前回の法廷記録
逆転裁m@s 第1話 逆転リボン その1
逆転裁m@s 第1話 逆転リボン その2
逆転裁m@s 第1話 逆転リボン その3




同日 地方裁判所 女子トイレ










春香「り、律子さん……」





律子「……」ザァーー



律子「…………」ザァーーーー




律子「………………」ザァーーーーーー






同日 地方裁判所 法廷



亜美「ふむ、弁護人……大、ですかな?」

貴音「いえ、きっと……頭を……冷やしているのでしょう」

亜美「ほ?頭、ですか?」

貴音「律子は…………弁護人は、嘘を極端に嫌います」

貴音「……恐らくですが、怒っているのでしょう」

貴音「…………あの状態の律子は……その……少し、怖い、です」

亜美「四条検事にも怖い物があったのですなぁ」


貴音『異議あり!!』


貴音「裁判長?わたくしも」

貴音「花を恥らう乙女です、発言の撤回を求めます」

亜美「ほっほっほ、これは失礼しました」



杏「ね~~~!!!! も~~~~さ~~~~!!!!」



亜美「!?」

貴音「……」



杏「帰ってい~~~~かな~~~~!?」



貴音「……双葉杏、貴女も乙女であるなら、慎ましく待ちなさい」

亜美「そうですぞ、生理現象はどうしようもないですからなぁ」



杏「くっだらな……犯人はあのリボンで決まっているというのにさ~」



律子『異議あり!!』



亜美「!?」

貴音「……」

杏「…チッ」



律子「お待たせしました」

春香「……」



貴音「頭は冷えましたか?」

律子「……えぇ、バッチリです!!」

貴音「……ふ、どうやら大丈夫のようですね」

亜美「?」



カンッ!!



亜美「えーそれでは弁護人、貴女は先ほど」

亜美「天海春香さんの犯行を」


亜美「粉々に!」カンッ!!



亜美「砕いてみせますぅうう!!」カンカンカンカン!!!!



亜美「……と、おっしゃったようですが」



律子「は……はい」
(うぅ…ま、マネしないでよ恥ずかしい///)


亜美「本当に出来るのですかな?」


律子「はい、可能です」
(今はまだ、多分、だけどね)


杏「無理だっつーの……」


貴音「ふふ…………」


亜美「!?」

律子「……」

杏「……?」

春香「……???」



貴音「……面白い」

亜美「し、四条検事?」

貴音「非常に面白いですよ!! 秋月律子!!」

貴音「……良いでしょう、立証していただきましょう!!」

貴音「天海春香に今回の殺害が不可能だった!! その事実を!!」

貴音「今回の事件の真実を!! 語っていただきましょう!!」



律子「……よろしい、では、始めましょう!!」

亜美「おぉ!! ついにっ!!」


律子「…………」


律子「と、その前に、弁護側は検察側に証拠品の提示を求めます



亜美「あ、あらら、べ、弁護人!! 話の腰を折らないでください!!」



貴音「ふむ……必要な物ならば用意しましょう」

亜美「それでは弁護人、貴女が望む証拠品とは何でしょうか」

律子(私が望む証拠品、それは……)



律子『これだ!!』 【証拠品ファイル《現場の写真》】



亜美「これは、現場の写真ですな」

貴音「この写真の中に、貴女にとって必要な物がある、そうですね?」

律子「そう、そしてそれは」


律子「現場に落ちている【時計】【乾電池】です!!」


貴音「…すぐに、用意しましょう」


………………


貴音「……用意できました」

亜美「は、早いですな」


貴音「……秋月律子の厠よりは…………ですがね」


律子(あ、頭冷やしてたから時間がかかったのよ!!)

貴音「弁護人に提示します、ご確認ください」

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証拠品《目覚まし時計》
・全体的に血塗れだが3時14分の時刻は確認できる
・電波時計で時間は正確
・背面版には目覚ましの時間調節つまみと再起動ボタンがある
・単二乾電池で動く
・現場検証時は地面に落ちていた
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--------------------------------------------------
証拠品《乾電池》
・単二型の乾電池
・現場検証時には目覚まし時計傍の地面に落ちていた
・円周上の8分の1程度、一直線に血痕がついている
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律子「…………」

