今宵も、765プロがお送りする特別番組。 
芸能人の悪行を暴き、断罪する。 
その名も芸能人特別裁判所765号法廷。 
本日、裁かれる被告人。 
その名は…… 

雪歩「あ、あのっ! 私、悪いことなんてしてません……ほんとですぅ」オドオド

千早「静粛にしてください。これより芸能人特別裁判を開廷いたします」 
千早「裁判に携わる役割は、765プロのみんなであみだくじをして決めました。ちなみに私と萩原さん以外は、誰がどの役割になったのかはまだ私も知りません」 

千早「まあもうわかっているとは思いますが、私は裁判長役です」 

千早「さてこれから裁判を始めるわけですが、その前にまずは私の歌を聴いてください」キリッ 

雪歩「え? えぇ?」

  
千早「♪ 裁くことなら たやすいけれど 
  感情には 流されない 
  出演したこと 
  この役目さえ 
  選んだのは 
  自分だから 
  本土から離れた小島のように 
  流刑の行き先など知らない 
  だけど嘘ついて 
  妄想をタレ流したって 
  いつも心のまま 
  ただ働くよ 
  その通り 
  もし新曲 
  近くにあっても 
  あのロケへ 
  私は行く 
  プロデューサーを信じて 
  歌を忘れない 
  でも出番にはかえれない♪」


雪歩「あ、あのぅ。千早ちゃん?」 

千早「なに? 萩原さん」ニコニコ

雪歩「今の歌にどんな意味が……?」 

千早「ないわ」キッパリ 

雪歩「ええっ!?」 

千早「でも出演をしぶっていたら、プロデューサーが……」


※千早の回想シーン(再現ドラマ) 


P「どうしても嫌か? 千早」 

千早「ああいう事務所の仲間同士で疑いあうのは、好きではありませんから」 

P「いやこれはバラエティ番組だから。千早も好きだろ、お笑いとか」 

千早「私の好きなお笑いとは、方向性が違います」 

P「……ダメ、か。やっぱり」 

千早「はい。プロデューサーには申し訳ありませんが」 

P「歌えても……か?」 

千早「!」ピクッ 

P「歌わせてやるぞ千早! 番組内でソロで」 

千早「出ます!」キッパリ 


※回想シーン終わり 


千早「と、いうわけよ」ドヤ 

雪歩「プロデューサー……そこまでして番組を成立させなくても……」ウルウル

千早「でも安心して、萩原さん」 

雪歩「えぇ?」 

千早「さっきの回想でも言っていたけど、本当は私は乗り気じゃないの」 
雪歩「そ、そうなんですかぁ?」 

千早「ええ。同じ事務所の仲間同士、今は私も仲良くしていきたいと思っているわ」 

雪歩「それは私も……おんなじですぅ」 

千早「そうよね。だからいちおう、仕事としてこの役目は果たすけど、私は萩原さんの味方よ。安心して」ニコニコ 

雪歩「よ、よかったぁ……」ホッ

雪歩(お父さんが言ってたっけ。裁判で無罪を勝ち取る1番の秘訣は、法廷を味方につけることだって。良かった、裁判官が味方になってくれて) 

千早「では、被告人には黙秘権と弁護士を呼ぶ権利があるので、ここで弁護士役に入廷してもらうわ」 

雪歩(私の弁護士役……どうか、どうか頼れる人を、お願いします大地の神様……)


弁護士役登場。 


伊織「この伊織ちゃんに、まっかせなさーい」ピース 

雪歩「う、ううう……」ウルウル 

伊織「な、なによ? どうしたのよ雪歩」 

雪歩「嬉しくって……伊織ちゃんなら安心だよぉ。よろしく、よろしくね」ポロポロ 

伊織「ああもう、雪歩ってば泣き虫なんだから。でも伊織ちゃんがきたからには、安心して大船に乗った気持ちでいて大丈夫よ。にひひっ」 

雪歩「ありがとう伊織ちゃん。ああ、大地の神様もありがとう……」 

千早「大地の神……萩原さん、いい言葉ね。どこまでも平らで、平坦なイメージが伝わってくるわ」ウットリ 

雪歩(お父さんがこうも言ってたっけ、裁判で無罪を勝ち取る2番目の秘訣は、とにかく優秀な弁護士を雇うことだって。良かった、伊織ちゃんが弁護士で)

千早「では続いて検事役の入廷を」 

雪歩(そうか、まだ安心しちゃだめだよね。検事役、誰なのかなぁ?)


