☆シャッフルSS☆




ガチャッ


真「プロデューサー!」

P「おう真、どうしたんだ? なんか大怪我してるけど」

真「イメージビデオ作ったんですよ!」

P「真、どうしたんだ? なんか無視されたけど」

真「イメージビデオ作ったんですけど!」

P「……うん、それで?」

真「販売したいので、観てもらえませんか?」

P「おお、すっごい唐突」




P「イメージビデオも何も、そんな話聞いてないんだが……」

真「テーマは『純真』! タイトルは『純真 2013秋』です!!」

P「え、タイトルまで決定してるの?」

真「今決めました、ボクが決めました!」

P「……というか、真って動画とか作れたのか?」

真「小鳥さんに手伝って貰いました!」

P「……」

真「それじゃ、早速再生しますねー」ガガー



―――――
―――――


――皆さんは、『虫』はお好きだろうか――


P「待て」ピッ

真「どうかしました?」

P「うん……突っ込んでいいか? これ」

真「まぁ、発売までに改善することも必要ですし」

P「……」



P「改めて聞くが、これ、真のイメージビデオだよな?」

真「はい!」

P「ここは何だ? ドラマパートか?」

真「オープニングです!」

P「そうか……」

真「続き行きますよ、すぐ止めないで下さいね!」



―――――
―――――


――1口に『虫』と言っても、その種類は膨大だ――


――カブトムシ、アブラゼミ、カマキリ……――


――今回は、その中でも……『害虫』をクローズアップしていこう――



『菊地真vs害虫!炎の三番勝負!!』


P「ストォーップ!!」ピッ



真「ちょっと、すぐ止めないで下さいよー」

P「うん……これ、イメージビデオだよな?」

真「今更何言ってるんです、そうに決まってるじゃないですか!」

P「何でだ? 何でアイドルのイメージビデオに害虫なんて言葉が出てくるんだ?」

真「ボクがその害虫を倒すっていう構図です!」

P「どこに害虫駆除をアピールするアイドルがいるんだよ!」

真「害虫は悪くありません!」

P「そこじゃねぇ!」


P「……っていうか、ナレーション、高木社長だし」

真「協力して貰いました!」

P「……」



―――――
―――――


~① 恐怖! 大繁殖のコバエ~

――やって来たのは、都内のとある民家――


雪歩『皆さんこんにちは、萩原雪歩です』



P「あれ、雪歩だ」

真「友情出演です!」



雪歩『本日は、こちらの家に害虫が発生したとのことなんですが……』

雪歩『すいません、お話、聞かせて貰っても?』

やよい『はい……』



P「あれ、やよいだ」

真「友情出演です!」



やよい『家にコバエが出たんです』

やよい『いつも掃除していたつもりなんですが……』

雪歩『そうなんですか……では、早速見てみましょう』


やよい『こっちですー』

雪歩『うわっ!これは……ひ、ひどいですね……』

やよい『殺虫剤とかも無いので、どうしようかと……』

雪歩『なるほど……』


デーレーン デーレレレレー デーレー デレレレレレーン♪


雪歩『……こっ、この曲は!!』



P「この曲は?」

真「ジェロの『海雪』です!」

P「また微妙なチョイスだな……」



真『とうっ!』スタッ

やよい『あ!真さん!』

真『ふ……待たせたね、少年』

やよい『少女です!』

真『心配ご無用……アップは済んでるんだ』



真『始めようか』



P「アレ? 真ってこんな口調だったか?」

真「カッコ可愛いじゃないですか!」

P「……」



雪歩『真ちゃ……き、菊地さん。 勝算の方は?』

真『もう勝算しかありません、大船に乗ったつもりで……まずは、これを』ヒュン

やよい『これは……』