律子「…………くふっ」

律子「……ふっふっふっふっふっふ!!」


亜美「べ、弁護人?」


律子「決定的ですっっっっ!!」


律子「これで【天海春香には今回の犯行は不可能だった】事を立証できます!!」


亜美「なるほど、それは興味深いですね」

貴音「……前置きはもう結構です、立証をしていただきましょう」

律子「…………解りました! 始めましょう!!」



律子「まず重要なのが、この時計が指し示す時刻です」

亜美「ふむ3時14分とありますな」

律子「これは千川ちひろさんが死亡した時刻の前後と考えられます

律子「恐らく事件の拍子に机の上から時計が落ち

律子「その衝撃で電池が外れてしまったのでしょう」



貴音『異議あり!!』



貴音「死亡推定時刻に時計が止まっているからといって」

貴音「少し乱暴な推理……と思いますが?」

貴音「この時計は前から止まっていた可能性もあります」



律子『異議あり!!』



律子「電波時計であった以上、正確に時間は刻んでいたはずです」

律子「都合よく死亡推定時刻に止めるものでしょうか」



貴音『異議あり!!』



貴音「可能性の論議をしていても仕様がありません」

貴音「ここは法廷です、証拠品で語っていただきたい」

貴音「その時計の時刻が事件が発生した時間に止まったと証明できるのですか!?」


律子「証明……できますよ


貴音「……!!」


律子「注目していただきたいのは、血痕の付着具合です」

律子「現場写真を見ても解る通り、現場は机の上まで血塗れです」

律子「この血塗れの時計も、被害者の血を浴びたと考えられます」

貴音「ふむ」


律子「つまり、この時計は【被害者の血痕がかかる範囲】に置いてあった物とされます」


亜美「ふむ、よく解りますぞ」


律子「続いてこの時計から出たとされる電池ですが」

律子「血塗れの床に落ちていたのに、血痕の跡は外周のわずか8分の1程度

律子「この血痕は恐らく、血溜りに落ちた接地面と考えられます」

律子「そうですよね? 四条検事」

貴音「……弁護人の主張通りです」


律子「つまり、この乾電池は最初からどこかに置いてあった物ではなく」

律子「何かに【血がかからないように守られた状態】から」

律子「血溜りの地面に落ちたと考えられるのです」

律子「そして【犯行が起きた瞬間】にそれを可能とするのは」

律子「近くにある、この時計から外れたと考える他ないのです」


亜美「ふぅむ、至極まっとうな推理ですな」


律子「さらにこの時計、電波時計と言う事もあり」

律子「時間調整のネジが無く、再起動のボタンしかありません

律子「これにより、天海春香さんの工作、と言う可能性もなくなります」


律子「つまり、この二つの証拠は!!」


律子「千川ちひろさんが15時14分以前に殺された事を証明する証拠となりえるのです!!


貴音「……」


杏「……っ」


律子「さて、ここで思い出して欲しいのは指紋認証キーの入寮時間です」

律子「天海春香さんの入寮時間を覚えておいででしょうか?」


亜美「ええっと………………」


亜美「こ、これはどう言う事ですかな!?」


亜美「15時21分とありますぞぉ!!!!」



貴音「っっ」



貴音「め………………………………………………」




貴音「面妖なぁあぁぁあああああああああああ!!!!!!




律子「最初からこの証拠品の違和感には気付いていましたが」

律子「まず、この事件に被告以外の存在が居ることの証明」

律子「また、その存在のアリバイの有無を片付けなければならないと」

律子「そう、思いました」


律子「さて、以上を踏まえ、事件を整理してみましょう」


律子「殺害は、15時14分以前に行われた


杏「……」


律子「15時21分に入寮した天海春香さんには犯行を行うのは不可能


杏「……」


律子「では、誰なら犯行が行えたのか?


杏「……」


律子「その時間にアリバイの無い、双葉杏さん」


杏「……」


律子「貴女にしか」





律子「犯行は!! 不可能なのです!!!!!!





杏「……」



杏「……」




杏「……zzz




亜美「!?」


貴音「!?」


律子「!?」


春香「!?」




杏「あ? あぁ、長い話は終わった?」


律子「な、何を言っているのです!!」バンッ!!

律子「今、この瞬間に、貴女の犯行が立証されたのですよ!!!!」



杏「……立証されたのは」



杏「天海さんの無罪、だけでしょ?」



律子「!?」



杏「なんでそれが……」



杏「杏がちひろを殺した事になるのかな?」



律子『異議あり!!!!』



律子「し、証人!! 本気で言っているのですか!?」

律子「これは……この場は!! 千川ちひろさんの殺人事件の公判なのですよ」



『異議あり!!』



杏「ふぅ……大声ださせないでよ」

杏「そもそもだよ?」

杏「前提が間違っているんじゃない?」



律子(前提?)