検事役入廷。 


やよい「うっうー! 今日はよろしくおねがいしまーす」 

雪歩「え?」 

伊織「やよい!?」 

やよい「はいですー。今日は、なんだか難しい役がらみたいなんですけど、がんばっていきますねー」 

千早「そ、そう。しっかりね、高槻さん」 

雪歩(くじで決まったとはいえ、検事役とか大丈夫かなあやよいちゃん……って、思わず心配しちゃったけど、やよいちゃんに勝たないといけないんだよね) 

伊織「ちょ、ちよっとやよい」 

やよい「? なんですかぁ伊織ちゃん」 

伊織「やよい、検事役って何をするか知ってるの!?」 

やよい「はぁい! 真実をときあかす役割です。そうですよねー? 千早さん」 

千早「そ、そうね。間違いではないわ」

伊織「ともかく、いい? なんかわかんなかったら私に聞くのよ。助けてあげるから」 

やよい「うっうー! 伊織ちゃんはいっつも優しいですー」 

雪歩(あれ? 伊織ちゃん、私の弁護士じゃ……?)

千早「と、ともかく。検察側は被告の罪状を」 

雪歩(うう……私の罪状ってなんだろう? やっぱり事務所に穴をあけちゃったことかなぁ? それともスタジオで穴を掘ったことかなぁ? もしくはロケで掘った穴についてとか……?)

やよい「……」ニコニコ 

シーン 

伊織「や、やよい」ヒソヒソ 

やよい「なんですかぁ?」 

伊織「やよいが喋るのよ」ヒソヒソ

やよい「あ、そうなんですかー? はあい、ええと……」ゴソゴソ 

千早「大丈夫かしら、高槻さん……」ハラハラ 

やよい「ありましたー。ええと、雪歩さんのざ……ざいじょーは『プロフィールのきょ、きょぎしんこく』?と『へんしん?……じゃなくて、へんこうしんせいのおこたり』ですー」 

雪歩「え?」 

やよい「公式プロフィールでは雪歩さんのすりーさいずは、81-56-81になってますけど」 

千早「……」ピクッ 

やよい「私、そんなことないと思うんですよね。雪歩さんはもっとずーっとすてきなプロポーションしてると思いまーす」 

雪歩「えええ?」 

千早「…………」ピクピク

やよい「それにいっつも雪歩さんは『自分はダメダメで、ひんそーでひんにゅー』だって言ってますけど、私そんなことないって思ってますー!」 

雪歩「やよいちゃん……」 

やよい「だって雪歩さんは、がんばりやさんで、せいそで、女性らしいから私、大好きなんですー!」 

雪歩(嬉しいけど……) 

やよい「きっと雪歩さんは、おくゆかしいからひかえめにしんこくしたんだと思いまーす」 

雪歩(嬉しくない……) 

やよい「以上ですー」 

千早「……弁護側は、何か申し立てる事は?」 

伊織「よく言えたわね。えらいわ、やよい」 

やよい「えへへー。うれしいですー」 

雪歩「あ、あの、伊織ちゃん?」 

伊織「なに? 雪歩」 

雪歩「あの、私の弁護は?」 

伊織「……」

雪歩「……」

伊織「…………ああ!」 

雪歩(すごく……いやな予感がしますぅ……)

千早「それでは証人質疑にうつります。検察側、証人の準備は?」 

やよい「うっうー。今日は、事務所で仲良しのお姉さん、貴音さんに遊びに来てもらいましたー!」 


証人、四条貴音入廷。 


やよい「貴音さん、今日はありがとうですー」 

貴音「なんの。高槻やよいの招きとあらば喜んで参りましょう」 

やよい「この間はラーメンをごちそうしてもらって、本当にありがとうござますー」 

貴音「お口には合いましたか?」 

やよい「うっうー。とってもおいしかったでーす!」 

雪歩「あ、四条さん。その節は私もごちそうなっちゃって……あの、美味しかったですぅ。ありがとうございました」

貴音「喜んでいただけて幸い。わたくしもとっておきの店に案内した甲斐がありましたというもの」 

やよい「実は今日は、その時のようすをドラマで再現してみましたー」 

雪歩「え?」 

やよい「こちらをごらんくださーい!」


※再現ドラマ『食事とは食べることと見つけたり』 
 出演:高槻やよい役;高槻やよい(本人) 
    四条貴音役;四条貴音(本人) 
    萩原雪歩役;三浦あずさ(新人) 
    …… 


