雪歩「最近はね、私も周りの影響で漫画とかも読むようになったの」
真美「おお、それはそれは。そうやって知識を吸収していくのはいいことですなぁ」
雪歩「何かと漫画業界も大変みたいだね」
真美「まぁ、どこの業界も今はねぇ」
雪歩「漫画業界と言えばほら、あのドラマ化したやつ」
真美「あ~はいはい。重版出……」
雪歩「神様のベレー帽~手塚治虫のブラック・ジャック創作秘話~ね」
真美「重版出来じゃなくてそっち!? SMAPの草薙剛さんが主演のやつでしょそれ!? 誰も覚えてないっしょ!?」
雪歩「真美ちゃんはちゃんと覚えていたのに?」
真美「真美はね!? 真美はどっちかと言うとレアだかんね!? むしろSRだよ!」
雪歩「そのSMAPのAの部分担当の草薙さんがね、手塚治虫先生役でね」
真美「SMAPのAの部分担当とか居ないから。しかもそれだと五人だから人数余るし」
雪歩「手塚治虫さんがご存命の頃にタイムスリップしてしまった新人編集者役がAKB48の大島優子のUを担当する優子さんで」
真美「AKB48の大島優子さんね。ややこしいし、なんだったら大島のおーの部分もアルファベットのOみたいになってるかんね?」
雪歩「そのO島さんが」
真美「完全にO島さんになっちゃった」
雪歩「手塚治虫先生……えーっとややこしいから草薙画伯って呼ぶね?」
真美「それ、ぷっすまのときの敬称じゃん! 余計ややこしいよ」
雪歩「じゃあSMAPのAの部分担当の」
真美「だから、草薙剛にAの要素あるかなっ!? せめてK、もしくはTだよね!?」
雪歩「そのTKさんと」
真美「イニシャルトークじゃないんだからさ」
雪歩「U島のO子さんがブラック・ジャックを一緒に作り上げていくっていうお話なんだけど」
真美「O島のU子さんね? てれこになっちゃってっから」
雪歩「ところで真美ちゃんはブラック・ジャック知ってる?」
真美「うん、無免許なんだけど手術の腕前はピカイチの闇医者なんだよね」
雪歩「そうそう、そのモグリがね」
真美「うおぉい! 言い方!」
雪歩「え? ああ、ごめんね。そのおモグリの方が」
真美「なんでも頭に『お』をつければ良いってもんでもないけども。おのぼりさんみたいになってるし」
雪歩「難病に苦しむ人を助けるんだよね」
真美「また、決め台詞がカッコイイんだよね」
雪歩「まいったな……脳にまで腫瘍が転移している……」
真美「いきなり役に入ちゃうからちょっと真美びっくりんこだよ。せ、先生! 父を助けてください!」
雪歩「助けてくださいって言われてもねぇ……治療費は五千万になるよ? キミに払えるのかね?」
真美「五千万……」
雪歩「まあ、私は無理にとは言わんが。キミのお父さんがもがき苦しむ様子を指を咥えて見ていればいい!」
真美「そんな……あんまりじゃないですか! あなたそれでも医者なんですか!?」
雪歩「なんとでも言うが良い。それじゃあ私はこれで失礼するよ。なんせ私は忙しい身なのでね」クルッ
真美「ま、待ってください! お、お金なら払います! だから父を助けてください!」
雪歩「フッ……“その言葉が聞きたかった”――ってね!」
真美「カッコイイよね!」
雪歩「くぅう~痺れるぜ、こんちくしょうめ! べらぼうだな! こいつはべらぼうに粋なお人だぜ!」
真美「唐突にキャラチェンすんの止めて欲しいな。心の病気かなって思っちゃうから」
雪歩「ブラック・ジャックに治せない病気は無いんですぅ~」
真美「ブラック・ジャックだってゆきぴょんの心の病にはお手上げだよ、まったく」
雪歩「良いよね。闇医者とか。私、憧れちゃうなぁ」
真美「お? 病院コントに突入する流れですかね?」
雪歩「先生、父は助かるんですかっ!?」
真美「…………え~っ? そっちなんだ? てっきり医者役をやるものとばかり」
雪歩「先生、父は助かるんですか!?」
真美「残念ながら普通の医者では匙を投げるでしょうな……」
雪歩「そんな……」
真美「しかし私なら。必ずやお父さんを治してみせましょう」
雪歩「本当ですか! 父の打ち身は治るんですね!」
真美「打ち身なら普通の病院にさっさと行こっ!? ちょっと転んだくらいじゃん! ブラックジャックに頼るのもおこがましいよ」
雪歩「先生、父は助かるんですかっ!?」
真美「残念ながら……」
雪歩「そんな……」
真美「しかし、私ならあるいは」
雪歩「えっ!? 本当ですか!? お父さん、治してくれるって良かったね!」
真美「治療費に五千万頂くがね」
雪歩「え~~~~っと、保険適用されます? 父は社会保険の加入者なんですけど」
真美「されねぇよ! こちとら闇医者! 違法中の違法でブラックジャックによろしくやってんだよ」
雪歩「なるほど。分かりました」
真美「じゃあ五千万」
雪歩「無免許で医療行為をした場合、医師法違反及び傷害罪で捕まることをご存知無い?」
真美「えっと……」
雪歩「なんなら過去の出来事を調べあげて通報しても良いんですよ?」フフッ
真美「なんで逆に脅してきてんの!? 違うでしょ! ここは先生が強気に行くところでしょ!!」
雪歩「先生! 田中君が女子を泣かせました!」
真美「おい、田中! ちょっとこっちに来なさい!」
雪歩「は、はい……」オズオズ
真美「じゃなくて。先生は先生でも教師になってんじゃんか! 違うから! 闇の! 闇の感じだから!」
雪歩「先生! 新市役所に移転の件、根回しありがとうございます」
真美「いや何、これくらい朝飯前さ」
雪歩「これでうちが無事に入札できそうです。また黄金色のお菓子を持って参りますので、これからもよろしくお願いします」
真美「違うなー、そういう闇じゃないなぁ、もっとこう無免許で危ないお仕事なんだよね」
雪歩「先生、今日のお客さんが来る前にカミソリだけ準備しときますね」
真美「よろしくちゃ~ん」
雪歩「あっ、ところで先生ってカリスマ美容師って呼ばれてますけど無免許って本当なんですか?」
真美「それ真美たちが小さい頃にメディアを騒がせたやつじゃん! そういうのでも無くて! もっと偉大な人だよ!」
雪歩「先生! 早くお願いします!」
真美「待ちたまえ!」
雪歩「もう入稿時間とっくに過ぎてて、印刷所カンカンなんですから!」
真美「まさかの漫画家に戻ってきた! もういいよ!」ビシッ
雪歩「“その言葉が聞きたかった”」
真美「いい加減にしなさい!」
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