1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/24(木) 18:11:58.76 ID:ofsQ2kfQ0
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伊織「えー空席以外は見事! 満員御礼と言う事で、心から御礼申し上げます」
伊織「どうか1万字程の落語、御辛抱頂きお聞き下さいませ」
伊織「偽りのある世なりけり神無月 貧乏神は身をも離れず、と言う狂歌がございまして」
伊織「だからなんだと言うわけではないですが、こうして唄なぞ並べると落語も少し恰好もつくってな物です」
伊織「この一説が流れますと落語に精通されている方ですと「お、死神だね?」とお思いでしょうが」
伊織「まだまだマクラでございます、枕元の死神は縁起が悪うございますから、どうか本題まではもう暫く御辛抱をお願い申し上げます」
伊織「いやいや、寝てくださいと言っているわけじゃあありませんよ?」
伊織「釈迦に説法になるかもしれませんが、落語で言うマクラと言うのは落語本題に入るまでの導入の事をさしまして」
伊織「落語本題に負けず様々なマクラが存在しております、中には寄席にはマクラが楽しみで来てるんだよ、なんて方もいるようです」
伊織「寄席に枕持ち出して寝るなんて方はいらっしゃらないですが、寄席の座椅子は実に堅くてそりたってございます」
伊織「それはそれは、マクラ高くして眠れる事でしょう」
伊織「…………」
伊織「まぁまぁ、無駄話はこのへんにしまして、出来れば起きているうちに落語なんてものは聞いて頂きたいものですな」
伊織「さて、日本には八百万の神といいまして、実に様々な神様がいらっしゃいます」
伊織「最近ですと、何か偉業を達成した物事に対し「神」と呼ぶ風潮があるようでして」
伊織「いやぁ、今日のあの人のパフォーマンスは神ってたよ~」
伊織「などと、どこを見ても神様だらけ、最早ありがたがるようなものではないのかもしれませんな」
伊織「方々にある神社仏閣と言うのの有名所だけ知られるようになり」
伊織「若い方々、特に上京し、故郷を遠くに残してきた方々にとっては「お参り」なんて言う行事は行わなくなって久しいのかもしれません」
伊織「ですので、もしかしたらですが、祈る対象を自分の近くに作っているのかもしれませんな」