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タグ:娘はアイドル

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1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/29(月) 21:41:14.04 ID:ufQGaBH/0


(…こちらスネーク、娘の部屋への潜入に成功した)

(んっふっふ…毎度毎度、私が騙され引っ掛かりケチョンケチョンにされてるとばかり思っては行かんぞ娘たちよ…)

(ふふふっ…この日の為に奮発した某大統領のマスクを装着…布団を剥ぎ取りイエスウィーキャーンッと言って叩き起こす…くくく、我ながら恐ろしい考えよのぅ…)

(それでは…!)

「イエースウィーキャー…ん?居ない」

(どこだ…どこに居る、マイドーターズ)

「「トラストミー!!!!!」」

「ぬぉぉぉっ!」

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1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/08(月) 22:30:14.18 ID:rwKse1D30

「お父さん、ちょっと話があるの」
「何だ」
「私、アイドルに、なろうと思うの」

 短大を卒業できるのか不安だった娘。
 どうにか卒業するという段になって家に帰ってくるなり、とんでもないことを言いだした。

「……は?」
「だから、私、アイドルになろうと」
「……あずさ、お前今年でいくつになる?」
「……20です」
「……そうだな」

 深くため息をついた私は、正面に座っているあずさを見つめる。
 まだまだ大人になりきれていない幼さが残る表情を見ながら、私は深くため息を吐いた
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1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/10(木) 23:28:21.34 ID:F+qqrKIo0

「卒業後の進路?」
「ええ、アイドル事務所の事務員として」
「アイドル事務所?」

 晩飯を食べ終わった頃、唐突に娘が切り出して来たのはアルバイトをするという事だった。
 卒業後の進路を決めかねていただけに、一つの道筋が立つのかもしれないと思っては見たが、アイドル事務所の事務員と言うのは初めて聞いた。
 契約書を見ていると、そのまま社員として登用してくれるという内容だったので、内容自体は悪くない。
 給料だって世間の相場と比べても高い訳ではないが、生活に困るほどでもない。
 福利厚生も一通りそろっているし、休日は……まあ、どこの業界でも例外と言う物は存在する。

「アイドルをマネジメントするって言う仕事、何だか面白そうだなと思って。その見習いに」
「アイドル事務所なんてやめておきなさいよ、何か面倒に巻き込まれたら、あなたどうするつもりなの?」

 妻が険しい顔で言うのも無理はない。
 つい今しがた、テレビでアイドルの握手会中に刀傷沙汰があったらしいという事が報道されていたからだ。

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あずさ『ええっ、お父さん、こちらに来るんですか?』

あずさ父「うん、偶にはお前の顔を見ておこうと思ってな」

あずさ『そ、それは良いけど…大丈夫?』

あずさ父「どういう意味だ?」

あずさ『い、いえ、何でも…お母さんに場所とかちゃんと確認しておいてね』

あずさ父「ああ分かってる分かってる。あずさに心配されるようじゃ俺も焼きが回ったなぁ」

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1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/05(月) 19:09:31.88 ID:wBxpcr1o0

私の朝は、一日の予定を新堂から聞く事で始まる。
この身体は、既に私の物では無い。
水瀬グループという巨大な組織の長としての膨大な責務を果たす為に、私は生きている。

「旦那様、今日は経団連の米川会長と昼食会、午後3時からは水瀬重工の定例役員会と新ラインの視察でございます」

恭しくスケジュールを伝える新堂の姿も、もう何年と変わっていない。

「ふむ、午前中は予定なし、か。珍しい事もある」
「旦那様は、殆どこちらにいらっしゃらないですからな。たまにはゆっくり、伊織お嬢様と話でも」
「それだがな、新堂」
「は?」
「伊織が、アイドルをやりたいと言い出した」
「なんと…」
「…簡単に言ってしまえば、私や兄達に認めて欲しいから。そう言っていたよ」
「…」
「お嬢様も、旦那様に似て自主独立のお心が強いですな」
「…しかし、まさかアイドルとはな」
「ええ…奥様は、ご存知なのですか?」
「明日には帰ってくるのだろう?その時に話すさ…どこを受けるつもりかな」
「は、既に幾つかのの芸能事務所のオーディションに応募はしているようですが」
「芳しくない、か?」
「はい」

我が娘だからというわけではないが、伊織は可愛らしい見た目だし、それなりに猫を被ることも知っている。
だが、それだけではダメだ。
人を惹きつける力があるか無いか。
それは企業の社長だってそうだ。

