ある昼下がり、765プロ事務所




美希「Zzz……。ムニャ、はにぃ……おにぎりもっとなのぉ」

貴音「……」

美希「ばばろあいっぱい……。Zzz……」

響「……」

貴音「美希。なにか夢を見ているようですね」

響「そうだな。事務所のソファで、よく夢見るほど寝られるなぁ」

小鳥「響ちゃん! 違うわよ! 夢は浅い眠りの時にみるの!」

響「うわ! ぴよ子!」

貴音「しーっ。お二人ともお静かに。美希が起きてしまいます」

響「ご、ごめん。それにしても、ぴよ子。いきなりどうしたんだ?」シゴトオワッタノ? 

小鳥「フフフ。最近みんなの健康管理も兼ねて、夢に関する勉強をしてるのよ」

貴音「はて? それが?」

小鳥「ほら、寝苦しくてよく眠れなかったりとか、ストレスが溜まると見る夢が変わるっていうでしょう?」

小鳥「それで私がみんなから夢の内容を聞いてアドバイスしているのよ」

響「へー、そうなのか?」

貴音「きいたことはありますね。夢を見ることで、人は精神のバランスを保っているとか」

響「ふうん、でもさ。よくいぬ美とかも寝言いったりするぞ。ネコ吉も寝ぼけたり」

貴音「なんと。是非いぬ美殿達にどんな夢を見ているか聞いてください! 響」

響「こ、今度機会があったらね」

小鳥「さて、いぬ美ちゃんはともかく、今は」ババン 

小鳥「貴音ちゃんと響ちゃんの、最近見た夢を教えてくれない?」

小鳥「この夢鑑定事務員音無小鳥が、心のケアをしてあげますよ~」

響「そんな事言って、ぴよ子、また妄想のネタを仕入れてるんでしょ?」

小鳥「ドキッ」

小鳥「やーねー、響ちゃん。そんなことないわよ」アハハ

貴音「ふむ。面白き提案ですね。そう言えば最近気になる夢を見たのです」

響「大丈夫かなぁ?」

貴音「心配ないですよ。それでは小鳥嬢、わたくしの見た夢を聞いていただけますか?」

小鳥「よし、ばっちこい!」

貴音「あれは数日前に見た夢なのですが…。わたくしはどこかの料理店で食事をしておりました」

響「なんか、貴音らしい夢だぞ」

貴音「ところが、何か硬いものをかんでしまい。そのせいで歯が抜けてしまったのです」

響「うわ、凄い夢だな」

貴音「わたくしはショックで呆然としました」

貴音「これで、らぁめんもしばらく食べることが叶わなくなってしまったと……」

響(そっち!?)

貴音「起床し、夢だとわかったときは真に安堵しました」

小鳥「ふむふむ、歯が抜ける夢ね。意外と見る人多いみたいよ」

響「そうなのか?」

小鳥「昔から、身内に不幸があることの知らせなどと言われてるみたいね」

貴音「な、なんと……」

小鳥「あ、心配しないで貴音ちゃん。そっちは根拠ないから」

小鳥「口の中=家庭、って思われてて、それのせいで言われてたのよ」

小鳥「この場合はどちらかと言えば変わりゆく自分への不安とか……」

小鳥「あとは、健康への不安とかかしらねー? 貴音ちゃん、最近体の調子は?」

貴音「すこぶる健康ですよ」エッヘン

小鳥「あらら、あんまりあてにならなかったかしらね?」

響(と言うか、貴音の場合、単純に食べられなくなる不安なんじゃ?)