雪歩「ちょ、ちょっと待ってくださいぃ!」 


※再現ドラマ一時中断 


やよい「? 雪歩さん、どうしたんですかー?」 

雪歩「わ、私をあずささんが演じるんですかぁ!?」 

やよい「? そうですよー」 

雪歩「それはちょっと無理があるというか、役柄にあっていないんじゃあ……」 

貴音「それは違います。萩原雪歩!」 

雪歩「えっ!?」 

貴音「わたくし達は、あいどるといえども……いえ、当世はあいどるであるが故に、演技力も身につけねばなりません」 

伊織「まあ、一理あるわね」

貴音「わたくしは芝居の演技であるならば、幼女から老女まで演じきる自信があります」 

千早「四条さん演じる幼女……?」 

伊織「ちょっと見てみたいわね」 

貴音「なれば三浦あずさも同様! 一見難しげに見える役柄こそ、彼女は演じきっているとわたくしが保障いたしましょう」 

伊織「うーん。雪歩、どうする?」 

雪歩「あ、し、四条さんがあそこまで言ってるんです。私もちょっと見てみたくなりましたぁ」 

伊織「そお?」 

雪歩「うん。それに他人から見た私を演じてもらえる、っていうのにも興味あるし」 

伊織「千早、聞いての通りよ。Vの続きを流して」 

千早「わかったわ。高槻さん、お願いね」 

やよい「うっうー! では始めからいきますー」


※再現ドラマ『食事とは食べることと見つけたり』 
 出演:高槻やよい役;高槻やよい(本人) 
 四条貴音役;四条貴音(本人) 
 萩原雪歩役;三浦あずさ(新人) 
 店主役;高木順二朗(特別出演) 


やよい「貴音さん、本当にごちそうになっちゃっていいんですかー?」 

貴音「良いのです。本日は三人で共にらぁめんを堪能したい気分……わたくしがつきあわせたのですから、ご馳走するのは当然」 

雪歩(あずさ)「悪いわねえ~貴音さん」タプーン

やよい「うっうー! あずささんあずささん、今は雪歩さんになりきってもらわないとー」ヒソヒソ

雪歩(あずさ)「あらあら~ごめんなさい。そうだったわね~」タプン 

雪歩(あずさ)「え~コホン。申し訳ないですぅ、四条さん」タプーン 

雪歩(あずさ)「お礼にこのスコップで、穴でも掘りますぅ」タップーン 

貴音「見えてきました。あの店です」 

やよい「九州ラーメンの店『剣道』ですかー。かわった名前のお店ですー」ピョンピョン 

雪歩(あずさ)「私~九州のラーメンって初めてですぅ。期待で思わず穴を掘りそう……ですぅ」タプンタプン 


※法廷では 


伊織「……」(この雪歩はちょっと無理があるんじゃ……) 

雪歩「……」(着ているのが私とおんなじ服ですけど、ちょっと……) 

