前回の法廷記録【逆転裁m@s 第1話 逆転リボン その1





同日 地方裁判所 被告人控え室





律子「ふぅ、なんとか、ね」

春香「あ、あの、律子さん!!」

春香「私、あの、その、感動しましたぁあああ!!!!」

律子「え?」


春香「律子さんの【異議あり!!】とてもかっこよかったです!!」


律子「あ、あぁ、ありがと」
(そんな所に注目されても、困るんだけどね)

律子「それより、春香、この時間を利用してちょっと聞きたい事があるんだけれど」

春香「はい! もう! 律子さんの頼みだったら!! 私!!」



春香「殺人だって!! なんのそのです!!」ウーワッホイ!!



係官「……!?」


律子「わ、わー! わー!! こ、この場でそんな物騒な事言わないで頂戴!!」


春香「あ、そうですね」

春香「私ったら、また、やっちゃった☆テヘッ☆」コツン


律子(こ、これが、この子の素なのかしら……)


律子「コホン、審議が半ば強制的に終わってしまったから」

律子「もうちょっと細かく聞いておきたいの」

春香「細かく?」

律子「千川ちひろさんの死体を発見した、状況をね」


春香「……っ!!」


律子「春香、貴女が、何を見て、何をしたのか」

律子「私に、包み隠さず、教えて?」


春香「……はい!! 私!! 律子さんのためなら!! たとえっっ!!」


律子「あー! あー!! もうそれは良いから!!」

春香「それでは!! あの時の状況を!!」

春香「赤裸々に!! 語っちゃう、ゾ☆」コツン

律子「よ、よろしくね」
(あざとい……)



証言開始 【死体発見状況】



春香「ドアが開いてて中の様子を伺ったら」

春香「血溜りの中にちひろさんが倒れているのを見つけたんです」

春香「私、もう、必死で、助けなきゃって!!」

春香「ちひろさんに近寄ったら【リボンの置物に背中を貫かれていた】ので」

春香「とりあえず抜かなきゃって思って【ちひろさんを持ち上げた】んです」



律子『待った!!』



律子「は、春香……まさか、とは思うけど」

律子「死体を動かした……の?


春香「え?」

春香「のヮの<ヴぁい!!


律子「え、えぇえええええええええ!!!!!」

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証拠品ファイル
《死体の移動》
・リボンの置物に刺さっていた死体を抜いた
・その際被害者の血が被告人に大量に付着した模様
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律子「な、なんでそんな事したの!!!!」

春香「え!? だって、私、あの、必死で!!」

律子(そうか……春香はまだ千川さんが生きていると思って……)

春香「わ、私、何か悪い事しちゃいましたかぁ?」

律子「……ごめんね、春香、貴女の行動は善意からだったのね」

春香「は、はい!! もちろんです!!」

律子「でも【人体に刺さっていた凶器を抜く】と言う行為は専門家以外は非常に危険だから」

律子「そういう状況に直面したら、まずは警察なり救急車、ね?」

律子「それが、人体にとってはトドメになってしまう場合もあるから」

春香「あ……はい!! 次から……次あったら、イヤだけど……気をつけます!!」

律子「よーし偉い子偉い子」
(とは言え、この証言で証拠品からは解らなかった状況が一つ解ったわね)

律子「それじゃあ、続けて?」

春香「はい!!」


春香「ちひろさんを持ち上げた時、ちひろさんの血が沢山服に付いちゃって」

春香「やっと抜けた!と思ったら、手が滑って尻餅をついちゃったんです」

春香「そのとき、リボンの置物に触ってしまって」

春香「慌てて立ち上がって、今度は電話を探しました」


律子『待った!!』


律子「電話を……探した? 携帯電話って発想は無かったの?

春香「私! 聞いたことがあったんですよ!!」

律子「何を?」

春香「家からの電話だと、発信元が解るから、場所の説明が用意だって!!」

律子「まぁ、それは携帯のGPSの普及でクリアされた問題なんだけどね」
※作中は近未来ですので現在よりGPSの精度が上がっています

春香「え!! そ、そうだったんですかぁ……」

律子「いや、でも、春香の判断は悪く無いと思うわよ」

春香「そ、そうですかぁ? えへへ~」

律子「ともかく、電話を探したのねそれで?」

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証拠品ファイル
《警察への連絡》
・千川ちひろの部屋の電話から警察へ連絡
・発信履歴等の情報は検察が調べているだろう
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春香「電話を発見してすぐ110番しました」