貴音「いえ、あと小鳥嬢、もう一つよろしいですか?」

貴音「月を眺める夢を頻繁に見るのですが、これは……」

響「自分、そんな夢見たことないな」

小鳥「月かぁ、見ている場所にもよるわね」

小鳥「海辺とか静かな所で見ているのならストレスとかはあまりない感じかしら」

貴音「参考になりました」

小鳥「え? どこから見ているのとかは教えてくれないの?」

貴音「とっぷしいくれっとです」フフ

小鳥「じゃ、次は響ちゃんいってみようか?」

響「ストップ! ぴよ子」

小鳥「ん?」

響「もしかしてさ。事務所の他のみんなにも同じ事聞いた?」

小鳥「ええ」

響「もしよかったら、みんながどんな夢見て、ぴよ子がどんな判断したか教えてほしいな」

響「口止めされてるんなら無理にはきかないけど……」

小鳥「そうね、じゃみんなに聞いた例をあげてみるわね」

貴音「皆様、どんな夢を見ているのでしょうか?」

小鳥「まず、春香ちゃん。なんか動物を飼う夢をよく見るそうよ」

響「へぇ、以外だな。自分みたいなのに憧れているとか?」

小鳥「ペットを飼う夢は、己の力をコントロールしたい願望の現れが多いそうよ」

響「春香……。転ばないようになりたいのかな?」

貴音「歌唱力をもっと高めたいのかもしれませんね」

小鳥「あ、あはは……。次に千早ちゃんね。なんでも飛行機を操縦する夢をみたそうよ」

響「千早が!? どういうことなんだ……」

小鳥「聞いたところによると、パイロットがテロリストにケガをさせられたとか」

貴音「面妖な」

小鳥「自分が扱えない乗り物を動かす夢は、理想を実現したいという現れ、という説があるわね」

響「千早、歌でトップアイドルを目指して、更には世界的な歌手になりたいんだよな」

貴音「真、見事な心意気です」

響「アクション映画の鑑賞をしすぎたわけじゃないんだな?」

小鳥「次はやよいちゃんね」

響(食べ物の夢かな?)

貴音(ヤサイマシマシ?)

小鳥「なんでもお花畑で遊ぶ夢とか……」

響「へぇ、かわいらしいな」

小鳥「花畑は三途の川と同じで死のイメージがある夢なのよ」

響「やよいーっ!!」

小鳥「でも、逆に愛情豊かであるという判断も」

響「そっちだそっち!」

小鳥「次は真ちゃん、お姫様になる夢ね」

響(やっぱりか……)

貴音(納得です)

小鳥「なんでも王子様を悪漢から素手で救うお姫様とか……」

響「なんだろう? 無茶苦茶なのに全く違和感がないぞ」

小鳥「お姫様の夢は理想の自分や、高すぎる理想そのものを表しているといわれているわね」

貴音「真……頑張るのですよ!」

小鳥「次は雪歩ちゃんね。犬に追いかけられる夢だそうよ」

貴音「これまた雪歩らしいですね」

響「殺人鬼とかに追いかけられる夢は自分もよく見るぞ」

小鳥「追いかけられる夢は、ストレスが多い時やトラブルがあるときなどに多いようね」

貴音「雪歩、響。つらいことがあったらわたくしに言ってくださいね」

響「じ、自分もそうなのかなぁ?」

小鳥「次は伊織ちゃんね。地震で自分の家が崩れちゃう夢だとか」

響「うわぁ」

貴音「そのような夢もあるのですね」

小鳥「この判断は自分の現状に満足してないといったところかしら、しかも自分の家だから……」

響「伊織も伊織なりに苦労してるんだな」

貴音「今度美味しいB級グルメを案内したいと思います」

響「貴音‥‥案内するだけして、伊織に奢らせるなよ」

貴音「」

小鳥「あずささんは、戦争に巻き込まれる夢だそう」

貴音「どらまちっくですね」

響(迷子になる夢じゃなかった……)

