伊織「もう寝るわよ? やよい」

やよい「うん」

伊織「って、早っ、もう布団に入っているのね」

やよい「えへへへへ」

伊織「やっぱり一人で寝るのは怖い?」

やよい「……伊織ちゃんの家はとっても広くて、一人で部屋に居ると大きな穴に落ちたみたいな変な感覚になっちゃうんだ」

伊織「……私はずっとこうだったからそう言うの良く解らないけど」

やよい「けど?」

伊織「ずっと昔、お父様とお母様の寝室を離れ自分の寝室で寝るようになって直の頃は、凄く、不安で怖かったわね」

やよい「伊織ちゃんでもそう言う事あったんだ?」

伊織「そりゃそうよ……っと、ゴメンやよい、もうちょっと向こう行ってくれる?」

やよい「あ、うん」

伊織「暖かい……アンタ体温高いわね~」

やよい「伊織ちゃんの足は冷たいね」

伊織「アンタも冷えちゃうわよ?」

やよい「かすみとか放って置いても足くっつけてくるから、慣れちゃった、えへへ」

伊織「そう……で、何の話だったかしら?」

やよい「一人で寝るようになった話」

伊織「そうだったわね……えっと、夜が寂しくて、毎日のようにお母様の寝室に潜り込んでいたんだけど」

やよい「うん」

伊織「それを見かねたお父様が私にオルゴールをくれたの」

やよい「オルゴール?」

伊織「うん、コレなんだけどね、もう動かなくなっちゃって暫く経つわ」

やよい「綺麗……」

伊織「シリンダーの針が櫛を跳ねるのを10周見つめててごらん? ってね、いつも頑張るんだけど、いつの間にか寝ちゃってたの」

やよい「聞きたかったなぁ、音色」

伊織「別になんでもない普通のクラシックよ……数万回は聞いたかも、だけどね?」

やよい「ふぅん」ウトウト

伊織「……やよい、アンタって、オルゴールに似ているわ」

やよい「私が?」

伊織「見ているだけで、聞いているだけで、心安らぐ、やよい、貴女は……」

やよい「眠れ~よあ~~こ~~♪ なをめ~ぐ~り~~て……♪」

伊織「…………ふふ、なにも本当にオルゴールになる事無いのよ」クスクス

やよい「うるわ~……し~~……の……」スゥ

伊織「……」

やよい「……」スゥスゥ



伊織「……おやすみ、私の……ううん、皆のオルゴール」