律子「ふぅ、なんとか、ね」
春香「あ、あの、律子さん!!」
春香「私、あの、その、感動しましたぁあああ!!!!」
律子「え?」
春香「律子さんの【異議あり!!】とてもかっこよかったです!!」
律子「あ、あぁ、ありがと」
(そんな所に注目されても、困るんだけどね)
律子「それより、春香、この時間を利用してちょっと聞きたい事があるんだけれど」
春香「はい! もう! 律子さんの頼みだったら!! 私!!」
春香「殺人だって!! なんのそのです!!」ウーワッホイ!!
係官「……!?」
律子「わ、わー! わー!! こ、この場でそんな物騒な事言わないで頂戴!!」
春香「あ、そうですね」
春香「私ったら、また、やっちゃった☆テヘッ☆」コツン
律子(こ、これが、この子の素なのかしら……)
律子「コホン、審議が半ば強制的に終わってしまったから」
律子「もうちょっと細かく聞いておきたいの」
春香「細かく?」
律子「千川ちひろさんの死体を発見した、状況をね」
春香「……っ!!」
律子「春香、貴女が、何を見て、何をしたのか」
律子「私に、包み隠さず、教えて?」
春香「……はい!! 私!! 律子さんのためなら!! たとえっっ!!」
律子「あー! あー!! もうそれは良いから!!」
春香「それでは!! あの時の状況を!!」
春香「赤裸々に!! 語っちゃう、ゾ☆」コツン
律子「よ、よろしくね」
(あざとい……)
証言開始 【死体発見状況】
春香「ドアが開いてて中の様子を伺ったら」
春香「血溜りの中にちひろさんが倒れているのを見つけたんです」
春香「私、もう、必死で、助けなきゃって!!」
春香「ちひろさんに近寄ったら【リボンの置物に背中を貫かれていた】ので」
春香「とりあえず抜かなきゃって思って【ちひろさんを持ち上げた】んです」
律子『待った!!』
律子「は、春香……まさか、とは思うけど」
律子「死体を動かした……の?」
春香「え?」
春香「のヮの<ヴぁい!!」
律子「え、えぇえええええええええ!!!!!」
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証拠品ファイル
《死体の移動》
・リボンの置物に刺さっていた死体を抜いた
・その際被害者の血が被告人に大量に付着した模様
--------------------------------------------------
律子「な、なんでそんな事したの!!!!」
春香「え!? だって、私、あの、必死で!!」
律子(そうか……春香はまだ千川さんが生きていると思って……)
春香「わ、私、何か悪い事しちゃいましたかぁ?」
律子「……ごめんね、春香、貴女の行動は善意からだったのね」
春香「は、はい!! もちろんです!!」
律子「でも【人体に刺さっていた凶器を抜く】と言う行為は専門家以外は非常に危険だから」
律子「そういう状況に直面したら、まずは警察なり救急車、ね?」
律子「それが、人体にとってはトドメになってしまう場合もあるから」
春香「あ……はい!! 次から……次あったら、イヤだけど……気をつけます!!」
律子「よーし偉い子偉い子」
(とは言え、この証言で証拠品からは解らなかった状況が一つ解ったわね)
律子「それじゃあ、続けて?」
春香「はい!!」
春香「ちひろさんを持ち上げた時、ちひろさんの血が沢山服に付いちゃって」
春香「やっと抜けた!と思ったら、手が滑って尻餅をついちゃったんです」
春香「そのとき、リボンの置物に触ってしまって」
春香「慌てて立ち上がって、今度は電話を探しました」
律子『待った!!』
律子「電話を……探した? 携帯電話って発想は無かったの?」
春香「私! 聞いたことがあったんですよ!!」
律子「何を?」
春香「家からの電話だと、発信元が解るから、場所の説明が用意だって!!」
律子「まぁ、それは携帯のGPSの普及でクリアされた問題なんだけどね」
※作中は近未来ですので現在よりGPSの精度が上がっています
春香「え!! そ、そうだったんですかぁ……」
律子「いや、でも、春香の判断は悪く無いと思うわよ」
春香「そ、そうですかぁ? えへへ~」
律子「ともかく、電話を探したのねそれで?」
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証拠品ファイル