小鳥「これも現状を変えたいと願ったり、幸福を失いたくないとかいう説があるわね」

貴音「あずさは今、充実しているということなのでしょうか?」

響「あずささんの幸福観って、興味あるかも……やっぱり、け……」

貴音「響、みなまで言わなくともいいですよ」

小鳥「次は亜美ちゃんと真美ちゃんなんだけど、この二人、同じ夢をみることが多いそうよ」

貴音「なんと!」

響「さすが双子。でもそれって判断できるの?」

小鳥「こればかりはね……。仲がいいからとしか」

響「肝心の夢の内容は?」

小鳥「二人で遊びに行ったりいたずらしたり」

貴音「普段と同じですね」

響「むしろそっちは安心したかも」

小鳥「こんな所かしらね」

貴音「夢にも色々あるのですね」

響「みんなのちょっと意外な面を見れた気がするぞ」

小鳥「じゃあ、響ちゃん。あなたの見た夢、教えてくれる?」

響「うーん、ぴよ子。夢の内容じゃなくて、夢の性質でちょっと聞いてもらってもいいか?」

小鳥「と、いうと?」

響「自分、さっきも言ったけど追いかけられる夢でも、家族と遊ぶ夢でも……」

響「ちょっと恥ずかしいような夢でも、なぜか『人』がいるんだよね」

貴音「人がいるのは普通ではないのですか?」

響「いや、でも貴音みたいに景色だけの夢とかそういうの見たことないんだ。常に周りに人がいるんさ」

響「学校の夢でも、クルマに乗っている夢でも、いぬ美たちを散歩させる夢でも」

響「ライブをする夢でも。まわりに絶対いろんな人がいるんだ……」

響「エキストラというかモブというか……そんな感じで人がいっぱい……」

響「うう、なんか話してたら不安になってきたぞ」

貴音「響……」

響「ぴよ子ぉ~。これってどういうことなんだよ~」

小鳥「大丈夫大丈夫! 人がいっぱい出てくる夢はストレスと関係あるって言うけど」

小鳥「その『人』達は特に何もしてこないのよね? エキストラみたいに」

響「うん」

小鳥「響ちゃんは沖縄から一人でこっちに来てるから」

小鳥「それで少し孤独感が残っているのね。それが夢の中の人の多さに現れているだけかな」

響「本当か?」

小鳥「そうそう。そもそも別に変な夢を見たからって、そんなに思い悩むことないのよ」

小鳥「夢は確かに精神状態で見る内容は変わるけど、さっき貴音ちゃんも言ったように」

小鳥「精神のバランスを保つ効果があると言われてるから」

小鳥「Hな夢とかだって、健康な証拠だしね!」ウフフ

小鳥「だから気軽に判断するぐらいでいいのよ」

貴音「小鳥嬢の言うとおりです。響の見ている夢は楽しそうではありませんか」

響「そうか……そうだよな! ありがとうぴよ子!」

小鳥「うふふ、元気でてよかった」

響「ところでさ、ぴよ子」

小鳥「なあに?」

響「自分達ばっかり夢の話をしたけど、ぴよ子はどんな夢見てるんだ?」

貴音「ふむ。確かに小鳥嬢の夢……興味あります」

小鳥「へ? 私? あたしのは別にいいわよ」

響「教えろー」ジタバタ

小鳥「じゃあ、ちょっとだけ……。明晰夢を見ることが多いわね」

貴音「めいせきむ?」

小鳥「うん、夢を夢だと認識しながら見る夢ね」

響「これは夢だ! ってほっぺたつねる前の状態みたいなやつか?」

小鳥「そう。夢とわかっているので自分で色々できるのよ……」ゲフフ

貴音「これ以上聞いてはいけない気がしてまいりました……」

小鳥「夢の中なら、この小鳥! 妄想を現実にすることだって簡単なのよ」ハァハァ

響「どうどう」

小鳥「ま、それはともかく。また変な夢とか見たら気軽に相談してね!」

??「ふーん。それじゃあ小鳥さん。私の夢も判断していただけますか?」ゴゴゴゴゴゴ

小鳥「あれ? どこからか怒気をはらんだセリフが聞こえて……」

律子「私ですよ……」ピキピキ

響「じ、じゃあ自分達レッスンなんで」ンジチャービラ!

貴音「小鳥嬢。どうかご無事で」ラブアンドピース

小鳥「ちょ、ちょっとみんな!」

律子「私がよく見る夢はですね。うちの事務員さんがサボった仕事を徹夜で終わらせてくれるんですよ……」

律子「これってきっと正夢ですよね? 小鳥さん」ニコニコ

小鳥「」ピヨォ

美希「うーん。Zzz……。『銀の鍵』がムニャムニャ……」


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美希「そう言えば、ハニーはどんな夢見るの?」

P「うーん最近まったく夢を見ないんだ」ムカシハエッチナユメトカ、ヨクミタンダケドナ

美希「ハニー……。それは、きちんと睡眠をとった方がいいの」




おわり