1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:40:28.43 ID:XoR2lDHF0

―――― 12/17 21:00 都内テレビ局

『はい、じゃあ二人共お疲れちゃん!』

雪歩「お疲れ様でしたぁ」

真「お疲れ様でっす!」

「あ、タクシー、車止めに居ますんで。車両番号は緑の765です」

真「はい、ありがとうございます!」

雪歩「いつもすみません」

真「……はー、これで年内の収録はおしまいか」

雪歩「そうだね……なんか一年あっという間だったな……」

  ばたんっ


2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:41:06.17 ID:XoR2lDHF0

真「すっかり街はクリスマスムードだなぁ」

雪歩「ホントだね。街中がキラキラしてて、ちょっと楽しくなるよね」

真「うんうん。なんかお祭りの始まりっぽくてね」

雪歩「でもなぜか、本番のクリスマス当日になると、突然お正月ムードになって」

真「たった一週間そこらの間に、大きなお祭りが三つもあるんだなぁ」

雪歩「え? 三つ?」

真「何言ってるんだよ。12月24日、クリスマス・イブは雪歩の誕生日じゃないか」

雪歩「あ……うん、そう、だったね……」


3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:41:39.96 ID:XoR2lDHF0

真「……あのさっ」

雪歩「えっ? なに、真ちゃん?」

真「そのぉ……ね。プレゼント、何が良いかなぁ、って思って……」

雪歩「そんなぁ……何がって言われても、急には思いつかないし……それに」

真「それに?」

雪歩「なんか催促してるみたいで、ちょっとね」

真「うーん、でも雪歩の望まないモノをプレゼントしても、とも思うし」

雪歩「気持ちだけで十分だよ。えへへっ、ありがとう真ちゃん」

真「ボクまだ、何にもあげてないけどね?」


4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:42:09.11 ID:XoR2lDHF0

雪歩「うーん……でも、欲しいものかぁ……」

真「何かない?」

雪歩「そうだなぁ……でも、うん、『雪』が見たいかも?」

真「……雪?」

雪歩「うん。東京じゃまだ……早いかも知れないけど」

真「それが本当にできたら、雪歩は喜んでくれる?」

雪歩「それはもちろんそうだけど……ううん、言ってみただけだから。本当に」

真「そっかぁ、『雪』かぁ……」


5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:42:34.80 ID:XoR2lDHF0

―――― 12/17 22:00 765プロ事務所

ゆきまこ「「ただいま戻りましたー」」

P「お、二人ともお疲れ。今日は同伴できなくてすまんな」

律子「お疲れさま。二人だけなんて、何か有ったらと思うと心配だけど、真がいれば大丈夫ね」

真「ちょっと、律子! それはどういう意味かなぁ!?」

P「まぁまぁ。律子も今日はご機嫌なんで、許してやってくれ」

雪歩「何か良いことが有ったんですか?」

律子「ふふっ、特に何か有ったわけじゃないわ。今年も無事に年が越せそうね、って」

真「……さすが、765プロの金庫番だよ」


6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:43:03.20 ID:XoR2lDHF0

P「よし、じゃあ二人とも送って行くよ」

真「あ、ボクはあとでタクシー拾って帰りますんで!」

P「だったら、直帰しても良かったんじゃないか?」

真「いや、その、ちょっと。律子に話が有って」

律子「私に?」

P「あぁ、そう。じゃあ良いけど。雪歩を駅まで送ったら戻るから」

雪歩「……じゃあ、またね。真ちゃん」

真「お疲れ様、雪歩」


7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:43:34.73 ID:XoR2lDHF0

―――― 12/17 22:30 765プロ事務所

律子「……わかった? そんな簡単に雪なんて降らないし、降らせられないの」

真「ちぇっ、律子なら何とかできると思ったのになぁ……」

律子「私よりむしろ、伊織にでもお願いした方が良いんじゃない?」

真「どうしてさ?」

