■STORYM@STER




小鳥「今日はずっとふたりきりですね、律子さん」

律子「誤解を与えるような発言をしないで下さい! ただ事務所で仕事してるだけですから」

小鳥「なんで、みんな今日はこないんでしょう?」

律子「大雪で収録とかのスケジュールが混乱してしまっているんですよ」

小鳥「社長とプロデューサーさんは?」

律子「社長はお休み。プロデューサーは千早達の送迎で直帰ですよ」

小鳥「うーん……。まだ電車ダメなんでしょうかね?」

律子「夕方ぐらいまでにはなんとかなるんじゃないですかね?」

小鳥「ということはやっぱり、私達はずっとお留守番……」

律子「そうなりますかね」

小鳥「ま、まぁ、あたしはいつものことで慣れてますからね」

律子「そうですか」

小鳥「決して、寂しいから律子さんに話しかけてるわけじゃないんですから!」

律子「……」

小鳥「あ、そういえば、律子さん知ってます? ステージ衣装に通称があるってこと!」

律子「? そうなんですか? ナンバーとかじゃなくて」

小鳥「ナンバーでもいいですけど、可愛い衣装には名前つけたくなっちゃうじゃないですか」

律子「そんなもんですかね?」

小鳥「そういうものなんです! で、社長と一緒に色々考えて」

律子「仕事しないでそんなことを……」

小鳥「まぁまぁ。ほら! この衣装は『バイタルサンフラワー』って名前ですよ!」

律子「あ、初めてのみんな揃っての衣装ですね」

小鳥「竜宮の衣装はズバリ『パレスオブドラゴン』です!」

律子「無難なところでしょうね」

小鳥「そしてこれは『スノーフレークリリパット』ですよ!」

律子「ああ、雪歩の可愛い衣装ですか」

小鳥「そうそう、『リリパット』ってなんのことか知ってます?」

律子「さぁ? どこかで聞いたような名前ですけど……」

小鳥「『ガリバー旅行記』の小人の王国の名前ですよ!」

律子「へぇ。そうなんですか……」

小鳥「まあ、衣装的にはあまり関連ないんですけど、語呂の良さでこういう名称に」

律子「はぁ……」

小鳥「そうそう『ガリバー』といえば、こんな話知ってます?」

律子「『ラピュタ』は『ガリバー旅行記』が元ネタとかそんな話でしょう、どうせ」

小鳥「違いますよ~。ガリバーって実は日本に来たことがあるんですよ!」

律子「え? 嘘でしょ?」

小鳥「マジマジ! エドで日本の皇帝と謁見したんですよ!」

律子「江戸の発音がおかしいですよ」

小鳥「聞き慣れたのもカタカナで書くと新鮮ですよね!」

律子「ああ、そういう……って、何無駄話してるんですか! 仕事して下さい」

小鳥「うう、ごめんなさい。最近一人で留守番が多いから寂しかったんですよう」

律子「寂しくないって言ってたばかりじゃないですか! あんまり、話し込んでるとまた残業になっちゃいますよ」

小鳥「今日は雪の影響で事務仕事もほとんど終わりですよ」

律子「そうなんですか……。でも、ずれた仕事があとでどっと来ますよ」

小鳥「くわばらくわばら……」

律子「私の方も、大方終わっちゃいましたね」

小鳥「じゃあ、小休止しましょう! 小休止!」

律子「たまには私がコーヒー入れてきますよ」

小鳥「あら、ありがとうございます!」

コポコポ

律子「お待たせしました」

小鳥「うーん。いい香り」

律子「インスタントですけどね」

小鳥「ま、いいじゃないですか。じゃあコーヒー入れていただいたお礼に、律子さんにご褒美をあげます!」

律子「妄想的なのはノーサンキューですよ」

小鳥「あらら……。じゃ、じゃあ、律子さんに私に質問する権利をあげます!」

律子「質問?」

小鳥「私に関する疑問になんでもお答えしちゃいますよ! 秘密多き乙女、音無小鳥を暴露!」

律子「あまり興味ないんですが」

小鳥「ひどいですよう。そこはのってきてくださいよう」ウルウル

律子「確かに小鳥さんは謎が多いですけど、そんなことを聞くほど野暮じゃないですよ」

小鳥「せっかくふたりきりなんだから、いいじゃないですか! こんなチャンス滅多ににないですよ!」

律子「……。そういえば……」

小鳥「お! きましたか?」

律子「小鳥さんって、なんでいつもインカムつけてるんですか?」

小鳥「はぃぃい?」

律子「電話とかもそれつけたまま普通に出てますよね? それってなんか意味があるんですか?」

小鳥「そ、そそそそれは……」

律子「あ……。聞いたらまずいことでした? もしかして小鳥さんの過去に関係が……」

小鳥「ソンナコトナイデスヨ……」

律子「怪しい……。さては昔別れた恋人からのプレゼントとか?」ニヤ

小鳥「ソンナコトナイデスヨ……」

律子「なんだ、答えてくれないんじゃないですか、もう」

小鳥「マコトベンカイノシヨウモゴザイマセヌ……」

律子「きっと、そのインカムは、春香でいえばリボン。伊織でいえばうさぎのぬいぐるみ。千早でいえば……、。うん、やめときましょう」

小鳥「ぶっちゃけコーヒー飲む時すごく邪魔!」

律子「じゃあ外してもいいんじゃないですか?」

小鳥「なんかこう、これをつけてないと口寂しくて……」

律子「タバコ吸ってる人みたいなこと言ってないで、物は試しです! さあさあ」

小鳥「うう、律子さんが変なテンションに……」

律子「いいからいいから」ガバッ

小鳥「ひいいい。それだけはご勘弁を!」

ガチャッ

P「ただいま帰りました……よ……。」

小鳥「……」

律子「……」

P「二人はそういう関係だったんですね……」

律子「んなわけあるかー!」

P「冗談だよ、律子。お前がふざけてるなんて珍しいな」

律子「小鳥さんにのせられてただけですよ」

小鳥「あ、でも、プロデューサーさん直帰だったんじゃ?」

P「いや、やっぱり事務所で確認したいことがありまして」

律子「これで少しは寂しくなくなるんじゃないですか? 小鳥さん」

小鳥「そ、そうですね」

P「ま、じゃあ仕事終わったら飲みに行きますか!」

小鳥「そうこなくちゃ!」

律子「私も烏龍茶でご一緒してもいいですか?」

小鳥「もちろんもちろん!」

律子「さっきまでの変な話してた時とは元気が違いますね。小鳥さん」

P「ん? 律子と音無さん、なんか話してたのか?」

律子「プロデューサー、知ってました? みんなのステージ衣装に名前がついてるって……」

P「まじか……」

小鳥「あと、『ガリバー』は日本に来たことあるんですよ」

P「嘘だろ……」

律子「あとですね、小鳥さんのつけているインカムは、昔の恋人の形見だそうです」

P「!」ガタッ


その後も三人で変なことを言い合いながら仕事を終わらせ、事務所を閉めて居酒屋へと向かった。
明日からは、また忙しくなるでしょうけど、それまでの束の間の雑談をしながら。



おわり