美希「はい、どーぞ、なの!」

伊織「アンタがチョコぉ?」

美希「あー!! 酷い!! 食べる前からソレは酷いの!!」

伊織「だってアンタ料理下手じゃん」

美希「デコちゃんは脳の部分の殆どが頭蓋骨で埋まっているから知らないんだと思うけど、料理とお菓子作りは決定的に違うって春香も言ってたの」

伊織「なかなか前衛的な罵倒の言葉を食らった私だけど、まぁそう言う事なら見せてみなさいよ?」

美希「どうぞなの~」パカリ

伊織「……黄色くない?」

美希「基本は茶色なの! もう、デコちゃんは食べる前からグチグチうるさ過ぎって思うな!!」

伊織「いや……でも、まぁ……黄色くない?」

美希「良いから食べて!! 一生懸命作ったんだから!!」

伊織「わ、解ったわよ、食べる、食べるから……」パクッ

美希「……」


伊織「やっぱりカレールーじゃねぇかバカ!!!!」


美希「ち、違うよぉ!!チョコだよぅ!!」

伊織「コレをチョコって言ったらガーナ人がインド人連れてきてガーナ人です言ってるようなもんだわ!! 濃いんだよ!! まんまだろ? コレぇ!?」

美希「違うの! ちょっと聞いて!!」

伊織「あぁ、聞きましょうとも!! 私の口にカレールー放り込んだ星井美希さんの弁明を聞きましょうとも!!」

美希「日本人のソウルフードと言えば、ラーメンとカレーでしょ?」

伊織「まぁ、日本ナイズされているといえばその二つかもね」

美希「美希はその二つをどうしてもチョコ作りに生かしたかったの」

伊織「もうバカだよ、設計図作る時点でぶっ壊れてんだもん!!」

美希「最期まで話を聞いて!!」

伊織「……」

美希「で、まず、カレーを箱の裏の説明書を見ながら作ったのね?」

伊織「……」

美希「で、袋のラーメンをそのカレーで煮て分量通りに作ったのね?」

伊織「……塩分の塊と化してしまっているわよね」

美希「それにチョコをちょこっと……ふふ、チョコをちょこっと入れてね?」

伊織「若干愉快になっているのが私の逆鱗に触れるとも思わないんでしょうね、アンタは」

美希「それを冷やし固めた物が」

伊織「これなわけでしょ? 全ての食材がカレーに押し負けてんのよ!! 死んでるの!! チョコもラーメンも!! そもそもなんでカレーとラーメン入れてんだよぉ!!」

美希「だから!! 話を最期まで聞いて!!」

伊織「……」

美希「それをお姉ちゃんに試食させたら「ヴァルハラ!」って言って倒れちゃったのね? そんなのをデコちゃんに食べさせるわけには行かないでしょ?」

伊織「……」

美希「だから、残ったカレールーをデコちゃんに持ってきたってわけ!!」

伊織「なるほどなるほど」

美希「えへへ~偉い? ミキ偉い?」


伊織「正真正銘ただのカレールーじゃねぇかっの金髪おにぎりモンスターがっっ!!!!!!」