《警察への連絡》
・千川ちひろの部屋の電話から警察へ連絡
・発信履歴等の情報は検察が調べているだろう
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春香「電話を発見してすぐ110番しました」
律子『待った!!』
律子「えっと……119番じゃなくて?」
春香「あ、あの……ちひろさん……もう冷たくなってた……から」
律子(そうか……遺体に触ってしまった……そうだったわね)
律子(冷たく感じたと言う事は、死後、少し時間が経っていた……)
律子(しかし動かせたと言う事は硬直はしていない)
律子(と、なると、死亡推定時刻の操作はなさそうね)
春香「それで、電話を切って、入り口を見たら」
春香「双葉さんが……立ってて」
春香「私の事……ヒトゴロシって……」
春香「………うぅ、以上です」
律子「……そう、辛い……体験だったわね」
春香「はい……ちひろさん……私に凄く優しかったから」
春香「奇跡がおこって生きかえって!! って警察が来るまでずっと祈ってて」
律子「そう言えば」
律子「警察が来るまで、双葉さんと何をしていたの?」
春香「双葉さんは……私が逃げないように、ずっと見張ってました」
律子「被害者の部屋で?」
春香「いえ、あの……外です」
律子「なるほどね」
(双葉さんはその時に初めて現場を目撃した……と主張してくるでしょうね)
律子「ありがとう春香!! 十分過ぎるほど有益な情報だったわ!!」
春香「ほ、本当ですか!! う、嬉しいです!!」
律子「でも、次からは、現場は荒らさないでね」
春香「のヮの<ヴぁい!!」
律子(この新しい証拠品……使い所が鍵……かもしれないわね)
律子「それにしても春香、お腹空かない?」
春香「……はい、少し」
律子「係官さん、店屋物取れるかしら?」
係官「は? 可能ではありますが」
律子「それじゃあ、何か食べましょ、春香は何が良い?」
春香「はい!! 私!! ムショで食べるカツ丼!! 夢だったんですよ~」
律子「ここは裁判所だけどね……」
裁判 一日目 第二回公判 開始
亜美「え~それでは休憩を挟みましたが~」
亜美「千川ちひろ殺害事件の裁判の続きを開始したいと思います」
貴音「検察側、準備完了しております」
律子「弁護側、準備万端、お腹も一杯です!!」
貴音『異議あり!!』
貴音「あ、貴女は……っ」
貴音「わ、わたくしが証人を連れてくる間にご飯を食べていたのですか!!」
律子「…………はい」
貴音「うぅ!! ズルイです!! 卑怯です!! いけずです!!」バンバンバンバン!!
律子「カツ丼」
貴音「……っ!!」
律子「ラーメンセット」
貴音「っっっっっっっっっ!!!!!!!」
貴音「律子のいけずぅううううううっぅううううう!!!!!」バンバンバンバンバンバン!!!!
カンッ!!
亜美「茶番はここまでにしてもらって良いですかな?」
律子「はい」
(貴音は相変わらず食べ物の事に関しては取り乱すわね)
貴音「許しません……許しませんよ秋月律子ぉ!!!!」
亜美「それでは検察側は証人の召喚をお願いします」
貴音「はい、双葉杏、証言台へ」
杏「………」
貴音「証人、名前と職業を」
杏「…………え~」
亜美「…………え!? いや、あの、名前と職業をお願いしますぞ」
杏「…………めんどくさ~い」
貴音「……」バンッ!!!!
杏「っ!! ふ、双葉杏、一応アイドルだよ~!!」
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人物ファイル
《双葉 杏》(17)
モバm@s女子寮に住むダウナー系アイドル
常にやる気の無い態度でぬいぐるみをズルズル引きずっている
被害者と被告人の他では事件当日に寮内に居た唯一の人物
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亜美「ほ? アイドル?」
貴音「証人はモバm@s女子寮の方ですので、当然でしょう」
亜美「あ、そうでしたな」
律子(わ、忘れてたの?……裁判長)
律子「今回証人に証言して頂きたいのは、当日の死亡推定時刻内に何を行っていたか」
律子「……なのですが……証人!!」
杏「…………」
杏「……zzz」
律子(な、何なの!? この子!!)
貴音「…」バンツ!!!!
