春香「おつかれさまでしたー」

オツカレチャーン!

P「春香! 今日の収録、なかなかよかったぞ!」

春香「プロデューサーさん! えへへ、今日は転びませんでしたよ!」

P「そうだな! 番組Dさんはちょっと残念そうな顔してたけどな」

春香「あはは」

P「まったく、春香はかわいいな」

春香「へっ!?」

P「それでこのあとの予定なんだが……」

春香「い、今、なんて言いました? プロデューサーさん」

P「ん? よかったって言ったが、気になったことでもあったか?」

春香「い、いえ……」

春香(聞き間違いかな? 確かに『かわいい』って言われたと思ったけど)

P「で、すまないがこのあと。急なレッスンが入ってな。大丈夫か?」

春香「あっ! 大丈夫ですよ! 今日の私は絶好調ですので!」ワッホイ!

P「本当にごめんな。この埋め合わせは必ずするから!」

春香「もう、そんなに気を使わないでいいですよプロデューサーさん!」

P「本当に春香はかわいいな」

春香「ぶぉふぉ!」

P「ん? 春香どうした? やっぱり体調がいまいちか?」

春香「そそそそそ、そんなことないです!」

P「そうか? まぁ、あまり無理はするなよ」

春香(やっぱり、プロデューサーさん、私のことかわいいって言ってるよ!)

P「じゃ、すぐに移動するぞ」

春香(どういうこと? プロデューサーさんは全く気にしてない!)

P「車で移動している間は、ゆっくりしてていいぞ!」ガチャ

春香「はい。じゃあ、お言葉に甘えて……」

ブロロロ…

春香(うう……。意識し過ぎて休めないよ! プロデューサーさあん!)

P「春香はかわいいんだから、しっかり休んでおけよ」

春香「ヴァイ!?」

P「はは、元気の良い返事だけど、リラックスな」

春香(なに? 何なのこれ? ドッキリ?)

春香(ああ、もうこれはドッキリね。車がついた先にドッキリプラカード持った千早ちゃんが『くっ』って笑いながら待ってるんだ、きっと)

P「それにしても、今日の春香はいちだんとかわいかったな!」

春香(なんでそんなに自然と言っちゃてるのこのプロデューサーさん!)

春香(もしかしたらプロデューサーさんの言語中枢がちょっとおかしくなって「元気」と「かわいい」が入れ替わっちゃったんだそうに違いないべらんめい)

P「おっと、すまん。休んでろって言ったのに話しかけちゃって。仮眠しててもいいぞ」

春香「はい」

春香(あ! そっか。ここで「眠ったフリ」しておけば、これ以上プロデューサーさんに話しかけられることはない! なんていいアイデア!)

春香「Zzzz……」ネタフリ

P「寝顔もかわいいな……春香」

春香(そんなことはなかったぜ! ああもう! これどうするの!)

春香(でも……。よく考えてみたらスタッフさんや、ファンのみんなから『かわいい』って言われてもこんなに恥ずかしくないのに、なんで?)

春香(え? これって、もしかしてプロデューサーさんに言われてるから?)

春香「プロデューサーさん!」ガバッ!

P「うわ! 春香、もう起きたのか?」

春香「あの……。プロデューサーさんは、他のみんなにも『かわいい』って言ってるんですか?」

P「んー。そうだな、みんなかわいいしな」

春香(あ、やっぱりそうなんだ)ズキッ

春香(そうだよね……。でも、なんかちょっと寂しいな……)

P「でも、春香が一番かわいいと思うぞ!」

春香「ジュイッ!」

P「春香かわいい……春香かわいい……」

春香(ここまで来ると、恥ずかしいとかうれしいとかいうよりむしろ、戦慄を覚えちゃいますよ! プロデューサーさん!)

春香(思えば、最近プロデューサーさん働き過ぎで、あまり休めてなかったような……)

春香(それで、心が不安定な状態に……。私はプロデューサーさんに負担ばっかりかけて)グスッ

P「な? 春香、どうしたんだ?」

春香「ご、ごめんなさい! プロデューサーさん! 私のせいで!」

P「どうした? やっぱり体の調子が悪いのか? ……よし! レッスンは中止しよう。春香、今日はもう、しっかり休んでくれ!」

春香「休んで欲しいのはプロデューサーさんですよう」ボロボロ

P「春香? 何を言って……」

春香「私のせいで、プロデューサーさんがおかしくなっちゃうのは嫌です!」

P「うん、ありがとうな、春香。俺の心配をしてくれたのか……」

春香「だからいつもの、プロデューサーさんに戻って下さい」

P「うーん。そんなにおかしかったか? 俺」

春香「そ、そうですよ! 私のこと……その……かっ、『かわいい』なんて言い続けるなんて……」

P「ん? だって、春香はかわいいじゃないか!」

春香「」カァーッ

P「赤くなる、春香もかわいいな」

春香「」ボンッ!

P「オーバーヒート気味の春香も、とてもかわいい」

春香(い、いけない! このままだとプロデューサーさんにかわいい殺される!)

春香(これもプロデューサーさんを苦しめた罰?)

P「ま、とにかく今日のレッスンは休もう。事務所へ向かうぞ」

春香(何が『とにかく』ですか! その言葉は『かわいい』にかかってるんですか!)

春香「ぷ、プロデューサーさん! お願いですから『かわいい』って言うのやめて下さい!」

P「あ、それが気に入らなかったんだ。すまん春香」

春香「気に入らないというわけではないですけど……。と、とにかく『かわいい』は禁止です! 禁止……」

春香(はぁ、やっとこの地獄から脱出できる……。ちょっとだけ残念だけど)

春香(でも、これでよかったんだよ。かわいいかわいい言われ続けてると私、勘違いしちゃうから)

P「わかったよ、俺の大切で愛おしくて大好きな春香」

春香「」




事務所についた時。私は助手席で真っ白になっていたそうだ