真『奴らの発生源はそこのシンクです、その殺虫剤を使って下さい』



P「あ、何、結局殺虫剤とか使っちゃうんだ」

真「必要悪ってやつですね!」

P「お前意味分かってる?」



――コバエが発生した場合、まずは発生源にしっかり対処する必要がある――


やよい『これで……はい!大丈夫ですー!』

雪歩『じゃ、じゃあ、今飛んでる成虫は……』

真『ボクが潰します』

雪歩『!』

やよい『え……でも、いっぱい』

真『……その為にボクが来たんですから』



P「あ、何、結局普通に素手も使うんだ」

真「素手喧嘩(ステゴロ)ってやつですね!」

P「あー、うん」



真『それじゃ……お手柔らかに……』

コバエ『……』プーン

真『……いきますよッ!!』ダッ


雪歩『……!』

やよい『!!!』



――その時の様子を、高槻家長男・高槻長介君(12)は語る――


P「何でだよ! 長介居なかっただろ!」



長介『いやァ…………ビックリしましたよ、マジで』


長介『真さんが………こう、シュッとやるんですよ。 シャドーボクシングの要領で』


長介『その度に……目に見えて、減るんですね、コバエが』


長介『もう目を疑いましたね………ハイ』


長介『え? ウソじゃないかって?』


長介『はは、あなたもおかしなことを言う』


長介『だってあの人は………あの、菊地真ですよ?』



P「長介こんなキャラじゃないだろ! バキ的手法に巻き込むんじゃねぇ!」

真「プロデューサー、うるさいです」

P「ん、ああ、すまん」



真『………』パラッ

真『終わりましたよ』


雪歩『す、すごい……』

やよい『すごいですーっ! ありがとうございます! 真さん!』

真『いいや、礼には及ばないよ』


真『それじゃあ……ボクは次のレッスンがあるから』

やよい『あのっ……名前、名前を教えて下さい!』

真『真……菊地真。 しがない流しのアイドルさ』


~① 恐怖! 大繁殖のコバエ~ 終



P「……」ピッ

P「……普通に名前呼んでたよな、やよい」

真「まぁ、そこは……ハイ」


P「というか、さっき三番勝負って言ってたけど」

真「ハイ」

P「……後二つもコレを見るのか………」

真「楽しいですよ!」

P「うん、まぁ、そこは否定しない」



―――――
―――――

~② 戦慄! 闇に潜むゴキブリ~


雪歩『皆さんこんにちは、萩原雪歩です』

雪歩『本日は、こちらのお宅に来ているんですが……』


P「あれ、雪歩はレギュラーなのか」


雪歩『すいませーん!』

美希『あふぅ……』

雪歩『今回は、一体どのような……?』


P「あれ、今回は美希か」



美希『…………ゴキなの』

雪歩『え』

美希『ゴキが出て……スプレー探してる間に、どっか行っちゃったの』

雪歩『そ、そんな……』


美希『ミキ的には、この辺にいるって思うな』

雪歩『ゴキ的には?』

美希『……さぁ?』


テーレッテッテッ テーレッテッテッ テーレーテレレレレーン♪
テーレッテッテッ テーレッテッテッ テーレーテレレレレー♪


雪歩『……こ、この曲は!!』



P「この曲は?」

真「『きよしのズンドコ節』です!」

P「何? 演歌好きだったっけ?」



真『とうっ!』スタッ

美希『あ、真クンなのー!』

雪歩『……だっ、ダメですよ! おさわりはダメですぅ!』

美希『ヤ! 助けてー真クーン!』

真『む……むむむ……』



P「何をイチャついてるんだ、お前ら」

真「これには困りましたよ……」



真『あー、ゴホン……何はともあれ、まずはGだ』

真『君の部屋に案内して貰えるかな?』

美希『オッケーなの!』

雪歩『……』


美希『ここだよ。 なんかお菓子食べる?』

真『いいや、その必要は無い』