杏「!! あ、え? っと、な、何?」
貴音「事件当日の貴女のありばいです」
杏「それを話せば帰って良い?」
律子「帰って良いのは、貴女のアリバイが立証されてからです」
杏「……めんどくさ~い」
律子「……が、がんばって下さい」
(だ、ダラケきってる……)
尋問開始 【事件当日のアリバイ】
杏「その日の15時くらいは~テレビ見てたよ~」
亜美「……」
律子「……」
貴音「……」
杏「……」
律子「え!? そ、それだけですか!?」
亜美「私の人生史上最速の証言でしたな……」
律子「こ、これだけの情報で双葉さんのアリバイが立証できるわけ」
『待った!!』
亜美「!?」
律子「!?」
貴音「それが……出来るのです、秋月律子」
律子「え? ええ!?」
亜美「本当ですかな? 四条検事!!」
貴音「彼女は事情聴取の際、私達の前で話してくれました」
貴音「その時見ていたてれび番組、その内容を最初から、こと、細かく!!」
律子『待った!!』
律子「それは、その……」
律子「それで、アリバイにはならないと思うのですが……」
貴音『待った!!』
貴音「当日のてれび欄です、証拠品として提出します」
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証拠品ファイル
《事件当日のテレビ欄》
・証人が見ていたテレビは【ドキッ巨人アイドルの進撃レポート】
・放送時間は15時~15時26分
・出演アイドル:諸星きらり
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貴音「この番組、この日初めて放送されたものです」
亜美「ふむ、再放送では無い……と言う事ですな」
貴音「先程も申しましたが、双葉杏は事情聴取の際」
貴音「その内容を最初から最後まで、まるで台本を見たかのように」
貴音「説明してくれたのです」
律子(……ま、まさか……こんな形でアリバイを立証されるなんて)
律子(うぅ……こ、これはマズイ……)
貴音「つまり!! 双葉杏はこの番組を確実に見ていた!!」
律子『待った!!』
律子「て、テレビくらい被害者の部屋にも」
貴音「……無い、のですよ」
律子「……はっ!?」
貴音「現場の千川ちひろの部屋にはテレビが無いのです!!」
律子「え…………」
律子「えぇえぇぇええええええええええええ!!!!」
亜美「今時テレビの無い部屋等あるのでしょうか?」
貴音「それに関しては証人」
杏「……zzz」
貴音「…」バンッ!!!!
杏「!! ふわ? え? 何? 何々?」
貴音「千川ちひろの部屋にてれびが無い理由」
杏「あぁ、ちひろはロビーにある100インチのテレビで皆を見るのが好きだから~」
杏「自分の部屋にはテレビ置いて無いんだよ~」
貴音「……だ、そうです」
亜美「なるほど、自分が見守るアイドルは最高の環境で見たい」
亜美「解る気がしますなぁ」
律子(こ、これは……)
律子(マズイ!! 非常にマズイわ!!!!」
貴音「そもそもこの完璧なありばいがあるため」
貴音「証人を呼ぶ必要すら無かったのですが」
貴音「そこの!」
律子「が」
貴音「ねちねちと!」
律子「ぎ」
貴音「シツコイ弁護人が!!」
律子「ぐぅ」
貴音「ごねるので!!!!」
律子「げぇ」
貴音「仕方なく、ご足労いただく事になってしまった次第です」
律子「ごぉぉおおおおぉおおおお……」
(さ、最初に説明しなさいよそんなのぉ!!)
貴音「さて、これで証人のありばいは立証されたわけです」
貴音「と、なると、犯行は誰によって行われたのか」
貴音「……一人しか、居ませんね?」
亜美「ふむぅ、そのようですなぁ」
律子『待った!!』
律子「その、ま、待って、下さい……」
貴音「反論が?」
律子(無い……けど……このままだと)
亜美「ふむぅ、どうなのですかな?弁護人」
律子(春香が……犯人になってしまう!!)
貴音「……どうやら、時間稼ぎ、のようですね」
律子「……っぐぅ!!」
(こう言う所、鋭いのよねぇっ!!)
亜美「ふむ、それはいけませんな弁護人」
律子「あ、あの! 録画!! テレビを録画していたとか!!」
貴音『異議あり!!』
貴音「双葉杏から番組の内容を聞いたのは事件発生後すぐ後」
律子「…う」
(や、やっぱり……)
貴音「殺害現場の外では天海春香と双葉杏、両方が居ました」
貴音「二人はその場で事情聴取を受けたのです」
律子「…く、くぅ」
貴音「つまり!!」
貴音「たとえ録画だとしても」
貴音「双葉杏には!! 録画した物を見る時間が無かった!!」
律子「そ…………」
律子「そんなぁあああああああああ!!!!」
貴音「さらに、双葉杏の部屋のてれびは」
貴音「録画できる機能はついておらず」
貴音「録画できる外部機器も、ありませんでした」
律子「く…く、くぅ……」
(薄い可能性だと思ってたけど、やっぱりダメだった…かっ!!)
