前作:千早「姉の気持ち」 優「弟の気持ち」
   千早「姉の気持ち」 優「弟の気持ち」 その2


千種「あら、お帰りなさい」

千早「ただいま、母さん」

千種「今日もお疲れ様。ご飯は食べて来たのよね?」

千早「ええ、プロデューサーにごちそうになって」

千種「あら、そう。毎回悪いわねぇ。今度何かお礼でも」

千早「うふふ、お母さんのクッキーでも差し入れてあげたら?」

千種「それだと、春香ちゃんの十八番だもの。私じゃ敵わないわ」

優「僕、お母さんのケーキが好き」

千種「あら、嬉しいわ。また今度時間があるときに作ってあげる」

優「やったー!」

千種「はいはい、ほら、2人ともお風呂とか済ませちゃって」

優「はーい」

千早「ねえ、優」

優「なに?」

千早「一緒に入ろ♪」

優「駄目!」

千早「えー」

優「えー。じゃない!」

千早「そんなに私の事を嫌わなくても良いじゃない…」グスン

優「普通!この年になったら!お姉ちゃんとお風呂には入らない!」

千種「ほら、千早。優の言うとおりよ、早く入ってらっしゃい」

千早「はーい…」


優「…はぁ」

千種「…ねえ、優。夏祭りの事、覚えてる?」

優「え?…僕が、車にひかれそうになった時の事?」




『ねーえおねーちゃんはやくー!』

『まって優!そんなに走ると』


キキーッ


『うわーんっ!』

『優!優大丈夫?!けがはない!?』

『馬鹿野郎!急に飛び出すな!』

『運転手の方ですか?うちの子供がどうもすみません!』

『親ならな、子供から目を離すんじゃないよ!けがはないか!?』

『うん…』

『坊主、道路に飛び出しちゃダメだろうが、気を付けな』

『優…良かった…』

『優!千早!大丈夫か?!』

『おかあさーん!』

『優…駄目じゃない、急に飛び出したりしちゃ』

『優…』

『ほら、もう帰るぞ』

『おかーさんおんぶ』

『あらあら、優ったら…』

『…』

『ほら、千早もおいで、抱っこしてあげる』

『…うん!』



千種「ええ、千早、あの時親の私たち以上に取り乱してた…その位、優の事が大好きなのよ。あの子は、昔から変わってないわ」

優「…僕も、千早お姉ちゃんの事は好きだよ、でも」

千種「ふふっ、なら、良いじゃない」

優「この年になっても、あの頃と同じような扱いなんだよ?」

千種「ふふふっ、親や姉から見れば、何時までもあの頃の様にかわいいのよ」

優「うーん」

千種「ふふっ、千早が上がったら、優も早く入りなさい」

優「はーい」

千種「ふふっ、何ならお母さんと入る?」

優「だから!」

千種「はいはい、冗談よ」


千早「優、次お風呂」

優「はーい」(…千早お姉ちゃんのシャンプー、良い匂い…ってなんか変態みたいだ?!)

千早「どうしたの?優」

優「な。何でも無いよ!」

千早「顔が赤いわ…まさか風邪でも引いたんじゃ!?お母さん!救急車!」

千種「風邪で救急車は呼ばないわよ」

優「も、もう、お姉ちゃんは大げさなんだよ!お風呂入ってくる!」



千早「ねえ、母さん」

千種「何?」

千早「…優、私の事をどう思ってるのかしら」

千種「?」

千早「…正直、私も構い過ぎなのかな、とは思うわ。でも…」

千種「…余計な心配はいらないわよ。優も、きっと千早の事、大好きだと思うから」

千早「…」




優(…皆して、僕の事子ども扱い…か)



続く?

次作:千早「姉の気持ち」 優「弟の気持ち」 その4