真「……暇なときってさ」

雪歩「うん」

真「これ、やってなかった？」

雪歩「あ！ いっせーのーだね、懐かしい」

真「え？ 指スマじゃない？」

雪歩「ゆび……スマ？ って言うの？」

真「指スマ、1、みたいな」

雪歩「いや、いっせーのー、1、ってやってたよ」

真「えー、違うんだ」

雪歩「なんか、地域で違うって聞いたことあるかも」

真「へえー」

雪歩「スマって何？」

真「すま……スマイルとか？」

雪歩「指スマイルってこと？」

真「分かんない」

雪歩「これやると楽しくなるからスマイルなのかな」

真「えー？ スマイルじゃないんじゃない？」

春香「おはよー」

真「あ、ちょうどいいところに来たね」

雪歩「おはよう、春香ちゃん」

春香「え、なにかあった？」

真「春香ってさ、これのことなんて呼んでた？」

春香「あ～！ やったなー、チッチーの2！ みたいなやつ」

雪歩「チッチー？」

真「第3勢力が来ちゃった……」

春香「え、違った？」

真「ボクは指スマってやってた」

雪歩「私はいっせーのーって」

春香「え～、なんか違くない？ これはチッチーだよ」

真「いや、指スマなんだよ」

雪歩「春香ちゃん、スマってどんな意味かわかる？」

春香「スマ……なんかそんな地名なかったっけ」

真「……須磨！ 神戸にあるみたい」

春香「そこ発祥の呼び方なんじゃない？」

雪歩「すごい、流石だね」

春香「ほら、真ちっちゃいとき静岡住んでたじゃん」

真「静岡住んでたけど、神戸とは全然違うしなぁ……それにさ」

雪歩「うん」

真「途中で東京引っ越してきたけど、こっちでも指スマってやってたよ」

春香「東京はみんな指スマってこと？」

雪歩「私はいっせーのーだったんだけどね」

真「うわー、どうしよう、気になってきた……」

春香「そもそもなんでこれの話してたの？」

雪歩「暇なときに変な遊びしたよね、みたいな」

真「……他に指スマの人いないかな」

春香「静岡より西はみんな指スマだったりするんじゃない？」

雪歩「じゃあ、四条さんとか響ちゃんとか」

春香「あー！ そうだよ、西といえば」

真「春香ちょっと手の形これにしてくれない？」

春香「え？ うん」

真「……」ﾊﾟｼｬﾘ

雪歩「写真？」

真「とりあえず2人にLINEしてみる」

春香「えー、ネイル変えてから来ればよかったな」

雪歩「のびてきてるね」

春香「そうなんだよね～、全然タイミング合わなくて」

真「返ってきた！」

春香「はや！ 誰？」

真「響から……『いっせーのーせー』だって」

雪歩「一緒だ」

春香「沖縄の言葉とかじゃないんだね……」

真「また来た」

雪歩「四条さん？」

真「うん。……『手ではないのですか？』って」

春香「あれ？」

雪歩「なんて送ったの？」

真「写真送って、これの呼び方なんだった？ って送ったよ」

春香「貴音さん、こういう遊びするのかな……そもそもだけど」

雪歩「やってなさそう……」

真「みんな通ると思ってたけどなぁ」

春香「小学校のときすごい流行ってたよね」

真「やってみる？」

雪歩「久しぶりだな、この手の形するの」

春香「私けっこう強いよ」

雪歩「なんか、高校生にもなってこれやるの変な感じだね」

やよい「もどりましたー」

春香「あ！ やよいおかえりー」

真「やよいもやる？」

やよい「えっ、皆さんピッピッやるんですか？ わー！ やります！」

雪歩「ピッピッ……って？」

やよい「あれ。違いますか？ ピッピッの2！ みたいなやつです！」

春香「初めて聞いた、ピッピッて言うんだね……私はチッチだったよ」

雪歩「私はいっせーのー」

真「ボクは指スマ」

やよい「えー、ルールは一緒なんですか？」

真「多分そうだね」

やよい「真さん、指スマってどういう意味ですか？」

真「え？ いや、それが分かんないんだよね」

春香「一回さ、ピッピッでやらない？ かわいいし」

雪歩「うん」

やよい「よーし、やりましょー」

～～～～～～～～～～～

やよい「ピッピッの0！」

春香「あー！」

やよい「やったー！ 勝ちました！」

春香「全然勝てない……」

真「全負けって逆にすごいよ、春香……」

雪歩「もう1回やる？」

春香「リベンジさせて～！」

真「じゃあもう1回ね」

千早「ただいま戻りました……あら」

やよい「千早さん！ おかえりなさい」

春香「千早ちゃんもやる～？」

千早「……励まし合っているの？」

雪歩「え？」

千早「いえ、みんなサムズアップしているから」

春香「もしかして知らない！？」

真「千早、これは指スマって遊びなんだよ」

春香「違うよ！ チッチだよ千早ちゃん」

やよい「ピッピッですー」

雪歩「いっせーのーってゲームだよ」

千早「もう、何も分からないわ……」

おわり