律子「伊織の家なら、プライベートな飛行機くらい有っても不思議じゃないしね」

真「『雪歩に雪を見せたいから』って理由で、ヨウ化銀撒いてくれとは言えないよ」

律子「そうね。それに気温が下がらなければ、雨が降るだけね」

真「あーあ、ボクの体力で何とかできる範囲だったらなぁ……」


8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:44:12.21 ID:XoR2lDHF0

律子「……体力?」

真「んっ!? なになに、律子! なにか良い方法があるの!?」

律子「……うん、まぁ。できるとは言い切れないわ、当日の気温次第ではあるし」

真「ホント!? ボクが何とかできるんなら、がんばるよ!」

律子「そう。だったら、死ぬほど自転車漕ぐ練習しておいて」

真「……自転車?」

律子「歌のほうじゃなくて、本物の乗り物のほうよ。あとは真の脚次第ね」

真「うん、オッケー! 一週間、みっちり鍛えておくよ!」


9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:44:39.01 ID:XoR2lDHF0

律子「……ふふふっ」

真「えっ? なんかおかしかった?」

律子「ううん、そうじゃないの。真があまりにも一生懸命だから、微笑ましくて」

真「あー! 結局バカにしてるじゃないかー!」

律子「なーに。仮に真がバカなら、一緒になって乗っかった私も、じゅーぶんバカよ」

真「……なーんかバカにされてる気がするなぁ」

律子「はいはい、とりあえず明日から算段はするから。今日は早く帰りなさい」

真「うん、頼んだよ! じゃ、お疲れ様!」

  ばたん

律子「……やれやれ。そうでなくとも忙しない年の瀬に、なーにやってんだか、私」


10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:45:05.80 ID:XoR2lDHF0

―――― 12/24 21:00 765プロ事務所

社長「……うぉっほん! では、みんな揃ったところで、始めようかね」

小鳥「765プロクリスマスパーティ、あーんど、雪歩ちゃんお誕生日会!」

  ぱぱんっ ぱんっ ぱぱぱんっ

雪歩「ひゃああっ! みんな私に向けてクラッカー打たないで!」

真美「んっふっふ~♪ たんじょーびおめでとーゆきぴょん♪」

亜美「これでまた一歩、ゆきぴょんはオトナの階段を昇ってしまって」

真美「言い寄るオトコどもが、雁首揃えてくるわけですなぁ~」

亜美「まぁ、だいたいはまこちんの手刀と回し蹴りに退散するけどね!」

真「ボクはそんなことしないってば!」

伊織「いや、アンタするでしょ。間違いなく……」


11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:45:32.85 ID:XoR2lDHF0

貴音「それでは、皆より雪歩に『ぷれぜんと』を。まずは、わたくしから」

雪歩「ありがとうございます、四条さん!」

貴音「麺は固めに茹で、野菜をたくさん乗せると美味しゅうございますよ」

響「ラーメンじゃないか! はい、自分からはこれね!」

雪歩「響ちゃんもありがとう! ……あっ、さんぴん茶だね」

響「へへっ、日本茶は雪歩に敵わないからな。たまには違うお茶も良いよね?」

雪歩「うん、ありがとう!」

あずさ「ふふっ、じゃあ私からも」

雪歩「ありがとうございます! ……香水かな? 可愛い瓶ですね」

あずさ「トゥインクルスノーって言うの。きらきらした雪歩ちゃんに似合うかしら」

春香「お待たせーっ! 特製クリスマス&バースデーケーキ、できあがりーっ!」

やよい「春香さんと私で、がんばって作りましたーっ!」

雪歩「わぁ! サンタさんとトナカイに……これは、私かな?」

千早「ふふっ、萩原さんにはあまり似てないけれど、可愛らしいわね」


12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:46:01.16 ID:XoR2lDHF0

律子「さ、それじゃロウソクに火も点いたところで。真、電気消してー」

真「オッケー!」

   ぱちん

   はっぴばーすでー、とぅーゆー♪
   はっぴばーすでー、とぅーゆー♪
   はっぴばーすでー、でぃーあゆーきほー♪
   はっぴばーすでー、とぅーゆー♪

雪歩「行きますぅ! …………ふうううううっ!!」

春香「雪歩、一本残ってる!」

雪歩「えっ? ふうううっ!」

   お誕生日、おめでとー!