雪歩『それって……』


真『この近くに、奴はいる……ボクのサイドエフェクトがそう言ってる』


雪歩『!』



P「唐突に中二病盛り込んで来たな」

真「設定と呼んで下さい、設定と!」



真『それじゃ……今から探知に入るから、静かにしていてくれ』

雪歩・美希『はーい』



真『…………』


美希『……』

雪歩『……』


真『……………』


美希『……』

雪歩『……』


真『………………』


美希『ねぇ、いつまでやるの? コレ』ヒソヒソ

雪歩『ダメだよ美希ちゃん、静かにしてないと……』ヒソヒソ



真『……………………』


雪歩『お茶、持ってきたよ』コトッ

美希『わーい、なの』


真『…………………………』


美希『……』ズズー

雪歩『……』ズズー

美希『………苦いの』

雪歩『そういうものだよ、美希ちゃん』


真『………………………………』



雪歩『あ、でもおにぎりには合うんじゃないかな……梅とか』

美希『そう? それじゃ……おお! コレすごいの!』

雪歩『美味しい?』

美希『美味しさ倍返しなの!』

雪歩『意味不明だよ美希ちゃん……』



P「何イチャついてんだ雪歩!!!」バン

真「ちょっ、プロデューサー落ち着い」

P「何でだ? 何で真のビデオにこれが収録されてるんだ!?」

真「何でそんな興奮してるんですか!?」



美希『じゃあ、雪歩も――』

真『……………上だ』

雪歩『え?』

真『この家に屋根裏部屋はあるかい?』

美希『えっ、あるけど……』

真『そこだ。 そこに奴がいる』



P「これまた唐突に判明したな……」

真「探知は大変なんですよ?」

P「探……いや、うん」



美希『よい……しょっと』

雪歩『せ、狭いね……』

真『美希、これを』ヒュン

美希『?』パシッ

真『それを置けば……これからは、奴らに会うことも少なくなるはずだよ』



P「やっぱり、ああいうの使うのな」

真「アフターケアです!」

P「うん」



真『今ここにいる奴は……ボクが』


カサカサッ


雪歩『真ちゃん!』

真『分かってる!』ブン

G『残像だ……』カサッ

真『!?』



P「え、なんで社長声当ててんの?」

真「その方が強そうじゃないですか」



真『なっ……ボクが遅い!? ボクがスロウリィ!?』

美希『真クン、うるさいの』

真『……』


G『フン……小娘ごときに、この俺が』ガシッ

真『……なーんちゃって、っと』

雪歩『!』

G『何……だと……?』

真『おおっと、暴れないでくれよ……手荒な真似はしたくないからね』



雪歩『す、凄い……』

美希『ベテラン、ってカンジ?』

G『ぐっ……放せぇ!』

真『ボクはね……ゴキブリ君。 よく君とスパーリングしてるんだ』

真『君の種族がどのように動くのか……体で覚えてる』

G『……』

真『だから、何も恥じることは』グシャァ



雪歩『……』

美希『……』

P「……」



真『……あ』



――ゴキブリは、その体に雑菌を宿していることが殆どだ――


――もし直接触ったり、潰したりした場合は……すぐに丁寧な水洗いが必要である――


~② 戦慄! 闇に潜むゴキブリ~ 終



P「……」ピッ

P「なぁ、真って……虫、苦手じゃなかったか?」

真「……」

P「真?」

真「……やっぱり、修行パートもカットしない方がいいですかね?」

P「あー、グロそうだからいい」




―――――
―――――

~③ 慟哭! 最凶のスズメバチ~


雪歩『皆さんこんにちは、萩原雪歩です』



P「そういえば、これって誰が撮影してるんだ?」

真「小鳥さんです!」

P「あぁ……」



雪歩『本日は……こちらのお宅に、来て……いるんですが……』

バウッ!!