律子(…………あっ!!)



杏「ちひろが誰かに殺された?」

杏「杏はやってないし、天海さんにも無理だった」

杏「だったらさ」



律子(…………こ、これは…いけない!!)







杏「 ち ひ ろ は 自 殺 し た ん じ ゃ な い の ? 」






律子「い…………」


律子『異議あり!!!!』


律子「じ、自殺!?」

律子「千川ちひろさんは!!」

律子「殺されたわけじゃないと!! そう主張するつもりですか!?」


杏「そうだけど?」


律子「ふ、ふざけないで下さい!!」バンッ!!


杏「ふざけてないよ」


律子「う……だ、だって!!」


杏「じゃあさ、証明してよ


律子「!!」


杏「杏が殺したって証明


杏「ちひろが自殺じゃないって証明


律子「そ、それは……」


律子(も、もし、千川さんが自殺だとした場合……)


律子(状況とムジュンする部分……は……)


律子(…………う、嘘……無い……)


律子(何も………………無いっ!?



杏「ほら……黙っちゃった」



律子「っっ!!!!」



杏「でもさ~? よかったんじゃない?」

杏「依頼人である天海さんは無罪って事になったんだし」

杏「めでたしめでたしじゃん」





律子「っ」バンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!





杏「!?」

亜美「!?」

貴音「……」

春香「ひぅっ!!」




律子「ふざけ……ないで……」

律子「本物の犯罪者を裁けないで……何が……裁判よ……」



杏「だからさ~証拠出してみなって」



律子「自殺だとして、このような奇怪な死に方をする?」

杏「は?」

律子「背中からの刺し傷……普通自殺するなら胸から刺すじゃない」

杏「知らないけど、転んだんじゃない?それであのリボンの置物にぐさりと」

杏「凶器はリボンの置物だったんでしょ?」

律子「…………」

杏「それなら説明つくじゃん」

律子「…………」





杏「 実 際 に 杏 の 見 た 現 場 は そ ん な 状 況 だ っ た し 」





貴音「!!」




律子「………………………………」




杏「話はこれで終わりでしょ?」

杏「帰って良いかな?」

律子「実際に、貴女の見た現場は、そんな状況だった?」

杏「んあ?」


律子「…………」




律子「……捕まえた」




杏「……は?」






律子『異議あり!!!!!!!!』






律子「……やっと……やっと捕まえた……双葉杏!!!!」


杏「は、はぁ!?」


律子「貴女、さっき、こう言ったわよね?」


律子「背中に凶器の置物が刺さった被害者を


律子「実際に見た……って」


杏「い、言ったけど、それが何か問題あるって言うの!?」



律子「大ありよ……」



亜美「べ、弁護人の迫力に押され、発言できませんでしたが」

亜美「弁護人、ここは法廷です!!」

亜美「それ相応の形式に法り発言をお願いしますぞ!!」


律子「……っ」


貴音「律子」


律子「……貴音」


貴音「……頭を冷やしなさい


律子「……」


律子「………………ふぅ!!」


律子「そうね、ゴメン貴音、もう、大丈夫よ」


貴音「……双葉杏」

杏「は?」

貴音「証言です」

杏「めんどくさいなぁ……またやんのぉ?」


貴音「証言、です!!」バンッ!!