千早「……」ムカムカ

貴音「ここの店主は、剣道一筋にその身を任せて精進しておられたのです」 

やよい「そうなんですかー」 

貴音「しかし怪我が元で、竹刀が握れなくなりらぁめん屋に転身なされたのです」 

雪歩(あずさ)「苦労したんですねぇ~」ドタプーン 

貴音「では注文をいたしましょう」 

やよい「うっうー☆ おすすめはなんですかぁ」 

店主「小手ェ!」 

やよい「え、な、なんですー?」 

貴音「静まりなさい、高槻やよい。お薦めは『こってり』味だと言っておいでなのです」 

やよい「そ、そうなんですかー。じゃあ私はそれでおねがいしますー」 

雪歩(あずさ)「あ~じゃあ私もそれにするわ……しますぅ」バイン 

貴音「では『こってり』を三つ、お願いいたします」

やよい「あれあれー貴音さん、今日は一杯でいいんですかー?」 

貴音「ふふ、その理由は後ほど明らかになるでしょう……」 

雪歩(あずさ)「あらあら~そうこうしている間にきたわ……きましたぁ。美味しそうですぅ」ボヨン 

やよい「わぁ。それじゃあ店ちょーさん、貴音さん、いただきまーす」 

雪歩(あずさ)「いただきますぅ……あら、美味しい! ……美味しいですぅ」バインバイン


※法廷では 


伊織「…………」(これもう、あずさは無理に雪歩の口調にしなくても……) 

雪歩「…………」(あずささん、なんか私……恥ずかしいですぅ) 

千早「…………」イライラムカムカ


※再び再現ドラマ 


やよい「ふう! おいしくって、あっという間に食べちゃいましたー」 

店主「メーン!!!」 

やよい「こ、こんどはなんですー!?」 

店主「どう?」 

貴音「店主は、『替え玉』はどうか、と申しておいでなのです」 

雪歩(あずさ)「あ、麺だけをおかわりできるんですね」ポヨン 

貴音「その通りです。さ、どんどんと参りましょう」 

やよい「おかわりができるんですかー? うっうー!」 

雪歩(あずさ)「えへへ。実は最近私も、ずいぶん食べられるようになったんですよぅ」ポヨヨーン 


※再現ドラマ終了


伊織「………………」(なんというか……) 

雪歩「………………」(は、恥ずかしいですぅ……) 

千早「………………」ムッスー 

やよい「いかがでしたかー?」 

伊織「え? ええ、なかなか良かったわね」 

千早「それより高槻さん、それでこの再現ドラマにはどういう意味が?」

やよい「あれー? わからなかったですかー?」

雪歩「しょ、正直わからなかったですぅ」

やよい「つまりこういうことですー!」 

貴音「萩原雪歩も、最近は随分と食事量が増えたという事です」 

雪歩「……あのぉ、もしかして、それを言いたいためだけにこのドラマを?」

やよい「うっうー! そうでーす。もともと控えめに申告していた雪歩さんのすりーさいずが、よく食べるようになって最近はさらに変化していると思うんですねー。いぇい」 

伊織「やるわね、やよい。一理あるわ」 

雪歩「えええええぇ!?」 

伊織「なによ、文句でもあるの?」 

千早「確かに再現ドラマを見る限り、かなりの身体的変化があったようね」ムス 

雪歩「ちちちちちちち、違いますぅ。あれは私じゃなくて、あずささんですぅ……」 

千早「そのあずささんが演じていたのは、貴女でしょう!? 萩原さん!!」バンッ 

雪歩「そ、そんなぁ……」

雪歩(ううう……いつの間にか、法廷の中の味方が全員敵に……助けて、四条さん)チラッ 

貴音「萩原雪歩……覚えていますか? 以前、わたくしが貴女に言った言葉」 

雪歩「え? ええ?」 

貴音「萩原雪歩、貴女に必要なのは『覚悟』。自分の壁を突き崩すという覚悟、だと言った事を」(※アニメアイマス11話より) 

雪歩「四条さん……そう、そうでしたぁ! 私、また弱気になって……やります!! 今度も壁を突き崩します!!!」 

千早「ふうん。それはつまり、私に対する挑戦と受け取っていいのよね」ギロ

雪歩「ちちち、違いますぅ!!!」 

雪歩(うう……どんどん状況が悪化していきますぅ……あんなに温かかった千早ちゃんの眼差しが、今は肉まんの下の薄い紙でも見るような目で私を見ていますぅ……)

