10年後m@s



暑い...とにかく暑い
『太陽が照り付けるよう』にとか『南国のような気候』とか
いろんな言い回しがあるけどここに来れば出る言葉は一つ『暑い』だけだ
あの人は風通しもいいし不快指数もすくないから思ったほどではないとか言っていたけど
日差しが強いから農作業とかでうっかり肌を出しているともう日焼けを通り越して火傷になるし
そろそろ年齢も考えて肌とかも焼かないようにしたいし..
「まったく私が小さい頃から乗ってるのは知ってるけど
もういい加減買い換えてくれればよかったのに」

実家から持ち出した...もとい借りている軽トラックは
クーラーがきかず窓から入る風だけが涼をえる手段なのだ
そのため車を走らせているときは快適なのだが
信号で停止しているときは隣の車の熱気なんかでものすごく暑くなる
自分の車がないわけではないがあまり大きくないし何より今日の
パーティー用に買った野菜や海産物を運ぶのに匂いが自分の車についちゃうのは
いやだったからこっちで買い出しに出たのだが...失敗だった

車を走らせて数分...
自宅兼お店が見えてきた
明日からオープンする私とあの人とのお店
昼は沖縄料理が食べられるレストラン、夜はバーとして経営することにした
夜はときどき私が歌うことになっている
きっかけはあの人の『あぁ~たまには響の歌が聞きたいなぁ』の一言だ
まぁそこまで頼まれたら歌わない理由もないし歌うこと自体は嫌いじゃないからな!
それに...昔社長に連れて行ってもらったバーで歌うぴよ子を見て密かに憧れていたんだ
決して華やかな舞台ではないけれどここまで綺麗で素敵な歌を楽しそうに歌っている
いつかは自分もこういう場所でずっと歌い続けたいと思っていたのだ

お店の前に車を止めるとコテージにすっかり老犬になったいぬ美とあの人がいた

「あれ?朝からいないと思ったらどこいってたのさ!」

「朝早く目が覚めちゃてさいぬ美と散歩してたんだよ、な?」

いぬ美がバウと肯定の返事をする

「そういえば美希と貴音が来てるみたいだぞ」

「えっ!!本当に!?」

今日はこれから開店祝いのパーティーをするつもりで
身内と協力してくれた人たちと行うつもりだったけどだめもとで
元フェアリーのみんなにも招待状を郵送しておいたのだ

「あぁちょうど休みが重なってたらしい今朝の便で到着したってさっき美希から電話があったよ
まぁ今は貴音が沖縄そばに夢中で足止めくらってるみたいだが...あいかわらずだなあいつも」

そうか...来てくれたんだだったら準備頑張らないとな!

「結構『我那覇響が店を開く』ってことで本島からもお客さんが来てくれてるみたいだし
これは明日から大変そうだな...大丈夫か響?」

あの人は昔から決まってなにかしようとするたびに『大丈夫か?』と聞いてくる
だから私も昔のように答える

「なんくるないさー!だって自分は完璧だからな!」

終わり