   ぱちん

雪歩「えへへっ……みんな、本当にありがとう!」


13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:46:26.95 ID:XoR2lDHF0

P「ただいまー!」

美希「遅くなってごめん!」

真美「おお、兄ちゃんにミキミキ! 遅いよ二人ともー!」

美希「まだケーキある? おにぎりは? 喉乾いたからジュースも!」

律子「まだまだいっぱい有るから、自分でやんなさいっ」

真「お疲れ様です、プロデューサー」

P「おう、真。いやぁ、三宅坂アタマに10kmって言われたときは、肝を冷やしたよ」

真「大変でしたね……でも、間に合って良かったです」

P「ああ、さすがにああまで言われて引き下がったら、男が廃るってもんさ」

春香「プロデューサーさんもちゃんと食べてくださいね。お腹すいてますよね?」

P「ん。ありがとう、春香」


14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:46:54.84 ID:XoR2lDHF0

伊織「……律子」

律子「ん? なに、伊織?」

伊織「行けるわ、上空気温3℃。あとはみんなの頑張り次第、ってとこね」

律子「オッケー、理論的には可能ね。じゃあ、お腹も膨れたところで行きますか」

伊織「はいはい、全員注目! 真、こっちに来て!」

  お、なになに? どしたどした なにがはじまるのです?

真「……え? ボクが言うの?」

律子「アンタは発案者、私たちはただの協力者よ」

伊織「そうそう、そもそもアンタの言い出したことなんだから、アンタが責任取るのは当然よ」

真「えっ、じゃあ……みんな今日はもう、雪歩に誕生日プレゼントは渡したよね?」

亜美真美「「渡したよー!」」

真「うん。でも実は、ボクはまだプレゼント渡していないんだ。それでね。

  ――――これからみんな、屋上にきてくれないか?」


15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:47:25.27 ID:XoR2lDHF0

―――― 12/24 22:00 765プロ事務所・屋上

美希「ううう……さぶいの……真冬ってカンジなの……」

春香「なんで私たちまで、屋上に来なきゃいけないのかな……」

千早「まぁ、事務所がだいぶ暑かったから、クールダウンには良いけれど……」

真美「まこちん、いったい何をしようって言うんだい?」

真「うん。いまからこの屋上に、『雪』を降らせる」

亜美「雪!?」

貴音「なんと……そのようなことが、可能なのでしょうか?」

響「確かに寒いけど……都合よく雪が降って来るとは思えないぞ……」


16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:47:53.06 ID:XoR2lDHF0

律子「仕組みを説明するわ。いまこのビルの屋上の四方は、上空100mまでの高さに

   わたって、エアカーテンで仕切る準備ができているの」

伊織「つまり空気は、見えない壁に仕切られてる。だからこの狭いエリアだけなら

   気温を下げることは可能なの。この機械で、周囲の熱を奪うのよ」

律子「要は大きなクーラーみたいなものね。ただ、これを動かして実際に雪が降る

   まで気温を下げるには、ビルの電力ではとても足りないの」

伊織「そこで、私たちは原始的なエネルギーに着目したわ。それが、真よ!」

真「……そう言われるとボク、ちょっと恐縮するなぁ」

春香「いや、真。そこは怒って良いところじゃないかな?」


17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:48:19.50 ID:XoR2lDHF0

真「雪歩。あの日の帰り道、『雪が見たい』って言ってたよね?」

雪歩「……確かに言ったけど、あれは冗談だって」

真「冗談でも良い。ふざけて言ったことでも良い。それが一部でも、雪歩の望みなら」

雪歩「…………」

真「ボクは全力で、雪歩の願いを叶えたい。それがボクの、今年のプレゼントさ」

雪歩「真ちゃん……」

真「寒いけど、少しだけ待っていて。奇跡は起きるんじゃない、起こすものだから」

雪歩「……うん」

律子「はい、じゃあ真。その発電用自転車に乗って!」

真「よぉおおおっしゃあっ!」ピシャピシャ

P「真……その、気合い入れるのに顔叩くの、やめなさいって何度か言ったよね?」


18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:49:43.58 ID:XoR2lDHF0

律子「準備は良い?」

真「いつでもどうぞ!」

P「どんと来い!」

伊織「エアカーテン動作開始! 上空気温2.7℃!」

律子「コンプレッサー電源通電確認! 回して!!」


真「うおおおおおあああああああああっ!!」


P「……すげぇ。真はもしかしたら、競輪選手になれるかもな」

響「ペースは早いけど、良い踏み込みでリズムに乗れてる。大丈夫、行けるぞ真!」

春香「まことー! がんばってー!!」

やよい「まことさーん!」

雪歩(真ちゃん……)