やよい「貴音さん、今日はありがとうございましたー。続いてのゲストさんは、律子さんですー」 


証人、秋月律子入廷 


やよい「律子さん! 今日は遊びに来てくれて、ありがとうございまーす」 

律子「いや。これ、裁判でしょ。宣誓とか名乗りとかはいいの?」 

やよい「あ、ご紹介しまーす。秋月律子さんです。律子さんは、しっかりしていてみんなの面倒を見てくれるおかあさんみたいな人ですー」 

律子「あの私、まだ19歳なんだけど……はぁ」 

やよい「律子さんはー、プロデューサーのお仕事をしてて、私たちの衣装も全部用意してくれてるんですー」 

律子「それが仕事ですからね」 

やよい「律子さんの用意する衣装は、いつもとーってもかわいくって、私だいすきですー」 

律子「ふふ。ありがとう。やよい」

やよい「あの衣装って、もしもぷろふぃーるの数字が間違っていたら、着られないんですかー?」 

律子「そんなことはないわよ。なにしろみんな、成長期ですからね。ある程度の余裕を持って作ってあるわよ」 

やよい「そうなんですかー」 

律子「衣装代も馬鹿にならないからね、作ったら一回しか使わないなんてもったいない事はできないんだから。だから、あなた達も大事に着てね」

千早「では、もしも公式のプロフィールよりもサイズが大きくても着れなくはないのね?」 

律子「そういう事。ま、逆に申告されたサイズより小さいと今度はブカブカできられなくなっちゃうんだけどね」 

雪歩「というか、どうして裁判官が直接証人に質問を……」 

律子「まあなんにせよ雪歩!」 

雪歩「は、はいぃ!?」

律子「サイズが変わったんなら、早めに知らせてね。衣装だけじゃなくて、公表しているプロフィールの変更とか広報活動とか色々あるんだから」 

雪歩「………………」キョドキョド 

伊織「雪歩?」

やよい「はい。律子さん、ありがとうございましたー。続いて、春香さんにも来てもらいましたー」 


証人、天海春香入廷。 


春香「はいはーい! あなたのアイドル、天海春香ですよっ☆」ニコッ 

伊織「春香、あいかわらず見事なカメラ目線よね……」 

やよい「わーい。春香さーん、はーい」 

春香「たーっち! 今日は証人だから、すっごい気楽に来ちゃった」テヘペロ 

雪歩「ううぅ……いいなあ、春香ちゃん」

やよい「春香さんは機械に強いんですよね。あ、あいぽっどとかも使いこなせてて、すごいですー」 

春香「そんな大したことないよ。iPodも使っていくうちに、だんだんと覚えるからやよいでも大丈夫だよ?」 

やよい「そうですかー? それで今日は春香さんに、い、いんたーねっとで色々と調べてきてもらっちゃいましたー」 

春香「はい! 今日はこうしてフリップを用意したんだけど、まずはこれ!」 

フリップ『天海春香のネットでの評判』 

春香「えーと、ネットでの雪歩の評判なんだけど……あれ?」 

やよい「これ、春香さんの名前になってますけどー?」 

春香「? 誤植かな?」 

やよい「とりあえずめくってみますね。それー!」

フリップ『天海春香って、実は歌ヘタじゃね?』 

春香「あれー? おかしいなー?」プルプル 

やよい「まだありますよー」メクリッ 

フリップ『春香は実は、ねらー……らしい』 

やよい「? 春香さん『ねらー』ってなんですかー?」 

春香「え? ははははは。な、なんだろーねー」ピクピク

AD「スミマセン フリップマチガッテマシター」 

春香「あ、こちらですね。では」 

フリップ『萩原雪歩のネットでの評判』 

春香「ネットでの雪歩の評判なんだけど、まずはこちら」ペラッ 

フリップ『歌は春香と違って、透明感のある歌声で上手い』 

春香「……あのースタッフさーん?」ニコニコヒクヒク

AD「スミマセン マタマチガエマシター」 

春香「いいんですよー。って、とりゃっ」メクリッ

