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真新しい日に向かって
■STORYM@STER
ふと、思い返す。私が心を閉ざし、歌を歌い続ける事だけに没頭していた日々の事を。
春香やプロデューサー、そして他の皆が私の事を気遣い、声をかけてくれようとも、あの頃の私はその言葉達に本心で答える事は無く、それらを何処か遠くへ押し退けるようにして冷たく返事をしていた。
何故なら、あの頃の私は歌う事だけで精一杯だったからだ。自分の過去を乗り越える為に、歌い続ける事だけで。
ずっと私は独りなのだと思っていた。優を亡くし、両親とも離れ離れになり、マンションの一室に居るのは自分だけだったから。
――でも現実は、皆は私の事を見放してはいなかった。
千早「流星の彼方」
千早「輝きを求めて」
千早「信じ続ける夢」
新たな年を迎え、私を含む765プロの皆が多忙だった頃。
春香と美希が仕事の練習をしていた際、プロデューサーが差し入れを届けに行った時の事。
――プロデューサーが春香を庇い、事故にあったと言うのだ。
私や他の皆がプロデューサーが搬送されたと言う病院に到着し、病院の廊下で椅子に腰を掛けている音無さんの所へ行くと、信じられない光景に私は目を疑った。
……何故なら、普段は明るく何にでも笑って返してくれていた筈の春香が、泣き崩れていたから。
必死に皆で春香を励ましたものの、その後の状況はあまり良い方向へ転ばなかった。
しかし、そこで知った事は私達の意志を改めさせるような内容で、それからと言うものの私達の絆は前よりも深く、より強い物へと変わって行った。
そこまでは、順調だった。
本当に、そこまでは。
千早「変わらないもの」
千早「昔の貴方に、戻って」
2 : ◆K/laHoEzHc [saga]:2013/05/29(水) 18:15:28.52 ID:Vc/XGoLP0
俺は数か月前から765プロにてプロデューサーをやっている。
そして、俺がプロデュースしているのは「如月千早」と言う名前の少女だ。
彼女はとても真面目で努力を惜しまない。
その懸命な姿を見て、俺はこの子を絶対にトップアイドルにしようと決心した。
その為に今日もレッスンに励んでいるのだが……
P「ほら、気を抜くな。 足が動いていないぞ」
ダンスレッスンの最中、どうにもミスが目立つのだ。
P「どうした? 調子でも悪いのか?」
千早「いえ、そういう訳じゃ……」
P「ならしっかりやれ。 これは千早の為なんだから」
普段は絶対にしないようなミスすらしているのだ。
調子が悪いのかと聞いても千早は違うと答え、頑張ろうとはしている。
千早「私と彼の約束は変わらない」
私の歌声
今となっては全国……いえ、全世界で知られてる歌声。
765プロで皆と頑張っていた頃と比べ、私の活動範囲はとても広くなった。
そして今は「アイドル」としてだけではなく、本物の「歌姫」として名を馳せている。
真「白い雪のように」
☆シャッフルSS☆
冬、突然一通のメールが届いた。
「思い出の場所で、待ってる」
そのメールにはその一言だけが書かれていて、それを読んだボク――いえ、私はその場所へと向かっている。
何故なら、そのメールの差出人はプロデューサーだったから。
日が落ちて暗くなった歩道を、冷たい風に吹かれながら歩き続ける。
さすがは真冬と言った感じで、冷たい風が吹く度に私は身を震わせる。
私の吐息は白く、他にすれ違う人々もまた同じように身を震わせているのが伺える。
……でも、もう少しあるけば着く。私とプロデューサー、皆の「思い出の場所」に。