律子『待った!!』


律子「えっと……119番じゃなくて?」

春香「あ、あの……ちひろさん……もう冷たくなってた……から」


律子(そうか……遺体に触ってしまった……そうだったわね)

律子(冷たく感じたと言う事は、死後、少し時間が経っていた……)

律子(しかし動かせたと言う事は硬直はしていない)

律子(と、なると、死亡推定時刻の操作はなさそうね


春香「それで、電話を切って、入り口を見たら」

春香「双葉さんが……立ってて」

春香「私の事……ヒトゴロシって……」

春香「………うぅ、以上です」


律子「……そう、辛い……体験だったわね」

春香「はい……ちひろさん……私に凄く優しかったから」

春香「奇跡がおこって生きかえって!! って警察が来るまでずっと祈ってて」

律子「そう言えば」

律子「警察が来るまで、双葉さんと何をしていたの?」

春香「双葉さんは……私が逃げないように、ずっと見張ってました」

律子「被害者の部屋で?」

春香「いえ、あの……外です」

律子「なるほどね」
(双葉さんはその時に初めて現場を目撃した……と主張してくるでしょうね)

律子「ありがとう春香!! 十分過ぎるほど有益な情報だったわ!!」

春香「ほ、本当ですか!! う、嬉しいです!!」

律子「でも、次からは、現場は荒らさないでね」


春香「のヮの<ヴぁい!!


律子(この新しい証拠品……使い所が鍵……かもしれないわね)


律子「それにしても春香、お腹空かない?」

春香「……はい、少し」

律子「係官さん、店屋物取れるかしら?」

係官「は? 可能ではありますが」

律子「それじゃあ、何か食べましょ、春香は何が良い?」


春香「はい!! 私!! ムショで食べるカツ丼!! 夢だったんですよ~」


律子「ここは裁判所だけどね……」





裁判 一日目 第二回公判 開始





亜美「え~それでは休憩を挟みましたが~」

亜美「千川ちひろ殺害事件の裁判の続きを開始したいと思います」


貴音「検察側、準備完了しております」

律子「弁護側、準備万端、お腹も一杯です!!」



貴音『異議あり!!』



貴音「あ、貴女は……っ」

貴音「わ、わたくしが証人を連れてくる間にご飯を食べていたのですか!!」

律子「…………はい」

貴音「うぅ!! ズルイです!! 卑怯です!! いけずです!!」バンバンバンバン!!

律子「カツ丼」

貴音「……っ!!」

律子「ラーメンセット

貴音「っっっっっっっっっ!!!!!!!」



貴音「律子のいけずぅううううううっぅううううう!!!!!」バンバンバンバンバンバン!!!!



カンッ!!



亜美「茶番はここまでにしてもらって良いですかな?」

律子「はい」
(貴音は相変わらず食べ物の事に関しては取り乱すわね)

貴音「許しません……許しませんよ秋月律子ぉ!!!!」


亜美「それでは検察側は証人の召喚をお願いします」

貴音「はい、双葉杏、証言台へ」


杏「………」


貴音「証人、名前と職業を」


杏「…………え~」


亜美「…………え!? いや、あの、名前と職業をお願いしますぞ」


杏「…………めんどくさ~い」


貴音「……」バンッ!!!!


杏「っ!! ふ、双葉杏、一応アイドルだよ~!!」

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人物ファイル
《双葉 杏》(17)
モバm@s女子寮に住むダウナー系アイドル
常にやる気の無い態度でぬいぐるみをズルズル引きずっている
被害者と被告人の他では事件当日に寮内に居た唯一の人物
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亜美「ほ? アイドル?」

貴音「証人はモバm@s女子寮の方ですので、当然でしょう」

亜美「あ、そうでしたな」

律子(わ、忘れてたの?……裁判長)


律子「今回証人に証言して頂きたいのは、当日の死亡推定時刻内に何を行っていたか」

律子「……なのですが……証人!!」


杏「…………」

杏「……zzz」


律子(な、何なの!? この子!!)


貴音「…」バンツ!!!!