AD(帽子の下は亜美)「あ……」 

春香「やっぱり亜美だったのね?」 

亜美「ふっふっふ→あまいよ、はるるん」 

真美「亜美がいるところ、真美がいる」 

亜美「真美がいるところ、亜美もいる」 

亜美真美「「イタズラ大好き、双子のエンジェル。双海……」」 

響「はいはーい。さっさと退場するんだぞ」 

亜美「ちょ、ひびきん。待って、これからが出番なのにー!」 

響「だめさー。法廷の平和を乱す者は、法廷係官のこの我那覇響と」 

真美「え? 『と』?」 

響「我那覇ファミリーが相手になるぞ!」

亜美「え? や! ちょっとハム蔵、どこはいってんのー」 

真美「やだやだやだ! ヘビ香、そんなとこやめてー」 

響「さあ、止めて欲しかったら退場だぞ」 

亜美真美「はーい」ショボン

春香「もう、亜美と真美ったら……それじゃあ気を取り直して。これを見てくださーい」 

フリップ『最近の萩原雪歩って』 

やよい「うっうー」ペラッ 

フリップ『すげー成長してね。特に胸』 

春香「世間はわかってるんですねー」ウインク 

春香「そしてこれが雪歩最新のグラビアですが……うおう! 同業で同僚、そして同姓の私でもビックリするこの可愛らしさ。そしてスタイル!!」 


※参照画像1
v82MMRl
 
※参照画像2
5yAeTTM
 
※比較近似値参照アイドル(82-57-83)
RAa6yKn
 


やよい「うらやましいですー」 

伊織「これは……すごいわね」 

千早「くっ!」

やよい「これ以上の証拠はありませーん。雪歩さんは、とーってもすたいるがいいんですー! 春香さん、わざわざありがとうございました」 

春香「どういたしましてー……ああっ」ドンガラガッシャーン

やよい「そして最後に、真さんにも来てもらいましたー」 


証人、菊地真入廷。 


真「菊地真。アイドルです!」 

やよい「? 知ってますよ?」 

真「あ、あれ? 今日は聞かれないんだ。まあいいや、それで聞きたい事って?」 

やよい「真さんはこの前、雪歩さんのお家に遊びに行ったんですよね?」 
真「うん。すごい豪邸でびっくりしたよ」 

雪歩「そ、そんなことないですぅ……」 

真「夕食に焼き肉も、おなかいっぱいごちそうになって」

やよい「その時に、雪歩さんから内緒の告白をされたんですよねー。うっうー!」 

伊織「内緒の!」ガタッ 

千早「告白!」ガタッ 

雪歩「あ、あああ、真ちゃん! 言っちゃダメ!! 言わないで!!!」 
伊織「こ、こここ、ここは法廷よ。し、ししし、証人は証言する義務があるわ!」ドギ 

千早「そ、そそそ、そうよ。証人は証言を!」マギ 

真「……雪歩ごめん。やよいならいいかと思って話しちゃったんだ」 

やよい「だからみんなにもおしえてあげたいですー」 

雪歩「うぅ、真ちゃん……////」

真「ええと、雪歩が内緒で教えてくれたんだけど……」 

伊織「……」ゴクリ 

千早「……」ゴクリ 

真「実は雪歩って……」 

伊織「…………」ドキドキ 

千早「…………」ドキドキ

真「小学生の時の服が、いまだに着られるんだって」 

伊織「へ?」キョトン 

千早「え?」キョトン 

雪歩「あああああああぁ////////」

真「どうりで子供っぽいところあるよね、って言ったら雪歩ったら真っ赤になってむくれちゃって。いやーあん時の雪歩、かわいかった、な……あれ?」 

雪歩「ううう……」

真「……ごめん、雪歩」

やよい「そこで今日は、雪歩さんのお母さんにおねがいして、雪歩さんが小学生のときのお洋服をおかりしてきちゃいましたー」 

雪歩「えええええええぇ!?」 

やよい「ADさーん。おねがいしまーす」 

真美「は→い。またまた登場、亜美だよ→」 

亜美「うそだよ→。亜美が亜美で→す。そしてこれがあっ!」 

真美「ゆきぴょんの、小学生の時の服で→す!」