貴音「さて、納得されましたか?秋月律子」
律子(何か、何か無いの!? 反論、今持って居る情報で反論できるものは!?)
亜美「どうやら、弁護人も文字通りぐぅの音も出ないようですな」
律子(コレか? それともコレ? だ、ダメだわ)
律子(この状況を覆せるだけの……証拠が無い!!)
カンッ!!
亜美「どうやら弁護人からの意見や反論はないようです」
律子(ま、待って)
『待った!!』
亜美「!?」
杏「…………zzz」
律子「!!!!」
貴音「…………ふん」
貴音「気に入りませんね」
律子「?」
貴音「気に入りません、秋月律子!!!!」
律子「……っ!?」
亜美「し、四条検事?」
貴音「顔を上げなさい!!!! 秋月律子!!!!」
貴音「貴女の武器は机に転がる証拠品の数々なのですか?」
律子「!!」
亜美「四条検事?」
貴音「…………」
貴音「…………いえ、失礼しました……裁判長、判決を」
亜美「そ、そう、ですな、弁護人の主張である」
亜美「天海春香さん【以外の人物が起こした犯行】と言う可能性も」
亜美「どうやら、完全に費えてしまったようですし」
亜美「本法廷はこれ以上審議の必要はないようですな!!」
亜美「それでは、被告、天海春香さんに判決を下します」
『待った!!』
亜美「!?」
貴音「!?」
杏「……zzz」
律子「!?」
春香「ま、待ってください!!」
律子「は、春香?」
貴音「今更何ですか?貴女の出番はもう終わり」
貴音「後は罪の重さを計る本審が貴女を待っています」
春香「律子さん!! 私、私本当にやってないんです!!!!」
律子「っ!!」
春香「私を!! 助けて……っ!!
春香「助けてくださいっっっっ!!!!」
律子(……でも……もう……)
律子(この状況を覆す事なんて……)
律子(証拠が……材料が……)
【貴音「貴女の武器は机に転がる証拠品の数々なのですか?」】
律子(!!)
律子(そうよ……春香は無実)
律子(私の武器は……)
律子(依頼人を信じる事っ!!)
律子(考えるのよ、秋月律子……)
律子(まず、前提として)
律子(春香が無実とすると)
律子(双葉杏のアリバイは作られた物と言う事になる)
律子(どうやったの……なにをしたの?)
律子(こういう時は……っ!!)
律子(発想を逆転させるの!!)
律子(【どうやってテレビを見たか】ではなく)
律子(【テレビを見ずに内容を知る方法】を考えれば良い)
律子(その方法とは……)
ドキッ巨人アイドルの進撃レポート
放送時間は15時~15時26分
出演アイドル:諸星きらり
まるで台本を見たかのように
律子(……っっっ!!!!!!!!!!!)
律子(…………春香が犯人では無い以上)
律子(この可能性しか、残されていないっっ!!!!!!!)
春香「秋月さん!!!!!! 助けてください!!!!!!」
カンッ!!
亜美「……被告人は口を慎むように」
春香「そんな!! 私、本当に!!!!」
亜美「判決間際の悲痛な叫び、私は何度も聞いてきました」
亜美「ですが罪は罪、裁かなければならないのです」
貴音「……その通りです……ね」
亜美「それでは、天海春香に判決を下します」
【 有 ざ 】
『異議あり!!!!!!!!』
亜美「!?」
貴音「!?」
杏「!?」
春香「!?」
律子「異議……ありです!! 大ありです!! 裁判長!!!!」
貴音『待った!!』
貴音「……異議を唱えるからには」
貴音「この状況を覆せる決定的な証拠がある、と、言う事ですね!?」
律子『待った!!』
律子「決定的証拠は……ありません」
亜美「は?」
杏「…ひ?」
春香「ふ?」
貴音「…へ?」
律子「ほ……とは言いませんが、弁護側は【ある情報の提示】を求めます!!」バンッ!!