雪歩『ひうっ!』

伊織『こら、止めなさい』



P「お、ラストは伊織か」



伊織『すいません、うちの犬がご迷惑お掛けして』

雪歩『あ、いえ……その、今回はどのような?』

伊織『……どうぞ、こちらに』



P「伊織は演技派だな」

真「ボクはきのこ派ですね」

P「……」



伊織『この木の、根元なんですけど……』

雪歩『これ……って』

伊織『はい、蜂の巣です。 いつの間にか出来ていて……恐らく、スズメバチだと思います』

雪歩『ス……スズメバチ……』ゴクリ

伊織『本当なら、専門の業者に頼むべきなのでしょうが……』


デレデレデレッ デーッデッデッデッ デッデッデレッデーッデッ♪


伊織『!?』

雪歩『……こっ、この曲は!!』



P「この曲は?」

真「『おジャ魔女カーニバル!!』です!」

P「そこは演歌じゃないのか?」



真『とうっ!』スタッ

伊織『あ、貴女は一体……!?』

真『話は全て聞きましたよ、お嬢さん』


真『後は……ボクに任せて下さい』



P「どうでもいいけど、真のキャラ結構ブレブレだな」

真「ボクはボクですよ!」

P「うん、突っ込みにくいのはやめてくれ」



雪歩『でも、ま……菊地さん。 スズメバチに挑むのは、危険なような……』

真『大丈夫ですよ、ボクを誰だと思ってるんです?』

雪歩『……っ』



P「おお、今回は役に入ってる」



真『さて、それじゃ……』コキッ

伊織『ちょ、ちょっと待って下さい!』

真『どうかしました?』

伊織『その状態で駆除するんですか!? スズメバチを!? 丸腰で!?』

真『……』



伊織『貴女が強いということは……何となく、分かります。 ですが』

真『武装なんて、要りませんよ』

伊織『!』


真『いつだってボクは、拳一つでやって来た……その生き方を、曲げる気はありませんから……!!』


伊織『……~~~ッッッッッ』

雪歩『っ……』

真『……』



伊織『………ふふっ、分かりました。 余計なこと言って、ごめんなさいね?』

真『いえ……』

伊織『でも、これだけは言わせて……』




伊織『どうか、死なないで』




P「……なぁ、これ本当に伊織か?」

真「……た、多分」

P「なんで真も自信無いんだよ!」



真『…………さて、と』


ハチ『……』ブゥゥゥゥン

ハチ『……』カチカチカチ



真『いっちょ、やりますか!』



P「……なぁ、真?」

真「どうしたんですか?」

P「心なしか、モザイクが画面を埋め尽くしているような気がするんだが」

真「……社長の配慮、ですかね?」

P「そうか……」



真『うおおおおおおおおおお!!!』

真『ぐ……っ』

伊織『[ピー]』

真『[ピー][ピー][ピー][ピー]!!!!』



P「聞こえない! 自主規制で何も聞こえないんだけど!」



~③ 慟哭! 最凶のスズメバチ~ 終



P「いつの間にか終わってるし!」



―――――
―――――

ガララッ


真『……あぁ、雪歩』

雪歩『まこ……菊地さん、体調の方はどうですか?』

真『へへ、おかげ様で元気ですよっ』



P「……え、何これ」

真「エピローグです!」




――さて……害虫の恐ろしさは、分かって頂けただろうか――


キャアアアアア!!!

真『!?』

雪歩『い、今のって……』


――また同時に、彼女についても――


真『……よし! ちょっくら行ってきます!』

雪歩『えっ、でも……』

真『大丈夫……ボクを、信じて下さい!』

雪歩『……』


雪歩『はいっ!』



――アイドル・菊地真は……何事にも負けない強さを持っているのだ――


『菊地真vs害虫!炎の三番勝負!!』 終




P「……真」ピッ

真「どうでしたか?」

P「その怪我は……さっきのスズメバチだったのか……」

真「いえ、交通事故です」

P「違うのかよ!」


P「………まぁ、いいや。 これを販売したい、だったな」

真「いいんですか!?」

P「ああ、面白かったしな……出来るだけ早く、売り出せるようにするよ」

真「へへっ、やーりぃ!」


――――

――



ウィーン


店員「いらっしゃいませー」

雪歩「……」ザッザッザッ


雪歩(今日は、真ちゃんのビデオの発売日……)

雪歩(真ちゃんのビデオ! なんていい響き!)


雪歩「ねーえー♪ 愛しててもー♪」

店員「……」

雪歩(保存用、鑑賞用、布教用……)



雪歩(あ、未来に託す用も買おうかな)



雪歩「これ、下さい」

店員「はい、こちら4枚で間違いありませんか?」

雪歩「異議なし!」バン


店員「それでは…………」




店員「何か、年齢を確認できるものをご提示頂けますか?」




雪歩「………え?」