真「うわあ、紺色のスカートにフリルのついたブラウスだ」 

雪歩「お、おかあさあああぁぁぁんんん!!!」 

亜美「そしてこちらが、衣装アイテムとなっておりま→す」 

伊織「うわ、ランドセルとリコーダーじゃない」 

やよい「今日はこれを、雪歩さんにじっさいに着てもらいまーす!」 

雪歩「えええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

やよい「小学生の時のおようふくが着られるならー、雪歩さんのぷろふぃーるはかわってないことになりまーす」 

伊織「な、なるほど」 

やよい「そして着がえるときに、じっさいにけいそくもしてもらいまーす」 

雪歩「あ、あの、テレビでこんな子供服を着るのは恥ずかしいですぅ。それになんでランドセルまで……」 

千早「証明できないなら、有罪にします」 

雪歩「そんなぁ……は、恥ずかしいよぉ……」

伊織「ちょっと雪歩」ヒソヒソ

雪歩「な、なんですかぁ」ヒソヒソ

伊織「あんた、やっぱり本当にスリーサイズを詐称していたの?」ヒソヒソ

雪歩「そ、そんなことはありません。で、でも……」ヒソヒソ

伊織「でも?」ヒソヒソ

雪歩「お、お母さんがこの間、真ちゃんが遊びに来るって聞いて、島根和牛をネット通販で購入して……」ヒソヒソ

伊織「島根和牛をネット通販!? バカ言わないでよ雪歩」ヒソヒソ

雪歩「?」 

伊織「島根にパソコンなんてあるわけないじゃない!」ヒソヒソ

雪歩「???」 

伊織「……今のは忘れてちょうだい。それで?」ヒソヒソ

雪歩「あ、あの、それで、それがすごく美味しくてぇ……実は私の家、ここの所ずっと牛肉たくさん食べてて……」ヒソヒソ

伊織「まさか!?」ヒソヒソ

雪歩「ちょ、ちょっと服がキツくなっちゃったかもしれませぇん……」ヒソヒソ

伊織「……まずいじゃない」ヒソヒソ

雪歩「ど、どうしょぉ……」

伊織「……ちょっとまって、もしかしたら……」

雪歩「?」 

伊織「ふーん。たぶん大丈夫よ。着がえてらっしゃい」

雪歩「え? だ、大丈夫なんですかぁ」

伊織「私の予想が正しければね」

雪歩「で、でもぉ。小学生の時の服なんて恥ずかしくて着られないですぅ」

伊織「あのね。有罪になったらどうなると思う?」

雪歩「え? シベリアで永久凍土を三ヶ月掘らされるとかですかぁ?」

伊織「そんなわけないじゃない! 有罪は芸能活動停止よ。いいの、それで」

雪歩「こ、困りますぅ。最近はお仕事も増えて、ファンの人も増えたのに……」

伊織「なら、着るしかないわよ」

雪歩「はうう……」 

千早「さあ、どうするの!? 自らの罪を認めるの? それとも無実を証明するの!?」 

雪歩「わ、わかりましたぁ……は、恥ずかしくて埋まっちゃいそうですけど、き、着ますぅ……」

やよい「うっうー。ではすたいりすとさーん、おねがいしまーす」 

美希「はいなのー。美希が小学生の服でも、かわいーくゴディネートしてあげるからね」 

千早「計測もお願いするわね」 

美希「わかったのー」 

やよい「では雪歩さんが着がえているあいだ、雪歩さんのお母さんからおかりした雪歩さんのビデオをみんなで見たいと思いまーす」


※VTR『雪歩幼稚園運動会選手宣誓』 


幼稚園児雪歩「せんせー! わたしたちは……えっと、がんばって……がんばることを……ええと……がんばりまーす」 

千早「ぷぷっ」 

春香「あはははは。ちょっと雪歩、それはがんばりすぎでしょ」 

真美「いや→意気込みは伝わってきましたよ。ええ」クスクス 

やよい「つづきましてー次は雪歩さんが小学一年生の時に書いたぶんしゅーでーす」


※ナレーション:亜美 


亜美「わたしはおとうさんが、これからはがいこくのばいやーもあいてにしないといけないから、ゆきほもえいごをべんきょうしなくてはならん、というので、えいごをならっています」