杏「…………解ったよ」



尋問開始 【双葉杏の見た被害者の状況】



杏「血塗れの天海さんと」

杏「リボンの置物に貫かれた、ちひろがいました

杏「はい、終了」



亜美「ふむ、弁護人、今の証人の発言にムジュンした発言はありましたかな?」


律子「………………」


律子「もちろん! ありますよ」ニヤリ


亜美「ほ? べ、弁護人?」

貴音「……うむ、良い顔です」


律子「先ほどは取り乱してすみませんでした」

律子「さて、双葉さん」

杏「あ?」

律子「貴女に二つ、提示したい情報があります」

杏「……」


律子「まず一つは」



律子「今回の事件に置いて【天海春香さんと犯人】しか知り得なかった情報」



律子「それと【貴女が知らなかった】情報」



律子「この二つです」

杏「……何?」

律子「私は一つ目の【天海春香さんと犯人】しか知り得なかった情報を」

律子「たまたま被告人控え室で聞きました



【春香「ちひろさんに近寄ったら、リボンの置物に背中を貫かれていたので」】

【春香「とりあえず抜かなきゃって思ってちひろさんを持ち上げたんです」】



律子「まずはこちらを提示しましょう」



律子『くらえ!!!!!!』 【証拠品ファイル《死体の移動》】



杏「…………えっ!?」


貴音「なっ……こ、これは……」

貴音「…………なるほど、先ほどから、証人の発言とわたくしの認識が

貴音「微妙に食い違っていたと感じたのは……そう言う事、でしたか」

亜美「ちょ、ちょっと待ってください!!」

亜美「ひ、被告人は、被害者の死体を動かしていたのですか!?」



律子『待った!!』



律子「裁判長、少し、少しだけ待ってください」

律子「あと一つのピースで、双葉さんを完全に追い詰めますっ!!」



亜美「そ、それは失礼しました」

亜美「続けてください」



律子「続けて、双葉杏さん……貴女のみ知らなかった情報を提示しましょう」



律子『くらえ!!!!!!』 【証拠品ファイル《現場の写真》】



律子「……四条検事」

貴音「はい」

律子「事件当時の死体の状況を説明して下さい」


貴音「千川ちひろの遺体は」


貴音「りぼんの置物の傍の地面に


貴音「仰向けに横たわってました



杏「…………………………」



杏「……………………………え?」



律子「裁判長」

亜美「ほ?わ、私ですか?」

律子「裁判長はこの置物でどのように被害者は殺されたものとお考えでしたか?」

亜美「え、えっと、こう置物を持ち上げて」

亜美「そのまま背中目掛けて突き刺す……ですかね?」

律子「四条検事は?」

貴音「…………裁判長と概ね同じです」



杏「あ……」



杏「あ…あ、あぁ……」



律子「お聞きの通りです、双葉さん」

律子「天海春香さんは、死体を発見した際」

律子「助けたいと言う一心で」

律子「リボンの置物から被害者を引き抜いていました」

律子「引き抜いた後の状況しか知り得なかった貴女が」

律子「なぜ」

律子「天海春香さんと犯人しか知りえなかった」

律子「千川ちひろさんの【本当の殺害方法】を知りえたのか……」







律子「答えて……いただきますよ!!!!!!」





杏「あ、え、あ……あの、お、置物の端だけ血で赤く!!


律子『異議あり』


律子「置物は最初から全て赤く塗られています


杏「あぅ……あ、あ……の」


律子「双葉さん」バンッ!!


杏「あぅ……」


律子「これ以上嘘で塗り固めても全て可能性は潰します……」


律子「序審法廷制度は最長三日……証拠は幾らでも見つけますよ」



律子「例えば千川ちひろさんの部屋のドアの内側の指紋」




律子「例えば千川ちひろさんの洋服についた指紋」





律子「例えば部屋に侵入していないと主張した貴女の洋服に付着した千川ちひろさんの血の痕跡」






律子「逃げても……絶対に……捕まえます!!






杏「……ひ、ひぃ」




『異議あり』




杏「!?」


亜美「!?」


春香「!?」


律子「……」




貴音「その必要はありません、律子」




律子「貴音」

貴音「少々強引かと思いましたが」

貴音「双葉杏の部屋を家宅捜索させていただきました」

杏「え…………」

貴音「厠が詰っていたようですね……」

杏「あ……っ!!」

貴音「そこから、こんな物を見つけました」

律子「それは……手帳?