19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:50:51.82 ID:XoR2lDHF0

伊織「……10分経過、気温2.5℃!」

律子「真のペースは悪くない……むしろ無駄に負荷が掛かる中では、立派にやってる」

伊織「でも思ったよりも……足す必要は有るわね……」

律子「誰か! 予備系統も回すわ、協力して!」

響「そう来なくっちゃ! 自分に任せて!」

雪歩「響ちゃん!?」

響「へへっ。真があんな汗だくになるまで頑張ってるのに、知らんぷりなんて無理だぞ」

雪歩「でも……」

響「心配するなって! 絶対やってみせるから! ね!」

春香「……信じよう? 真と響ちゃんを」

雪歩「春香ちゃん……どうしよう、私……」

春香「まーこーとー!! しっかりー!」


20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:53:02.69 ID:XoR2lDHF0

真「しゃあああああああああっ!!」

響「おりゃあああああああああああああっ!!」

伊織「……!? 1.8℃!」

律子「急に下がって来たわね……周辺気温も手伝ってるからかしら」

伊織「でもそれだけでは、0℃よりに下がることは期待できないわ……」


千早「真も我那覇さんも……すごい汗……」

あずさ「いくらそれなりに温かい格好だからとは言っても……」

亜美「ふれーっ! ふれーっ! まーこーちんっ!!」

真美「がんばれ、がんばれ、ひーびーきん!!」


21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:53:36.00 ID:XoR2lDHF0

伊織「響の回転数が落ち始めたわ」

律子「むしろなんで真の回転数は落ちないの……? 落ちるどころか上がりつつあるわ」

伊織「わからないわね。何が真をそこまでさせるのか。言い出しっぺの意地?」

律子「さぁ、それは本人に聞くしかないわ。ただ、思いは限界を超えられるのよ」

伊織「真に限ってはね……響! 回転が落ちてるわ、誰かと代わって!」

P「よし、俺が行く!」

雪歩「ぷ、プロデューサー!?」

P「いや、ここは男手の出番だろう? 響、俺と交代だ!」

響「はぁ、はぁ……持久力は……真に敵わないぞ……」

亜美「めでぃーーーーーっく!!」

真美「タオルと水だぁっ、早く!!」

雪歩「みんな……そんな……」


22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:54:05.02 ID:XoR2lDHF0

伊織「……0.4℃! 真! プロデューサー! あと一息よっ!!」

律子「まことーっ! ここまで来たら絶対雪を見るわよ!!」


真(……胸が、苦しい)

真(こんなに長い時間、こんな速度で自転車を漕いだことは、確かになかったし……)

真(体中が暑くて、周囲が何度かなんてわかんないよ……でも……)

真(あとどれくらい漕ぎ続けたら……雪は降るんだろう……?)


P「まことーーーっ!! ペース落ちてる、そんなんじゃ気温が上がっちまうぞ!!」


真(……プロデューサー?)

真(そうか……後ろで漕いでるのは響じゃなくて、プロデューサーなんだ……)


23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:54:34.90 ID:XoR2lDHF0

雪歩(真ちゃん……プロデューサー……)

雪歩(できるかどうかもわからないようなことを……でも、どうして……?)

雪歩(真ちゃん、とても苦しそう……頭から水を被ったみたいに汗をかいて……)

春香「まーこーと! まーこーと!」

やよい「まーこーとさんっ! まーこーとさんっ!」

亜美真美「「まーこーちん! まーこーちん!!」

雪歩(どうしてそこまで……真ちゃんはがんばってくれるの?)

雪歩(……私のため? ただ、私のためだけなの?)

