ガチャ、と屋上へと続く扉を開く。
冷たい外気と共に、視界が開けて狭まった。
窮屈な屋内から、ビルが所狭しと建ち並ぶまた狭い景色が視界に映る。
都会特有の寂しい空気が、冬の寒さをさらに助長させる。
一度、ビルの隙間風が音を立てながら右から左へと駆け抜ける。
捲り上げられるスカートを片手で押さえ、もう片方の手で目を覆う。
……スカートの形が元に戻る頃、風は既に止み、静寂とは程遠い都会の喧騒が聞こえてくる。
「……………………」
屋上を囲う手すりへと手を置く。
体温を一切保有していない冷たさが指先から伝わる。 そして直に私の体温と一体化する。
ふと耳を澄ましてみると、二つ下の部屋から賑やかな声たちが聞こえてくる。
一つ一つの声はとっても楽しそうに笑っている。
「……あー!!! お姫ちん全部食べたらケーキ無くなっちゃうっしょー!!!」
「…………ふふっ、今の亜美ちゃんかな」
きっと、今貴音さんがケーキを独り占めしているんだろう。
今にも亜美ちゃんたちが貴音さんを追いかけるのが簡単に想像できる。
私の誕生日ケーキを取り合ってる情景が。
冷たい外気と共に、視界が開けて狭まった。
窮屈な屋内から、ビルが所狭しと建ち並ぶまた狭い景色が視界に映る。
都会特有の寂しい空気が、冬の寒さをさらに助長させる。
一度、ビルの隙間風が音を立てながら右から左へと駆け抜ける。
捲り上げられるスカートを片手で押さえ、もう片方の手で目を覆う。
……スカートの形が元に戻る頃、風は既に止み、静寂とは程遠い都会の喧騒が聞こえてくる。
「……………………」
屋上を囲う手すりへと手を置く。
体温を一切保有していない冷たさが指先から伝わる。 そして直に私の体温と一体化する。
ふと耳を澄ましてみると、二つ下の部屋から賑やかな声たちが聞こえてくる。
一つ一つの声はとっても楽しそうに笑っている。
「……あー!!! お姫ちん全部食べたらケーキ無くなっちゃうっしょー!!!」
「…………ふふっ、今の亜美ちゃんかな」
きっと、今貴音さんがケーキを独り占めしているんだろう。
今にも亜美ちゃんたちが貴音さんを追いかけるのが簡単に想像できる。
私の誕生日ケーキを取り合ってる情景が。