白い、白い、真っ白い世界をボク等は歩いている
昨夜から降る雪が、灰色の街を銀世界に変えた
鉄道は止まり、車の音も無い静かな世界

寒いね
隣を歩く君がそう言ったから
うん
と、ボクは一言だけ返す

手、繋いでもいいかな?
隣を歩く君がそう言ったから
うん
と、やっぱり一言だけ返す

左手に君の温もりを感じながら一歩、また一歩、雪を鳴らして進んでいく
君の手は細くて、小さくて、ともすれば壊れてしまうんじゃないかと錯覚するほど繊細に思えた

雪、止まないね
上を見て君がそう言ったから
そうだね
と、ボクは左下を見て返す

手、汗かいてないかな?
不安気に君がそう聞いたから
大丈夫だよ
と、ボクは笑顔で返す

この手を離したら君がいなくなってしまうような気がして、繋いだ手に指を絡める
静まり返った世界を、君の隣を歩ける幸せを、雪を踏みしめながら歩を進める

目指す場所にはもう着いてしまう
この幸せな時間ももう尽きてしまう

隣を歩く君を見ると目が合った

雪、止まないね
舞い落ちる雪の様に、ふわりと微笑んだ君が言うから
止まなくてもいいかな
と、ぶっきらぼうに返す

どうして?
不思議そうに君が聞くから
こうやって君と歩くのが好きだから
と、当たり前のように返す

驚いたように君は、声を上げて立ち止まった
勢いで繋いだ手も離れてしまう
顔を赤くした君は、まるで鯉のように口をぱくぱく開け閉めしている
その姿が可笑しくて
たまらなく愛おしくて
悪戯っぽく笑ったまま君に声をかける

もうすぐ着くよ、あとちょっとだから
空いた左手を差し出して、君の名前を呼ぶんだ

行こう、雪歩。