亜美「まだまだじょうずにしゃべれないけど、わたしがはろーというと、おとうさんが、ゆきほはかしこいなあとあたまをなでてくれます」 

亜美「おとうさんのおでしさんたちも、わたしがはろーというと、おじょうさんはかしこいですねえ、あっしにはとてもまねはできやせん、とほめてくれてうれしいです」

亜美「わたしはえいごがだいすきになったので、これからもえいごをいっしょうけんめいべんきょうして、しょうらいはえいごになりたいとおもいます」 

千早「え、英語になりたいって……」プッ

真美「いや→壮大な夢ですなぁ」ケラケラ 

真「進路希望の時、将来の第一希望は『英語』とか」クスクス

千早「や、やめて真。お、おなかが……」クククッ 

やよい「あ、着替えがおわったようですよーそれでは雪歩さん、どうぞー」


雪歩「はううぅ……は、恥ずかしいですぅ………////////」

千早「はっ、萩原さん!?」 

真美「うひゃ→膝上15センチはいってるよ→」 

春香「プロデューサーさん、雪歩のミニスカですよ! ミニスカ!!」 

美希「背中のランドセルが、可愛らしさの中に背徳のアクセントをだしてるのー」 

真「ゆ、雪歩……」

やよい「あー! 雪歩さん、ほんとうに着られたんですかー? ごめんなさい。私、まちがってましたー」

雪歩「は、ははは、恥ずかしいですぅ。も、もう脱いでもいいですよね」 
千早「ま、待って。も、もう少し……しょ、証拠としてもう少し……」

響「そのまま歌って欲しいぞ、雪歩ー!」 

雪歩「む、むむむ、無理ですぅ」 

♪チャラッチャチャチャチャー 

やよい「あー雪歩さんの『First Stage』ですよー」 

雪歩「えええええええ!?」 

律子「はい、雪歩! アイドルなんだから歌う、歌う!」 

小鳥「雪歩ちゃん、マイクがわりにリコーダー構えて、リコーダー」ハァハァ

雪歩「ううぅ……言いたいことさえ~♪ 言えない私だけれど~♪」 

全員「ゆきほー!!!」 

雪歩「でも告発、するなら~♪ 第一候補は~♪ いるの~♪」 

全員「キャー!!!」


千早「あの……ごめんなさい、萩原さん。なんか私、途中から我を失っていた感じで」 

雪歩「いえ、あの……それはいいんですけど、私はいつまでこの服で……」 

千早「その服装は、大事な証拠証明なのでそのままで」 

雪歩「ううぅ……穴を掘って全身埋まっていたいですぅ」 

千早「では検察側……高槻さん?」 

やよい「はいですー。私がまちがっていましたー。雪歩さんは、成長していなかったみたいですー」 

雪歩「それはそれで恥ずかしいですぅ……」 

千早「美希、測定はどうでした?」 

美希「公式プロフィールと同じだったのー。千早さん」 

千早「では判決を下します。判決は当然……」 

雪歩「あの、伊織ちゃん」 

伊織「なに?」 

雪歩「どうして私のサイズ、大丈夫だったんですかぁ? 今朝までは確かにきつめだったのに……」

伊織「簡単よ。この収録」 

雪歩「えぇ?」 

伊織「この収録の間中、雪歩はずっとオロオロしてたじゃない?」 

雪歩「そうですぅ」 

伊織「だから、よ。心労で、文字通り身も心も疲労困憊してやつれちゃった、ってわけ」 

雪歩「そ、そうだったんですかぁ。でもよくもとのサイズになってるって……」 

伊織「そんなことはわからなかったわ」 

雪歩「えぇ!?」 

伊織「ま、多少のサイズの違いなら、なんとでも弁護するつもりだったわよ。その時はね。それにあの美希が、そんなに厳密に計測するとは思えないし」 

雪歩「やっぱり伊織ちゃんはすごいですぅ……」 

伊織「あーったりまえよ。このスーパアイドル伊織ちゃんに不可能はないのよ。にししっ」

千早「判決は無罪」 


ナレーション雪歩 

雪歩「芸能人特別裁判所765号法廷は、これにて閉廷されました」 

雪歩「しかしこれで全てが終わったわけではありません」 

雪歩「私にはあれが最後の芸能人特別裁判所765号法廷とは、どうしても思えません」 

雪歩「またアイドル達に不審な振舞いが見られた時…… 」 

雪歩「きっとこの法廷はまた、帰ってきますぅ」 

雪歩「そう次は、あのアイドルが断罪される番かもしれません」 

雪歩「だからみんな。日々、清く正しく美しく切磋琢磨しましょう」 

雪歩「トップアイドルを目指して!」 



以上、おわり