「さて…どうしたものか」

水瀬の力を持ってすれば、大手事務所に入らせることも可能だ。
だがそれは、伊織の最も望まない方法だろうし、私も同感だ。

「…そうだ、思い出した。新堂、午前のスケジュールは無いのだな?」
「はい」
「一つ、用事ができた。車を出せ」

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1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/04/05(土) 14:16:45.74 ID:7o5w+49n0

「そういえば、そろそろ春香は誕生日ですね」

朝食を取りながら、妻がそんなことを言うので、新聞の日付を改めて見直す。
3月31日。春香の誕生日は4月3日、今週の木曜日に迫っていた。
年度末の忙しさにかまけて、娘の誕生日を忘れかけるとは不覚だった。

「そうだな…もうそんな時期か…」
「ええ、春香。いつの間にかあんなに立派になって」

テレビ欄を見てみれば、いつも765プロのアイドルが、どこかの番組に出ている。
言っている傍から、春香がテレビに出ている。
朝のニュース番組で、喫茶店のリポーターとして春香がテレビに映っている。
自分が病院で抱っこしていたあの赤ん坊が、今テレビで、全国の人達に見られている。
そんな実感の湧かない気持ちを、最初は少し、気味が悪かったと言うか、心配だった。

「ふふっ、どうしたんですか、あなた」
「いや。本当に、俺の娘なのかなぁ、と思って」
「え?」
「こんな立派になって…」
「あら、そうですか?」
「えっ?」
「春香は、間違いなく貴方の娘ですよ」
「そりゃあ、まあ、そうだけど」

こんな出来のいい娘に育つとは、正直…いや、それは言い過ぎだ。
でも、まさかアイドルになるなんて思っても見なかった。
そう妻に言うと、意外そうな顔をされてしまった。

「春香、昔からアイドルにあこがれていた気がしますけど」
「そうなのか?」
「あら、あなた、忘れてるだけでしょ」
「…かなぁ?」

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1: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/25(火) 22:27:03.84 ID:QU/pV3xk0

「長介ー、皆を起こしてきてー」
「はーい。皆ー起きろー!かすみ、浩太郎、浩二!」
「ほらあなた、早く食べちゃって下さい」

我が家の朝は賑やかだ。子供達が一斉に起き出して顔を洗ったり着替えたり。一番下の子が泣き出す声。
全部、俺にとっては日常の風景だ。

「おとーさんおはよー」
「浩二。おはようございますでしょ」
「かすみねーちゃんはこまかいんだよー」
「もうっ、そんなんじゃまた伊織さんに叱られちゃうよ」
「伊織さん怒らせると怖いぞ?」


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書店に行けば、CDの新譜も雑誌の新刊も『765プロダクション』の文字が躍る。
駅前の大型看板も、今度のアリーナライブの宣伝広告が張り出されている。
道行くサラリーマンや学生も足を止めて、携帯やスマートフォンで写真を撮っている。

その中の、一人。
私もその中の一人であるはずだ。
だが、私は意図的にそれを避けていた。
私にそんな事が許されるはずがないからだ。

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1:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/01/20(月) 23:21:48.93 ID:uoPFj+HD0

それは、町も寝静まった、月が高く上った深夜だった。
月を眺めながら、何をするわけでもなく、月光浴をしていた私に、娘が声を掛けてきた。

「私は、もっと高みを目指し、見てみたいのです、その先にある景色を。このように、囲まれた場所からではなく、何もさえぎるものの無い、高みから……」

突然の娘の言葉に、私は、しばし外の景色を眺めながら考えた。
山の中腹にあるこの家からは、市中が一望できる。月明かりに照らされた街並みを見ながら、娘の言う事を反芻する。
そう、娘の言う「囲まれた場所」というのは、私が当主を勤めるこの一族のことを言っているのだろう。
私は、その娘の言葉に、頷いた。

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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/23(月) 17:16:25.24 ID:PayVsvLV0

「旦那様!」

「何だ」

「お嬢様がテレビに出ております!」

「何だと?見に行く」



我が愛娘が芸能界デビューしてからと言う物、使用人達がこぞってテレビの前に集まるようになった。
仕事が片付いてれば文句も言わないし、娘が若い衆にもかわいがられていると言う事実は、実に喜ばしい。
が、同時に雪歩の身を案じる私の心は気が気ではないと言うのもまた事実だ。
そう、まるで百合の花の様な可憐で、美しく、そして可愛らしい我が娘。
心配にならない方がおかしい。
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