貴音「覚悟は出来ているのですか?秋月律子」
律子「!?」
貴音「貴女のその切り札がもし、自分の身を焼く物だった場合……」
貴音「即、判決とさせていただきますよ!!」
律子「……別に、構いませんよ」
貴音「……ほう」
律子「春香が犯人では無い限り」
律子「この切り札は!! 私の味方ですっ!!」
貴音「ふ」ニヤリ
貴音(やっと、らしくなってきましたね、秋月律子)
亜美「それでは提示してください」
亜美「弁護人が求める情報とは」
律子『これだ!!!!』
律子「この寮の、寮生名簿です!!」
杏「っ!!」
亜美「寮生名簿……ですか?」
貴音「ふむ……それならば、コチラに」
亜美「準備が良いですなぁ」
貴音「大体のでーたは揃っています、基本です」
律子「お貸しいただけますか?」
貴音「良いでしょう」
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証拠品ファイル
《寮生名簿》
・モバm@s女子寮の寮生者の名簿
・全体の見取り図と部屋表も書いてある
・被害者が作成した物と思われる
--------------------------------------------------
………………
律子「……見つけました」
貴音「何を、でしょうか?」
律子「私が欲しかった【決定的な証拠】ですっ!!」
貴音「ほう」
亜美「弁護人、それでは示していただきましょう!!その、決定的な証拠を!!」
律子「良いでしょう、決定的証拠とは」
律子『これだ!!!!』 【証拠品ファイル《寮生名簿》】
亜美「…これは、三階の部屋表、ですかな?」
貴音「…………っ!!」
律子「四条検事は気付いたようですね」
亜美「わ、私にはこれが決定的な証拠には」
貴音「……そ、そう言う……事ですか……っ!!」
律子「注目して頂きたいのは、証人である双葉さん」
杏「私の部屋は快適角部屋だよ~?」
律子「では、なく」
律子「その、向かいの部屋です!!」
亜美「ん……【諸星きらり】さん……の部屋ですね」
亜美「それが何か問題なのですかな?」
律子「その情報と、この証拠品、この二つにより」
律子「証人のアリバイが覆る可能性があります!!」バンッ!!
亜美「その、この、と忙しいですが、ふむ、その証拠品とは?」
律子『くらえ!!』 【証拠品ファイル《事件当日のテレビ欄》】
亜美「事件当日のテレビ欄、ですか」
律子「双葉さんが見ていたとされるテレビの情報を良く見てください」
亜美「ふむ、ドキッ巨人アイドルの進撃レポート、内容が気になりますなぁ」
杏「なんならまた説明しようかぁ?」
亜美「裁判が終わったら是非お願いしますぞ」
律子「出演者の欄にご注目下さい」
亜美「………あぁ!!」
亜美「こ、これは!!」
亜美「も、諸星きらり……とありますぞぉ!!!!」
杏「っ!!」
杏「め、めんどくさいなぁ~もう……」
カンッ!!
亜美「こ、これはどう言う事ですかな?弁護人」
律子「簡単な事です、テレビ出演者の諸星きらりさんは、ここの寮生だった」
律子「そして、双葉さんの知り合いであったと、考えられます!!」
貴音『異議あり!!』
貴音「弁護人の主張は推測に過ぎません」
律子『異議あり!!』
律子「確かにそうかもしれません、が!!」バンッ!!
律子「事実関係は、諸星きらりさんに確認を取ればすぐに解ります!!」
貴音「!!」
律子「弁護側は、諸星きらりさんに双葉さんとの関係ともう一つ」
律子「どうしても聞きたい事があります!!」バンッ!!
杏「……」
亜美「ふむ、それでは弁護人!!その聞きたい事とは!!」
律子「それは……」
律子『これだ!!』
律子「ドキッ巨人アイドルの進撃レポートの内容、または台本を」
律子「双葉さんに話したか、または見せたかです!!」
杏「っ!!」
律子「もし!! 諸星さんが双葉さんに、テレビの内容を説明していたのであれば」
律子「テレビを見なくても、その内容は説明できる事となります!!」
律子「その場合! 証人のアリバイは!!」
律子「崩れ去るのですっ!!!!」
亜美「な、なんとぉおぉおおおおおおお!!!!」
貴音「……ふふ」
貴音「面白い、面白いですよ、秋月律子」
律子(さぁ、絶対絶命の状態から、ココまで来たわ)
杏「っっ!!」ググググ
律子(双葉さん、さっきのやる気の無い目からは想像できない程の強い目ね)
律子(でも、もう逃がさない)
律子(春香が犯人じゃない以上!! 貴女にしか犯行は行えない!!)
律子(絶対に追い詰めてみせる!!!!)
カンッ!!
亜美「四条検事」
貴音「はい」
亜美「弁護人の発言は無視できません」
亜美「諸星きらりさんに連絡を取っていただくことは可能ですかな?」
貴音「……やってみましょう」
貴音「少々お時間を頂きますよ」
亜美「ふむ、それでは頼みましたぞ」
法廷記録を残しますか?
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