貴音「そうです、千川ちひろの手帳です」

貴音「恐らく、現場の写真にある長方形にくりぬかれた血痕がついていない部分

貴音「そこから持ち出された物でしょう」


杏「ま、まって」


貴音「千川ちひろは非常に豆な性格だったようですね」

貴音「予定がビッシリとかかれており」

貴音「しかもこと細かにメモがとってあります」


杏「まって!!」


貴音「水に溶けない紙でよかったですね」




『4月3日』


『15時から杏ちゃんと今後の事について話し合う』


『あの子はぐうたらだけれど、本当は誰よりも頭がよくて』


『がんばり屋さんだと……私は思う』


『背中を押してあげる人が必要だ』


『誰とでも仲良くできるあのリボンの子なら』


『それが出来ると……思う』


『杏ちゃんはとても可愛くて』


『トップアイドルにだってなれると』


『私は……確信している』




貴音「そしてここからは字が少し荒れています」

貴音「恐らく、証人と口論になった際に、走り書きしていたメモでしょう」




『アイドルではない私では、やはり説得はむずかしいのかな』


『あと少しであの子が』




貴音「……メモは、ここで途切れています」



杏「あ…………」



杏「あぁああああああああ…………」



杏「あぁぁぁぁぁっぁあああああああぁぁぁあぁああああああぁああぁああ」


杏「ああぁあああああああああああああああああぁああぁああああああああ」



杏「ああぁあぁぁあぁあああああああぁぁぁあああああああああぁあああぁ」




杏「ああぁぁぁっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」





杏「っっっっっっっち」




杏「ちひろぉっっっ」




杏「ちひろぉ……」




杏「ごめん…………ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっっ!!!!」




杏「……ゴメンなさいぃっっっっっっっ」




………




貴音「……」


亜美「四条検事、双葉杏さんは?」

貴音「控え室で震えています……」

貴音「……今回の事件」

貴音「どうやら……本当に事故だった、ようです」

貴音「双葉杏を働かせたい一心で部屋へ呼び出した千川ちひろは」

貴音「その事で双葉杏と口論になり」

貴音「双葉杏が千川ちひろを押した所」

貴音「あの置物に……」

貴音「……双葉杏はか細い声で語ってくれました」

貴音「今は、容疑を、全面的に認めております」


律子「偶然とはいえ」

律子「人を殺してしまった事には変わりないわ」

律子「でも、直に罪を認め、救急車を呼んでいれば」

律子「………………」

律子「誰よりも頭が良い……か」

律子「千川さんは、あの子の本質を解っていて」

律子「導こうとしていたのにね……」

律子「……うん」

律子「……悔しいけど、今更……なのかな」



カンッ!!



亜美「ふむ、悲しい偶然によっておきてしまったこの事件も」

亜美「幕を引く時がきたようですな!!」

亜美「それでは被告、天海春香さんに、判決を下します!!」





【   無   罪   】




カンッ!!!!




亜美「本法廷をコレにて閉廷します!!」




同日 地方裁判所 被告人控え室



春香「っっっっありがとうございましたぁぁあああああああ!!!!!!」

律子「う、うぉおお」
(声、デカ……)

春香「あの!!ほんと!!本当に!!ありがとうございました!!!!!」

春香「秋月さんは!!命の!!恩人ですぅうううううううう!!!!!!

律子「お、大げさね」

律子「春香は犯罪をやってなかったんだから、今回の結果は当然だったのよ」

春香「それでも!!それでもきっと秋月さんじゃなかったら!!」

春香「私!!きっと!!堀の中のアイドルでしたよぅうううううううう!!!!」

律子「意外と売り出すには良いかもね」
(少なくとも話題性はあるわ)

律子「まぁでも、今回の判決は、私だけの力じゃないわ」

春香「え?」

律子「私を信じて、真実の証言をし続けてくれた春香と」

律子「……貴音のおかげね」

春香「え?四条さん?」


貴音「呼びましたか?」


春香「う、うわぁ!!」

律子「今回はありがとう貴音、助かったわ」

貴音「ふん、わたくしは最初に言ったはずです」

貴音「わたくしは検事と言う立場上、被告を追及する者ではありますが」

貴音「本当の真実が指し示す方向が違う限り



貴音「わたくしは、真実の味方です、と!!」



律子「そう、そして、私は真実を語る依頼人の味方なわけよ!!」



貴音「……途中、本質を見失っていたようですが?」


律子「あ、あれは! あのふざけた証人についカッとなっちゃって!!」


春香「カッコイイ……


律子「は?」

貴音「ん?」


春香「二人とも!! すっごく!! すごくすごくすごくすごくカッコイイ!!!!!!


春香「秋月さん!! 四条さん!! 私!! 決めました!!


律子「は?」

貴音「ん?」


春香「私!! アイドル弁護士になります!!!!!!!!!!」


律子「…………え?」
(な、何を言い出すのよ、この子……)

貴音「面妖な…………」


春香「と、言うわけで!! 秋月さん!!」


律子「は? え? わ、私?」


春香「弟子にしてください!!!!!!!!!!


