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10年後m@s


------------朝、幼稚園バス停

娘「ぱぱ、まま、いってきまーす」

あずさ「はい、いってらっしゃーい♪」

P「いってらっしゃい」

あずさ「ふふふ、相変わらず元気ね」

P「ええ、本当に」

近所のおばさん「あら、今日も二人で送り届け? 仲がいいのね」

あずさ「おはようございます~。うふふ、主人が心配症なんですよ」

P「どうも、おはようございます」

おばさん「優しい亭主でうらやましいわあ」

あずさ「うふふ♪」


P(あずささん一人だと、バス停から戻ってくるのに30分かかるからなあ……)




あずさ「ねえ、あなた」

P「なんですか?」

あずさ「私、迷子にならなくなったと思いません?」

P「ああ、そういやそうですね。なんだかんだで家には辿り着けますからね」

あずさ「あのね、目的地に強い思いがあるほど迷子にならないんですって」

P「そうなんですか?」

あずさ「家にはあなたと娘がいる……待ってる人がいるから帰らなきゃって思いが強くなるのかしら」

P「ははは、じゃあ僕と娘ちゃんが呼び寄せてるのかもしれませんね」

あずさ「……そうね。アイドルになった時もそう。短大出て、どうしていいのかわからない私をあなたは導いてくれた」

あずさ「アイドルになるなんて考えもしなかったけど、あなたはいつも私の手をとってくれた」

P「……」

あずさ「あなたはどんな時でもどこにいても私を見つけてくれる。これってすごいことだなあって」

P「そっか……」

あずさ「あなたがいてくれるだけで私は迷うことがないの。だから」

P「だから……?」

あずさ「これからずっとそばにいてね」

P「も、もちろん!」

P(改めて言われると恥ずかしいな……)



あずさ「ところで……ここはどこかしら?」

P(しまった。話に夢中で迷子になってしまった……二人一緒だと効果がないか?)




------------夕方、幼稚園バス停

娘「ただいまー、ぱぱ、まま」

P「おかえり。いい子にしてたかい?」

娘「うんっ! ぱぱ、だっこ」

P「ははは、じゃあ……ほらっ」

娘「あはははははー」

あずさ「あらあら、ちゃんと先生の言うとおりにしてたかな?」

娘「だいじょうぶー。いいこって、ほめられたんだよー」

あずさ「そっかあ……じゃあ、パパとママから娘ちゃんにプレゼントがあるの」

娘「なあに?」

あずさ「実はね……娘ちゃんに弟か妹ができるのよ」

娘「えっ!?」

あずさ「今日、病院でね、教えてもらったの」

P「娘ちゃんはお姉ちゃんになるんだよ」

娘「ほんとうに?」

あずさ「そうよ」

娘「……ぱぱ、おろして」

P「一人で大丈夫かい?」

娘「へいき。おねえちゃんだもん」

P「そっか……」

娘「まま、手、ぎゅーして?」

あずさ「ぎゅー? ああ、握手ね」

娘「ぱぱもぎゅー」

P「はいはい」

娘「ぱぱ、まま、ありがとー」

あずさ「どういたしまして、ふふふっ」

娘「わたしもらったけど、ままはぷれぜんともらったの?」

あずさ「ママ? そうね……」

P「……」

あずさ「ママはね、パパにたっくさんもらったの」

娘「そうなの?」

あずさ「そうよ。両手で持てないほどいっぱいの思い出と時間をね」

P「あずさ……」

娘「じゃあ、ありがとういわないとー」

あずさ「ふふっ、そうね」





あずさ「ありがとう、あなた……そして」



あずさ「これからもよろしくね、パパ」



おわり



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