないんだよ!! シューベルトの魔王やってんじゃないの!!」

春香「ああ、キヨシ、可哀そうな事にぃ」
伊織「っふっふっふ、息子さんの脳天に風穴開けられたくなかったら今すぐ用意するんだな!!」

春香「はい! 解りました!! 今すぐに!!」
伊織「物分りが良いじゃないか……警察には言うなよ?」

春香「解ってます、それで……待ち合わせはハチ公前で?」
伊織「カジュアルだなオイ!! 今から遊びに行くわけじゃないのよ! 2番倉庫の前だ」

春香「との事ですが? おまわりさん」
伊織「居るのかよ!! 何で在中だ!! やってられっか!!」


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春香「うっそーー!!」
伊織「はぁ!?」

春香「引っかかったな☆犯人☆」
伊織「うざってぇ……息子殺すぞ!!」

春香「あぁ!! 待ってください!! ちょっとした茶目っ気で楽しい気分を味わって貰えばと……」
伊織「要らないのよ!! 完全にド裏目の気遣いなのよ!!」

春香「その話し方は……貴女! 女性!?」
伊織「しまったっっ」

春香「貴女…………貴女にも家族がいるでしょう?」
伊織「……っ」

春香「なら私の気持ちが解るでしょう?」
伊織「うるさいな……親に捨てられた子供なんだよ! 私は!!」

春香「それで……そんなっ」
伊織「憎らしいんだよ!! アンタらのような幸せな家庭が!!」

春香「実は家は家で結構複雑ではあるけども」
伊織「知ってるよ!! 冒頭でかなりの複雑な事情は垣間見えたよ!!」

春香「何も知らないくせに……」
伊織「ああ!! ああ!! ごめんなさい!! 悪かったよ! 複雑な環境を弄った件に関しては!!」

春香「おいでなさいな」
伊織「何を言っている……」

春香「良かったらおいでなさいな、家に」
伊織「そんな事言って……騙されないぞ! もう二度と私は騙されないぞ!!」

春香「息子とも仲良くやれるわ」
伊織「……」

春香「見て、息子の眼」
伊織「……っ」

春香「綺麗でしょ?」
伊織「……くそっ」

春香「タカシに騙されて産んだキヨシなの」
伊織「もう良いよ!」


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春香「って事でね」
伊織「茶番も茶番よね!」

春香「いやー鉄板だよね、誘拐犯ネタは」
伊織「まぁね、なぜか多くのグループがやるわよね」

春香「やっぱりやりやすいのかね?」
伊織「そうねぇ、作り易いシチュエーションなのかもしれないわね」

春香「そんなね、愛されたシチュエーションにも似た歌、聴いて下さい、水瀬伊織で全力アイドル」
伊織「やり難いわ!!!!!!」


春香「どうも! ありがとうございましたー!!」
伊織「どうも! ありがとうございましたー!!」




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律子「………………ついにコントやっちゃったよ!!!!!!」