杏「!! あ、え? っと、な、何?」

貴音「事件当日の貴女のありばいです」

杏「それを話せば帰って良い?」

律子「帰って良いのは、貴女のアリバイが立証されてからです」

杏「……めんどくさ~い」

律子「……が、がんばって下さい」
(だ、ダラケきってる……)



尋問開始 【事件当日のアリバイ】



杏「その日の15時くらいは~テレビ見てたよ~」



亜美「……」

律子「……」

貴音「……」

杏「……」



律子「え!? そ、それだけですか!?」

亜美「私の人生史上最速の証言でしたな……」

律子「こ、これだけの情報で双葉さんのアリバイが立証できるわけ」



『待った!!』



亜美「!?」

律子「!?」


貴音「それが……出来るのです、秋月律子」


律子「え? ええ!?」


亜美「本当ですかな? 四条検事!!」

貴音「彼女は事情聴取の際、私達の前で話してくれました」

貴音「その時見ていたてれび番組、その内容を最初から、こと、細かく!!



律子『待った!!』



律子「それは、その……」

律子「それで、アリバイにはならないと思うのですが……」



貴音『待った!!』



貴音「当日のてれび欄です、証拠品として提出します」

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証拠品ファイル
《事件当日のテレビ欄》
・証人が見ていたテレビは【ドキッ巨人アイドルの進撃レポート】
・放送時間は15時~15時26分
・出演アイドル:諸星きらり
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貴音「この番組、この日初めて放送されたものです」

亜美「ふむ、再放送では無い……と言う事ですな」

貴音「先程も申しましたが、双葉杏は事情聴取の際」

貴音「その内容を最初から最後まで、まるで台本を見たかのように

貴音「説明してくれたのです」


律子(……ま、まさか……こんな形でアリバイを立証されるなんて)

律子(うぅ……こ、これはマズイ……)


貴音「つまり!! 双葉杏はこの番組を確実に見ていた!!」


律子『待った!!』


律子「て、テレビくらい被害者の部屋にも」

貴音「……無い、のですよ」

律子「……はっ!?」

貴音「現場の千川ちひろの部屋にはテレビが無いのです!!」


律子「え…………」

律子「えぇえぇぇええええええええええええ!!!!」


亜美「今時テレビの無い部屋等あるのでしょうか?」

貴音「それに関しては証人」


杏「……zzz」


貴音「…」バンッ!!!!


杏「!! ふわ? え? 何? 何々?」

貴音「千川ちひろの部屋にてれびが無い理由」


杏「あぁ、ちひろはロビーにある100インチのテレビで皆を見るのが好きだから~」

杏「自分の部屋にはテレビ置いて無いんだよ~」


貴音「……だ、そうです」

亜美「なるほど、自分が見守るアイドルは最高の環境で見たい」

亜美「解る気がしますなぁ」


律子(こ、これは……)

律子(マズイ!! 非常にマズイわ!!!!」


貴音「そもそもこの完璧なありばいがあるため」

貴音「証人を呼ぶ必要すら無かったのですが」


貴音「そこの!」

律子「

貴音「ねちねちと!」

律子「

貴音「シツコイ弁護人が!!」

律子「ぐぅ

貴音「ごねるので!!!!」

律子「げぇ

貴音「仕方なく、ご足労いただく事になってしまった次第です」

律子「ごぉぉおおおおぉおおおお……
(さ、最初に説明しなさいよそんなのぉ!!)


貴音「さて、これで証人のありばいは立証されたわけです」

貴音「と、なると、犯行は誰によって行われたのか」

貴音「……一人しか、居ませんね?」

亜美「ふむぅ、そのようですなぁ」



律子『待った!!』



律子「その、ま、待って、下さい……」

貴音「反論が?」


律子(無い……けど……このままだと)


亜美「ふむぅ、どうなのですかな?弁護人」


律子(春香が……犯人になってしまう!!)


貴音「……どうやら、時間稼ぎ、のようですね」

律子「……っぐぅ!!」
(こう言う所、鋭いのよねぇっ!!)

亜美「ふむ、それはいけませんな弁護人」

律子「あ、あの! 録画!! テレビを録画していたとか!!」



貴音『異議あり!!』



貴音「双葉杏から番組の内容を聞いたのは事件発生後すぐ後


律子「…う」
(や、やっぱり……)


貴音「殺害現場の外では天海春香と双葉杏、両方が居ました」

貴音「二人はその場で事情聴取を受けたのです

律子「…く、くぅ」

貴音「つまり!!」



貴音「たとえ録画だとしても」

貴音「双葉杏には!! 録画した物を見る時間が無かった!!



律子「そ…………」

律子「そんなぁあああああああああ!!!!」



貴音「さらに、双葉杏の部屋のてれびは」

貴音「録画できる機能はついておらず」

貴音「録画できる外部機器も、ありませんでした」


律子「く…く、くぅ……」
(薄い可能性だと思ってたけど、やっぱりダメだった…かっ!!)