律子「………………………………………………」

律子「え!!!! えぇ!!!???」

律子「無理無理!! 無理よう!! 弟子なんて!!!!」

貴音「貴女ももう22です、弟子の一人や二人居てもいいでしょう」

律子「ちょっと!! 貴音やめてよ!!」


春香「私!! もう!! 決めましたから!! 追い出されても!! 通い続けます!!」


春香「秋月さんの法律事務所に!!!!!!!!!!」


律子「あ、アイドルはどうするのよ?」


春香「あ……そ、そうですね……」


律子(ほっ……諦めてくれた)


律子「ほ、ほらね、アイドルと弁護士の両立なんて無理なのよ」



『異議あり!!!!!!!!!!』



春香「異議あり!! です!! 秋月さん!!」

律子「!?」

貴音「こ、これまた【!】の多い異議ですね……」

春香「こうすれば良いんですよ!!」

律子「え?ど、どうすれば?」



春香「秋月……アイドル法律事務所!!!!!!!!!!



律子「な、何言ってんのぉおぉおぉおおおおおおおお!!!!!!」
(な、何言ってんのぉおぉおぉおおおおおおおお!!!!!!)


貴音「律子、そこは異議あり、だったかと」

律子「と、ともかくダメよ!! 絶対にダメ!!!!」

春香「ダメって言っても!! ダメです!!!!!!



律子「え、えぇぇぇええええぇえええええええええええ!!!!!!!!」
(え、えぇぇぇええええぇえええええええええええ!!!!!!!!)



律子「ぐ、ぐぬぬぬぬ」
(下手な証人よりも性質が悪いわ……)

律子(春香に、諦めてもらう……には)

律子「そ、そうだ!!」

律子「今から簡単なクイズを出すわ!!」

春香「クイズ?」

律子「今回の証拠品の中に」

律子「千川ちひろさんが、春香を部屋に呼んだ理由が」

律子「双葉杏と引き合わせる、以外にあるわ」

律子「それを、わたしにつきつけてみなさい!!!!

貴音「……ほう、アレですね」

律子「……そう、アレよ」

律子「ここで外したら、今回の話は無し」

貴音「よかったですね、天海春香」

貴音「当てれば、師匠公認、ですよ、ふふふふ」

律子「そんな事言ってない!!!!」



春香「ち、ちひろさんが私を呼んだ理由?」



春香「それが証拠品の中に…………」



春香(う~ん、その日は4月3日

春香(つまり、私の誕生日だよね)

春香(ちひろさんが私の誕生日に部屋に呼んだ理由)

春香(お祝い?ケーキ?プレゼント?)

春香(………プレゼント?)

春香(…………あ!!)



春香『くらえ!!!!!!!!!!』 【証拠品ファイル《リボンの置物》】



春香「このリボン、もしかして」


律子「当てちゃった、か」

貴音「そうです、天海春香」


春香「私の、リボン……だったんですね!!」


律子「そう、それは貴女への誕生日プレゼントだったのよ」

貴音「凶器として使われてしまいましたが……本来は善意のりぼんだったのですよ」

律子「手帳にも、貴女へのプレゼントって書いてあったわ」


春香「………わ、私」ポロ

律子「え!? な、何で泣くのよ!?」



春香「………っっっ!!! わ、私!!! 嬉しくて!!! 嬉しくて!!!!!!」



春香「涙が……出てきましたぁ」



春香「ふ」



春香「ふぇぇえぇええええぇぇぇえええええええええん!!!!!!!」



律子「……見れば解るわよ、まったく」

律子「……緊張の糸が、切れたようね」

貴音「まだ16の少女ですせん無き事でしょう」



春香「あ、あきづぎさん、ばたし、ぎめまじたぁ!!!!!」



律子「え…?」



春香「あのリボンのおぎもの!!!! あぎづぎざんのじむじょにおぎまずぅうううう!!!!」



律子「は?」

貴音「ふ、ふふふ、あはははははは」

貴音「それは名案です、看板にでもすれば良いのではないでしょうか」

貴音「秋月あいどる事務所、などと…………っぷ」

貴音「あはは、あははははははははは」



律子「あんた達…………いい加減言わせてもらうわ…………」





律子『異議ありぃいい!!!!!!!!!!!!!!!』





………




4年後




私は本当にアイドルになって




本当に弁護士になった




だけど




あの事件が




私の、二人の師匠を




粉々にしてしまったのだ




律子『異議あり!!!!』




貴音「撤回なさい律子!!!!」




律子「……っ!!!!」




貴音「貴女は!! 自分の信念で!!!!」




貴音「真実を失うつもりですか!!!!」




律子「それでも……私は……」




律子「依頼人を……守らなければいけないの!!!!」





第一話 逆転リボン END





次の事件に、進みますか?