雪歩(……きっとそうなんだよね。だったら、私にできることも……きっと……)


雪歩「まーこーとーちゃあああああああんっ!!!!」

真「だありゃああああああああああああっ!!!!」


伊織「…………-0.4℃!?」


24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:55:03.04 ID:XoR2lDHF0

  ふわっ

    ふわっ ふわっ


千早「…………っ!?」

あずさ「……これは、もしかして?」

春香「すごい……後から後から……雪だよ、本物の雪だよ!」

貴音「これは……真でしょうか……?」

響「あ゛ー……よかった……まことーーー!! 自分たち、やったぞーーー!!」

やよい「雪ですっ!! 雪歩さん! 雪ですよっ!!」

P「…………やった!?」


雪歩「雪……本当に…………」


亜美「……ねぇ、真美。神さまって、本当にいるのかも知れないよ」

真美「ああ、そうだね……なんたって今日は、神さまのバースデー・イブだからね」


25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:55:31.70 ID:XoR2lDHF0

―――― 12/24 23:30 765プロ事務所・屋上

真「はぁっ……はぁっ…………」

雪歩「真ちゃん……」

真「…………ゆ……きほ……」カシャーン

雪歩「真ちゃんっ!? 真ちゃん、大丈夫!?」

真「雪歩…………雪は……降っているかい…………?」

雪歩「うん……ふわふわとした……それでいて、あったかい雪が降ったよ……」

真「…………そう……ボクのプレゼント……受け取ってくれた?」

雪歩「うん、胸いっぱいに……ほら。真ちゃんと、響ちゃんとプロデューサーと……」

真「良かった……みんなの……プレゼント……」ガクッ

雪歩「真ちゃん……? まことちゃああああああんっ!!」

美希「真くん!? 大丈夫真くんっ!?」


26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:55:59.44 ID:XoR2lDHF0

P「あ゛ー……こいつぁ腰と膝に来たぜぇ……響はどうだ?」

響「脚がビキビキ言ってて、まともな状態じゃないさー……」

P「……でも、心地良い疲れじゃないか? 降ってくる雪に、包まれたいくらい」

響「そうだね……やっぱ真はすごい。雪歩のために全身全霊で、奇跡を起こしただぞ」

P「ああ、やっぱりあいつぁ……最高だよ……それに比べたら俺ぁカッコ悪いなぁ……」
あずさ「……そんなことは、ありませんよ?」

春香「プロデューサーさんの激は、ちゃんと真にも伝わってましたよ!」

真美「兄ちゃん、カッコ良かったよ。見直したよー!」

貴音「響……真、見事な『奇跡』でしたね……」

響「自分が起こした奇跡じゃないさー……でも自分もその一部になれたのならね……」

律子「そんなことないわ。今日のこのプレゼントは、事務所みんなが起こした奇跡よ」

伊織「……みんな、輝いてたわ。今日は、本当に……みんなありがとう」


27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:56:31.01 ID:XoR2lDHF0

雪歩「ぐすっ……えぐっ……まことちゃあん……!」

真「大丈夫だよ。途中、苦しかったのは確かだけど、雪歩の喜ぶ顔が見たかったから」

雪歩「でも、私のためにこんな……みんなだって……!」

真「……雪歩」

雪歩「……なに、真ちゃん?」



真「……メリークリスマス。そして……ハッピーバースデー、雪歩」


28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:56:56.51 ID:XoR2lDHF0

 その夜、都内のごく一部にだけ降った雪は。

 ごく一部の人たちにだけ確認され、気象庁の観測網からも外れていたと言う。

 そんなことは無関係に、教会の鐘は厳かに、クリスマスの到来を告げていた。

 決して静かでもないし、聖性もない。慌ただしく、自然の規則を曲げた奇跡。


 街中をきらめく、イルミネーションよりも。

 ボクは雪歩と見た『雪』が、一番綺麗だったと、いつまでも言える気がする。


 ボクらの Silent Bells は、心の中にいつまでも鳴り止まなかった。

 ――――おめでとう。雪歩。





29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/24(火) 03:57:54.22 ID:XoR2lDHF0
 
ホワイト・クリスマスなんで真っ平御免だけど、ゆきまこ万歳。
そしてゆきぴょん、お誕生日おめでとう!





元スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1387824028/