貴音「さて、納得されましたか?秋月律子」


律子(何か、何か無いの!? 反論、今持って居る情報で反論できるものは!?)


亜美「どうやら、弁護人も文字通りぐぅの音も出ないようですな」


律子(コレか? それともコレ? だ、ダメだわ)


律子(この状況を覆せるだけの……証拠が無い!!)



カンッ!!



亜美「どうやら弁護人からの意見や反論はないようです」


律子(ま、待って)





『待った!!』





亜美「!?」

杏「…………zzz」

律子「!!!!」



貴音「…………ふん」



貴音「気に入りませんね



律子「?」



貴音「気に入りません、秋月律子!!!!」



律子「……っ!?」



亜美「し、四条検事?」



貴音「顔を上げなさい!!!! 秋月律子!!!!」



貴音「貴女の武器は机に転がる証拠品の数々なのですか?



律子「!!」



亜美「四条検事?」



貴音「…………」


貴音「…………いえ、失礼しました……裁判長、判決を」


亜美「そ、そう、ですな、弁護人の主張である」

亜美「天海春香さん【以外の人物が起こした犯行】と言う可能性も」

亜美「どうやら、完全に費えてしまったようですし」

亜美「本法廷はこれ以上審議の必要はないようですな!!」

亜美「それでは、被告、天海春香さんに判決を下します」





『待った!!』





亜美「!?」


貴音「!?」


杏「……zzz」


律子「!?」



春香「ま、待ってください!!



律子「は、春香?」

貴音「今更何ですか?貴女の出番はもう終わり」

貴音「後は罪の重さを計る本審が貴女を待っています」



春香「律子さん!! 私、私本当にやってないんです!!!!」



律子「っ!!」



春香「私を!! 助けて……っ!!



春香「助けてくださいっっっっ!!!!



律子(……でも……もう……)

律子(この状況を覆す事なんて……)

律子(証拠が……材料が……)



【貴音「貴女の武器は机に転がる証拠品の数々なのですか?」】



律子(!!)


律子(そうよ……春香は無実)


律子(私の武器は……)



律子(依頼人を信じる事っ!!



律子(考えるのよ、秋月律子……)


律子(まず、前提として)


律子(春香が無実とすると)


律子(双葉杏のアリバイは作られた物と言う事になる)


律子(どうやったの……なにをしたの?)


律子(こういう時は……っ!!)





律子(発想を逆転させるの!!





律子(【どうやってテレビを見たか】ではなく)


律子(【テレビを見ずに内容を知る方法】を考えれば良い)


律子(その方法とは……)




ドキッ巨人アイドルの進撃レポート




放送時間は15時~15時26分




出演アイドル:諸星きらり




まるで台本を見たかのように




律子(……っっっ!!!!!!!!!!!)



律子(…………春香が犯人では無い以上)



律子(この可能性しか、残されていないっっ!!!!!!!)



春香「秋月さん!!!!!! 助けてください!!!!!!」



カンッ!!



亜美「……被告人は口を慎むように」


春香「そんな!! 私、本当に!!!!」


亜美「判決間際の悲痛な叫び、私は何度も聞いてきました」

亜美「ですが罪は罪、裁かなければならないのです」


貴音「……その通りです……ね」


亜美「それでは、天海春香に判決を下します」





【 有 ざ 】






『異議あり!!!!!!!!』






亜美「!?」



貴音「!?」



杏「!?」



春香「!?」





律子「異議……ありです!! 大ありです!! 裁判長!!!!」





貴音『待った!!』



貴音「……異議を唱えるからには」

貴音「この状況を覆せる決定的な証拠がある、と、言う事ですね!?」



律子『待った!!』



律子「決定的証拠は……ありません」


亜美「は?」


杏「…ひ?」


春香「ふ?」


貴音「…へ?」


律子「ほ……とは言いませんが、弁護側は【ある情報の提示】を求めます!!」バンッ!!


貴音「覚悟は出来ているのですか?秋月律子」


律子「!?」


貴音「貴女のその切り札がもし、自分の身を焼く物だった場合……」


貴音「即、判決とさせていただきますよ!!」


律子「……別に、構いませんよ」


貴音「……ほう」


律子「春香が犯人では無い限り」


律子「この切り札は!! 私の味方ですっ!!」


貴音「ふ」ニヤリ


貴音(やっと、らしくなってきましたね、秋月律子)


亜美「それでは提示してください」


亜美「弁護人が求める情報とは」



律子『これだ!!!!』



律子「この寮の、寮生名簿です!!」

杏「っ!!」

亜美「寮生名簿……ですか?」

貴音「ふむ……それならば、コチラに」

亜美「準備が良いですなぁ」

貴音「大体のでーたは揃っています、基本です」

律子「お貸しいただけますか?」

貴音「良いでしょう」


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証拠品ファイル
《寮生名簿》
・モバm@s女子寮の寮生者の名簿
・全体の見取り図と部屋表も書いてある
・被害者が作成した物と思われる
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………………



律子「……見つけました」

貴音「何を、でしょうか?」



律子「私が欲しかった【決定的な証拠】ですっ!!」



貴音「ほう」

亜美「弁護人、それでは示していただきましょう!!その、決定的な証拠を!!」

律子「良いでしょう、決定的証拠とは」



律子『これだ!!!!』 【証拠品ファイル《寮生名簿》】



亜美「…これは、三階の部屋表、ですかな?」


貴音「…………っ!!」


律子「四条検事は気付いたようですね」

亜美「わ、私にはこれが決定的な証拠には」


貴音「……そ、そう言う……事ですか……っ!!」


律子「注目して頂きたいのは、証人である双葉さん」

杏「私の部屋は快適角部屋だよ~?」

律子「では、なく」


律子「その、向かいの部屋です!!」


亜美「ん……【諸星きらり】さん……の部屋ですね」

亜美「それが何か問題なのですかな?」


律子「その情報と、この証拠品、この二つにより」


律子「証人のアリバイが覆る可能性があります!!」バンッ!!


亜美「その、この、と忙しいですが、ふむ、その証拠品とは?」



律子『くらえ!!』 【証拠品ファイル《事件当日のテレビ欄》】



亜美「事件当日のテレビ欄、ですか」

律子「双葉さんが見ていたとされるテレビの情報を良く見てください」

亜美「ふむ、ドキッ巨人アイドルの進撃レポート、内容が気になりますなぁ」

杏「なんならまた説明しようかぁ?」

亜美「裁判が終わったら是非お願いしますぞ」

律子「出演者の欄にご注目下さい」


亜美「………あぁ!!」


亜美「こ、これは!!」


亜美「も、諸星きらり……とありますぞぉ!!!!


杏「っ!!」

杏「め、めんどくさいなぁ~もう……」



カンッ!!



亜美「こ、これはどう言う事ですかな?弁護人」

律子「簡単な事です、テレビ出演者の諸星きらりさんは、ここの寮生だった」

律子「そして、双葉さんの知り合いであったと、考えられます!!」



貴音『異議あり!!』



貴音「弁護人の主張は推測に過ぎません」



律子『異議あり!!』



律子「確かにそうかもしれません、が!!」バンッ!!

律子「事実関係は、諸星きらりさんに確認を取ればすぐに解ります!!」

貴音「!!」

律子「弁護側は、諸星きらりさんに双葉さんとの関係ともう一つ」

律子「どうしても聞きたい事があります!!」バンッ!!

杏「……」

亜美「ふむ、それでは弁護人!!その聞きたい事とは!!」

律子「それは……」



律子『これだ!!』



律子「ドキッ巨人アイドルの進撃レポートの内容、または台本を」

律子「双葉さんに話したか、または見せたかです!!


杏「っ!!」


律子「もし!! 諸星さんが双葉さんに、テレビの内容を説明していたのであれば」


律子「テレビを見なくても、その内容は説明できる事となります!!」


律子「その場合! 証人のアリバイは!!」


律子「崩れ去るのですっ!!!!



亜美「な、なんとぉおぉおおおおおおお!!!!」



貴音「……ふふ」


貴音「面白い、面白いですよ、秋月律子」



律子(さぁ、絶対絶命の状態から、ココまで来たわ)


杏「っっ!!」ググググ


律子(双葉さん、さっきのやる気の無い目からは想像できない程の強い目ね)


律子(でも、もう逃がさない)


律子(春香が犯人じゃない以上!! 貴女にしか犯行は行えない!!)


律子(絶対に追い詰めてみせる!!!!)



カンッ!!



亜美「四条検事」

貴音「はい」

亜美「弁護人の発言は無視できません」

亜美「諸星きらりさんに連絡を取っていただくことは可能ですかな?」

貴音「……やってみましょう」

貴音「少々お時間を頂きますよ」

亜美「ふむ、それでは頼みましたぞ」




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